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魔法少女リリカルなのは ~優しき仮面をつけし破壊者~

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StrikerS編
  98話:強さの意味とは何んなのか

 
前書き
 
題名をドライブ風にしてみました。最近いいですねドライブ、ハートも遂に超進化し、約束の数まであと二人と発覚! 映画版ベルトさんも出てきて、どんどん終盤へと進んでいきますね。楽しみです!

……はいすいません、こんな話で遅くなったの誤魔化せませんよね。ほんと遅れてしまってすいません。
というのも、サウンドステージ分を書こうと思ったら、その音源がないんですもん。書けなくてどうしようか迷った末、先に漫画版の方を書いてしまうということに。

最初の方も後の方もグダグダになっています。ほんと最近、スランプ気味です……どうしよう……
  

 
 





 時は早々と過ぎていき、八月となり…六課設立から四か月が経った。

 この四か月、色々な変化が周囲に起きている。
 レリック絡みの事件を経て、まだまだひよっこだったフォワード陣も着々と力を付けてきた。

 はやてもフェイトも、なのはも新たな環境で、少しずつではあるものの変わり始めていた。
 そして、ここに来て大きな変化が起こった。


「なのはがママ、ねぇ…くくくッ」
「士君、その笑みは何?」
「いや何、状況が面白いな~と思っただけさね」


 正面に座るなのはに対してそう言うと、なのははなんだか不機嫌な表情を浮かべ、パンを千切って口に運んだ。

 つい先日、俺が部隊の外回りに一日に、なのはとヴィヴィオの間に変化が起こっていた。昨日ははやてがティアナを連れて、クロノの下へと行っていたので、その代わりに俺が回ることとなっていたのだが……
 その間に保護責任者の話をヴィヴィオにして、その例えとして〝ママ〟の事を使ってみたら…これが意外とはまったらしく、そう呼ぶようになったそうだ。
 そして、後見人となっているフェイトも、そう呼ばれるようになってるそうだ。母親二人、しかもそれが管理局のエース級魔導士。なんともまぁ、向かうところ敵なしと言った感じだな。


「士、そんな風に言わないでよ。ヴィヴィオだって…」
「わかってるさ。ヴィヴィオが自分の不安な心を、安心させてくれる存在を必要としていることぐらい。そしてそれが…母親だという事ぐらい」


 フェイトが弁解するように行ってくるが、みなまで言わせずに言葉を被せる。そして…向こうの席で何やらフォワード陣と話しているヴィヴィオを見る。

 人造魔導士である彼女に、本来〝母親〟という存在はいない。クローン元となる存在が母親みたいなものだが、顔も知らない、あったこともない人間が母親だと言われても、ピンとこないのが普通だ。
 それでも、人が人として生きていくのに、母親のような〝大切な人達の存在〟は必要不可欠だ。支えてくれるから立ち上がれる、色んな物を分け合えるから親しくなれる。

 ヴィヴィオに関していえば、それに該当するのが〝母親〟であり、なのはやフェイトなのだ。


「まぁ頑張れよ、ちゃんと後ろから支えてやっから」
「………」


 ……あれ? なんかなのはの反応が変な気が…? まぁ…いいか?


「とりあえず、朝飯片付けるか」


 そう言ってから席を立つ。朝食が置いてあったトレイを持ち上げ、食堂へと戻そうとする。
 が……何故か下から、服を引っ張られる。イスにでも引っかかったか、と思い見てみると、そこにはヴィヴィオが俺を見上げながら立っていた。


「? どうした、ヴィヴィオ?」


 突然の出来事に、首をかしげる。側にいたフェイトもなのはも、なんだか不思議そうにこの光景を眺め、ヴィヴィオの返答を待った。

 ―――次の瞬間、


「士…〝パパ〟?」



 ピシリッ…と、

 空気が凍るような…否、空が割れて異次元人でも現れるかのような音が、食堂中に響き渡ったような気がした。
 勿論幻聴である、しかし確かにそれらは聞こえた。そしてゆっくりと立ち上がる二人。その表情は前髪で隠れ、俺からでは確認することはできなかった。


「士君…
「ちょっと…」

「ま、待てフェイト…これは何かの間違いだ…!」

「間違いって…なんの事かな? 私達はただ…」
「君にオハナシしたいだけだよ…?」


 そう言ってきた二人は足早に俺へ近づき、俺が持っていたトレイを取り上げ机に置き直し、そのまま襟首を掴んでズルズルと引っ張っていく。
 もうこれ以上何を言っても状況は変わらない。こうなったこいつらは誰にも止められないのを、俺は長年の付き合いで知ってる。

 だが……だがせめて……






 ―――食べ終えたトレイぐらいは片付けようぜ…
























「これより、第23回〝乙女達による秘密会議〟を執り行おうと思います」


 パッと、スポットライトを当てられたはやてが、両肘を机につけ両手を口の前で組んで、そう言った。


「まずは、フェイト隊長。現場の状況を」
「はい」


 はやての指示によって、次にスポットライトで露わになったフェイトが、B5サイズ程の紙を取り上げる。


「士は今日の朝食時、ヴィヴィオに自分の事を〝パパ〟と呼ばせていました」
「はい、有罪(ギルティ)ッ!」


 フェイトが言い終えるや否や、はやては早々に判決(ジャッジ)を下した。何とも不公平な裁判である。
 しかし、何故秘密会議だった筈なのに、裁判になっているんだ?……そもそも、なんで俺ここに院の?


「ではなのは隊長、何か意見はありませんか?」
「問答無用でスターライト・ブレイカーを打つべきだと思います」


 はやては次になのはに意見を求めたが、なのはの返答は至ってシンプルで、極刑という意だ。
 なんともまぁ、冷たい幼馴染達だ。擁護する気もないとは。


「では士被告人、あなたは〝少女に手を出した〟罪により、〝スターライト・ブレイカー10発生身で受けろ〟の刑となりました。何か一言、言い残すことはありますか?」


 いや、なんか打つ回数増えてねぇ? 10発も生身で受けたら、ほんとに死んじゃう気がするぞ?
 それで何? 最後に一言? じゃあ言ってやるよ……





「―――お前ら仕事しろ」




 その後、士は本当にスターライト・ブレイカーを受けたとか受けていないとか。
























 ってな訳で(どういう訳だ)、

 取りあえず無事(?)に仕事に復帰した士。後にヴィヴィオのパパ呼びが、フォワード陣の入れ知恵だと分かり、明日どんな仕返しをしてやろうかと考えていた。
 士に極刑を言い渡した3人も、その事を聞いた後お互いに無言で睨み合い、なんだか『ここは譲らない…!』と言った雰囲気を纏っていたが、最終的に士の2度目の言葉によって、各員自分の仕事へと戻っていった。

 はてさて、そんなこんなで既にお昼となりまして……
 午後もこんな感じでいつも通り過ぎていく…と思いきや。ヴィヴィオのある一言によって、六課にある疑問が浮上した。


『なのはママとフェイトママ、どっちがつよいの?』


 この一言、だ。
 始めはフォワード陣内での他愛もない会話、だった筈なのだが…しまいには……


「―――っという訳でッ!」
「「第一回機動六課で最強の魔導士は誰だか想像してみよう大会~~~ッ!!」」

「「「「「「おおおぉぉぉぉぉぉッ!!」」」」」」


 ―――という展開へと発展してしまった。

 しかし、この話は至極当然と言えば、当然だ。
 エース級の魔導士を隊長陣で固め、部隊長もSSランクの魔導士。その内で誰が強いのか、疑問に思うのは当たり前だ。

 かくして、フォワード陣の四人による、聞き込み調査が始まったのである。












 八神はやての場合。(ティアナ聞き込み)


「個人での戦闘能力? 私は他の皆と比べたら低いよ。そやからランクも総合で取っとるんやし」
「はいです」


 でも総合SSなら魔力だけなら相当凄いんじゃ…?


「それはそれ、これはこれや。私は高速運用はできひんし、並列処理は苦手やから。できることと言えば、『立ち止まって展開・発射』ぐらいなもんや」
「私もそのお手伝いだけです」


 じゃあ余談なんですけど…この六課の中で、誰が一番強いと思いますか?


「あぁ…それなぁ…」


 ……? どうかしたんですか?


「いや、私ってなのはちゃん達と少し遅れて管理局に入ったんやけど、始めの頃どうもそういう質問を何度かされてな~…」


 そうだったんですか?


「まぁその時は『比べたことはないからわからない』って言って、はっきりとは答えなかったんやけど……今なら、はっきり言えるな」


 じゃあ、部隊長は誰だと?


「フフフ、それはやなぁ―――」












 ヴィータの場合。(エリオ聞き込み)


「個人戦技能? そんなもん、色々言い様があるじゃねぇか」


 え~っとですね…取りあえず平均的な「強さ」ってことで……


「『平均的な強さ』ァ? そんなの戦闘状況や相性の違いなんかで左右される。お前の言う強さはつまり何でも屋って訳だろ? マルチスキル対応力と生存率を上げる為にあるもので、直接的な強さとは関係ねぇだろ」


 そ、そうですね……


「一人の人間にできる事は、何時だって一つだけなんだ。それが通用しなきゃ、強いとは言えないだろ」


 あ、はい……


「お前は強くなりてーのか? それとも…便利な『何でも屋』になりてーのか?」


 あ……ッ!


「…まぁでも、『誰が一番強いのか』ぐらいは答えてやるよ」


 本当ですか…?


「あぁ、あまり公言したくはないんだが…そいつはな―――」












 シグナムの場合。(アルト聞き込み)


「隊長達四人でトーナメントでもすれば、やった回数だけ優勝者は違うだろうな。それぐらいは力が伯仲している」


 そう言えば、シグナム副隊長となのは隊長って、一度試合をしたそうですけど…


「あぁ、戦技披露会の時の話か。あれは心躍るものだったが…結局は決着はつかなかったし、かなりの『血戦』だったからな。とてもじゃないが、教材にはならんそうだ」


 はぁ…凄い試合だったんですね。じゃあ、一番強いのって、誰もいないってことに…


「何を言うか。私でもあいつには勝てんさ―――」













 シャリオの場合。(キャロ聞き込み)


「フェイトさんの個人戦? 戦闘訓練は結構好きだよ。シグナムさんとは仲良く訓練してるし、負けず嫌いなとこあるから見てると可愛かったり…!」


 そ、そうでしたか…。なのはさんと試合とかって…


「うん、昔は軽い練習ぐらいはしてたそうだけど、あの事故以来は一度も…


 そ、そうでしたか……


「あ、そう言えば…一回だけフェイトさんの模擬戦を見せてもらったことあるよ。個人的に撮ってたものらしいんだけど、その中で凄いのあったな~…!」


 そうなんですか? 一体フェイトさんは誰と…?


「あれはたしかね~…―――」












 ―――んで…


「俺のところに来た、と?」
「そういうことに、なりますね」


 そういうのは、副部隊長室にやってきたフォワード陣の内の一人、ティアナだ。
 今回来ているのは、いつもの四人。なんだか色々調べて回っているそうだが、何? 誰が一番強いかって?


「そんなもん、俺に決まってるだろ」
「うわ、凄い自信…!」
「皆さんの言ってた通りみたいですね…」


 俺の返答にスバル、キャロが反応を示す。いや、だってそうだろ? 他の連中もそう言ってたんだろ? じゃあいいじゃねぇか。


「あ、それとですね。実はなのはさんから、ある問題を出されてまして…」
「問題? どんな?」
「『自分より強い相手に勝つ為には、自分の方が相手より強くないといけない』、『この言葉の矛盾と意味をよく考えて答えなさい』というものです」
「あぁ……あれか……」
「ッ、知ってるんですか?」


 あぁ、よく知ってるとも。あの時の出来事は衝撃がデカすぎて、未だに記憶に残っている。


「じゃ、じゃあ―――」
「だからと言って、答えを教えると思ったら大間違いだ」
「「「「えぇ~ッ!?」」」」
「自分達に出された宿題ぐらい、自分達でなんとかしろよ!」


 俺が答えを言うつもりがないと分かるや否や、四人共同じように残念がる表情を浮かべて肩を下げた。あからさま過ぎるだろ。
 しかし……ふむ、『強さ』か……


「じゃあ逆に質問しようか」
「え…?」
「お前らはなんの為に力が欲しいんだ? その欲した力で、何を成すつもりだ?」


 いきなりの質問に、四人は戸惑いつつも考える。しかし唸るばかりで、返答は返ってこない。
 ま、こんな質問するには、いきなり過ぎたな。


「まぁ、今のも宿題だと思っててくれ」
「は、はい…」
「さて、話によれば今日は確か、108部隊への出向研修だろ? そろそろ準備してこい」
「「「「はい!」」」」


 四人は返事をすると、急いで副部隊長室を出ていった。

 『格上相手に勝つには相手より強くないといけない』、『強さは何か』、か……
 ある意味、俺に対する質問でもあるんだが、なぁ……


「『破壊者が真のそれへと近づくとき』…か……」


 あの預言の一節、最初の方の部分だ。〝破壊者(おれ)〟が〝破壊者(ディケイド)〟へと近づく、それは一体どういう事なんだろう。
 俺がそうなっていけば、俺の力はどうなるか。その力で、周りが傷ついてしまうのか。そこまではわからないが……


「やっぱこのままじゃ、いけねぇんだろうなぁ…」


 そう呟いて、俺は胸に手を当てる。心臓の鼓動を感じると共に、その奥に眠るあるその〝存在〟へと……
 すると部屋の照明が赤く点滅し、アラートがけたたましく鳴り響く。


『こちらサードアベニュー警邏隊。E37地下道に不審な反応を発見しました。識別コード未確認(アンノウン)、確認処理をお願いします』


 次いで全体通信での呼びかけ。それを聞いた俺は脱いでいた上着を手に取り、急ぎ管制室へと向かった。





  
 

 
後書き
 
という感じです。取りあえず次回はこの続き、その次がサウンドステージ分になります。
サウンドステージの方は、音源が届き次第になりますね。ちょっと(金銭的に)苦しいですが、ネットで買うつもりです。

その間に少し間が空いてしまうかもしれませんが、その間はデジモンの方へと力を入れたいと思います。
では皆さん、誤字脱字の報告やご感想、お待ちしています。
  
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