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K's-戦姫に添う3人の戦士-

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2期/ヨハン編
  K20 クリスタル・メモリア

「行方不明となっていた小日向未来の無事を確認。ですが……」
「無事だと!? アレを見て無事だと言うのか!? だったらあたしらは、あのバカに何て説明すりゃいいんだよッ!」

 刃は下ろさないまま翼は知らせ、切歌を離さないままクリスが叫ぶ。

「答えろ、F.I.S.! あの子に一体何をした!」

 ちゃき、と剣が目と鼻の先に突きつけられた。

「――見ての…通りですよ。神獣鏡のギアを、無理やり纏わせました。LiNKERで適合係数を上げて」
「貴様…ッ」
「彼女の…ミス・コヒナタの、ミス・ガングニールへの想いを利用して、怯える彼女に、友人のためだと吹き込んで……僕らが、彼女を、装者に仕立て上げました。フロンティアの封印を解くには、聖遺物単体じゃ足りなかった。歌い手がいてこそのシンフォギアです。だから彼女を攫った。もう誰も、僕らの中には、歌える人間がいなかったから…ッ」
「そのような手前勝手の身勝手で、貴様は小日向をあんなモノにしたのかッ!」

 返す言葉もない。ヨハンはぎり、と拳を握りしめた。





 クリスは切歌を後ろへ放り捨て、赤いボウガンを展開した。

「こういうのはあたしの仕事だ!」

 未来へと飛びかかっていく。

 対する未来は鉄扇を円状に展開した。ターゲットを映す14の円鏡は、クリスに同じ数だけ光線を斉射した。

「避けろ、雪音!」
「~~っまだそんなちょっせえのを!」

 ちょうど突き放した切歌がいた方向へ避けて下がったクリスを、未来は意にも介さず、次の攻撃の準備を始めている。
 脚部のミラーデバイスが、仏像の光背のように展開される。

「逃げて、きりちゃん! ()()()()()()()()!」
「!?  どういうことだ!」

 翼が糾弾するが、調は自分でも何故そう言ったのか分からない、と言いたそうな様子だ。

 跳ぼうとした切歌が、急に顔を歪めて片膝を突いた。切歌が押さえているのは、たったさっきクリスが蹴った部位だ。

「 『閃光…始マル世界 漆黒…終ワル世界』 」

 まずい。未来の歌が始まった。
 予想するにあのミラーデバイスは歌をチャージして撃つエネルギー砲のような兵器。直線射程の外にいる翼らはともかく、真後ろにいる暁切歌は。

「だったらぁ――リフレクターでェッ!!」

 クリスはバーニアを展開しリフレクターを射出する。
 これはカ・ディンギルの荷電粒子砲さえ偏光できた反射装甲だ。未来のギアがどんな聖遺物から作られたか知らないが、これで受け切れないはずが――

「――って、何で押されてんだッ!?」

 月を穿つ一撃も逸らすリフレクターが爆ぜ散っていく。カ・ディンギルより数段劣るはずの紫のエネルギー砲によって。何か特殊な攻撃なのか。それとも未来の響への想いがそれだけ強いのか。

『 あの懐かしのメモリア 二人を紡ぐメロディーを 』

 まずい。まずいまずいまずい! このままではクリス自身も分解されて消し去られる。


 “優しいんだね、クリスは”


 消し去られる、そんな時なのに、クリスの頭には勝手に過去の声が再生された。走馬灯にしては残酷な思い出。

『 私は絶対許さない こんな自分を許せない 』


 “もしもクリスがいいのなら、わたしはクリスの友達になりたい”


(く…っ、無理だ。あたしはあの子を傷つけられないッ!)

 リフレクターが全て消える。クリスは死の顔を見た。


「呆けないッ!!」


 だが、直後。翼がクリスの腹に腕を回して攫って、光条から救い出した。
 翼のもう片方の腕は、クリスと同じく直線射程上にいた暁切歌を担いでいた。

「何するんデスか! あたしは敵…!」
「だからとてッ! 見殺しにしていい道理などありはしないッ!」

 目の前に“天ノ逆鱗”が次々と突き立っては焼かれていく。未来は翼に対しても攻撃を躊躇っていない。どころか、威力が増した気さえする。

(あんたにとってあたしらは、あんたの親友を戦わせる野蛮な奴らでしかなかったのか?)

 翼がクリスたちを担いだまま、“天ノ逆鱗”を上へ滑って光線を躱しきった。

 顔を歪めて見下ろしたクリスには、未来の表情は見えなかった。 
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