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魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~

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Myth22オリヴィエ・ゼーゲブレヒト~Heilige PrinzessiN~

 
前書き
Heilige Prinzessin/ハイリゲ・プリンツェッスィン/聖王女

堕天使ゼフォン・エグリゴリ・ツヴァイ戦イメージBGM
GUILTY GEAR 2 OVERTURE『Worthless as the Sun Above Clouds』
http://youtu.be/mOsLHL69E08 

 
†††Sideリサ†††

「アレが、エテメンアンキ・・・!」

イリュリアの一個騎士団を楽々壊滅させたあと、突如として姿を現した真っ白な塔。天辺が霞んで見えない。一体どれだけの高さを誇っているんだろう? 私の隣にいらっしゃる我が主・アウストラシアの聖王女殿下オリヴィエ様は「ただの塔であれば何も苦労はありませんが・・・」と嘆息なさった。ほとんどの騎士がエテメンアンキを仰ぎ見ているところに、「空が光ったぞ!」って騒がしくなる。

「砲撃だ!」

クラウス殿下が叫ぶ。空から降ってきたのは、深紅に光り輝く魔力砲だった。確認できる数は8。そのうちの1つが私たちのずっと後方――シュトゥラはディトマルシェン領へと向かって落ち・・・・着弾してしまった。何十kmと離れているここからでも判ってしまうほどの大爆発が起き、空を黒煙と爆炎で染め上げた。
あまりの事態に呆け静まり返る私たちだったけど、頭が状況を理解すると同時に騒然となった。クラウス殿下が「皆、落ち着け!」と宥めようとするけど、「俺の故郷が!」「母さん! 父さん!」家族や故郷の惨事に叫ぶ者、酷い者は言葉にすらならない悲鳴を上げる。

「なんてことを・・・!」

「オリヴィエ様・・・」

オリヴィエ様はオーディンさんに治してもらった拳を力強く握りしめ、「許せない・・!」エテメンアンキをキッと睨み付けられた。そういう私も怒りで頭が沸騰しそう。アレはいくら戦争でも持ち出していい代物じゃない。“キルシュブリューテ”を握る拳をさらに強く締め付ける。

「・・・クラウス、どうしてもエテメンアンキを破壊しなければなりません。最悪の場合、私はゆりかごの王となります。その時は――」

「おやめください!」「やめてください!」

「――リサ、クラウス・・・」

オリヴィエ様は今、私とクラウス殿下が最も訪れてほしくないと願っている未来を仰った。クラウス殿下が「そのような事をせずとも必ずエテメンアンキを破壊します!」とオリヴィエ様の両肩に手を置いた。私も「そうですよオリヴィエ様! ゆりかごを使わずとも何とかなりますっ!」オリヴィエ様の右手を取る。

「ですが、あのようなモノに対抗できる力は、ゆりかごくらいしか・・・!」

「たとえそれでも貴女をゆりかごへは行かせません! 貴女とてご存知でしょう! ゆりかごの王とは、それ即ちゆりかごの玉座を護るためだけの操り人形です! そうなれば、2度と降りる事は叶わない! オリヴィエと言う人間の意志も失い、もう僕やリサとも・・・こうして話す事も!」

クラウス殿下の言うとおり、一度ゆりかごに搭乗して繋がれば、オリヴィエ様は部品へと成り下がってしまわれる。話す事も、動く事も、考える事も、人として生きる事が出来なくなってしまう。生きながらにして死んでいると同じ。ゆりかごの王として使えなくなるまで生き永らえさせ、死んだら用済みとして消される。オリヴィエ様にそのような未来を歩ませたくない。できれば、今のままクラウス殿下とご一緒に・・・・。

「クラウス・・・」

「お願いです、オリヴィエ!」

まずい。この収まる気配のない混乱の中で、騎士団を引っ張るクラウス殿下すら暴走してしまうと、騎士団の立て直しが不可能になる。でもオリヴィエ様を御止めしたいのも事実。このまま放っておけばオリヴィエ様は行ってしまわれる。だけどこの収拾をつけておかないと、イリュリア騎士団に襲撃されでもしたら全滅は必至。何か良い手はないかと思案し始めたとき、

『ベルカに生きる全ての民よ、聴いてください。私は、イリュリアの女王にして、天地統治塔エテメンアンキを統べる天界王テウタ・フリーディッヒローゼンバッハ・フォン・レーベンヴェルトです』

「「「っ!」」」

エテメンアンキから発せられたイリュリア女王テウタの声。オリヴィエ様とクラウス殿下、そして混乱していた騎士団がその声に押し黙る。今から私たちが討とうとしていた国、そしてその女王からの声明だからだ。
でも声は殺しても感情は殺せていない騎士団。膨れ上がっている殺気がエテメンアンキに向けられるのが判る。こんな形で収拾がつくのはあまり好くないけど、この際は手段を選んでいられない。

『我が力、エテメンアンキの砲撃カレドヴルフを、イリュリアに弓引く者たちの国へ向け、神罰として下させて頂きました。シュトゥラ、バルトはウラル・リヴォニア・リトヴァ、ヴィンランド、シュヴァーベン、ヘルウェティア、ガレアの8ヵ国です』

どの国も浅からずイリュリアと因縁を持つ国の名前だ。その8ヵ国のどこかの街が丸ごと破壊されたって事になるんだ・・・。人的被害がどれだけになるのか、意識が遠くなりそう。けど問題はそれだけに留まらない。イリュリアに敵対していた国の街が破壊された。となれば・・・

『これより敵対しようと考える国家への牽制と言う意味も込めて、見せしめとして街8つを焼き払いました』

そう、この戦いでイリュリアへと進撃を成功させることが出来れば、様子見していた他国も参戦してくれる、という狙いも少なからずあった。だけど、こんな惨劇が起こせる兵器をイリュリアが持っていたと判れば、他国は私たちに味方せずに沈黙を保つ――最悪、イリュリアの傘下に下るかもしれない。そうなれば戦況は一気に悪くなる。クラウス殿下も解っているようで「まずいですね」って呻いた。

「・・・はい。力で脅して味方を増やす、最悪な手段です」

『このままカレドヴルフで敵対国を根絶やしにするのも可能です。ですが、私――イリュリアはあくまでベルカを統一するのが目的であり、破壊などではありません。ですからここで敵対する8ヵ国の王たちに提言します。よく熟考して、返答のほどを』

テウタはそこで一拍置き、そして続きをこう告げた。

『降伏してください。全騎士団を解散、武装放棄、そしてイリュリアの傘下に永久に下ると誓ってください。さすればカレドヴルフの標的より外しましょう』

「ふざけるなッ!」

クラウス殿下がその提言に激昂、大剣の剣先をエテメンアンキに向けた。背後の騎士団も同じように激昂して、それぞれ武装を向けたり怨嗟の叫び声を上げたりとしている。そしてオリヴィエ様は沈黙し、静かに怒りに燃えていらっしゃる。傍に居る私・・・その怒りに呑まれて少し震えてしまいます。

『返答を出すまでには時間も必要でしょう。明日の正午まで待ちます。それまではイリュリア国外より退避して下さい。もし明日の正午になる前に国内へ侵入を試みれば、連帯責任で8ヵ国の王都にカレドヴルフを撃ち込みます。ではシュトゥラ王、バルト三王、ヴィンランド王、シュヴァーベン王、ヘルウェティア王、ガレア王、良き返答を期待しています』

そうして一方的に声明は切れた。私はクラウス殿下へと目をやる。この場での指揮官は彼だからだ。オリヴィエ様が「クラウス。悔しいですが」とクラウス殿下を見られた。クラウス殿下は私とオリヴィエ様を見、そして背後の騎士団を見やり、黙考を僅かに。そして「・・・ええ、この場は一度退きましょう。脅しではないはずだ、テウタの言は」撤退を決断した。

「シュトゥラへ帰還する!」

クラウス殿下の決断に「了解(ヤヴォール)!」と納得をせざるを得ない声色で応じる騎士団。シュトゥラへ帰るために踵を返したところで、「おっと、そこの3人は帰さないように言われてんだ」男の声が平野に響き渡った。一斉に身構える中、足元から伝わって来る震動。そして、

――岩衝鉄破(フェルゼン・ベルク)――

剣山のような岩石が突き出してきた。「散開!」クラウス殿下がそう指示を出すまでもなく、騎士たちはすでに散開、攻撃を回避し終えていた。私は真っ先に「オリヴィエ様!」守るべき御方の御傍へ馳せる。聖王家を御守りするフライハイト家。私はオリヴィエ様を御守りするためだけに力をつけてきた。だから・・・・

「オリヴィエ様っ。クラウス殿下ともどもお下がりください!」

私は戦おう。この命よりも大切な御方のために。この命が燃えつける限り、ずっと。けど私の実力ではオリヴィエ様の足元にも及ばない。それでも「守らないと!」地面から飛び出してきた1人の男へ、

――閃駆――

偉大なご先祖様・シャルロッテ・フライハイト様の使っていた高速歩法・閃駆で一気に距離を詰め、“キルシュブリューテ”を横薙ぎに振るう。その男は「あんた、剣姫リサだよな、抹殺対象の1人だよ!」殺気を向けてきた。


VS◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦
其は偽りの堕天使ゼフォン・ツヴァイ
◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦―◦VS


刃が到達するより早くその男は後退し、地面より生えてきた岩石の大剣を掴み取って薙ぎ払い、私の首を狙ってきた。ただの岩石の剣など、「斬り捨ててくれる!」斬り返した“キルシュブリューテ”で迎撃。斬れると思っていた岩石の剣。
だけど「斬れない・・・!?」ビクともしなくて、僅かに拮抗するのみ。でもその拮抗もすぐに決着。腕力で負けてしまっているせいで弾き飛ばされてしまう。宙を滑空する中、その男が距離を縮めてきた。行先に魔法陣を展開して着地。魔法陣の足場からまた閃駆を使って、真っ向から迎撃へ向かう。

「キルシュブリューテ!」

カートリッジを1発ロード。

――炎牙月閃刃(フランメ・モーントズィッヒェル)――

刀身に火炎を纏わせ、「面白いな、あんた!」楽しそうに歯を見せるその男とのすれ違いざまに胴体に一閃。確実に捉え、直撃はした。だけど斬ったというより打ったという感覚しかなく。思わず離脱をせずに呆けて顔を上げ、男の顔を見上げてしまう。
その男は「効かねぇよ、この程度じゃな!」と岩石の大剣を高々と振り上げた。ハッとして急いで離れようと閃駆――は使えない状況だった。“キルシュブリューテ”を空いている左手でがっしりと掴んでいるその男。

(まずい・・・!)

一瞬、“キルシュブリューテ”を手放すって言う選択肢が生まれて、すぐさま消えた。御守りするべきオリヴィエ様の前で、相手を打破するための武器を手放す。フライハイト家――ううん、最強の剣騎士と謳われたシャルロッテ様の名を継いでいる私自身の誇りがそれを許さない。だけど手放さなければ、斬り潰される。このわずかな逡巡の果て・・・・振り下ろされた大剣。全てが緩やかに流れるその光景を、私は真っ直ぐ見つめることしかできなくて・・・でも、

――電光石火――

「ぶごぉっ!?」

岩石の大剣が私の脳天に落ちる瞬間、その男が吹っ飛んで空を錐もみしながら滑空、地面に墜落した。何故そうなったか。悔しいけど、「リサ、私も一緒に戦います」オリヴィエ様が助けて下さったからだ。私の閃駆と同じ、短距離高速移動の魔導・電光石火をお使いになったオリヴィエ様は目にも留まらない速度で男に最接近、蹴打を横っ面と大剣に繰り出したのだ。大剣は粉砕、男は動かない。一瞬で勝敗は決した。

「申し訳ありません。お手を煩わせてしまいました」

オリヴィエ様の前でかしずく。するとオリヴィエ様は「私があなたと共に戦いたかったのですからと手を差し伸べて下さり、私は・・・その手を取った。

†††Sideリサ⇒????†††

突如として私たちを襲撃した謎の男性。リサの“キルシュブリューテ”の一撃を受けてなお何ともないといった風だったことには驚きました。彼女の剣閃の鋭さとその切断力は、アウストラシアの近衛騎士団でも一、二を争うほどのもの。それを障壁もなく耐えきるとなると、おそらく彼は「人間ではない・・・」でしょうね。

「オリヴィエ! 騎士リサ!」

クラウスが私とリサを心配して駆け寄って来てくれました。そして騎士団の皆さんは男性を捕縛するために、彼の元へ。クラウスのお気遣いに応じる前に、「さすが聖王女ってわけかっ!」横たわっていた男性がすくっと立ち上りました。
一斉に身構えた騎士団の皆さんが各々の武器をその男性に振り下ろし、突き出し、横薙ぎ、と攻撃を加えましたが、「邪魔するなよっ!」確かに直撃しているにも拘らず傷一つとして与えていませんでした。間違いなく彼は人間ではない。衝突音が金属特有の甲高いものでしたから。

――斬渦砂陣旋(ヴィアベル・ゼンゼ)――

男性が地面を踏みつけた事で発生した渦巻く砂塵の刃。「回避し――」クラウスが最後まで言い切る前に・・・男性に武器を突き立てていた騎士数人の胴体を横一文字に切断してしまった。そのあまりの呆気なさに最初は茫然。ですがすぐに「リサ! 彼を討ちます!」戦闘の再開をリサに告げる。
リサは「御意!」と簡潔に応えてくれた。男性は噴き上がる血飛沫の中でひたすら笑い声を上げている。よほどの殺人狂で違いないですね。この場で討たなければ、きっとさらに血の雨を降らすでしょう。クラウスは自国の臣民であり騎士である彼らの死に「貴様!」当然のごとく激昂して、剣を掲げて突撃姿勢に入りました。が、

「クラウスは、生き残った騎士団の皆さんの方をお願いします! 時間は私とリサで稼ぎますから!」

私は、男性の攻撃範囲内という難から逃れた方々の統率をクラウスにお願いします。これ以上、混乱のままで戦闘を行い、無駄に命を散らす事のないように。それほどまで歴然な差が、イリュリア戦力たる男性とシュトゥラの騎士団の間にあります。
クラウスもそれが解っているからこそ「申し訳ありません、お願いします!」即時に了承してくれました。とは言え、私たちと騎士団の間に彼の男性は居る。まずはクラウスを騎士団と合流させないと。

「リサ!」

「はいっ!」

――電光石火――

――閃駆――

リサと共に男性の両側へと高速移動。男性が反応しきる前に、リサがガクッとしゃがみ込んで足払いを掛け、体勢を崩したその隙を狙い、立ち上りの勢いでの振り上げの斬撃を顎へお見舞い。響き渡る金属音。男性は仰け反っただけでしたが、それだけの隙があれば十分です。次は私が攻勢に出ましょう。四肢に魔力付与して強化を行い、

「参ります・・・!」

――疾風怒濤――

右拳打を男性の水月に打ち込み、体を折った事で前屈みになった男の顎へ左拳打の昇打を繰り出し仰け反らせ、彼の背後へ回り込むように旋回して背部を蹴り上げて浮かし、後頭部に回し蹴りを打ち、その勢いで宙で前転する彼の顔面を拳打を打ち、直立したところで私は跳び上がって宙で前転して踵落としを決め、そのまま男性の後頭部を踏みしめ地面へと顔面から落とします。

「ぅぶ――っだからそんな攻撃程度じゃ、俺っちゼフォン・エグリゴリには通用しないんだっつうの!」

地面に亀裂を起こすほどめり込んでいたにも拘らず、すごい勢いで立ち上がられた事で宙に跳ね上げられましたけど、リサの展開してくれた魔法陣に着地。すかさず飛び膝蹴りを問答無用で男性――ゼフォン・エグリゴリの顔面に繰り出します。「ぶごっ?」とよろめくゼフォンの側頭部に回し蹴りを一発お見舞いして一度後退。

「ちょこまかと動き回って・・・猿か、あんた」

「サっ――オリヴィエ様に向かってなんと無礼な!」

お猿さん呼ばわれしたのは初めてですね。お猿さんみたいに顔を真っ赤にして激昂しているリサを「落ち着いて、リサ」と宥めつつ、クラウスが騎士団と合流したのを確認します。クラウスへ『殿は私とリサに任せてください』と思念通話を送ります。

『なっ!? シュトゥラの王子としてそれだけは出来ません!』

『聴いて下さいクラウス。騎士団は今、統率者を必要としています。クラウス、あなたの事を。ここは王族としての義務や責任ではなく、彼らの命を第一に優先してください。私なら問題ないですから。私にはリサも居ますし、オーディン先生に治してくださった両腕があります』

命を優先する、という言葉にクラウスは『何から何まで申し訳ありません』と騎士団を率いてシュトゥラを目指して行軍を始めました。

「あっ、クラウスって王子も抹殺対象なんだよ!」

撤退を始めたクラウス達に気付いたゼフォンは右足を振り上げ、勢いよく地面を蹴りつけました。

――破岩砲弾(コメート・フェルス)――

地面より放たれるのは人の頭部ほどの大きさの岩塊、その数30。私は「させません!」高速移動・電光石火でクラウス達の背後へ回り込み、

「はぁぁぁあああああッ!」

――狂瀾怒濤――

地面を思い切り踏みつけ地割れを引き起こし、隆起した地面、または跳ね上がった岩塊の壁でゼフォンの岩塊をすべて防ぐ。攻防が終わり、私は隆起した地面の上へと登り、クラウス達の無事を再確認し「ふぅ」一息。クラウス達に攻撃が届かなくてよかったです。

「・・・・あー、逃げられちまったよ。ミュールに怒られるなぁ・・・」

ゼフォンはがっくりと肩を落としながらそう呻きました。一度時間が出来た事で私はゼフォンに「何故私たちを襲うのですか?」と訪ねてみました。テウタ女王の話を信じるならば、今は仮の休戦中のはず。

(だと言うのに襲われるとは是如何に・・・?)

それに先ほどから気にはなっていましたが、“エグリゴリ”とはオーディン先生の最重要目的でしたね。えっと、私が討ちとっても構わないのでしょうか・・? その辺りが少し気がかりです。

「何故かって? 俺っちらの大将・テウタとグレゴールがそう命令したからさ。クラウス、オリヴィエ、リサ。この3人をイリュリア国内で殺せ、って」

「そのような事をすれば、テウタ女王への印象が悪くなると思いますが・・」

「イリュリアの国内に進撃できていたのは実質シュトゥラの騎士団だけさ。なら、陛下の声明が発せられる前にあんた達はすでに戦死していた。これなら問題ない」

「考える事が卑怯と言うか汚いと言うか。でもなるほどテウタは恐れたんだ、オリヴィエ様を」

リサが飛び掛からんとする体勢のままゼフォンへと嘲笑を向けた。ゼフォンは「さあ? でも聖王のゆりかごがどうたらって言っていたけどな」とテウタ女王の真意など知らぬといった風に肩を竦めるだけでしたが、それだけで判りました。
エテメンアンキに対抗できるであろう戦力である聖王のゆりかご。そのゆりかごを起動できるのが私オリヴィエ。帰還させて聖王のゆりかごを起動されては困る。だからここで私を討っておきたい。おそらくそれがテウタ女王の真意なのでしょう。

「随分と馬鹿にされてますよね。オリヴィエ様と私とクラウス殿下を討つために派遣されたのが、お前1人とは」

「俺っちだけで十分だって思われたんじゃないのか?」

「馬鹿を言う、この雑魚が」

リサとゼフォンがキッと睨み合い、そして「あ゛あ゛?」と少しばかり汚い声で見上げるような睨みをし合う。リサが「オーディンさんの標的だけど、もう我慢なりません! やっぱバラバラに斬り刻んでくれる!」と叫び、ゼフォンは「ガタガタ言ってないでとっとと殺されろ!」と叫び返す。仕方ありません。当初の予定通りこの場でゼフォン・エグリゴリを討たせていただきましょう。

光牙烈閃刃(リッター・ネーメズィス)!」

リサが振り降ろした“キルシュブリューテ”より放たれるのは剣状の砲撃。滅亡の危機に瀕したベルカを救った英雄として名を残すフライハイト家の御先祖・シャルロッテ・フライハイト様が編み出したとされる魔導の1つ。桃色に輝く剣状砲撃はまっすぐゼフォンへと向かい、

――守護岩隆壁(マオアー・シルト)――

しかし彼の前に隆起した岩壁によって完全に防御されてしまった。防御力は確かに並ではないですね。ですが防御力だけでこの戦乱の時代を勝ち抜けるほど、世界は甘くはありません。

「リサ、時間はかけられないから、アレ行きます!」

「え?・・・あ、はいっ!」

――電光石火――

――閃駆――

「なんだか知らねぇけど、土石系のエグリゴリ相手に、もう2度と打撃が通じると思わないことだ!」

――岩衝鉄破(フェルゼン・ベルク)――

接近途中に突き出されてきた岩石の剣山を紙一重で回避しつつゼフォンへと最接近。リサは“キルシュブリューテ”のカートリッジを数発連続ロードし、準備万端。一手一手の攻撃で討てないのであれば、数で討つまでです。岩石の大剣を再び作り出したゼフォンへ、

――雷牙閃衝刃(ブリッツ・ランツェ)――

雷撃を纏わせた“キルシュブリューテ”の刺突を繰り出すリサ。咄嗟に構えた大剣で直撃を免れたゼフォンでしたが、遅れて放たれた雷撃の槍が大剣を貫きゼフォンを強襲。動きを僅かに止めたその隙に、私はゼフォンの背後へ回り込んで首に腕を回し、「リサ!」そう合図を出しながら背負い投げの要領で彼を宙へ放り投げ、間髪入れずに背部を蹴り上げさらに宙へ跳ね上げる。

「オリヴィエ様!」

そしてリサと共に飛び上がる。

――法陣結界――

私たち3人を覆い囲うように展開されたいくつもの魔法陣による檻・法陣結界。これもまたシャルロッテ様が考案なされた魔導です。相手にとって魔法陣は檻となり、術者側にとっては全方位の足場となる、空を飛べない者に最大限の恩恵となる結界です。さぁ参りましょう。継承階位は低くとも聖王女たる私オリヴィエと、剣姫と謳われる騎士リサの協演です。

「「はぁぁああああああああッ!」」

――莫逆之友(ばくぎゃくのとも)――

足場となる魔法陣から、中央に浮かせているゼフォンへ私とリサの連携攻撃を行う。私は電光石火を連続で行いながら打撃を、リサは閃駆を連続で行いながら斬撃を繰り出し、ゼフォンに反撃の機会を与えないように連撃を行い続けます。
幼い頃より私の騎士、幼馴染であるリサと共に、自由に動かない腕ながらも磨いてきた武技と剣技、その連携による敵騎討伐・莫逆之友。ですが、さすが防御力を自慢するだけあって、なかなか致命打を与える事が出来ません。そしてついに「いつまでも好き勝手してんなよガキども!」ゼフォンからの反撃が来ました。

――岩衝鉄破(フェルゼン・ベルク)――

法陣結界の真下から岩石の剣山が突き出し、下方に位置する魔法陣4枚を砕きましたが、剣山の間にまた魔法陣が展開されます。術者が解放しない限り発生し続ける効果を持っているからです。剣山の上に降り立とうとしていたゼフォンの側面に在る魔法陣へと移動。その足場とした魔法陣より電光石火でゼフォンへ接近を試みます。

「見えてんだ――ぁが?!」

私の接近に対し迎撃行動に入ろうとしていたゼフォンが仰け反りました。彼の背後には、人体急所の1つである頸椎に“キルシュブリューテ”の一撃を叩き込んでいるリサの姿が。おそらく機械の体であるゼフォンにとっては急所ではないかもしれませんが、生まれた隙は確か。

(この一撃で討たなければ、面倒な事になりそうですね)

――意気軒昂――

私は今まで何故かテウタ女王に見られているような錯覚を得てしまっていた所為で、手を拱いていました。もしそれが錯覚ではなく事実であれば、あまり手の内を晒したくないと思っていたから。ですが、もうそうも言っていられません。これ以上イリュリアに留まると、テウタ女王が砲撃で私たちを討とうと考えるかもしれないですから。
聖王のゆりかごの起動を恐れているであろう今、最悪その手段を採る可能性も捨てきれません。自身に設けた魔力制限を一段階解放。リサを大剣で払い飛ばしたゼフォンは「潰れてしまいな!」真正面から迫る私へと大剣を振り降ろします。

「いいえ。潰れるのはあなたです!」

―― 一意専心 ――

防御に用いてた魔力をも攻撃魔力へと転換し右拳に付加、その一撃でゼフォンの大剣を砕き、そしてそのまま彼の腹部へ打ち入れる。右拳から伝わって来る破壊の感触。耳に届く破砕の音、ゼフォンの息を呑む音。視界に収まるのは機械部品を撒き散らすゼフォンの体。間髪入れずに魔力を今度は右足へ集中させ、倒れ込もうとしているゼフォンの胸部へ向け打ち落とします。

――砂塵岩龍旋(ヴィントホーゼ・ブレッヒェン)――

ですがゼフォンを覆い隠す様に発生した砂塵の竜巻に拒まれてしまいました。その竜巻は法陣結界すべてを砕き、私とリサを大きく吹き飛ばす。

「神器王に会うまで解放するなって言われてたけどさ、もういいよな、あんたらを殺すのが元々の目的だし」

ゼフォンの殺意に満ちた声と共に、彼の魔力量がグッと跳ね上がったのが肌で感じ取れました。今ので決めきれなかったのは痛いですね。傍に来たリサが「オリヴィエ様! お怪我は!?」と心配してくれて、私は「ご覧のとおり何ともないですよ」と笑みで応じる。

「あんたら、苦しまずに死ねるなんて思わないでくれよ!」

――地竜刃砕断(ボーデン・ドラッヘ)――

竜巻より飛び出してきたのは、まるで龍の背ビレのような岩石の波。私たちは左右に跳び退いて回避を行い――回避した場所を踏みしめた時、

――蟻地獄乃喰渦(アマイゼンレーヴェ)――

「っ!」「なっ・・!」

足元の地面がサラサラな砂と化し、私を引き摺り込んでいく。これは「アリジゴク!」岩石の波の向こう側からリサの声が。リサの言うとおり足元に広がるすり鉢状の渦は間違いなくアリジゴク。足を取られている今、攻撃を受けるのは非常に好ましくないですね。魔力を拳に集中、アリジゴクへ打ち落とし、派手に爆散させる。動きで逃れられないならば破壊するまでです。

――破岩砲弾(コメート・フェルス)――

砂塵が舞う中、岩塊が飛来。アリジゴクを吹き飛ばして脱出した直後でまだ足が砂に取られている中、回避は不可能ですから、直撃する軌道の岩塊のみを拳打で打ち払う。しかしなかなか途切れず、さらには、

――岩衝鉄破(フェルゼン・ベルク)――

足元より突き出してきた岩石の剣山。咄嗟に突き出してくる事が察知できたので回避できました。そんな中でも飛来してくる岩塊を迎撃。勢いが徐々に失っていっている時、『オリヴィエ様・・ご無事ですか・・・?』リサからの思念通話。

『私は無事。リサは大丈夫?』

『オリヴィエ様の・・騎士です・・・から、もちろん問題ないで・・す――って言いたかった・・のですが・・・申し訳ありません・・・』

『リサ・・・?』

砂塵も岩塊の飛来も止み、視界が晴れて現状が判るようになる。

「・・・リサ・・・?」

砕けた体を岩石で応急処置されているゼフォンに、頭を鷲掴みにされて宙に持ち上げられているリサの姿が真っ先に映り込んだ。
リサは足が地面に付いていない事で四肢をダラリと垂れ下げており、指先や爪先、騎士甲冑の裾から赤い液体がポタポタと滴り落ちて地面を濡らしていて・・・。そして彼女の武装の“キルシュブリューテ”は、持ち主であるリサのお腹に突き刺さっていた。

「もうちょい待ってくれ、あと少しで死ぬから」

ゼフォンのその一言が頭の中に浸透し、湧き上がる怒りが私の身を焦がしていく。

「私の大切なリサを・・・」

――電光石火――

「今すぐに放しなさい!」

ゼフォンへ最接近。リサの頭を鷲掴んでいる左手首を掴み取って締め上げ、それでもリサを放さないため、飛び上がって前腕に跳び膝蹴りを繰り出してグシャッとへし折り、その隙にリサを抱えて高速離脱。“キルシュブリューテ”が抜けないように注意して横たえ、「しっかりしてリサ!」と何度も呼びかける。これほどまでに酷い怪我を負っているにも拘らず、リサは意識を手放すことなく『もうしわけ・・ありませ・・・』謝ろうとしてくる。

「こんな時くらいは自身のことを考えて!」

出血量が酷すぎる。これではそう時を置かずしてリサは・・・。今すぐにお医者様――オーディン先生にお診せしなければ。ですがその前に、どうしても成さなければならない事がある。リサに「もうしばらく耐えて」と耳元に告げ、立ち上ってゼフォンをキッと見据える。離脱を許すようなゼフォンではないでしょう。ですから・・・

「すぐに潰させていただきます・・・!」

――電光石火――

高速移動でゼフォンへと最接近。この者が反応しきる前に、真正面から拳打を繰り出す。しかし先ほどまでなら確実に捉えていた一撃を、首を反らして容易く回避したゼフォン。反応速度が上がっているようです。間髪入れずにすれ違いざまに回し蹴りを繰り出そうとし、「え・・・?」目前に飛び込んできた何か――岩塊を、裏拳で払い除けたその僅かな隙に、ゼフォンの岩石の剣が飛来してきました。

――聖王の鎧――

ですが聖王家の血統者としての能力が発動し、大剣は私に突き刺さる前で瓦解しました。聖王の鎧。遺伝子レベルで所有している防衛能力。私の意志とは無関係に発動するためにあまり頼る事の出来ない能力ですが、今回に限れば有ってよかったです。さぁ攻守交代です。リサに与えた苦痛、そのすべてを返させてもらいます。

「面倒な防衛機能を持ってんのな・・!」

――岩衝鉄破(フェルゼン・ベルク)――

「望んで得た能力ではありませんが・・・!」

――狂瀾怒濤――

地面を踏みつけて地割れを引き起こし、隆起した地面や跳ね上がった岩石で防衛――でなく、隆起したそれらに拳打と蹴打を打ちこんで破砕し、ゼフォンの岩塊攻撃と同様、あの者へ飛来させる攻撃へと利用します。私とゼフォンの間で岩塊同士が衝突、相殺し合う数ある岩塊の中を突っ切る。

撼天動地(かんてんどうち)!!」

ゼフォンの近くで地面を殴りつけて四方八方に亀裂を発生させ、亀裂から魔力流を噴き上げさせます。噴き上がるのは魔力だけでなく破砕された瓦礫もですから、純粋な魔力攻撃と物理攻撃両方となり、堅いだけのゼフォンにも通用するはず。案の定、「ぐおお!?」ゼフォンは魔力流に呑み込まれて宙へと弾き飛ばされます。そこを追撃する。宙を舞う幾つもの瓦礫を足場としてゼフォンの元へと駆け上がり、

「あああああああああああああああッ!!!!」

瓦礫に着地したゼフォンと目が合い、あと少しの距離と言うところで、

「一気に決めさせてもらうぜ!」

――堕天使化――

「ぅぐ・・・!?」

ゼフォンから放たれる異質な魔力に弾き飛ばされてしまい、残念ながら後退を強いられる事に。ふと耳に届く鈴のような音が「オーディン先生から頂いた腕輪から・・・?」聞こえてきました。鳴動している腕輪から、ゼフォンから発せられる妙な力と同じものが感じ取れます。
いえ、以前より感じ取っているものです。オーディン先生と初めてお逢いしたときから。よくは判りませんが、「今はリサを救う事だけを考えます!」瓦礫と共に地面へ落ちたゼフォンへ、

「破ッ!」

――驚浪雷奔(けいろうらいほん)――

前方に突き出した拳打より人間大の魔力衝撃波を放ち、そのあとに続くように疾走してゼフォンへ接近。衝撃波の行く手を遮るかのように並び立つ瓦礫の山を吹き飛ばし、瓦礫もろとも殺到させます。ゼフォンは「今の俺に、あんたらの魔導は一切通じねぇんだよ!」と意味深な事を言い、避けようともせずにいましたが、

「がはっ!? なぜ、ぶごっ、神秘を、ごふっ、内包し、ぶぐっ!」

瓦礫も衝撃波もまともに通じましたけど・・・。とにかく訳が解らないとでも言った風に目を白黒させているゼフォンへ肉薄し「これで、終わりです!」右の手の平に魔力の渦を発生させ、

――七花八裂――

よろけていたゼフォンの胸部へ掌底一閃。渦巻いていた魔力を打撃に合わせて体内へ打ち込み(人体ではないですから出来るかどうかは賭けでしたが)、そのままの勢いで突き進み、後方に在った瓦礫へ叩き付けてさらに攻撃の魔力を押し流します。

「エグリゴリが・・・たかが、人間に・・・負けるぅぅぅーーーーーーッ!?」

ゼフォンはそう断末魔を上げ、粉々に爆散しました。爆散した機械部品が、聖王の鎧に弾かれ散り散りに飛んで行きます。それらにはもう目もくれず、「リサ!」私はリサの元へ駆け寄ります。途中でゼフォンの首が落ちてきましたが、行く手だったので邪魔でしたから裏拳で粉砕。

「リサ! 死なないで! リサ!」

ゼフォンを討つのに時間をかけ過ぎた。リサはもう意識を手放し、まるで死者のように横たわるだけ。でも生きてくれている。ですが今すぐに治療を施さなければ、確実に命を落とすほどに危険な状態。応急処置が出来ればいいのですが生憎と私はその方面には疎いせいで、体温が少しずつ低下していくさまを黙って見ている事しか出来ず。自分の無力さに泣き喚きたいです。

「っ! オーディン先生の魔導が施されたこの腕輪なら!」

ふと鳴動していた腕輪に目が行き、急いでリサの腕にはめ、祈るようにリサと腕輪を見守る。すると腕輪が再び鳴動し、リサの横たわる地面に見たことのない魔法陣を発生させました。また感じる異質な魔力。でもきっとこれは「オーディン先生のお力」だと思います。
これで時間は稼げるはず。なら、あとはオーディン先生に連絡が出来れば。一か八か、思念通話を繋げてみようと試みようとした時、「オリヴィエ王女殿下!」空から私の名を呼ぶ声。振り仰げば、「あぁ、神様・・・!」そう漏らさずにはいられないほどに願ったお方――オーディン先生がいらっしゃいました。

「リサを、私の友人を助けて下さい!」

王女という権威を脱ぎ捨て、私は1人の少女として、リサの友人として、オーディン先生に願いました。

◦―◦―◦―◦―◦―◦

――エテメンアンキ・玉座の間

『よろしかったのですか? 陛下。魔神オーディンとオリヴィエ王女殿下が合流し、シュトゥラへと帰還してしまいましたが』

「仕方ありませんよグレゴール。・・・・ゼフォンが討たれるとは想定外ですから。ゼフォンはガーデンベルグ様が仰っていた神秘なる“力”を搭載していただけに。オリヴィエ王女殿下にも神秘の恩恵があるのでしょうか・・・?」

玉座に腰掛け、オリヴィエとゼフォンの戦闘を観戦していたテウタが嘆息する。グレゴールは『魔神によって、障害のある両腕を治していただいた、という情報があります』と報告する。

「神秘を内包した魔力で発動する魔術で治してもらった事で、オリヴィエ王女殿下に神秘の恩恵が、という事でしょうか・・・。だとすれば少々厄介ですね。やはりエテメンアンキの砲撃に屈していただくしかないようです」

テウタは「それかもしくは・・・」と前置きし、玉座の傍に控えている1人の成人女性に目をやった。テウタの寂しげな灰色の髪とは違い、その女性の髪は派手な真紅色で、ポニーテールにしている。そして瞳の色はテウタと同じ翠色。服装は動きやすさを追求するためか男装だ。

「バンヘルド様とグランフェリア様のお力をお借りして完成させた、私の融合騎・マラークで直接打ち倒すか、ですね」

テウタはマラークとの融合や戦闘を想像し、「やはり砲撃カレドヴルフでの支配ではなく、直接敵国を侵略しましょうか」と騎士団戦を行おうかと考え始めた。それを窘めるのが『いけません、陛下』騎士団総長グレゴールだ。

『その策は最後の最後まで取っておくべきです。まずは明日の正午までお待ちください。もし各国が降伏せずに戦いの道を選んだ時、カレドヴルフで力の差を歴然とさせ、それでも反抗するのであれば、騎士団戦で直接侵略すればよいのです』

「・・・・カレドヴルフの爆撃の前に、最後まであの方々は抗うでしょうか・・・?」

『魔神オーディンと、あの者が従える守護騎士ヴォルケンリッター。その2つの戦力を起点として、最後まで抗うでしょうな』

「なるほど。そうですね、そうなれば私はとても満足です。オリヴィエ王女殿下の武技もある程度見る事が出来ましたしね」

テウタとグレゴールは、ベルカ統一戦争を盤上のゲームのように捉え、それはもう楽しそうに今後の展開を語り合った。


 
 

 
後書き
チョモリアプ・スーア。
えっと、すいません、オリヴィエのキャラがこんなので。
リサ以外には丁寧語、気の許せる幼馴染設定のリサにだけは緩い口調・・・と表現したかったのですが、なんかもう書いててメチャクチャになってしまい、ごめんなさいです。
と言うかリサ視点でオリヴィエと会話って疲れるのなんのって。
尊敬語とかもう覚えてないって話ですよ。どれだけ昔に習ったことか。

そして、オリヴィエの武技の名称ですが、四字熟語オンリーです。
このネタは、にじファンで投稿していたオリジナルの『ハコにわ生徒会』のラスボス予定だった、土地神ミカヅチに採用しようとしていたものです。
ベルカは漢字使用の技ばかりですし、まぁそれでいいかなぁ~なんて。

あとは、ゼフォン。お前、このエピソードのラスボスじゃないんだから、もう逝ってよしっ。


 
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