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儒家の武

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2部分:第二章


第二章

 しかしその酒はだ。孔子が捨てさせたのだった。
「この酒はよくないな」
「よくありませんか」
「そうだ、古くなっている」
 こう弟子の一人に言うのだった。
「だからだ。すぐに捨てなさい」
「いささか勿体無い気もしますが」
「しかし古くなり腐ってしまったものを飲んでも仕方あるまい」
 これが孔子の言葉だった。
「違うか、それは」
「そうですね。言われてみれば」
「だからだ。捨てなさい」
「わかりました」
 こうして毒を入れた酒は防がれてしまった。失敗であった。
 だがこれが防がれてもだ。刺客も諦める訳にはいかなかった。それで今度はだ。
 孔子が街を歩いている時にだ。物陰から石弓を放つことにした。
 これで孔子の頭を撃ち始末することにしたのだ。
 孔子は馬車で街を進んでいた。周りにはやはり多くの弟子達がいる。そうした物々しい様子で魯公の宮殿に向かっていたのである。
 そこでだ。物陰から孔子を狙い。石を放ったのだった。
「弓矢なら怪しまれるが石ならな」
 その危険は少ない、暗殺だとわからないとの考えだった。
 それで撃った。しかしだった。
 孔子は首を左に捻った。それだけであった。だがそれだけでだ。
 石は彼の顔の横を飛びそしてそのまま飛んでいった。それで終わりだった。
「おや、先生」
「何かありましたか?」
「一体」
「どうされましたか?」
「いや、何でもない」
 素っ気無く返す孔子だった。
「気にしないでくれ」
「左様ですか」
「それでは」
 弟子達も彼の言葉に頷く。そうしてだった。
 白髪の若い者がだ。師に言ってきた。
「では先生、今日はですが」
「うむ、魯公と共に楽を聴くのだがな」
「はい、それではですね」
「それで顔回よ」
 孔子はその白髪の者の名前を言ってきた。
「そなたは相変わらずか」
「いけませんか」
「それはいいのだがな」
 孔子は難しい顔で彼にまた言った。
「質素な暮らしでもいいのだな」
「はい、私は学べればそれでいいです」
「わかった。ではな」
「それでは」
 こんな話もした。そうしてなのだった。一行は魯公の宮殿に進むのだった。孔子暗殺はこの時も失敗に終わったのだった。
 このことにだ。刺客もいい加減苛立ちを覚えてきた。
「運のいい奴だ」
 こう考えたのだった。
「こうなってはだ。最後の手段だな」
 そしてなのだった。孔子の屋敷に忍び込んだであった。
 そして夜にだ。天井を伝い彼の部屋に潜り込み上から右手に持った刃で襲い掛かった。
「死ね!」
 天井から飛び降りそして突き刺さんとする。だがここで。
 寝ていた孔子はふと目を覚まし。その脚を前に突き出したのだった。
 その脚が刺客の腹を打った。急降下する彼の腹に突き刺さった。
「ぐっ・・・・・・」
「何奴!」
「何の!」
 目を開いた孔子の問いに答えず慌てて右に跳びだ。壁を蹴ってそこから宙返りして床に立った。そこからまた孔子に襲い掛かる。
 
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