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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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紋章を刻まぬ男

 
前書き
朝いつも通りこの小説を書いててあることをふと思い出した。
昨日から地元の高校野球が開幕しました。
本日は母校の対戦だったりします。
私は自分の大会があるから行けないけど、ぜひ頑張って今年も台風の目になってほしいですね。



 

 
「ラクサス・・・」
「ラクサスが来てくれた・・・」
「この人がマスターの・・・」
「すっげぇ久しぶりですね・・・」
「・・・」

俺たちはラクサスを見てそう言う。ルーシィさんたちはラクサスを見て安心しているかのような声だった。

「こやつ、マカロフの血族か」

ハデスはラクサスさんを見てそう言う。

「情けねぇなぁ、揃いも揃ってボロ雑巾みてーな格好しやがって」
「だな」

ラクサスさんの嫌みもナツさんは嬉しそうな笑顔で返す。

「てかシリル、おめぇさっきカミューニから聞いたぞ。俺がせっかく忠告したのに忘れてたらしいじゃねぇか」
「いやーそれほどでもぉ」
「「「「「「誉めてねぇよ!!」」」」」」

俺に全員が突っ込んできた。だって忘れちゃったんだもん・・・

「ラクサス、なんでシリルを知ってるんだ?」
「ちょっと前に知り合ってな」

グレイさんの質問にラクサスさんが答える。実はその時グレイさんもいたんですけどね。

「なぜお前がここに・・・」
「先代の墓参りだよ。これでも()妖精の尻尾(フェアリーテイル)だからな」

ラクサスさんの言葉を聞いて、エルザさんは笑みを浮かべる。

「俺はメイビスの墓参りに来たつもりだったのになぁ。こいつは驚いた、二代目さんがおられるとは。
せっかくだから墓を作って、拝んでやるとするか」

ラクサスさんは身体中から放電しながらそう言う。すごい魔力だ。

「ふん、やれやれ。小僧にこんな思い上がった親族がいたとはな」

ハデスもラクサスさんを見据えながら魔力を高める。しかし、ナツさんたちはそんな二人を、いや、ラクサスさんを見て笑っている。
二人がしばらく睨み合う。最初に動いたのは・・・ラクサスさん!
ラクサスさんはハデスの背後に稲妻の如く移動し、顎に蹴りを入れる。

「ふん!!」

そのまま宙に浮かび上がったハデスに拳を入れる。ハデスはそれにより飛ばされていく。
しかし、ラクサスさんは飛ばされたハデスに向かって加速し、再び拳を叩き込む。

「ふっ!!」

ラクサスはもう一発入れようとしたが、それをハデスは軽やかに避ける。

「フム、中々の身のこなし、そしてその魔力。小僧め、ギルダーツ以外にもまだこんな駒をもっておったか」

ハデスはラクサスさんを見据えながらそう言う。

「なるほど・・・確かにカミューニが倒せねぇだけのことはあるみたいだな」

ラクサスさんもハデスを見据える。ラクサスさんってカミューニさんと仲がいいのか?

「そういや昔、じじいが言ってたっけな。強ぇ奴と向かい合う時、相手の強さは関係ない。立ち向かうことの方が大事だってよ。だよなぁ、ナツ」
「ラクサス・・・」

ハデスも確かに強いけど、ラクサスさんだってそれにひけを取らない強さだ。なんて二人なんだ・・・

「下らんな。弱者の言い訳に聞こえるぞ。準備運動はもう良いだろう、かかってこい!小童!!」

ハデスはそういってラクサスさんに来い来いと手を動かす。

「面白ぇ」

ラクサスさんはそれに対し、指を鳴らしながら構える。

「うおお!!」

ラクサスさんは雷竜の咆哮をハデスに放つ。しかし、ハデスはそれを避ける。
ハデスは避けながら魔方陣を展開し、鎖をラクサスさんに向けて出す。
その鎖は後方にあった地球儀に繋がり、ハデスはそれを使ってラクサスさんに攻撃する。
ラクサスさんはそれに気づき、サイドステップでそれを交わす。が、その地球儀の向かった先にルーシィさんがいた。

「やな予感するんですけど・・・」

ルーシィさんはそう言う。そこ予想はずばり的中した!!地球儀がルーシィさんにすごい速度で転がってきた!

「ちょっ!!えっ!!」

ルーシィさんは頭を抱えて身を小さくする。地球儀は少しバウンドしながら転がっていたため、ルーシィさんはぶつからずに済んだ。
そんなことなどお構いなしにラクサスさんがハデスに攻撃を仕掛けようとする。
だが、ハデスが腕をつき出すと

「ぐっ!!」

ラクサスさんは吹き飛ばされる。そのラクサスさんに向かってハデスは指を振るう。

「!!これは、天照式の!!」

ラクサスさんは片膝をついた状態でいたのだが、その周りを魔方陣が覆っていた。

「散れぃ!!」
「しまっ・・・」

ドゴォンッ

ラクサスを囲った魔方陣が爆発を起こす。その爆風によって俺たちも飛ばされてしまう。

「これを食らった者は、四肢の力を失い、まともに動くことは不可能。
たとえ防いだとしても、その魔力の消耗は致命的」

ハデスがその爆発を見ながらそう言う。しかし、その煙の中から一本の稲妻が天井を伝い、ハデスの背中から攻撃を入れる。

「ふん!!」
「うおあっ!!」

ハデスは完全に安心しきっていたのか、その攻撃によって前方へと倒れる。
その稲妻の正体はラクサスさんだった。

「すげぇ・・・」
「こんなに強い人だったんですね」

グレイさんと俺がラクサスさんを見てそう言う。あの爆発を受けて無事だとは・・・

「今の威力で片足だけか?まだもう片方ある。両手もある。頭もあれば全身もある。全部一撃に込めたら何倍どころじゃねぇ。試してみるか?」

ラクサスさんは再び放電し始める。ハデスはラクサスさんが話している間に、ゆっくりと立ち上がっていた。

「言うわ!!若さゆえの疑心か?だが、魔の道において必要なのは若さとは違うのだよ!!」

二人が共に相手に向かってダッシュする。

「若さとは!!」
「ぬかせぇ!!」

二人が腕に魔力を溜め、拳をぶつけ合う。
二人の力は均衡しているのか、どちらも一歩も退くことなく攻撃を続けている。
すると、突然ラクサスさんが片膝をついた。

「ぐふっ・・・」
「おやおやどうしたね?大口を叩いた割には、膝をつくのが早すぎるではないか」

そんなラクサスさんを見てハデスがそう言う。

「ラクサス!!」
「あいつ、まさか!?」
「さっきの魔法を食らってたんだ!!」

ナツさん、エルザさん、ルーシィさんがそう言う。さっきの魔法って、四肢の力を失うって奴のことですよね?
大丈夫なのか?

「ふっ、ハハハハハハ」

ラクサスさんは片膝をつき、息も大きく乱れているのに、なぜか笑っている。

「世界ってのは、本当に広い・・・こんな化けもんみてーな奴がいるとは・・・俺も、まだまだ」
「何言ってんだ!!」
「しっかりしろよ!!ラクサス!!」

弱音を吐くラクサスさんにナツさんとグレイさんが叫ぶ。

「やってくれたのぅ、ラクサスとやら。だがそれもここまで」

ハデスはそういって右手をラクサスさんに向ける。

「うぬはもう消えよ!」

ハデスの右手からラクサスさんに向かって魔法が放たれる。

「立て!!ラクサス!!」

エルザさんが叫ぶが、ラクサスさんは動かない。

「俺はよぉ・・・もう妖精の尻尾(フェアリーテイル)の人間じゃねぇけどよぉ・・・」
「避けて!!」
「それを食らったらダメです!!」
「逃げてください!!」
「ラクサスー!!」

俺たちは懸命に叫ぶ。しかし、ラクサスさんは拳を床につけたまま、その場から動けない。

「じじいをやられたら、怒ってもいいんだよな?」
「当たり前だぁー!!」

ラクサスさんにナツさんがそう叫ぶ。そんなのいいに決まってるじゃないか!!
すると、ハデスの魔法がラクサスさんに直撃した。その時、ラクサスさんの手から何かがナツさんの方に向かっているのが見えた。

「雷!?ラクサスの・・・」

ラクサスさんにぶつかった魔法は大爆発をおこし、俺たちはその爆風で飛ばされる。

「ラクサスー!!」

ナツさんが叫ぶ。ラクサスさんは傷だらけになっており、一階層下のフロアに落ちていく。

「俺の・・・奢りだ、ナツ」

ラクサスさんはそう言う。俺たちがナツさんの方を見ると、その体は帯電していた。

「えっ!?」
「ナツさん?」

ルーシィさんとウェンディがナツさんを見て驚いている。

「ごちそう・・・さま・・・」
「帯電?」
「俺の・・・全魔力だ・・・」
「何!?」
「自分の魔力をナツに!?」
「マジですか!?」

ラクサスさんの行動に俺たちは驚いている。

「雷、食べちゃったの?前はそれで寝込んじゃったって聞いたけど・・・」

というかラクサスさん、魔力なしであの攻撃受けたってことですか!?そんなことしたら・・・

「なんで?俺に・・・俺はラクサスより弱ぇ・・・」

倒れているラクサスさんを見ながらナツさんが問う。

「強ぇか弱ぇかじゃねぇだろ・・・キズつけられたのは誰だ?ギルドの紋章を刻んだ奴がやらねぇでどうする?ギルドの痛みはギルドが返せ・・・100倍でな」
「ああ」

ナツさんは額の汗を拭うと、全身にラクサスさんの雷と自分の炎を見に纏う。

「炎と雷の融合・・・雷炎竜!!」
「100倍返しだ!!」

ナツさんはハデスを見据える。

「いけ・・・お前()ならいける・・・」
「お前ら?」

ラクサスさんの呟きに、グレイさんが反応する。

「カミューニから託された想いに・・・きっちり答えろよ・・・」

ラクサスさんにそう言われ、俺は小さくうなずく。俺は目に手を当てると、その瞳は水色へと変化する。

「シリル?」
「なーんだ、お前もそんなのあったのか」
「はい!」

ナツさんの言葉に俺はうなずき、体に風と水を纏っていく。

「その目・・・カミューニの・・・」

ハデスは俺を見て少し動揺しているようだ。

「託されたんだ。お前を倒すために!!」
























「あ、それとこれ持ってけ」

俺はカミューニさんに呼び止められ、振り返ると不意に何かを投げ渡される。

「これは?」
「水の滅竜魔法を使えるようにする魔水晶(ラクリマ) だ。持ってけ」
「いいの?」

カミューニさんはそれに笑顔で答える。

「元々、その魔水晶(ラクリマ)はお前にいくはずだった物だ。遠慮することぁねぇよ。ただ・・・」

カミューニさんは少し暗い顔になる。

「いきなりは使えるようにはならねぇだろうし、たぶん自分の意思でドラゴンフォースを扱うのも無理だ」
「じゃあどうするの?」
「お前には、俺を倒したあれがある。その魔水晶(ラクリマ)を着けてれば、幾分か魔力の消耗を抑えられる」

さっきよりも楽に水天竜モードを使えるってことか!

「わかりました!!ありがとうございます!!」
「行ってこい・・・頼むぞ・・・」

カミューニさんはそのまま疲れたのか眠ってしまったようだ。俺はそれから、急いでキャンプに戻った。

























「やりましょう、ナツさん!」
「オオよ!!」

俺とナツさんはそういってハイタッチする、

「「おめぇは絶対ぇ、俺たちが倒してやる!!」」

俺もナツさんも気合い充分!!ここで確実に仕留めてやる!!

「ナツのあれはエーテリオンを食べた時と同じ」
「シリルのは六魔将軍(オラシオンセイス)の時に見た奴か」
「ううん、あの時よりもすごい魔力を感じる!」

エルザさん、グレイさん、ルーシィさんがそう言う。そりゃあなんたって今の俺は第三世代になったからな!!まだ完璧とは言えないが・・・十分戦えるはずだ!!

「うおおおおおおおっ!!」

ナツさんが雄叫びをあげながらハデスに突っ込む。あまりの速度にハデスは避けるどころか反応すらできずに殴られる。

「やあああああ!!」

続いて俺が腕に風と水を纏いハデスを殴る。ハデスは目にも止まらぬ速さで回転しながら壁にめり込む。

「水の破壊力に風の回転が加わってるのか!?」
「なんてパワーなの!!」

エルザさんとウェンディが俺の攻撃を見てそう言う。
壁にめり込んだハデスにナツさんが鉤爪を放つ。すると、ハデスの全身が炎に包まれたが、すぐにそれを消す。が、

「あああああああ!!」

突如ハデスに雷が落ちる!!

「こっちは炎の打撃の後に雷の追加攻撃!!」
「すごい!!」

グレイさんとルーシィさんがそう言う。その後も俺たちはハデスに何度も何度も攻撃を繰り出す。

「俺たちのギルドをキズつけやがって!!」

ナツさんがハデスを床に叩きつける。

「お前はたくさんの人たちの想いを踏みにじってきたんだ!!」

俺はそのハデスを蹴り上げる。
そして、俺とナツさんはジャンプして風と水、炎と雷を腕に込めて

「「お前は・・・消えろー!!」」

ハデスに鉄槌を喰らわせる。

「ねあっ!!」

しかし、ハデスはそれを喰らいながらもジャンプして俺たちに鎖を放つ。不意を突かれたため俺とナツは背中合わせに縛られる。

「はっはー!!動きを封じてやったぞぉ!!」
「何を!!」
「こんなもん!!」

俺とナツは力をいれてその鎖を粉砕する。

「な!?」

ハデスはこれに驚いている。だが、もう終わらせてやる!!

「雷炎竜の・・・」
「水天竜の・・・」

俺とナツは体を仰け反らせ、口に魔力を溜める。

「「咆哮!!」」

俺とナツ、二人の咆哮がハデスを飲み込む。

「ぬがあああああ!!」
「「きゃあああああ!!」」
「うああああああ!!」
「くっ!!」

あまりの威力に近くにいたウェンディたちも飛ばされていく。俺たちの目一杯のブレスは戦艦を破壊し、天狼島もを飛び越えるほどすさまじかった。

「「ハァ、ハァ、ハァ・・・」

俺とナツさんはあまりの魔力の消耗に肩で息をする。
そんな俺たちの前には、白目を向き、意識を失っているハデスが倒れていた。

「やった・・・ぞ・・・」
「勝った・・・」

俺とナツはそう呟くとフラフラし、俺は前方に、ナツさんは後方に倒れる。だが、ナツさんが倒れかかった方は大きな穴が空いており、ナツさんは落ちそうになってしまう。

「ナツ!!」

そのナツさんをルーシィさんがギリギリで手を掴み助ける。

「た・・・助かった・・・もう完全に、魔力がねぇや・・・」

ルーシィさんはボロボロのナツさんを見て微笑む。

「シリル!!」

倒れている俺の元に、ウェンディが駆け寄ってくる。俺はそれに体をうつ伏せから仰向けに寝返りをし反応する。

「勝ったよ・・・ウェンディ・・・」
「うん・・・お疲れさま・・・」

ウェンディは俺の手を握り、微笑む。

「これで終わったな!」
「はい!!」
「そうですね・・・」

俺たちはもうすでに完全に勝った気でいた。だが・・・

「大した若造どもだ」
「「「「「「!?」」」」」」

突然ハデスの声が聞こえ、俺たちのムードは一転した。

「マカロフめ・・・全く恐ろしいガキどもを育てたものだ」

俺とナツさんの全力のブレスを受けたはずのハデスが、体を起こし、こちらを見ていたのだった。







 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
シリルが自分の意思でドラゴンフォースを解放できるようになるのはまたしばらくしてからの予定です。
次回もよろしくお願いします。
 
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