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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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異変の時間(2016/03/30 一部修正)

 
前書き
全話のあとがきで書き忘れていましたが、当作に登場するA・Tは全て防水加工が施されています。(笑)

あと、前話から行っている暗殺旅行編アンケートは本日23時を以て終了させて頂きます。その点をご了承ください。 

 



【視点:樹】



龍之介と速水の放った対殺センセーBB弾がヘッドショットを決めたかと思った瞬間。殺センセーが爆発し、俺達は水上パーティールームから海に投げ出された。

水上パーティールームがあった場所に残っているのは、中央部に軽いクレーターの様な凹みができたが床部分のみで、他には何も残っていない。殺った手応えはある。俺がそんなことを考えていると―――


「油断するんじゃない!奴には再生能力があることを忘れたか!?片岡さんを中心に泳ぎに自信のある者で水面を見張れ
!!」
「「「「「「「「「「はい!!」」」」」」」」」」


烏間先生が指示を出してきた。その指示に従い、片岡を始めとしたクラスでも泳ぎを得意とするメンバーが警戒は始める。

水嵐と対殺センセーBB弾の弾幕による二重檻。更に触手破壊と牙&棘による波状攻撃で体力はかなり削られていた筈。逃げ場なんてどこにも―――


「あっ」


俺が殺センセーの生存している可能性について考察していると、ボートから水面を監視していた倉橋が声を上げた。俺達E組全員が倉橋のいる所に視線を向けると、ボートのすぐ近くにブクブクと気泡が浮いて来ていた。

何かがいる。俺達はすぐにそう判断し、エアガンを持っている奴らはすぐに銃を構えた。そして、次の瞬間海中から出てきたのは―――


「……何だ、アレ?」


オレンジ色の殺センセーの顔が入った透明な球体だった。いや、マジで何なんだ?アレ。そんな俺達の疑問に答えたのは、殺センセーらしき球体だった。


「これぞ、先生の奥の手中の奥の手。完全絶対防御形態です!!分かり易く説明するなら砂瀑の我愛羅の守鶴の盾やうちは一族のスサノオといった所でしょうか?」


何故ここでNARUT●を用いた説明をする!いや、分かり易くはあったけど………。


「先生を覆っている透明な外殻は高密度に凝縮されたエネルギー結晶体です。体を圧縮したことでできた余剰エネルギーで肉体の周囲を固める。
この形態なら水も対センセー物質も結晶の壁が跳ね返すので意味を為しません。正に無敵です」
「そんな!じゃ、ずっとその形態でいられたら殺せないじゃん」
「無論、この形態にもデメリットはあります。まず、この形態を維持できるのは24時間。それを過ぎると外殻は自然崩壊し、元の身体に戻ります。
これだけではデメリットに聞こえないかもしれませんが、決勝の自然崩壊が24時間後に始まるということは、その間先生は身動きを取れないということでもあります。
最も恐れるべきことは、24時間以内に高速ロケットに詰め込まれ、遥か遠くの宇宙空間に捨てられることですが、その点はぬかりなく調査済みです。24時間以内にそれを可能とするロケットは現在のこの世界にはどこにも存在しません」


……想像すらしていなかった奥の手と、その欠点を計算に入れた上での使用。今回の暗殺旅行、俺達の完敗としか言い様がなかった。

この後、殺センセーは烏間先生に回収され、処分法は防衛相預かりということになった。この時、殺センセーは世界中の軍隊相手でもここまで追い込まれたことが無いと、俺達を褒めてくれたが全員の落胆は隠せなかった。

プロの殺し屋からアドバイスを貰ってまで練った、かつてなく大がかりな暗殺計画。その渾身の一撃を外したショックは大きく、E組の大半は異常な疲労感を感じながらホテルへの帰途についた。

そして、ホテルのオープンテラスに着くとクラスの半数以上が疲労感から机や椅子に体を預け、ダレ始めた。


「おいおい。大規模暗殺計画が失敗してショックなのは分かるけど、お前らダレ過ぎだろ」
「南の言う通りだ。テメェら、もう殺ること殺たんだから明日1日遊べるだろうが」


ダレている奴らに俺と寺坂がそう告げるが、ダレ組の殆どが反応できずにいる。何だ、これ?何か変だろ。確かに疲労感はあるが、全員疲れ過ぎだ。

俺がそんなことを考えていると、渚のすぐ側にいた中村が肩で息をしながら床にへたり込み、それに続く様に岡島がありえない量の鼻血を噴いた。


「変態終末期、大丈夫か!!?」
「こ、この状況でも、俺をその名で、呼ぶのかよ……。イッキ」


俺が岡島を抱き起しながらそう告げると、岡島は俺の発言にツッコミを入れてから、ガクっと意識を飛ばした。


「変態終末期?おい、変態終末期!?………変態終末期――――!!」
「イッキ君。ふざけてるつもりはないんだろうけど、この状況で岡島君をその呼び名で呼んでるとふざけてる様にしか見えないよ」


俺が戦場で最も親しい戦友を失ったかの様に岡島の渾名を叫んでいると、渚に肩を叩かれながらそうツッコまれた。いや、本気でふざけてるつもりはないんだが……。

ちなみに俺達がこんな遣り取りをしている間に、異変を感じ取った烏間先生が島内の病院をフロントに尋ねたりしていたが、島内には小さな診療所が1つある上、常駐型ではないことが判明。

更にその直後、烏間先生のスマフォに非通知でこの状態を作り出した者から連絡が入った。電話の内容はダレ組の体調不良が人工ウイルスによるものということ。

また、そのウイルスに感染した者は、1週間もすれば全身の細胞がグズグズになって死に至り、治療薬も1つしかないということ。

そして、治療薬が欲しければ完全絶対防御形態の殺センセーを持って、山頂にあるホテルまで来いという、典型的な脅迫だった。


 
 

 
後書き
暗殺旅行編での原作との相違点は、神崎さんがウイルスに侵されず、ホテルへの突入組に参戦することでしょうか?
(なんだかんだで、A・Tの(バトル)LVがイッキを除いて一番高いですし)

次話から伏魔殿(ホテル)突入編に入ります! 
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