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異世界系暗殺者

作者:沙羅双樹
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期末の時間(2016/03/30 一部修正)

 
前書き
地雷原でブレイクダンスを踊る五英傑(笑)

というか、執筆していて思ったんですが当作品において浅野君が、カレカノに登場する宮沢雪乃の男版の様な気がしてなりません。
(当然、有馬総一郎ポジはイッキ)

BL要素は全くない上、下剋上を果たすこともほぼ無いと思いますが、イッキと浅野君の関係は何か微妙な気がしますね。(笑)

そして、今回も某英雄王要素がイッキには含まれます。まぁ、イッキっぽい描写もあるんですけどね。 

 



【視点:樹】



期末テストに向けて始まったテスト勉強強化合宿。初日は学校が終わった後―――夕方から本格的な合宿が開始したということもあり、合宿としての勉強は夕食後の3時間程度で終了した。

そして、合宿2日目以降は1日の基本的なスケジュールはほぼ決まっていた。合宿開始前にローテーションを決めていた朝食調理組は6時に起床。他の皆が起床する7時までに朝食を用意。

7~8時は朝食と食休みを含めた自由時間。8時から勉強会の開始。書斎にある参考書やPCタブの書籍データを利用する以外は基本的に学校の時間割と同じペース――50分勉強後に10分休憩といった感じで勉強会を進めた。

ちなみに昼食と夕食の調理は殺センセーに一任。殺センセーが抜けている間の教師役は俺が務めることになった。まぁ、中間の時も思ったけど、俺にとって教師役は勉強の復習にもなるから丁度いい。

1日中勉強漬けだとストレスも堪るので、夕食後には1時間の自由休憩の他に1時間のレクリエーションを用意していた。ぶっちゃけ、ゲーム部屋を利用したゲーム大会だな。

で、自由休憩とレクリエーションでストレスを発散後、風呂休憩と就寝以外の時間は勉強会という形になった。と言っても、風呂休憩から就寝の間は自習に近いもので勉強会とは言えなかったかもしれないが……。

7~8人くらいまでなら集まれる俺の私室に、有希子以外で自習時間でもパジャマ姿で勉強しにくる酔狂な奴もいたけどな。主に国語が壊滅的な律とか。こればっかりは有希子と共同で教えた。

ああ。言い忘れていたが、律もちゃんとした義体(からだ)を得たことでテストを受けられる様になった。いや~、生徒としてクラスに所属することを認めた上、人間と変わりない義体(からだ)がある以上、変わり身とかじゃなくて本人がテストを受けないとな。

………とは言ったものの、実際の所は義体ということを学園側に伏せ、見た目そっくりの替え玉という形で話が通っているみたいだけどな。

ちなみに本校舎用の律の人間としての名前は宝代律。砲台=宝代だ。名付け親は俺だ。

言い忘れていたと言えば、合宿期間中の夕方――休憩時間中に晩飯の材料を有希子と買いに行った時、偶然出会った五英傑(笑)に賭けのルールについて説明されたな。

えっと……。確か、勝った方が下せる命令は1つだけで、その命令の発表はテスト後って奴だったか?

俺は食材を買い終えて屋敷に戻ると、玄関で鉢合わせた殺センセーに食材を渡すと、私室に戻ってA組の提案してきたルールと社会的法に抵触しない様、全70項目に及ぶA組がE組に従属する誓いの協定書を即行で作った。

この協定書に同意させるというのが俺の思い付いたA組への命令候補の1つって訳だ。それ以外にA組にとってリスクとなりえない命令を用意する。

つまり、2つの命令をあらかじめ用意しておいて、勝者の慈悲として敗者にどちらの命令がいいか選ばせるって訳だ。選ばれた者気取りのA組にとって屈辱極まりないやり方だと思う。

このことを夕食後の自由休憩でクラスの皆に言うと、男子からは某英雄王っぽいとか言われ、女子からは結構Sだよね、と言われた。……解せぬ!そんな感じでテスト勉強強化合宿は続き、あっという間に試験当日がやって来た。


「今回も本校舎の雑種共(センコー)は面白可笑しい問スターを用意してんだろうけど、パパッと()っちまうぞ。テスト勉強強化合宿で俺らの学力はかなり底上げされてる筈だからな」
「「「「「「「「「「おう!」」」」」」」」」」
「それじゃあ、最後に皆で掛け声やっとこうよ」
「………不破?その掛け声ってもしかして―――」
「そう。そのもしかして、だよ」
「…………」
「諦めなよ、イッキ君」


俺がこれからするであろう掛け声に軽く絶望すると、カルマが俺の肩に手を置いてきた。クソッ!人の気も知らないで!!………俺は軽く深呼吸をしてから、腹の底から声を出した。


「テメェら、気合入れろ!油断一秒、爆殺必定!!」
押忍(オス)!」
「止まんな!休むな!!」
「オイッスッ!!」
「あざーす、神サンッ!てめぇ、俺らを見捨ててくれて!!実力で掴めねぇ勝利なんてクソくらえだッつうのッ!!最初からトバすぜ、全力全開!!魅せつけろ、俺達!!サッ、ンッ、ネッ、ンッ、イィ、グミィイィッ!」
「「「「「「「「「「ブッ殺!!!」」」」」」」」」」


こうしてテストという名の全校生徒を巻き込んだ潰し合いの戦いが始まった。ここからは中間テスト同様、イメージ描写を提供するので、その点を宜しく。

まず俺達の前に現れたのはミノタウロスもどきな英語問スターだった。図体に割に身の熟し速く、振り回しているハンマーも威力が高い。だが―――


「大振り過ぎて懐が隙だらけなんだよ。せめてサイクロプスに生まれ直してから出直して来い」


俺は一瞬の内に英語問スターの懐に入り込み、空の玉璽(レガリア)に組み込まれている牙の玉璽(レガリア)の機能を使い、英語問スターを切り刻んだ。倒れた英語問スターは完全に息絶えている。

俺からしたら大した相手じゃなかったな。けど、他の奴らにとってはそうでもない。E組以外の生徒で英語問スターのハンマーに殴り飛ばされているのが大勢いる。

っと、あそこにいるのはトイレの生徒会議長、略してトイレ議長じゃないか。何か渡米経験を自慢げに叫びながら英語問スターに攻撃を仕掛けたけど、倒しきれてないぞ。カッコ悪ッ!(笑)

逆にうちのクラスの中村と渚が最小限の攻撃で瞬殺している。こっちは無駄にカッコ良過ぎだろ。(笑)

……さて、英語の次は理科のテストだ。五英傑(笑)のキモ眼鏡が杖から電撃を放ち、理科問スターの鎧を剥いでいるが、頭部の兜だけは外せずにいる。ちなみに俺はというと―――


Get(集え) Together()!アトモスフィアMAX!!」


理科問スターをワイヤーで拘束し、雷の玉璽(レガリア)の機能を使って、鎧ごと丸焦げにしていた。拘束を解除すると、理科問スターから鎧と兜が一気に剥がれ、中身は絶命している。……容赦無さ過ぎたかな?

ってか、理科戦でのうちのクラスは奥田さんと律が凄いことになってるな。問スターの方から鎧と兜を脱ぎ捨て、全てを曝け出してるぞ。しかも、奥田さん達を肩に乗せて乙女走りを披露する始末。一体何をすれば問スターがああなる?

………理科の次は社会だ。相手は2本腕に4本足、顔面が戦車砲台になっている問スターだな。そいつが俺に向かって砲撃して来ようとするが―――


「俺を仕留めたきゃ、マクロスでも持って来いやッ!!」


轟きの玉璽(レガリア)の機能と無限の空(インフィニティ・アトモスフィア)無限の轍(インフィニティ・フェイラー)を使って、砲弾を砲身内で押し戻し、ほぼ自爆に近い形で撃破。

周りを見てみると、うちのクラスでは悠馬1人が危なかったと言いつつ、社会問スターに余裕勝ちしている。その悠馬の近くには、最初に俺達に絡んで来ていた五英傑(笑)の眼鏡が、社会問スターの攻撃をモロ喰らいしてクレーターに埋もれている。

流石、五英傑(笑)。どの教科でも俺に最高の笑いを提供してくれる道化だ。まぁ、自分から英傑を名乗っている点がマイナスなので、俺の中の道化としての評価は±0だけどな。

社会の次は国語戦だ。国語戦の問スターは武者ということもあり、A・Tを使わず俺だけ太刀を使う形で勝負を挑んだ。


「有希子。俺達で国語は同率1位を目指すぞ」
「うん」


有希子にそう告げ終えた俺は、縮地と天剣の抜刀術を組み合わせた奥義、瞬天殺を使って一瞬の内に国語問スターを斬り伏せた。

有希子の方も見事な薙刀捌きで国語問スターを容赦なく斬り刻んでいる。あっ!今、国語問スターが命乞いしそうになったのを無視して頭をかち割った。


「ふふ、思った以上にやるね。顔だけでなく、言葉や立ち居振る舞いも美しい!だが、全てを制する総合力が無くては勝利することなど、夢のまた夢だ」


有希子から少し離れた所で五英傑(笑)のウルフヘアーが何かを語っている。ってか、その程度の問スターに苦戦する実力の奴が余裕かまして喋ってんじゃねぇよ。口動かす前に頭と手を動かせ。

そして、試験最終日に残ったのは五教科最後の数学戦。ここで俺は初めて五英傑(笑)の最後の1人に会った。


「あれ?もしかしてお前が五英傑(笑)って呼び名を自称しちゃってる中二病集団の最後の1人?何か既に浮かべてる表情からして、俺強ぇ~とか思ってそうだな。
来年には高校生になるんだから、そろそろ中二病も卒業したらどうだ?まぁ、中二病である自分に誇りを持ってるなら、別にいいけど」
「………君が南樹だな?今回のテストで僕は君を降す。覚悟しておけ」
「あれ?俺の言ったこと聞いてた?無視は良くないと思うんだけど。………まぁ、いいか。雑種は雑種らしく地に伏せ、王者を見上げていればいい。
朋友でもない者が王者と同じ場に立とうなど、おこがましいにも程があるってもんだ。その辺りを俺が直々に教育してやるよ」


俺は五英傑(笑)最後の1人、椚ヶ丘中学校の生徒会長・浅野学秀にそう告げると、浅野と同時に数学問スターのいる闘技場へと入り、ついに3日間に及ぶ戦いの幕を下ろした。


 
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