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ドリトル先生と森の狼達

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第一幕その五

 その次の日先生は老馬と一緒に登校しました、その登校中です。老馬から先生にこうしたことを言ってきました。
「先生、一つ聞くよ」
「何かな」
「うん、先生最近旅行に行ってないね」
「そういえばそうだね」
 先生も言われて気付きました。
「最近行ってないね」
「そうだよね」
「言われるとね」
 ここで、というのです。先生も。
「行きたくなったね」
「じゃあ何処に行くのかな」
「それはわからないね、何かお話があればね」
「その縁でだね」
「そこに行くことになるかな」
 これが先生のお返事でした。
「僕の旅行は結構成り行きではじまるからね」
「そういえばきっかけがあってだよね」
「そうだよね、いつも起こるじゃない」 
 その旅行がというのです。
「だからそれを待つことになるかな」
「旅行は向こうから来るもの」
「そうしたものでもあるからね」
 人間の様にというのです、旅行というものもまた。
「だから待つよ」
「先生は基本待つ人だしね」
「そう、だからね」
「旅行も待つんだね」
「自分から行く時もあるけれど」
 多くの場合です、先生のところに旅行の方から来るのです。
「そうした風だからね、僕は」
「じゃあそろそろかな」
「そうかもね、旅行が来てくれるかな」
 こうしたことをです、老馬とお話しながらです。先生は登校して自分の研究室に入りました。すると暫くしてからです。
 研究室の扉をノックする音がしました、先生がどうぞと応えますと。
 お部屋に日笠さんが入って来てです、こう先生に言ってきました。
「おはようございます」
「はい、おはようございます」
 まずは挨拶からでした。その挨拶が終わってからです、先生は日笠さんに紅茶を差し出してから尋ねました。
「それで今日は何のご用件でしょうか」
「はい、実は先生にお願いがあって参りました」
「お願いとは」
「先生に奈良に行って欲しいのですが」
「奈良にですか」
「そうです、実は奈良の南部の生態系を調べて欲しいと」
「動物園の方にですか」
 先生も紅茶を飲みつつです、日笠さんのお話を聞いています。
「お願いがあったのですか」
「それで先生にとです」
「その生態系の調査をですね」
「お願いしたくこちらに参りました」
「そうですか、ただ」
「何故先生か、ですね」
「はい、どうして僕にでしょうか」
 先生はここで日笠さんに尋ねました。
「そのお話を持って来てくれたのでしょうか」
「先生は生物学の権威でもあるので」
「それで、ですか」
「はい、実は今動物園は新しい動物が沢山来る準備で忙しく」
「人手が足りないのですね」
「そうです、しかし先生はもう春休みですね」 
 大学は丁渡そのお休みに入った時でした。
「それで時間がありますね」
「はい、確かに」
「学会もありませんね」
「論文も書き終えまして」
「時間がおありと思いまして」
「だから僕にですか」
「是非にとです。お願いしたくて参りました」
 こう先生にお話するのでした。 
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