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俺の名はシャルル・フェニックス

作者:南の星
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小競り合いと不死鳥

鴉狩りと聞いて浮わついた気持ちが急激に冷静になる。

ちょっと変わった日常はここで終わり、今からは非日常。

殺し合いの時間だ。

「誠菜、何処でもいいから座ってくれ。
今から大切な話し合いをするから」

「は、はい!」

急いで恋の座るソファーへと座る。

この中で一番仲がいいのが恋だからだろう。

俺も千冬が座るテーブルの真っ正面――ではなく、隣の席に座る。

「何故、隣なんだ」

「気分」

「…………はぁ……
まぁ、いい。
それで現状を説明するぞ。
魔王サーゼクスからグレモリーの縄張りにいる不穏な堕天使についての返答が、お前が兵藤家に行ってる間にきた」

あのロリ堕天使と遭遇してから、俺はサーゼクスさんに連絡を入れた。

リアスの縄張りに堕天使が縄張り内にある廃れた教会を根城に悪魔祓いを大量に集めてる模様。

至急確認されたし。

三すくみと言っても神は死に、先代魔王も死んだこのご時世。

戦争したいやつはいるにはいるが、大多数は戦争なんぞしたくはない。

なので、三すくみ間には一応連絡というか抗議できるように、連絡手段くらいはある。

そのルートを使ってサーゼクスさんに堕天使側に問いただして貰ったのだ。

魔王の妹にして、グレモリー公爵家の次期当主の縄張りに堕天使が不穏な行動を取っている。
これは正規の堕天使か、と。

返ってきた答えはどうやら、否らしい。

なのではぐれ悪魔狩りならぬ、はぐれ堕天使狩りとなったのだ。

「束はラボで索敵、黒歌は逃げないよう結界を強化中だ」

指示を出さずに動ける。

それはいいことなんだがなぁ……

なんか、王としてお飾り感が半端じゃない。

まぁ、いいんだけどさ。

俺、戦闘の方が本職ですし?

ちょうど自分の心の中で言い訳をしてる時に、白雪が盆を持ってキッチンから現れた。

「シャルちゃん、玉露です」

「おう、ありがとな」

「どういたしまして」

俺に茶を出した後、誠菜にもジュースを出して会話し始めた。

たぶん、これからよろしくねみたいな感じだろう。

白雪は誠菜のこと結構面倒見てたし。

何だろ、戦闘前って気がしねぇや。

とりあえず、出された茶を啜る。

薄い金髪に赤い瞳と容姿等は外人な俺だが、根が日本人な為日本食はよく食べる。

冥界じゃあ、一部でしか取り扱ってなかったんだよなぁ、日本食。

美味しいのに。

と、そこで一人だけ名前が呼ばれてないやつがいることに気がついた。

「理子は?」

「知らん。朝から出掛けてる」

あっ、そうっすか。

今日は祝日だからどっかに出掛けてるんだろうか?

まぁ、数日経ったくらいで返答が来るなんて思ってなかったから出掛けるなとは言ってなかったしなぁ。

仕方がないか。タイミングが悪かった。

いや、逆に一人以外都合がつくのだから、タイミングが…………

あっ……

束=問題児で友達少ないうえに祝日は家から出ようとしない。

千冬=堅いから、即時対応するため、遊びにいかなかった。

黒歌=仕事時以外家でのんびりしてることが多い。

恋=休日は基本家で使い魔たちの世話をしてる。

白雪=休日は家事をしてることが多い。

総合して基本的に休日家にいるやつが多い。

休日は家で完結してるやつが多いのだ。

逆に俺や理子は家に居ないことが多い。

理子は家で一番友好関係が広いから遊びに出掛けることは多々ある。

俺も遊びに出掛けることもあるが、一応フェニックス子爵家の当主であるため、公務があり、休日の半分はそれで潰れる。

と考えると、まぁ妥当な所なのかもしれない。

「じゃあ、鴉退治といきますかね。
白雪!」

「はい!」

名を呼ぶと誠菜と恋と話していた白雪が勢いよく体を俺の方に向ける。

「今回はリアスとの繋ぎ役になって貰う。
事が大きいから女王である白雪にしか頼めない。
駄目か?」

「いえ!命に替えても!」

いや、死なれたら嫌だし、そこまで気張らなくてもいいんだが、まぁいい。

「じゃあ、頼む。リアスには事の全てを伝えてくれ。
ついでに黒歌と束はカバー役として万が一に備えてくれって伝えといてくれ」

「はい!」

指示を受けた白雪は誠菜達に一礼して、リビングから出ていった。

これで連絡はオーケーっと。

「じゃあ、残りの4人で敵の塒に突入し殲滅する。
誠菜。今から見るのがこれからお前が生きる世界だ。覚悟しろ」

誠菜は真剣な表情で頷いた。

早いかも知れないが、早めに慣れていた方が誠菜にも優しいだろう。

「じゃあ、夜になったら行くぞ」

今度は皆が頷いた。

夜になってから行くのはまぁ、形式美みたいなもんだ。

結界を張れば一般人には戦闘していても気づかれないから日中だろうが真夜中だろうが変わらないしな。

さて、小競り合いの始まりだ。



 
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