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エターナルトラベラー

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第四十一話

それから暫くの間は保護された機動六課でこの世界の事を学んでいる日々が続く。

六課メンバーとの対面のおり、同姓同名だと厄介だと思い、なのはの苗字を父方の旧姓からもらって不破に変えた。

その間に六課の人たちとは自己紹介も済み、徐々に打ち解けていった俺たち。

そんな日々が続き、帰る手段の模索は少々行き詰っていた頃、俺達はある人を紹介される。


その日は朝から慌ただしかった。

ホテルアグスタで行われるロストロギアのオークションの警備と護衛の任務を機動六課も手伝う事になったらしい。

その日の終わり、なのはさんとフェイトさんが隣に誰かを連れて俺たちの部屋へと入ってきた。

「アオ君達ちょっといいかな?」

何やら用事があるようで、フェイトさんは俺達を探していたようだ。

なのはの隣の男はめがねを掛けた長髪のどこかお人好しのような雰囲気だ。

「紹介するね。こちらはユーノ・スクライア、私達の幼馴染みなんだ」

それを聞いて俺達は取り合えずペコリと頭を下げる。

「で、此方が…」

「な、なのは!?」

「にゃ?」

…まあ、幼馴染だってんなら驚くか。

「あ、ごめん。君が余りにも昔のなのはに似ていたからね」

謝ってくるユーノ。

「そ、そうなんですか」

なのははまだ慣れて居ないものの、既に何回も同じ事を経験していたので多少の免疫は出来ていたみたいだ。

「ユーノ、こっちの男の子が御神蒼君。こっちが不破穹ちゃんで、あとは」

「御神フェイトです」

「不破なのはです」

「なのは…」

「あ、あのね?ユーノ君。彼女はね」

と、隣に居たなのはさんがユーノに一生懸命説明する事15分。


「パラレルワールド…」

「そうなの。だからあの子はわたしだけどわたしじゃなくて、えっと」

「なのは。わかったから」

「そう?」

「それで?それを僕に話したってことは」

視線をフェイトに向けてユーノが質問した。

「うん。ユーノの力を借りたいなって」

「無限書庫関係だね」

「お願いできるかな?」

「幼馴染の頼みだし、何より別人だとしてもなのはの為だ。…でも余り期待しないでくれよ。可能世界なんて物の存在の証明なんて今までされた事が無かったんだから」

「…そう…だね」

「そう言えばそっちのなのはは魔法は使えるの?」

「え、ああ、うん。使えるみたいだよ」

「へぇ。見たところレイジングハートとそっくりだけど、やはり僕がなのはに渡した物なのかな?」

「ふぇ?ちがうよ。これはお兄ちゃんの家のラボにあったんだよ。ねーレイジングハート」

『その通りです』

「え?じゃ、じゃあ君達は僕に会った事は?」

「んー?ないよー」

「…そう…なんだ」

少し寂しげな表情のあと、思考を切り替えたのかキリッとした表情にもどる。

「…いったい分岐点は何処なのか」

「え?」

「いや、一体どこでこの世界と大きく分岐したんだろうと、ふと思っただけだよ」

「ああ、それは恐らく俺が生まれた時でしょう」

「は?」

「この世界の俺は生まれていない…もしくは亡くなっているのでしょう。俺が生まれたことで、本来死ぬはずだった人が生き残り、ソラが生まれた」

その後、難しい話を少し俺はユーノと話した後解散する事になる。

「一応帰ったらパラレルワールドについて検索を掛けてみるよ。報告はどうしようか?」

「あ、出来れば俺達も知りたいので報告のある時は俺達も同席したいのですが」

「そうだね。じゃあ、連絡はなのはに入れるから、その時に一緒にと言う事で」

「はい、お願いします」

そう約束してその日の顔合わせは終了した。


さて、昼間の一般常識の勉強が終わると、自主練の時間。

「よっ」

「はぁっ」

バシッバシッっと竹刀がぶつかる音が辺りに響く。

「御神流、薙旋」

なのはの繰り出した高速の四連撃が俺に迫る。

「おっと」

ギリギリでなのはの太刀筋を被せる様に俺も竹刀を打ち出す。

「御神流・裏、花菱」

「にゃ!?」

迎え撃った俺の技に吹き飛ばされるなのは。

「うー、また負けた」

「はっはっは。まだ負けてやら無い」

「むぅ、でもいつか勝ってみせるもん」

「おう、がんばれー」

「あ、終わった?」

「ソラ達もか?」

ソラはフェイトの念の訓練を終えて此方に近づいてきた。

「うん」

さて、そろそろ時間もいい頃合だ。

「隊舎に戻ろうか」

「はーい」
「きゅるー」

うん?今なんかほかの生き物の鳴き声が混じらなかったか?

声の発信源を探して下を向くと足元に擦り寄ってくるフリードの姿が。

「またお前か」

俺はその小さい竜を抱き上げる。

「きゅる、きゅるーる」

「あ、フリード。またキャロのところから抜け出してきたの?」

と、フェイト。

「きゅるー」

どういう訳だか俺とソラにまとわり付く様に懐かれてしまったフリード。

夜もいつの間にか俺たちのベッドに入ってきては丸くなって寝ている。

「フリード、どこー?」

遠くから聞こえてきたのはキャロの声。

「あ、キャロちゃん、こっちー」

なのはが声を返す。

「あ、またフリードがお邪魔していましたか」

「まあね」

キャロが迎えに来ても一向に俺の肩から離れようとしないフリード。

「フリード、こっちに来なさい」

「きゅる、きゅるーる、きゅるる」

「え?どういう事?」

どういう事は俺達の台詞だ。

「えっと、キャロちゃんってフリードの言っている事分るの?」

「あ、はい。何となくですけど」

何となくでも分るのか。

「それで?なんて言っているの?どうにも離れてくれないんだけれど…」

「あ、えっと…」

言いよどむキャロ。

「竜の姿を見せて下さいって…自分で言っておいて何ですが…意味が分りません」

「竜?」

なのはが聞き返している。

「はい。多分…そう言っています。見せてくれるまでは絶対に離れないって…フリード、いいかげん戻ってきて!」

キャロは俺の肩につかまったフリードを爪先立ちで掴み、無理やりおろそうとするが…

「きゅるーーる」

つかまった足が服を突き破り食い込んでいて少し痛い。

テコでも動かないつもりのようだ。

「フリード、おーりーてっ!」

「きゅるーー」

そんなやり取りをしているとだんだん俺の服の耐久値が下がっていくのだけど…

すでに猫に爪を立てられてもここまでは行くまいというほどにほつれているが、これ以上は遠慮したい。

「キャロ、ストップ!これ以上は服がもたない」

「あ…その、ごめんなさい」

そう言ってキャロは一旦フリードから手を離して距離を取った。

それから俺はフリードに向き直る。

「フリード。一回だけだよ?一回だけ見せてあげるから」

「きゅる?」

「え?出来るんですか?っていうかアオさんって人間ですよね?」

失礼な。魔法生物になった記憶は無いよ?

フリードに肩から離れてもらうと、ぐっと四肢に力を込めた。

体の感覚が書き換わるこの感覚も久しぶりだ。

一瞬の後に俺は変身をとげ、全長8メートルほどの銀色のドラゴンにその姿を変えていた。


フリードは嬉しそうに俺の周りを旋回した後にソラの方へと飛んでいった。

「きゅるーる」

「私も?…仕方ないなぁ」

一瞬金色の光に包まれたかと思うとソラの姿も金色に輝くドラゴンへと変貌していた。

「綺麗…」

「本当…」

なのはとフェイトは感嘆の声を漏らす。

「あれ?割とリアクションが少ない」

「お兄ちゃんだもの、ドラゴンに変身するくらい有るかなって思って」

「うん。アオとソラだものね」

なのはとフェイトの反応はその程度。

しかし、さっきから一言もしゃべっていないキャロはと言うと、信じられないといった表情で此方を見ている。

「魔竜…アイオ…リア?」

今キャロは何て言った?

「キャロ!今何て言った!?」

「え?あっ…えと…」

竜の体のまま詰め寄った俺にたたらを踏むキャロ。

「アオ、その体で詰め寄っちゃダメ。キャロが驚いてる」

そう言ったソラは既に人間に戻っていた。

「あ、ああ…」

俺はもう一度、ぐっと四肢に力を込めると人間の姿へと戻った。

姿を戻した事でようやく落ち着いたキャロはある御伽噺を俺たちに語ってくれたのだった。



隊舎の裏にある林を抜けようと歩き始めると遠くの方に人影が。

「あ、ティアナさんだ」

「本当だ」

「自主練かな」

「がんばってるね」

「よっぽど今日のミスショットが悔しかったんだろう」

「……でも、体壊さないといいけど」

その訓練は鬼気迫るものがる。

「まあな。だけどこう言う時は周りの忠告なんて自分が惨めになると思っているだろうから聞かないし」

「……そうなんだ」

「そう言うもんだ、なのは。だから俺達は見つからない内に退散しようか」

「…はい」

次の日からティアナの訓練にスバルが混じっているのを確認。

あー、アレはどうやらスバルの押しの強さに負けたようだな。

「接近戦のコンビ練習みたいだね」

気づかれないように気配を消して訓練を盗み見ていたなのはが呟く。

「…スバルは良いとして、ティアナがな」

「ティアナさんがどうかした?」

「近接を師事する人が居ないから。自己流で危なっかしいね」

「…確かに」


そんなこんなで数日経って、俺達は今日の一般教養の講義を終えて隊舎の食堂へと向かっていると、入り口の方からフォワード陣とシャーリー、シグナムやヴィータが少々強面のままロビーへと向かっている。

ティアナの頬が少し赤いけれど、何かあったのだろうか。

そんな中、此方に気が付いたシャーリーが俺たちもロビーへと誘った。

「昔ね。一人の女の子が居たの」

その誘いを受けた俺達は少々居心地の悪い雰囲気を感じつつもソファにすわり、シャーリーが再生し始めたVTRに目を向ける。

そして映し出されたのは9歳ころのなのはさん。

それも後にジュエルシード事件と言われた事件の映像。

「あ、わたし?」

なのはがVTRに現れた自分をみて驚いている。

そんな本人(?)を前にシャーリーは言葉を続ける。

「魔法と出会って数ヶ月で命がけの実戦を繰り返したわ」

「これ…フェイトさん…」

丁度なのはとフェイトが戦っている所だった。

「私と戦ってる?」

フェイトが驚愕の声を上げた。

うん…、まあ、ね。俺たちのフェイトはなのはと戦っていません。

「え?あなたたちはお互いにぶつからなかったの?」

シャーリーが問いかけてきた。

「にゃはは、模擬戦はたまにやります」

「それに、なのははあんなに弱くない」

なのはが濁し、フェイトがVTRを見てそう答えた。

なのはさんが弱い?なんて驚愕の表情を見せるフォワード陣の面々。

VTRは進み場面は闇の書事件。

まあ、その殆どは閲覧が禁止されているのか、詳細が分るものは殆ど映っていない。

ただ、戦闘場面を抜粋されているだけ。

さらに場面は移り変わる。

映し出されたのはなのはの撃墜。

胸部からの出血が見て取れる。

その後の病棟でのリハビリ。

一時は魔法の行使はおろか日常生活すら危ぶまれたらしい。

その凄惨な光景に目を背ける面々。

そんなフォワード陣とは対照的に冷めた眼でVTRを見るのはフェイトをのぞく俺達。

フェイトはショックだったようだが、なのははだから何?とでも言いたげだった。

自分が経験した挫折を、失敗をさせないように貴方たちを教え、導いているのだと、シャーリーは言う。

「ほんとに丁寧に、一生懸命考えて教えてくれているんだよ」

そう言ってシャーリーは締めくくった。

「それで?これを俺たちに見せた意味は?」

「なのはちゃんにも同じような事になって欲しく無いと思って」

シャーリーが気遣わしげに言う。

「うーん。でもわたしは管理局に入る事は無いだろうから、あんな事起こらないと思うよ?」

「へ?」

なんかあっけに取られているシャーリー。

「だって、わたしは地球でお兄ちゃんのお嫁さんになるんだもの」

そう言って俺に抱きついてくるなのは。

「「「「はあっ!?」」」」

今度は異口同音で驚愕の声が。

「なのは、離れて」

「いやー」

ソラがそれとなく注意するがより一層抱きつく力が増えた。

「な・の・は?」

ソラの顔が笑っているけれど、笑っていない。

「離れますっ!」

ぱっと俺の体から離れるなのは。

ソラも、そんなに怒ること無いだろ。

今のは将来お父さんのお嫁さんになるっ!って言っているようなものだ。

「それに、わたしにはなんでなのはさんがこの世界に居るのかも理解できません」

「…それは、魔法の力で多くの人を助けようと思ったからじゃないですか?」

なのはの疑問にスバルが答えた。

「本当にそうなのかな?」

「え?」

なのはの否定の声に一同の視線が集中する。

「この世界のわたしにはお兄ちゃんも、ママも、ソラちゃんも居なかった。さっきの映像を見ると本当に…本当に普通の女の子だったんだとも思う」

それは皆がさっきの映像で知っている。

「地球には魔法文化は無い。だから、突然出会えた魔法の力、自分が特別に感じられる魔法がそれがとてもすばらしいものに見えた」

一同無言だ。

「急に使えることになったその力をもっともっと使いたかった。それには地球ではダメだった。地球じゃ魔法を使える人は殆ど居ない。お兄ちゃんも、紫ママも秘匿しなさいって口をすっぱくして言われてたっけ」

それはそうだ。

マイノリティは排除されるものだ。

普通の人間に無い、それも圧倒的な何かを使える人間が居ると分れば回りの人間はそれを受け入れる事は出来るだろうか?

だから秘匿する。それは多数のなかで生きるには仕方の無い事だ。

「空を飛ぶのは凄く楽しいし、魔法の力で自分の大切な人を守ることはすばらしい事かもれない。…だけど、その力も地球では使えない。地球じゃ使えないんだったら使えるところへ行きたいと思うのは魔法を日常で使いたいと思っている人には当然の事なんじゃないかな?」

「…そ、そんな…」

「地球人であるはずの未来のわたしが、こんな遠くに家族や友達を捨ててまでやりたかった事って?人々を守ること?違うよね。彼女の仕事は教導。つまり教え導く事。自分が持っている魔導師としての技術を使っての後任の指導ですよね?」

つまりは日常的に魔法を使えると言う事だ。

「え?…あっ…」

スバルの口からは否定の声も出ない。

「だからわたしは未来のわたしが嫌い。大切なもの、守るべきものは自分の大切な人とその日常だってわたしは思っているから」

だからなんで彼女がミッドチルダに居るのか理解できないとなのはは言った。

「わたしはお兄ちゃんが好きで、ママが好きでソラちゃんにフェイトちゃん、くーちゃんにアルフさん、そしてお父さんやお母さん、恭お兄ちゃんやお姉ちゃんが大好き。学校に行くのは楽しいし、海も山も近い海鳴の街がすっごく大好き。わたしが守りたいものはそんな小さな所だけ。それだけでいいの」

「なのは、人の考えはそれぞれだよ」

俺がやんわりともう止めなさいというニュアンスを込めてなのはを制止する。

何を思って未来のなのはがこんな遠い所まで来ているのか。

それは彼女にしか分らない事だ。

場の雰囲気を悪くしてしまった事に罪悪感を感じながら俺たちは先に部屋へと戻らせてもらった。 
 

 
後書き
なのはによるアンチなのは…どうしてこうなった…ただ二人の差異を考えたらこうなるかなと。  
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