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エターナルトラベラー

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第三十三話

家に帰り着くと直ぐに皆をリビングに集めて家族会議。

今日有った事の顛末を説明する。

「時空管理局…ね。また厄介なのが出てきたわね」

そう呟いたのは母さんだ。

「これからは彼らがジュエルシード捜索を本格的に始めるらしいよ」

ソラの言葉に母さんは少し考えると、結論が出たようだ。

「真正面から敵対すると面倒な事になりそうだから、こっそりジュエルシード集めは続けるわよ」

「本当にいいのかな?捕まったりしないかな?」

なのはが少し心配そうに言った。

「大丈夫よ、なのはちゃん。彼らに私たちを捕まえる権利は無いわ」

「え?」

「うーん。簡単にいうとね、なのちゃん。この国と言うかこの世界は管理局なんて存在は知らされていないもの。それなのに知らされていない法律を守れると思う?」

「出来ないと思う」

「でしょう。だから大丈夫。私たちは私たちの法律をちゃんと守っている。犯罪を犯しているわけでもない。彼らに裁く権利は無いわ」

まあ確かにね。怪奇事件を解決してくれるのは嬉しいけれど、元を正せば全てその管理世界の人達の所為だからね。

自業自得。

其処に捜査権限とかなんとか持ち出されても…ねえ?

「結局回収を続けるって事でいいんだね?」

今まで聞く側で言葉を発していなかったアルフ。

「ええ、だけど今まで以上に慎重に。あ、そうだ、あの大きなイタチはその管理局に何とかしてもらいましょう。勿論被害が出る前に見つけ次第その管理局に連絡するって事で」

ふむ。

「その隙に私たちは他のジュエルシードの確保」

その言葉に皆分ったと答えて家族会議は終了。

いつもよりも強固なジャミング結界を張っての回収と相成った。


さて、管理局が登場したが、ジュエルシードを集めは続行される。

数日して、リィンディさんから連絡が入る。

ジュエルシードを発見、確保に向かうと、この間の黒い大きなイタチが発動中のジュエルシードの側に現れたのでこれ幸いと封印に向かったが、クロノを含めた局員はことごとく返り討ちに遭い怪我人が多数出たために現在ジュエルシードを封印できる局員が居なくなってしまったらしい。

その件のイタチは新たに一つジュエルシードを吸収して肥大化、管理局の魔導師を撃墜して逃げて行ったらしい。

それで恥を忍んでお願いされる。

俺たちの魔導師としての力を貸して欲しいと。

本局に応援は勿論頼んではいるのだが、今すぐにとは行かないらしい。

本局にしてみても対岸の火事と言った所だろう。

対応が遅れているらしい。

その間も敵はどんどん強くなる可能性がある、早めに叩かねばそれこそ次元震を引き起こしかねないほど肥大化するかもしれない。

「今直ぐお答えする事は出来ません」

『そうね、急すぎたわね。しかし時間が無いのも事実なの。アレをこのままにして置くのもまずいわ』

ウィンドウ越しにリンディさんに答える。

「取り合えず、なのはやソラと相談してみます。あと母さんとも」

『そう。出来れば直接伺いたいのだけれど』

「それは遠慮させてください」

その後、夜にでも結論を出してこちらから連絡を入れると言って通信を切った。

さて、この間の家族会議から間も開いてないのだけれど再び家族会議である。

リビングに一同を集め、今日リンディさんから協力要請があったことを説明する。

「また強くなっちゃったの!?」

「これ以上強くなると流石に厄介よね」

なのはとソラがそう漏らす。

「参ったわね、管理局に何とかしてもらおうと思っていたのに当てが外れたわ」

「母さん…まあ、そんな訳なんで、俺は管理局に協力した方がいいと思うのだけれど」

プレシアさんにジュエルシードを渡し過ぎたくない俺には渡りに船だ。

「そのイタチを私たちが管理局にばれない様に狩る方法は無いかしら?」

「今現在どうやってその魔力を隠しているのかは不明だけれど、あのイタチが活動するときは多大な魔力が感知される。それをいくら結界を張ったからって管理局の目を誤魔化すのは難しい。戦闘となれば尚更、此方の魔力も感知されてしまうから実質無理」

「なるほどね。なのちゃんソラちゃん、あーちゃんと一緒に管理局に行ってきて頂戴」

「いいの?」

「ジュエルシード集めは?そのイタチを倒したとしてもその分のジュエルシードは管理局の手に渡ってしまうよ?」

「いいのよ、仕方ないわ。アレを放置しておくのは私も危険だって思うもの」

桃子さん達には私から言っておくわ、と母さん。

「じゃあ、ジュエルシード集めは?」

アルフが少し心配したように聞いてきた。

「残念だけど少し休止かしら。あーちゃん、すぐにずばっとやっつけて帰ってきなさいね」

「ずばっとって…まあ出来るだけ頑張るよ」




家族会議が終わり、皆がばらばらとリビングから去っていく。

フェイトも同様に一度自分に与えられた部屋へと帰る途中にアルフに話があると自分の部屋へと誘った。

アルフがフェイトの部屋でベッドに腰掛け、呼ばれた要件について尋ねる。

「それで?フェイト、あたしに何か聞きたい事があるんだろう?」

「う、うん…」

少々聞きづらい事なのかおどおどしながら、それでも頑張って言葉をつむぐ。

「あのね、ゆかりお母さんがジュエルシードを集めているのって私のため、なんだよね?」

「それは…」

「みんな言わないけれど、何となく分るよ」

「フェイト…」

「だから、私が集めないといけないんだ、だから」

「フェイト!あたしも一緒に集める。だから一人で行こうとしないで」

ベッドから立ち上がりフェイトにすがりつきそうになり寸前で止まる。

「でも」

「あたしはフェイトの使い魔さ。ご主人様を守るのがあたしの役目だ」

ぐっとそのコブシを握り締め、決意を新たにするアルフ。

「…ありがとう、アルフ」

フェイトは巻き込んでしまう事への後ろめたさを感じながらも少しだけ肩の荷が降ろされたような表情をしていた。




さて、再びやって参りましたアースラ。

「すまないな、一般人である君たちを巻き込みたくは無かったのだが」

案内するために現れたクロノはその体のあちこちに包帯が見える。

「この前のあのイタチにやられてしまったよ」

「大丈夫なんですか?」

なのはが心配そうに聞き返す。

「ああ、なんとかね。ただし無理が出来ると言う訳でもない」

「それで俺たちを?」

「ああ。本局に増援を頼んではいるのだが、アレに対抗するためには最低Aランク以上の魔導師で無ければ対処できない。なのに本局では高ランク魔導師が出払っていて直ぐに増援と言う訳には行かないようだ」

「俺たちのことを高く評価しているんだな」

「悪いとは思ったけれど、この前の戦闘は此方でも記録されている。此方の測定器での観測された魔力量は君やソラでAA、なのはに至ってはAAA。あの時の戦いを見るに魔導師ランクは全員Sランクはあるだろうと思う。あの時アレを抑えていたのだしね」

魔力量はともかく魔導師ランクと言われてもいまいちピンと来ないのだが。

抑えていたとは言え魔力による力技で抜け出されたけれどね。

クロノに案内されていつぞやの茶室へ。

「艦長、案内して来ました」

「ご苦労様。アオさん達もご足労感謝します」

ぺこりと頭をさげて、座布団へと案内される。

目の前に出された緑茶とお茶菓子は取り合えずスルーして今後の打ち合わせ。

俺達が管理局に協力するに当っての条件面とかの交渉は俺に任せてもらった。

ソラはともかくなのはにやらせるわけには行くまい。

リアル8歳だからね。

しばらくはこの艦で厄介になるために、衣食住の保障。戦闘は此方の意思に任せる事。ここに居るのは懇願されて協力している訳であるから、基本的にそちらの方針には従うが、お願いは出来ても命令は出来ない等。

つまり拒否権をくれと言う事だ。

「つまりあくまで自由意志での協力であり、理不尽な命令は聞かないと言うこと?」

お金もらっている訳では無いしね。

原作だと表彰状で終わった気がするし。

「そうですね。さらに何かしらの理由で管理局と敵対したとしてもこの世界で起こった事である限り貴方たちに俺達を裁く権利は無いかと」

「なんだと!?」

この発言にクロノが少々驚いている。

「クロノ執務官。落ち着きなさい」

取り乱したクロノを嗜めるリンディ。

「私たちに管理外世界の人たちを裁く権利は確かに無いわ」

「艦長…」

「以上の事を了承してくれるのなら俺たちは協力します」

リンディさんは流石に大人の態度で受け入れ了承してくれた。

ただ、ここに居る間に回収したジュエルシードの提出は義務付けられてしまったけれど。

あのイタチもどきの対応と、他のジュエルシードを発見した時の回収任務が主だ。

今現在俺達が集めたジュエルシードの数は6個、母さんの約束の12個までは残り半分。

管理局がアレから発見したものが二つ、その内一つをイタチもどきに強奪されたので俺たちが知っている限りイタチに回収されたのは三つ。

残り11個。

さて、どうなる事やら。 
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