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現れた冥王の宿敵

作者:Bloo-D
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第4話 お出掛け

 
前書き
一木が諸葉達に連れられてショッピングに行きます。 

 
10月の始め、一木は白騎士機関の日本支部を訪れていた。

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駿河『相変わらずの仕事っぷりだな。』
一木『それが任務ですから。』
駿河『ま、それもそうか。』
一木は、上司の駿河と話していた。

一木は転入生という形で亜鐘学園に所属しているが、実際の所は諸葉の動向を監視するために、駿河が送り込んだスパイいわゆる工作員である。

一木『現在、諸葉は目立った動きを見せておりません。』
安藤『そうか、だが油断は禁物だ。引き続き監視を続けろ。』
一木『は‼︎』
一木からの報告を聞いた駿河は、油断は禁物だとして監視を続ける様に命じた。

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一木はおよそ2年程前に、一木の隠された才能を気に入った駿河に拾われて彼の部下となった。
その翌年、一木が2つの禁呪を解放した事で、ますます駿河に気に入られ、彼の直属の部下となり今に至る。

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因みに、一木のランクはSA(SとAの間)。普通なら、一木はランクSに選ばれてもおかしくなかったのだが、六頭会議において大反対に遭い、案の定妥協案として、SとAの間という事で、SAにする提案を出した結果、OKとなった。

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その後、話が終わった一木は日本支部を後にした。
一木『……。』
帰り道。一木は、風に揺れる長い髪の毛を気にしながら、赤く染まる夕方の空を眺めていた。

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それから数日後…、
諸葉のクラスでは、相変わらず諸葉を巡っての争奪戦が繰り広げられていた。
サツキ『レーシャ‼︎いい加減、諸葉から離れなさいよ‼︎』
サツキはレーシャに怒鳴りつける。理由は、レーシャが諸葉と腕を組んでいるからだ。
レーシャ『兄妹同士のスキンシップだからイイだろ。』
レーシャはサツキにこう言い返す。とはいえ、諸葉とレーシャ(諸葉の妹と言い切るサツキは、前世では兄弟だったが……。)は兄妹でもなんでもないのだが…、
サツキ『良くないわよ‼︎いいから離れなさい‼︎』
レーシャの言動に怒ったサツキは、諸葉とレーシャを引き離す。
レーシャ『何をするのだ。兄弟同士のスキンシップを止めさせるなんて法律違反だ。』
サツキ『そんな法律、日本には無いわよ‼︎』
レーシャが法律違反だと言ったが、サツキはそんな法律は日本に無いと一蹴りする。

一方の静乃は、サツキとレーシャが言い争いしている隙に諸葉の隣に立って諸葉と腕を組む。
諸葉『お、おい静乃⁉︎』
静乃の行いに動揺する諸葉。
静乃『何かしら?』
静乃は聞き返す。
諸葉『突然何を……⁉︎』
静乃『いいでしょ別に。』
諸葉『えっ?』
静乃『いいわね?』
諸葉『はい……。(汗)』
諸葉は言いかけたが、静乃の言い口に負けて結局は屈した。
『『漆原‼︎』』
サツキとレーシャは、抜け駆けした静乃に殺意を向ける。
諸葉『は〜。』
争奪戦の材料にされている諸葉は溜息をついた。

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一方の一木は…、
一木『……。』
きゃっきゃと騒ぐ女子生徒達の真ん中で黙り込んでいた。別に女子生徒達から“黙れ”と言われて黙っている訳ではない。

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『ねえねえ、一木君って今度の土曜日暇?』
一木『予定は無いけど……。』
『じゃあ、一緒に街に行きましょうよ。』
『イイわね、行きましょうよ。』
『折角だから、諸葉達も混ぜない?』
『イイじゃない‼︎混ぜるくらいなら、サツキ達も文句は言わないだろうし、それに、前世の話とか聞きたいし。』
『そうね、そうしましょう‼︎』
1人の女子生徒が、一木と街に行こうと言い出した。それに他の女子生徒も同意し、更に諸葉達も誘う事となった。
この時、一木は不愉快そうな顔をしたとか…、

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そして土曜日。女子生徒3人と諸葉達4人、更に話を聞いた麻耶,百地,ソフィア更に一木、このメンバーが集まった。
サツキ『麻耶はともかく、何でモモ先輩とソフィア先輩がいるのよ⁉︎』
百地『イイじゃないか、別に‼︎』
ソフィア『諸葉が街に行くと聞いて来たデース‼︎』
百地とソフィア、諸葉が街に出掛けるという訳で付いて来たようだ。
サツキ『あっそ。』
普通なら断る所だが、相手は先輩なので、あえてサツキは思い留まった。

ーーーー

サツキ『ところで一木、なんであんたは制服なの?』
一木『私服持ってないから。』
サツキからの問いに淡々と答える一木。
もう一つ、諸葉達は一木を除いて皆私服。一木は学生服を着ている。これぐらいしか着る服がないとの理由でだ。他にあるとしたら軍服ぐらいだが、それは仕事等でしか着ない。
因みに、駿河に報告に出向いた時は軍服を着ていた。

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『じゃあ折角だから、一木君の服を選んであげようよ。』
『いいわね‼︎早速洋服店にレッツゴー‼︎』
『おお〜‼︎』
ソフィア『賛成デース‼︎最近服がキツくなって来たので、私の服を買うのデース‼︎』
百地『わ、私も、ソフィア先輩と同じ意見だ‼︎』
レーシャ『私も…、兄を籠絡させる為に服が欲しい。』
サツキ『ちょっとレーシャ‼︎諸葉の妹は私だって言ってるでしょ⁉︎』
静乃『私も自分の服を買おうかしら。貴方も服選びを手伝って諸葉。』
諸葉『えっ、俺⁉︎』
『『漆原‼︎』』
麻耶『相変わらず女難の相なのです。』
麻耶の言う通りである。
一木『……。』
相変わらず一木は黙ったままである。
少々私欲丸出しの様な一件もあったが、諸葉達は洋服店に行く事となった。

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そして諸葉達は、街の中にある洋服店に入った。

その店内で…、
『『『『『……。』』』』』
『『『『『……。』』』』』
店員と客が諸葉達に見惚れていた。

諸葉『何だ一体?』
諸葉は気になって声を上げた。
ソフィア『恐らく、私達美少女に見惚れているのデース。』
ソフィアはこう推測した。確かに、ソフィアや麻耶を含め、サツキは皆美少女。無論、他の女子生徒3人も美少女。見惚れるのも無理はない。

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しかし、店員とお客が見惚れているのはサツキ達の方ではない。
特にお客達は…、
『ねえ見てよ、一番左端の娘。』
『あの長い黒髪の娘?』
『そう、なんだかんだ可愛くない?』
『でもあの子、男性服着てるわよ、どう見ても美男子の方じゃない?』
『いやいや、男装した女の子に間違いないって‼︎第一、あんな綺麗で素敵な美少年がいる?』
『確かに、それもそっか。』
っと左端の子を見て騒いでいる。
一木『……。』
実は、店員とお客の目に映ったのはサツキ達美少女ではなく、一木なのだ。
一木は諸葉達の左端に立っている。
店員とお客の目に止まったのは、紛れもない一木なのだ。

ーーーー

百地『まさか、私達ではなく、芝山の方に目が止まるとは……。』
百地は、自分達が目に止まらなかったのにショックを受けた。
ソフィア『しかもあの様子だと、芝山を女の子と誤認している様デース。』
まさにその通りである。お客達は、一木を男装した女の子と思い込んでいる。仮にも、一木は男だと言った所で誰も信じてくれそうにない。
『一木君、女性と間違われる程の美しさを持っているけど……。』
『これ程とは……。』
『しかも、男性なのに私達より遥かに凛々しくて綺麗で美しいの三拍子が揃っているなんて悔しい。』
女子生徒3人は唖然とした。
サツキ『み、認めなきゃならないなんて……。』
静乃『悔しいわ……。』
レーシャ『何たる屈辱だ‼︎』
対するサツキ達3人は、怒り心頭した。自分達が注目されていないからだ。
とはいえ、一木が注目されるのは無理もない。一木は背が高く、華奢な痩せ気味体質,長い黒髪,中性的な顔立ち(否、完全に女顔),肌は女性並に白く,容姿端麗,しかも声も女性っぽく,サツキ達より遥かにフェミニン。
ズボンの代わりにスカートを履いてしまえば、背の高い女性で通しても誰も疑問を持たないぐらい。

ーーーー

因みに店員はというと…、
『あの左端の子、凄い綺麗……。』
『うんうん、あの子絶対男じゃなくて女よ。』
『なぁ、お前話し掛けるだけ話し掛けろよ。』
『いやいや、あんな子に話し掛けるなんて勿体無いって‼︎』
やっぱり男女共に、一木に見惚れていた。
補足だが、ここは男性服と女性服の両方を取扱う洋服店、その為店内には、男性客と女性客,男女両店員がいる。男性店員も一木に見惚れていた。

ーーーーーーーーーー

そんな中、1人の女性店員が諸葉達に近く。
『お客様、今シーズンオススメの服の試着はいかがですか?』
『イイじゃない、着よ着よ‼︎』
『そうだね、一木君も……』
女子生徒が言いかけた時、一木はその場にいなかった。
みんなが周囲を見回すと…、
一木『……。』
黙々と帽子を選んでいた。

ーーーー

すると、茶色のフェドーラ帽が彼の目に止まった。一木はそれを頭に被る。
一木『……。≪コクコク≫』
首を縦に振った、どうやら気に入った様だ。その後一木は、茶色の革手袋,同じ色のジャケットとズボンとブーツ,そして緑色のシャツを見つけると、それらを持って試着室に入った。
『『『『『……。』』』』』
この時、諸葉達は一木を見て沈黙していた。

ーーーー

数分後、一木は試着室から出て来た。
頭には茶色のフェドーラ帽,手には茶色の革手袋,更に同色のジャケットとズボンとブーツと緑のシャツ、シャツを除いて全身茶色の格好だったが、一木はそんな事は気にも止めなかった。むしろ、満足げな表情を浮かべた。
理由は、前世に近い格好になれたからだ。
一木が試着室から出て来た時、お客達は…、
『うわー全身茶色‼︎でもカッコイイ‼︎』
『強そうに見える。』
『写真撮っとこ‼︎』
『私も‼︎』
その場はファッションショーの様になっていた。

ーーーー

一木『……。』
お客の反応を見た一木は、その場でクルッと一回転。
すると…、
『『『『『わー‼︎』』』』』
お客達から歓声が上がった。

ーーーー

一方の諸葉達は…、
サツキ『凄い似合ってる。』
レーシャ『あいつ、一生モデルでやって行けるな。』
静乃『しかもあの姿、前世の諸葉を倒した“魔剣士カリバーン”に似た姿だわ。』
諸葉『全くだ、確かにあの姿は、“魔剣士カリバーン”そのものだ。』
百地『それにしても、芝山が試着しただけで、店内がファッションショーの会場になってしまうとは……。』
ソフィア『芝山、前世で諸葉を討ち取ったといい、驚きの連続デース。』
麻耶『なのです。』
『『『……。≪コクコク≫』』』
一木に圧倒されていた。

ーーーー

その後、着替えた一木はそれらを購入した。帽子,ブーツ,手袋,ジャケット,ズボン,シャツで合計8000円前後であった。

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その後一行は、周りからの視線を気にしながら進み、ショッピングを楽しむ事にした。
諸葉も一応は満喫している。 
 

 
後書き
次回、一木が不良にからまれる。 
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