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歌集「春雪花」

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 薄明かり

  雨音聞こゆ

   朝未き

 そぶるは雨か

    思いの丈か



 外は未だに薄暗く、雨が降っているようだ…。

 朝陽が昇る少し手前…淋しさの募る時間帯…。
 ふと…これは本当に雨が降っている音なのか、と考えた。

 私の彼への思いが止むことなく…降っているのではないのか…?



 降り頻る

  雨ぞ心の

    形なり

  流れては空へ

    還るものなれ



 雨の落ちゆく刹那の形…それは涙を流す心と同じ…。
 時に土砂降りとなり、時に小雨となり…様々に様相を変えてゆく…。
 そして…いずれは川となり、海へ出て…全てを包み込む天空へと還る…。

 人の心もそうだろうか…?
 いつかは…あの蒼い空へと還るのだろうか…?


 私の…彼を想う心さえも…。



 
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