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美しき異形達

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第五十二話 来訪者その一

                      美しき異形達
                   第五十二話  来訪者
 薊と黒蘭は自分達の前に出て来た怪人達を見ていた、今度の怪人達はというと。
 ジャガー、そして虎だった。薊は自分の前にいるジャガーの怪人を見据えて彼に問うた。
「ジャガーっていうとな」
「知っているな」
「南米にいるネコ科の猛獣だよな」
「そうだ」 
 その通りだとだ、怪人も答える。
「俺はそのジャガーの力を持っている」
「成程な、じゃあ強いな」
「貴様の喉笛を噛み切れる位にはな」
「それはいいことだ、あんた達のこともわかってきてるしな」
「ほう、我等のことをか」
「ああ、あんた達の産みの親のことをな」
 薊は七節棍を両手に持ってだ、構えつつ言った。
「わかってきてるぜ」
「我等も知らぬことだがな」
「みたいだな、あんた達はただあたし達と戦うだけだな」
「そうだ、それ以外の目的はない」
「だから知らないか」
 その産みの親のこともというのだ、怪人達は。
「興味もないか」
「最初からな、しかしだ」
「あたし達と戦うことはか」
「本能としてある」
 その段階でというのだ。
「最初からな」
「だよな、じゃあな」
「はじめるか、早速」
「そうさせてもらうぜ」
「私もよ」
 黒蘭もだ、自分の前にいる虎の怪人に対して言った。
「虎は好きだけれど遠慮しないわ」
「ほう、俺が好きか」
「阪神タイガースが好きだから」
 それで、というのだ。野球のことだった。
「虎は好きよ」
「阪神。知らんな」
 怪人は野球の話を聞いてもだった、知らないし興味もないといった様子だった。そのまま黒蘭に言うのだった。
「知っていることは一つだ」
「私達を倒すこと」
「それだけだ」
「そのことはわかってるわ、では」
「戦うぞ」
「これからな」
 こう話してだ、そしてだった。
 薊も黒蘭も戦いに入った、ジャガーの怪人は早速だった。
 周りに誰もいないことをメリットにしてだ、駅前の建物、蛍光灯やビルの壁等を利用して縦横に跳ねてだった。
 薊に上や横から襲い掛かった、薊はその場に立ちその攻撃を防ぎかわしている。そして。
 虎の怪人もだった、大柄であるがジャガーの怪人と同じ動きで黒蘭を攻めていた。黒蘭も薊と同じ様に今は動かず防戦している。
 その二つの闘いを見てだ、鈴蘭は言った。
「ううん、ネコ科でね」
「ジャガーや虎は、ですね」
 桜がその鈴蘭に応えた。
「密林にいる種類は」
「そう、虎も実はね」
「木の上に上りますね」
「そう、あまり大きいと無理だけれど」
「木の上から獲物を狙いますね」
「街は密林よ」
 こうもだ、鈴蘭は言った。
「木はないけれど建物がね」
「密林の木になっていますね」
「そう、だからね」
「今もですね」
「街の中のビルや蛍光灯の間を跳ねているのよ」
 そうして攻撃を仕掛けているというのだ。
「ああしてね」
「そうですね、一撃離脱ですね」
 桜は二人の怪人達の攻撃の種類をそれに分別した。 
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