| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

小学時代を思い出そう!

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

「時の記念日②」

キーンコーン、カーンコーン

 と、チャイムが鳴った。みんな、出来上がった時計をロッカーの上に並べた。ロッカーの上には、みんなが作った時計が並んで、休み時間は、ちょっとした品評会となった。
 みんなの注目は、先に出来ていたコウの鳩時計だった!!見に行くと、屋根の付いた小屋に時計盤が付いて、時計盤の上に小さな小窓があり、小さなノブが付いていた。ノブを両方に開くと……鳩が、開く小窓にひっぱられ、飛び出してきた!

「可愛い~」

 女の子たちから、ため息がもれた。美しく優雅で、気品のある作品だった。
 僕は自分の鳩時計を、あえてコウのとなりに置いた!!コウと目が合う……勝負だ!!
 僕の鳩時計は、コウの黒い屋根に対して、赤い屋根の白い小屋だ。時計盤の針は、割りピンで止まっている。時計の時間は、コウのは6時になっていたが、僕のは時計がもっとも美しく見える時間!10時10分にセッティングしていた。(社会科見学のあと、自分で時計屋さんに行って、気に入った鳩時計をスケッチさせてもらった時に、店員のお姉さんに教えてもらったのだ!!)
 そして、僕の鳩時計を見たコウは、あれっ!!という顔をしていた。

「ミズキ!鳩はどうやって出るの?」

 コウは冷ややかに言った。コウは僕の鳩時計の小窓には、ノブが付いてないのを見のがさなかったのだった。キラッ!っと、僕の目が光った。

「これが、僕の鳩時計だあ!!」

 僕は、鳩時計に細工したヒモをひっぱった!!

「……とっ、飛び出した!!」

 コウは目を丸くした。
 いろいろ考えた末、箱の下からヒモをひっぱると、扉が左右に開き、鳩が飛び出す仕掛けを思いついたのだ。コウは僕に近付き、肩を組んできてこう言った。

「今日の所は負けたよ、ミズキ!!」

 6月10日「時の記念日」の全校集会では、全校生徒の時計が並ぶ展覧会で、我がクラスにたくさんの生徒が集まっていた。みんな「うわっ!」とか「綺麗~!」「可愛い!!」と言っていた。
 その集まりの中心には、もちろんコウと僕の鳩時計があった。その様子をみて、コウと二人、ガッツポーズでお互いの腕をくんだ。僕らの鳩時計も、仲良さそうに向き合っていたのだった。

おしまい

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧