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美しき異形達

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第五十話 明かされる真実その十三

 その神学を学んでいる立場からもだ、博士は話すのだ。
「だからわしは否定しない」
「神様の存在、そして力を」
「そうじゃ、全くな」
「それでその神様の配剤か」
「君達の遺伝子が引き合う様にされておったとも思うが」
「それ以上にか」
「神仏の配剤じゃな」
 また言う博士だった。
「そこは」
「そうか、とにかくあたし達が神戸で揃って」
「力が覚醒するその時にじゃ」
「怪人が来たことは」
「こちらはカリオストロ伯爵のことじゃ」
 その薊達の敵がというのだ。
「彼が向けて来たのじゃよ」
「そしてそれは今もか」
「うむ、それで君達のこれからじゃが」
「戦いなんてな」
 それこそとだ、薊は手振りを交えてそのうえで少女達を代表して言った。戦いは薊達にとってはなのだ。性格的に。
「正直嫌だからな」
「終わらせたいのう」
「カリオストロ伯爵なんてな」
「倒してじゃな」
「ああ、そうしてな」
「戦いを終わらせたいな」
「そうだよ」
 まさにという口調での言葉だった。
「その伯爵をぶん殴ってでもな」
「そうじゃろうな、ではな」
「ああ、それでカリオストロ伯爵は何処にいるんだよ」
「それがわからぬのじゃ」
 博士は顔を曇らせて薊に答えた。
「あの伯爵は謎に包まれた人物じゃ」
「そもそもですよね」
 これまではこの場では沈黙していた裕香が博士に言った。
「詐欺師とか言われていた人よね」
「実在したことは確かめられておるがな」
「そうした人ですから」
「実際に詐欺もやっておったぞ」
 つまり犯罪行為も躊躇しない人物だというのだ。
「そうした人だからのう」
「居場所は、ですか」
「そう簡単にはな」
「突き止められませんね」
「うむ、そう簡単にはな」
「そうですよね」
「さて、何処にいるのか」
 博士も眉を顰めさせ怪訝な声を出した。
「わしも調べてみるが」
「そう簡単にはですね」
「わからぬであろうな」
 博士もこのことについては悲観的であった、悲観的でなくとも容易に出来ることではないと考えていることは間違いない。
「そうそうな」
「そうですか」
「しかし調べてみる」
 博士は困難でもとだ、裕香に答えた。
「それはな」
「そうですか」
「少し時間をくれ、つても使う」
「つて」
「わしには頼りになる友達も大勢おる」
 それがどういった面々かは言わなかった、人でない存在とはだ。
「彼等に頼んでみる」
「じゃあお願いします」
「そういうことでな、さて」
 ここまで話してだ、また言う博士だった。今度は智和に顔を向けての言葉だ。
「智和君はな」
「はい、僕も今丁渡です」
 その智和も博士に対して応えた。
「博士にお聞きしたいと思っていました」
「そうじゃな」
「祖父がまさか」
「その錬金術や魔術の知識も使ってな」
「数々の特許も得ていたのですね」
「そうしたものを作っておったのじゃよ」
「そうだったのですね」
「そしてじゃ」
 博士は自分から言った。 
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