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夜会

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2部分:第二章


第二章

「では支持して頂けるのですね」
「我々のことを」
「そのことを約束して下さるのですね」
「はい」
 その通りだとだ。イギリス側の一人が答える。彼等は宴の隅ではなく中央に近い場所で立って話をしている。しかしその彼等を見る者はいない。
 丁度宴の華やかさがそれを隠している形だった。その中で話をしているのだ。
 その中でだ。イギリス側はこうオランダ側に話した。
「我々は貴国の復活を支持します」
「最早ナポレオンはいなくなりました」
「それならばです」
「是非。フランスの支配から脱して下さい」
「有り難うございます」
 オランダ側はイギリス側の言葉を受けてだ。まずは安堵した。そしてそのうえでだ。彼等に対してこうしたことを話すのだった。
「では我々はです」
「貴国に対して御礼を差し上げますので」
「好意として受け取って下さい」
「いえ、それはいいです」
 ところがだ。イギリス側はこうオランダ側に言うのであった。
「我々は貴国に申し訳なく思っていますので」
「申し訳なく」
「申し訳なくですか」
「はい、そうです」
「そう思っていますから」
 それでだというのだ。
「ですから。御好意やそうしたものはです」
「いりませんので」
「いえ、そうはいきません」
「それは失礼にあたります」 
 オランダ側は必死の顔になってそれはどうかと返すのだった。
「貴国が動いてくれたからこそ今我々はここにいられますから」
「ですからです」
「何とか受け取って下さい」
 こうだ。何とかという顔で言うのだ。
「是非です」
「そうして下さい」
「そこまで仰るのですか」
 イギリス側は真面目な顔になってだ。そうして彼等に応えた。
「ううむ、そこまで仰るのならです」
「我々としても断る訳にはいきませんね」
「そうですね」
「では。是非です」
「受け取って下さい」
「そうして下さい」
「わかりました」
 イギリス側は応えた。こうして彼等の話はおおよそのことが決まった。そのうえでお互いに笑顔になって別れた。その後である。
 イギリス側はだ。宴の中を歩きながらこう話すのだった。
「これでいいですな」
「はい、オランダ側かわ見返りを得られます」
「我々としても狙い通りですね」
「まあ当然のことですが」
 こうした言葉も出た。オランダ側に話したこととは明らかに内容が違っていた。しかしそれを当然としてだ。彼等は話をしていた。
「血を流したのは我々ですから」
「彼等は敗れてフランスに併合されました」
「しかし我々が勝ち彼等は復活できましたから」
「それならばです」 
 見返りもだ。当然だというのだ。これが彼等の本音だった。
 そしてだ。オランダ側もだ。こう話をしていた。
 彼等だけになった場所でだ。イギリス側との話について彼等だけで話をしていた。
「これでよしですな」
「見返りはまあ。ある程度で済ませて」
「イギリスは只でさえ栄えているのですから」
「ですから。ある程度でいいでしょう」
「そうですね」
 彼等も彼等でこう考えているのだった。しかしそれは面と向かっては言わないのだった。
 その他にもだった。バイエルンとザクセンの関係者もそれぞれ会っていた。
「それではです」
「そういうことで」
 お互いにだ。表情はにこやかにやり取りをしている。
「共にです」
「協力していきましょう」
 笑顔で協力を約束する。そうしてだった。
 
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