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猫達の里親

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第五章

「本当にね」
「ううん、じゃあ落ち込んでも」
「猫ちゃん達がいれば」
「そうなった時もなのね」
「和むのね」
「そうなのよ」94
 だからだというのだ。
「猫と一緒にいるのっていいのよ」
「何かもうね」
「ロリィすっかり猫好きになったわね」
「猫ちゃん達もグッズも一杯集める様になって」
「何でもかんでも猫ね」
「猫大好きになったのね」
「あの子達が来てから」
 クラスメイト達も言う、そのロリィを見て。
「本当に変わったわね」
「猫大好きになって」
「もういつもあの子達のお話して」
「そうなったわね」
「だって好きだから」
 それで、というのだ。
「もう本当にね」
「何かお母さん?」
「それともお姉さん?」
「そんな感じね」
 そこまでだというのだ。
「あの子達が弟か妹で」
「それも甘えん坊で」
「おまけに我儘で手のかかる」
「そうした弟や妹ね」
「そんな感じなのね」
「私一人っ子だけれど」
 それでもというのだ。
「何かお姉さんになったみたいよ」
「そうなのね」
「そんな感じなのね」
「今のロリィって」
「お姉さんになったみたいなのね」
「落ち込んだ時はいつも傍に来てくれるし」
 ロリィは皆にこのことも笑顔で話した。
「それで慰めてくれるし」
「それでなの」
「そのこともなのね」
「嬉しい」
「そうなのね」
「猫がいるとね」 
 ただそれだけのことでもというのだ、大きいとは思えないそのことでもだ。
「一緒にいるとね」
「凄く楽しい」
「そうしたものなの」
「そう、だから私凄く幸せなの」
 ロリィは満面の笑みでこうも言った。
「これからもいたいわ」
「そう、それじゃあ」
「これからもなのね」
「あの娘達と一緒にいて」
「楽しく過ごすのね」
「そうするから」
 友人達に淀みなく答えた、そうしてロリィは猫達といつも楽しく過ごしていた、だがある日のことだった。
 店に一人の客が来た、見れば眉をかなり顰めさせ気難しい感じだ、母がその客の顔を見て父とロリィに小声で囁いた。
「あの人ね」
「どうしたの?お母さん」
「何かあったのか?」
「一回二人がいない時に一度来たことがあったの」
 この店にというのだ。
「それでね、その時大変だったのよ」
「クレーマーか?」
「そうなの」
 まさにそれだというのだ。
「だから気をつけてね」
「そうか、わかったよ」
 父は妻の言葉に真剣な顔で頷いた。
「じゃあ慎重にな」
「何でもかんでも文句つけてきて」
「騒ぐんだな」
「本当に厄介なお客様だから」
 こうした客はどの店でも来るものだ、それでこの店にも来たのである。 
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