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歌集「春雪花」

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 行きずりの

  夜半の月を見

   想い馳せ

 蛙 鳴く音の

     物悲しかな



 歩いてる間にふと見れば…夜空に月が出ている。
 柔らかな輝き放つ月を見つつ想い馳せるのは…彼のことだけ…。

 そんな夜更け…蛙の鳴き声さえ物悲しくなってしまう…。

 たとえ私が呼んだとしても…彼が来てくれるはずもないのだから…。



 半月の

  光り幽かに

   世は見えず

 咲きたる花も

    黒く染めにし



 半月の淡い明かりでは、全てを見せることは出来ない。
 夜の闇が大地を覆い、艶やかに咲いているであろう花々さえ…その黒に染めてしまっている…。

 きっと…私もそうなのだろう…。

 君に想い伝わらず…。



 
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