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美しき異形達

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第四十九話 一時の別れその四

「私の剣は活人剣だから」
「戦う剣道、殺人剣ではないのね」
「暴力でもね、剣道は暴力に非ず」
 これがわかっていない輩もいる、特に学校の教師等相当なことをしても問題になりにくい世界では見られることだ。
「だからよ」
「戦いは嫌いなの、面白いのに」
「面白いとも思わないわ、まあこれは主観の相違ね」
「そうね、それじゃあ」
「あらためてね」
 怪人と対峙する鈴蘭だった、怪人はここでだった。
 鞭をもう一つ出して来た、右手に持っているものだけでなく。
 左手にも出した、そうして言うのだった。
「そちらが二枚刃で来るのなら」
「あんたもなのね」
「そうさせてもらうわ」 
 鈴蘭に対抗してというのだ。
「それならね」
「そうなの、あんたも面白いことするわね」
「知恵には知恵ね」
「工夫とも言うわね」
「そうね、けれどね」
「勝つのは、かしら」
「私よ」 
 この自身も言ってだ、そしてだった。
 怪人はその二つの鞭で鈴蘭に襲い掛かった、鈴蘭は一本の刀でその二条鞭を防ぐ。二人の攻防は続いた。
 薊もだ、野薔薇の怪人と戦っていた。この怪人もだった。
 両手に一本ずつ鞭を出してそれで薊を襲う、だが。
 薊はその棒を自在に伸縮させて無数の刺がある二条の鞭を防いでいた、そうしてそのうえでなのだった。
 怪人を見据えてだ、にやりと笑って言った。
「二対一だとね」
「不利ね」
「不利なことは不利さ」
 薊もこのことは否定しなかった。だがそれでも言うのだった。
「けれどな、それは今のことでな」
「今限定かしら」
「そうなんだよ」
 ここでもにやりと笑っている。
「あくまでな」
「逆転かしら」
「見るかい?」
 まさにその逆転をというのだ。
「これから」
「出来るのならね」
「確実に出来るんだよな、これが」
「確実になのね」
「そうさ、こうしてな」
 薊がこの言葉を出すとだった。
 不意にその棒にだ、紅蓮の炎が宿り。
 その棒を縦横無尽に操り怪人への攻撃を行った、それによってだった。
 怪人を一気に攻めた、それを受けてだった。
 怪人は防戦に入った、その両手に持っている二本の鞭で薊の炎を宿した攻撃を防いでいた。だが次第にだった。
 その守りが崩れてきた、薊はその状況を見てさらに攻めて言った。
「植物は火に弱いっていうけれどな」
「あら、私はもうそれ位はね」
「普通の植物よりは、か」
「そうよ、強くなっているわ」
 こう薊に返す怪人だった、崩れそうになる中でも何とか己を保ち。
「だからそれは大丈夫よ」
「だよな、けれどな」
「何か違ってきたわね」
 こうも言う怪人だった。
「さっきまでとは」
「炎を出すと最近な」
「最近?」
「それまでより力が出る様になったんだよ」
「力が出る様になったっていうのね」
「ああ、そうさ」
 薊は攻撃を仕掛け続けつつ怪人に言った。 
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