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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN25





「此方よクーッ!!」

「う、うん」

 ハンナとクーはあの現場から急いでリムジンで逃げ出していた。途中で逃げる群衆にリムジンは立ち往生したが、そのまま人波をはねていく事で現場を脱出をして市街地にあるロック財閥系列のホテルに逃げ込んだ。

 ハンナとクーはリムジンを降りてホテルの屋上にある小型艇の発着ポートまで走っていた。

 リムジンの運転手は二人がホテルに駆け込むと同時に逃げていたが後に遺体となって見つかる。

「一体何なのあれ……リムジンが人を……ハンナッ!! ハンナッ!!」

 クーは走りながらハンナにリムジンの状況を言う。

「しっかりするのよクー。早くしないと私達まで」

「でも……何でなのハンナ? 何であんな指示をッ!! そもそもCOREは何で暴走するのッ!! 人間だった事を思い出したって何の事なのッ!?」

「説明している暇はないわッ!!」

 その時、二人の頭上に一隻の海防艦が接近していて屋上に待機していた小型艇を対艦レーザー砲で破壊した。

 そしてハンナの携帯に発信者不明の番号が鳴り、ハンナは繋げた。

『ロック財閥代表ハンナ・ロック。見つけたぜぇ?』

「「ッ!?」」

 聞かない声に二人は驚き、相手は笑いまくるる。

『お前達は此処で終わりだぜッ!!』

 接近していた海防艦もCORE搭載艦であったのだ。そしてハンナはクーの手を引いてホテルの中に入る。

 逃げる宿泊客の波を抜けて地価に降りて小部屋に逃げ込む。

「クー、この先に地下の脱出ルートがあるわ。鍵はこれよ、私があいつらを引き付けるからその隙に逃げて」

「そ、そんなッ!? ハンナを置いて逃げるなんて……」

「今はそんな事を言っている状況じゃないわッ!!」

「駄目だよッ!! 一緒に……」

「クー、COREは人工知能じゃない。人間の脳を利用したバイオ・コンピューターだった」

「え……」

 ハンナの告白にクーは驚いた。そしてハンナはクーにCOREの全てを教えた。

「兎に角、絶対に避けるのは私達若草会全員が捕まるか死ぬかという最悪の状況よ」

「だったら私が囮になるッ!!」

「いいえ、私が適任よ。COREの監視をくぐり抜けて逃げられる可能性が高いのは貴女だけよ」

 ハンナは震えるクーにキスをした。

「しっかりしなさい。男の子でしょう?」

「ハンナ? 何時からそれを……」

「確証は無かったけど感じてた。その女装をやめて男に戻ればあいつらから逃げられるかもしれない。何としても国外に逃げなさい」

「ハンナ……」

「おっと、残念だがそこまでだ」

「「ッ!?」」

 いつの間にか小部屋の入口には数体のCOREがいた。しかもレーザー小銃を構えている。

「ハンナ・ロックとクー・ロスチャだな? 大人しくしてもらおうか」

「げひゃひゃひゃッ!! あんたらはもう終わりだぜ?」

 COREの言葉に完全に勝ち目が無いと悟った二人は大人しく手をあげるのだった。




 俺がワシントン星域がCOREに占領された報告を聞いたのは南遣方面艦隊旗艦摩耶艦橋であった。

「COREが反乱? んでワシントン星域が占領されたやて?」

「は、内地からの報告とガメリカの乱雑した通信状況を考慮しますとそれが妥当かと思います」

「………」

 副官の言葉に俺はゆっくりと長官席に座り込む。遂に公開来たな……。

 やはり原作通りの展開になるやろうな。

「東郷長官からの指示は?」

「内地も緊迫した状況らしく、『お前に南遣方面艦隊は預けている。お前の好きにしろ。責任は全て俺がとる』と東郷長官が言っております」

「……あの時の謝罪を込めた命令かな」

 俺は苦笑しつつ席を立つ。

「ロンメル艦隊に連絡。直ぐに北アフリカ星域に急行すると伝えろ」

「了解です」

 副官は敬礼をして部屋を退出するが、入れ替わりに水色に近い髪の色をした長髪の高貴な女性が部屋に入ってきた。

「これはこれはパルトネー殿。如何されたかな?」

 入ってきたのは原作ではマダラスカル星域にいるはずのシャルロット・パルトネーやった。

 実はマダラスカル星域は呆気なく占領していた。ドクツと日本のルートが開くと危機感を持ったヴィシー長官はシャルロット・パルトネーを差し出して日本に降伏しようとしたが、その寸前にマム・ビルメの部隊が突入してシャルロット・パルトネーを奪還した。

 この時のパルトネーはオフランス兵士による暴行と強姦で心身共に衰弱していたが、マダラスカル星域からの降伏電文に摩耶以下第四戦隊と護衛の駆逐艦でマダラスカル星域に侵入した。

 マム・ビルメの艦隊は直ぐに降伏してマダラスカル星域は日本に占領された。この事は俺も予想外であったがマム・ビルメの艦隊は意外にも使える事なのでそのままマダラスカル星域の防衛艦隊にした。

 そしてパルトネーはマム・ビルメの元で静養中であったはずなんやけど……。

「突然の来訪に申し訳ありませんムシュー・狹霧」

 パルトネーはそう言って頭を下げる。

「実はムシュー・狹霧に御願いがあります」

「ほぅ、願いですか?」

「はい……私を、日本軍の提督にして頂けませんか?」

 ……いきなり過ぎるよな。まぁ原作でもこんな感じやったしな。

「パルトネー殿に聞きたい。何故ですか?」

「……貴方は私を助けてくれました」

 パルトネーは口を開く。

「入院生活で私を見舞いに来た男性は貴方だけです。しかも毎日」

 まぁ一応はオフランス王国の王族やから経過は聞きに来ないとね。どうせ直ぐに東郷長官に引き渡そうとしてました。

「ですから私は貴方に恩返しをしたいのです」

「………」

 パルトネーの言葉に俺は頭を抱える。実践経験無い人に提督なんぞ出来るかいな。

 簡単に提督になれたのは原作だからと東郷長官なんやからな。

「パルトネー殿、残念ながら実践経験が無い人に大事な部下と艦艇を与える事は出来ません」

「………」

 俺の言葉にパルトネーは顔を下に向ける。

「ですので、自分の……長官付として摩耶に乗り込んで実践を経験して下さい。提督にするかはそれからです」

「……はいッ!!」

 俺の言葉を聞いたパルトネーは嬉しそうに頭を下げて退出した。

「まぁ……大丈夫やろ。流石に素人に提督をさせるわけにはいかんしな」

 俺はそう呟いた。






 
 

 
後書き
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