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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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本編
  五話~初任務

 
前書き
ようやくできました~ 

 
side スバル


私たちが機動六課に来て二週間がたった。今日は書類仕事をしている。
隣のティアを見ると……


「あれ?ティア、調べもの?……これって、」
「ス、スバル!」


そこにあったのは個人データ『衛宮ランス・衛宮士郎』という名前。



(どうして士郎さんたちの事を?)
(魔法には触れるの初めてだっていうのにあれだけ強いっておかしいと思わないの?)
(確かに…………)
(それに出自が最重要機密扱いなのよね……)
(で、調べて出たのが、)
(これ、ってこと)


そこにあったデータは



・衛宮ランス、士郎両名データ。


第97管理外世界『地球』出身の戦闘部族「衛宮」の最後の生き残り。
古典的武器である剣や槍などの扱いに秀で、その技は魔力なしでAランク魔導士に匹敵。3年前、ギル・グレアム元提督に助けられた事に恩義を感じ、彼に従う。
今回、八神二佐は彼らをグレアム氏から借り受ける形で六課の戦力としている。階級は二人とも三等空尉。衛宮ランスは23歳、衛宮士郎は21歳。





(これだけよ。探すのあんだけ苦労したっていうのにね)
(そっか~、お疲れティア)






その頃………



「ねぇはやてちゃん」
「なんや?なのはちゃん」
「士郎君たちのデータ、あれで大丈夫だったの?」
「バッチリやで!グレアムおじさんには口裏合わせてもらうよう頼んであるし、心配ご無用や!」
「ほんと、手際がいいというかなんというか…………」



八神はやて、本日も平常運転であったそうな。



side なのは



早朝訓練の最後、私は前から考えていたことを実行した。


「みんな、最後にシュートイベーションやろっか。相手は………士郎君です!」
「………はい?」
「あー………なのはの嬢ちゃん、それ俺にやらしてもらってもいいか?試してえことがあんだよ」
「でもランス君遠距離は槍の投擲しかできないんじゃあ……」
「こっちの魔法にも慣れてきた。試験的にやるってんじゃ、だめか?」
「う~ん、みんなはどう?」
「あたしはいいですよ!」
「私も構いません」
「僕は賛成です!!」
「私はみなさんがいいのなら………」


皆賛成みたい。あとは………


「士郎君は?」


やる予定だった本人に聞く。


「そもそも私はそのようなことをするとは聞いていないのだがね」
「あ…………ごめんね、言い忘れてたよ」
「私としては速い直線起動の矢の相手というのはなかなか彼らには難しいと思うのでね。君が適任だと思うのだが…………」


そこにランス君が口をはさむ。


「俺はもう魔法を使いこなし始めてるんでね、こいつらの訓練相手をしてやれるくらいはできんだよ。お前はなのはの嬢ちゃんと乳繰り合いながら見てな」
「な、な、ななななななええ!!??」


どどどどどどどどどどういうこと?ち、乳繰り合ってろって……


「君もアレの戯言を真に受けてると身が持たんぞ、なのは」
「じょ、冗談だったの……?」
「悪いな、冗談だ」


全く、すごく焦った……



side ティアナ



ランスさん相手のシュートイベーションがはじまった。


「それじゃ、ルール説明するよ。ランス君相手に五分間逃げ切るか一撃入れたらおしまい。攻撃を受けたら初めからやり直しね」
「「「「はい!」」」」


ランスさんが魔法使うのは初めて………それなら!


「みんな、五分間よけきる自信は?」
「僕はあります!」
「あたしもあるよ!」
「私は……一撃入れたほうがいいと思います!」


2対2か………


「おっと、ずいぶん舐めてんな、スバルの嬢ちゃんにエリオ。だったら………ブランチ、モードリリース」
「「「「「えっ!」」」」」


驚きは士郎さん以外のこの場の全員のもの。


「いいの?ランス君」
「ああ。こいつら相手なら必要ねぇ。さっさとはじめてくれ」
「じゃあ……レディー、ゴー!」


ランスさんは何を使ってくるのか、しかし………


「デバイスひっこめるなんて、完璧挑発されてるわよ!なんとしても一撃入れて一泡吹かせてやりましょう!」
「よ~し、用意はいいか?行くぜ、フォトンランサー!!」


ランスさんが使ってきたのはフェイト隊長の得意魔法の一つ、フォトンランサーだった。真っ直ぐにこちらへと向かってくる。


「全員絶対回避!そのあとフォーメーションで攻めるわよ!」
「「「了解!」」」



しかし、あれほど精度が高いとは予想外だ。
これは厳しい戦いになる………





side ランス


試してみて分かったことがある。

一つ、消費魔力がかなり少ない。白兵戦の能力が落ちている今、これに頼らない手はない。

二つ、自身にかけた強化のルーンの効果がやけに高い。
魔法の威力もこれによるところは大きいだろう。

三つ、デバイスがなくともイメージさえできれば魔法は打てる。
この辺は魔術に似てないこともない。


これらの事もあり、遠距離戦闘に関して言えば冬木にいた時よりも強くなっているだろう。


ここまで情報が得られたことでこの訓練を買って出た意味はなくなった。
だとすれば…………




ま、いっちょ遊んでやるか。



「まだいくぞ?アクセルシューター!!」


今度はなのはの嬢ちゃんの技だ。
こいつで逃げていくスターズの二人を攻撃する。が……



「幻影か、やるねぇ」


と、そこへウイングロードを展開したスバルの嬢ちゃんが仕掛けてくる。


「くらえええええ!!!」

が、高度を上げて回避する。ふと、嬢ちゃんのブーツが気になったが、
視界にはこちらを狙うティアナの嬢ちゃん。即回避行動に移る。
だが、攻撃は来なかった。銃の不発で。そいつに気を取られ、既に後ろに迫ってきたエリオへの対応が一瞬遅れた。本気を出せばよけられる。だが、こんなとこですることじゃねえ……なら!


(防御魔法、できるか?)
(No problem.Master.)


そして俺は防御魔法を展開した。




side エリオ




「ホントに大丈夫?エリオ君。かなりスピード出るよ」
「大丈夫、ランスさんやフェイトさんと訓練してるんだ、これくらいなら平気だよ。それに…………」
「それに?」
「槍兵の武器は速さだからね!!」


ランスさんに稽古をつけてもらっていた時に教えてもらった数少ないことを生かすチャンス。二人が引き付けてくれている今しかないんだ!!!


「いくよ!ストラーダ!」
[OK.Master.]



side ティアナ



「うぇ!?不発?」


まさかの事態。しかも最悪のタイミング………


「こんなときに!」


だが、幸運なことにそれを見たランスさんの動きが一瞬止まる。

(エリオ!今!!)


その機を逃さずにエリオに念話を送る。キャロのブーストを受けて強力になったエリオとランスさんがぶつかり合う。
二人が爆煙に包まれる。
が、エリオははじかれて煙から出てきた。


「外した!?」
「いや、違うぜ」


そう私に答えたのは………煙から出てきたランスさんだった。


「参ったね、まさか防御を貫通されるとはな。やるじゃねえか、エリオ」


ってことは………


「おめでとう、みんな合格だよ。それじゃ、一回整列しようか」
「「「「はい!」」」」


整列したところで、


「きゅくる~」
「どうしたの?フリード?」
「そういえば焦げ臭いような……」
「あ~!スバル!あんたのローラー!!」
「え?ああ~!!しまったぁ~、無茶させちゃったなぁ」


見事にショートしていた。実はあたしも人のこと言えないんだけど……


「オーバーヒートだね。あとでメンテスタッフに見てもらおうか。ティアナのアンカーガンも厳しい?」
「はい………騙し騙しです」
「う~ん、訓練にも慣れてきたし、そろそろ実戦用の新デバイスに切り替えかなぁ?」
「「「「新デバイス?」」」」


そんなものまで準備されているなんて、本当に私のような凡人がいていい部隊なんだろうか……
それが気になって仕方がなかった。



side 士郎




「それじゃあ、一旦寮でシャワー使ってからロビーに集合しようか」
「あれ?あの車って………」
「中にフェイトと部隊長がいるな」
「相変わらず目がいいですね…………」


なぜマスターのことをこう呼んでいるかというと、公の場でマスターはどうか、というフェイトの提案によるものだ。

「すっご~い、フェイト隊長の車」
「ありがとう。これはね、地上での移動手段なんだ」
「で、みんな訓練はどうや?」
「あ、あはは…………」
「皆しっかりやってるよ。いつ出動になっても大丈夫」
「そっか……エリオ、キャロ、ごめんね。私は二人の隊長なのになかなか訓練見てあげられなくて……」
「いえ、そんなことは」
「大丈夫です」
「それはそうとランスの姿が見えへんのやけど……」


そういえば奴がいない。いったいどこへ……


「ランスさんなら先にシャワー浴びてくるって寮に戻りましたよ」


む、まさかとは思うが………


「二人はこれからどこかいくの?」
「私は6番ポートに」
「私は教会本部でカリムと会談や。夕方には戻るよ。で………や。士郎。付いて来てや」
「………一応聞くが、拒否権は?」
「あるわけないやろ♪」


奴め、こうなると予想して逃げたな……


(今回は士郎たちの事の説明もせなあかん。ほんとはランスも連れてく手筈やったんやけど……)
(君がそう言った目で見てるのを本人に感じ取られたんだろう。だが、アレは連れて行かない方がいいな。面倒事が増えそうだ。)
(仕方ないか……)


「私はお昼までには戻るから、昼食は一緒に食べようか」
「「「「はい!」」」」
「ほんならはよ乗り、士郎」
「了解だ」
「ほんならいってくるで~」




……………車中……………



「聖王教会騎士団の魔導騎士で管理局本局理事官、カリム・グラシアさんか。私はお会いしたことないんだけど……、はやてはいつから?」
「う~ん、私が教会騎士団に派遣で呼ばれたときで、リインが生まれたばっかやったから…………8年位前かな?」
「そうなんだ」
「カリムと私は信じてることも、立場も、やるべきことも全然違うんやけど、今回は二人の目的が一致したから。そもそも、六課の立ち上げの実質的なところをやってくれたのは全部カリムなんよ?おかげで私は人材集めに集中できた」
「部隊ひとつ作り上げるとは、よほど優秀な人物なのだな」
「信頼のおける上司、ってとこ?」
「仕事や能力はすごいんやけど……上司って感じは全然せえへんのよね。どっちかっていうとお姉ちゃん、って感じやな。レリック事件がひと段落したら紹介するよ。フェイトちゃんもなのはちゃんも気が合うと思うで~」
「そっか、楽しみにしてるよ」


ともかく、マスターがこれだけ信頼しているのだ。
生きたロストロギア認定して永久封印とかはされないだろう………



side スバル



「そういえばスバルさんのローラブーツとティアさんの銃ってご自分で組まれたんですか?」
「そうだよ~」
「訓練校でも前の部隊でも支給品って杖しかなかったのよ」
「あたしは魔法がベルカ式だし、戦闘スタイルはあんなだからね。ティアもカートリッジシステムを使いたいからって」
「そうなると自分で組むしかないってわけ。オリジナルデバイスもちなんて滅多にいなかったから、目立っちゃって」
「あ!それでお二人はお友達に……?」
「腐れ縁とあたしの苦悩の日々の始まりって言って」
「あはははは~。キャロ、髪洗おっか」
「お願いします」
「あたしは先上がってるから」
「「は~い」」


そういえばエリオはどうしてるかな………



その頃のエリオ……


「みんな、まだですかね……」
「きゅくる~」
「女の風呂は長えもんだ。慣れとかねえとそのうち苦労すんぜ?」
「待ち時間にですか?」
「………お前、男だよな?」
「??そうですが……」
「覗きをしないってのか?」
「え、ええ?」
「今度一緒にやるか?」
「へぇ~、ランス君、そんなこと考えてたんだ~。」
「覗きは男のロマンだろ?何言ってやが……」
「な、なのはさん……」
「嬢ちゃん!?」
「はやてちゃんに報告しようか?」
「それだけは勘弁してください!」




…………………


ロビーに行くと仁王立ちなのはさんと土下座するランスさん。
何があったのか聞いてみると……



「ぼ、僕からは何も………」
「みんな、こういうけだものには近づかないようにね。」
「「「けだもの?」」」


一体なんだったんだろうか………




side カリム



書類仕事が終わりに差し掛かったころ、シャッハから通信が入る。


「騎士カリム。騎士はやてとその従者の方がいらっしゃいました」
「早かったのね。私の部屋に来てもらって」
「はい」


はやてが話すべきことがあるって言ったのが今回の従者の人の事なのかしら。


「それからお茶を三つ。ファーストリーフのいいところをミルクと砂糖付きでね」
「かしこまりました」


と、ノックの音。


「どうぞ」



ドアの向こうにはフードをかぶったはやてと長身の男性。
二人とも部屋に入り、フードを取る。男性の容姿は褐色の肌に白髪。あまり見ない異彩の風貌だった。


「カリム。久しぶりや」
「はやて、いらっしゃい。そちらは…?」
「お初にお目にかかる。衛宮士郎という。以後、お見知りおきを」
「カリム・グラシアです。こちらこそ」


お茶が来たところでテーブルについて話を始める。



「ごめんなぁ。すっかりご無沙汰してもうて」
「気にしてないわよ。それより、話があるって彼のこと?」
「そうや。士郎」
「ここからは私が話そう。少しばかり長くなるが………」


そうして彼から聞いた話。彼ともう一人、今の六課にはサーヴァントと呼ばれる存在がいること。魔法とは違う技術、魔術。その担い手であること。
その力の一端を見せてくれるという。


投影、開始(トレース・オン)


彼の言葉の後に出てきたのは見惚れるような刀身を持つロングソード。


「これは彼の騎士王アーサーの持ちし王選定の剣勝利すべき黄金の剣(カリバーン)だ。ガジェットくらいなら一振りで50は切れる」
「すごい………この剣、少なくともSSランクの魔力を感じるわ」
「これが私の魔術。剣を複製することが出来る。そして、」


次の瞬間、剣は粒子となって砕け散った。


「破棄するのも自由自在。敵には絶対に渡らない、というわけだ」


彼の隣のはやてが少しふらふらしている。


「はやて、どうしたの?平気?」
「大丈夫や。少しふらっとしただけやから。で、士郎たちの説明はこんなとこ。これは秘蔵の切り札やから普段はデバイス持って戦ってもらってるよ。で、カリムも話したいことあるんやろ?」
「そうね、これをみてもらえるかしら?」


そう言ってカーテンを閉め、ディスプレイを出す。


「これ、ガジェット………新型?」
「今までの1型以外に2種類………戦闘性能は不明だけど………これ。3型は結構大型ね。本局にはまだ伝えてないわ。監査役のクロノ提督にはさわりだけお伝えしたけど……」
「で、この箱が」
「そう。今日の本題。一昨日づけでミッドチルダに運び込まれた不審貨物。」
「レリック……やね」
「その可能性が高いわ。2型と3型が発見されたのも、昨日からだし」
「ガジェットがレリックを発見するまでの予想時間は?」
「早ければ今日明日には」
「でも、おかしいな。レリックが出てくるんがちょい早すぎるような………」
「だから会って話したかったの。これをどう判断すべきか、どう対処すべきか。レリック事件も、そのあとにおこるはずの事件も、対処を失敗するわけにはいかないもの」


急にはやてがカーテンを開け、ディスプレイを片付ける。



「平気や。カリムのおかげで部隊はいつでも出動可能な状態や。即戦力の隊長副隊長、それに士郎たち。新人フォワードも実戦可能。緊急時に対応できる下地はできてる。せやから、大丈夫や」


自信満々に言うはやて。


「それにいざとなればあのレリックとやらを破壊してしまえばいい」


爆弾発言をした士郎さん。しかしあの剣を見せられた後ならばそれも可能なのではないかと思わされてしまう。
とりあえずは安心していいだろう。


「それにしても、この紅茶、かなりいい茶葉を使っているな」
「あら、おわかりになる?」
「ああ。昔地球のイギリスで執事をしていたことがあってね。その経験で………」


と、そこまで言って彼は言葉を止めた。なぜなら……





ほほう、いいことを聞いた。とでも言いたげな顔をしたはやてがそこにいたからだった。



side ティアナ



「これが……」
「あたしたちの、新デバイス……ですか?」

今までのとは全然違う……


「そうで~す!設計主任、私。協力。なのはさん、フェイトさん、レイジングハートさんとリイン曹長」


「う~ん、ストラーダとケリュケイオンは変化なしかな……」
「うん、そうなのかな……」
「ちがいま~す!変化なしは外見だけですよ」
「リインさん!」
「はいです!二人にはちゃんとしたデバイスの使用経験がなかったですから、基礎フレームと最低限の機能だけで渡してたです!」
「あ、あれで最低限……?」
「ほんとに……?」
「みんなが扱う4機は六課の前線メンバーとメカニックスタッフが技術と経験の粋を集めて完成させた最新型。部隊の目的や個人の個性に合わせた機能の付いた文句なしに最高の機体です!この子たちはまだ生まれたばかりですが、たくさんの人の思いが詰まっています。だからただの道具と思わずに大切に、でも性能の限界までしっかり使ってあげてほしいです」


そんなにすごいものを私に……


「この子たちもね、きっとそう願ってるから」
「ごめんごめん、おまたせ~」
「なのはさん!」
「ナイスタイミングです。これから機能説明をしようとしてたところです」
「そっか、もうすぐに使える状態なんだっけ?」
「はいです!」


そしてシャーリーさんによる機能説明がはじまった。


「まず、その子たちはね、何段階かに分けて出力リミッターがかかってるの。最初の段階だと、そんなに大きな変化はないからそれで扱いを覚えていって」
「で、各自が今の段階を十分扱えるようになったら、私やフェイト隊長。リインやシャーリーの判断で解除していくから」
「ちょうど、一緒にレベルアップしていく感じです!」
「出力リミッター……っていうとなのはさんたちにもかかってますよね?」
「私たちの場合は本人にもだけどね」
「えっ……」
「リミッターがですか?」
「能力限定って言ってね、うちの隊長副隊長はみんなだよ」
「ほら、部隊ごとに保有できる魔導士ランクの総計規模って決まってるじゃない」
「え!え、ええ……そうですね」


スバルの奴、忘れてたわね……


「一つの部隊でたくさんの優秀な魔導士を所有したい場合はそこにうまく収まるように魔力の出力リミッターをかけるですよ~」
「ま、裏ワザみたいなものだけどね」
「うちの場合ははやて部隊長が4ランク、あとの隊長たちは2ランクダウンかな」
「4ランク………八神部隊長ってSSだから……」
「Aまで落としてるんですか!?」
「はやてちゃんもいろいろ苦労してるです……」
「なのはさんは……?」
「私は元がS+だから2.5ランクダウンでAA。だからもうすぐみんなの相手をまとめてはできなくなるかな」
「でも、ランスさんたちってBランクでしたよね?」
「まあ、あの二人はいろいろあるから………」



そう言ったなのはさんは、何かを隠しているように見えた。



「隊長たちははやてちゃん、はやてちゃんは直接の上司のカリムさんか、部隊の監査役のクロノ提督の許可がないとリミッター解除はできないですし………許可は滅多に下りないそうです」
「そうだったんですか…」
「まあ、隊長たちの事は心の片隅に置いておいて、今はみんなのデバイスのこと」
「みんなの訓練データを参考に作ってるから、そんなに違和感はないと思うよ」
「じゃあ、午後の訓練の時にでも使って、微調整しようか」
「遠隔操作もできますから、手間はかからないと思います」
「はぁ~、便利だよねぇ。最近は」
「便利です~」
「スバルの方は、リボルバーナックルとのシンクロ機能もうまく設定できてるからね」
「ほんとですか!?」
「持ち運びが楽になるように、収納と瞬間装着の機能もつけといたよ」
「わぁ~、ありがとうございます!」


そんな時だった。突如鳴り響く警報音。


「これって………」
「一級警戒体勢!?」
「グリフィス君!」


モニターにはグリフィスさんが。


「はい。教会本部からの出動要請です」


と、また別のモニターからは八神部隊長が。


「なのは隊長、フェイト隊長、グリフィス君、こちらはやて」
「状況は?」
「教会本部で追ってたレリックらしきものが見つかった。対象は山岳リニアレールで移動中」
「移動中!?」
「まさか……」
「そのまさかや。内部に侵入したガジェットが列車の制御を奪ってる。車内のガジェットは最低30はいると予想される。大型や飛行型の未確認タイプもいるかも知れん。いきなりハードな初出動や。なのはちゃん、フェイトちゃん、いけるか?」
「私はいつでも!」
「私も」
「スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、みんなもOKか?」
「「「「はい!」」」」
「よ~し、いいお返事や。グリフィス君は隊舎での指揮。リインは現場管制。なのはちゃん、フェイトちゃんは現場指揮。こちらで士郎を先行させとくけど、なるべく急いでや」
「「「「はい!」」」」
「ほんなら……機動六課フォワード部隊、出動!」



side はやて



「シャッハ。はやてを送ってあげて。機動六課の隊舎まで最短で。それと、士郎さんの飛行許可を」
「了解しました。」
「聖堂の裏へ回って。そこでシャッハが待ってる。士郎さんはそこから直接現場の方へ」
「おおきにな」
「感謝する、騎士カリム」
「それじゃ、いってきます」


さあ、初任務や。しっかり立ち回らんとな。



side ランス



今俺たちは問題の現場へ向かっている。が………



(おい、エリオ。キャロの嬢ちゃん、かなり上がってんぞ)
(え?あ、ほんとですね)



これはあれだな。あいつが先行したらしいし、俺もひと暴れさせてもらうか。


「あぶないところがあったら、私やリイン曹長、フェイト隊長がフォローするから」
「ちょっといいか?」
「何?ランス君。」
「嬢ちゃんたちは今回こいつらのフォローに専念してくれ。」
「え!?それは……」
「ま、現場行きゃわかるさ」
「ほんとに大丈夫?」
「安心しろって。」


(しっかし、この事件には裏がありそうだ、一応今のうちにサービスしとくか)



そうして彼は空中に何か文字を書く。


「何してるんですか?」
「なんでもねえ、ただのおまじないさ。」

彼が行ったのは『探索』のルーン。効果はかけた相手の現在の状態を知ることが出来る、というもの。効果時間は1時間。それだけあれば十分だ、と彼は思っていたのだった。 
 

 
後書き
五話です。
カリムとの会談に士郎連れてきました。 
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