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ワンピースの世界に

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13話

ドラムロッキーの頂上にある城にたどり着くと、誰の姿もなく留守だった。

(まだ戻ってないのか・・・とりあえず、暖をとれる部屋に行ったほうがいいよな)

無人の城の中を探索し、ベッドや色々な器具のある部屋を見つけナミを休ませる。暖炉に火をつけ冷えた部屋を暖めていく、部屋の中を物色して時間を潰していると外が騒がしくなってきた。
ルフィとサンジの声が聞こえ『タヌキだ』『ナミさんの栄養にする』と聞こえるから、おそらくチョッパーを追いかけているんだろうと思う。
そして、ここに向かってくる気配を感じる。

(向かってきているのが『Drくれは』か・・・ドクトリーヌだったかな。ドルトンの話じゃあ140歳なんだよな)

バンッと扉が開き、一人のバアさんが入ってきた。

「誰だい?人の家に勝手に入り込んでるのは」
「ああ、すまない。病人がいて、緊急だったんで中で待たせてもらった。(あんたも無断で城を使ってんじゃなかったか?・・・まぁ、いいんだけど)」
「病人?」
「今ベッドに寝かせてある・・・おそらく『ケスチア』に感染したんだと思う」
「なんだって!?」
「俺は医者じゃ無いから、絶対とは言えないが・・・熱が上がり始めて3日目だ」

カイトが答えると、ドクトリーヌはナミに近づき診察を始めた。
ナミから視線を外して、部屋の入口を見てみると角の生えたトナカイが隠れるようにこっちを見ていた・・・体制は反対で体の大部分を晒すように。

「・・・・・・逆だろ」

声をかけると、ビクッとして体を入れ替える。
今度は顔の一部だけ、こちらに晒すように・・・

「今更遅いぞ」
「う、うるさいぞ・・・に、人間」
「・・・俺はカイトだ、よろしくな」
「・・・・・・」
「お前の名前は?」
「・・・チ、チョッパーだ」
「チョッパーか、よろしくな」
「・・・あ、ああ・・・お、お前は・・・俺を見ても平気なのか?」
「なんで?」
「俺は・・・化物だぞ」
「化物?」

自分の事を『化物』と言って俯くチョッパー。
代わりにドクトリーヌが答えた。

「チョッパーは『ヒトヒトの実』を食べたトナカイさ、人の力を持ったね」
「悪魔の実の能力者か(まぁ、知ってるんだけど)」
「ああ・・・私の弟子でもある」
「弟子?」
「チョッパーには、私の『医術』を叩き込んでる」
「って事は、チョッパーお前は医者か・・・凄いな」
「・・・・・・い、医者なんて言われてもうれしくねぇよ、このヤロウがー!!」
「嬉しそうだな」

ニコニコしながら体を揺らしている、チョッパー。
体全体から嬉しさが溢れているチョッパーを見ていると、ナミの診察をしていたドクトリーヌが声をかけた。

「チョッパーこの娘の処置を急ぐよ、間違いなく『ケスチア』だね」
「えっ?・・・その病原菌はもう絶滅したはずじゃ・・・」
「100年程前になくなったと思ったんだがね・・・太古の島の密林を腹でも出して歩いたのかねぇ」
「・・・思い当たることはあるな」
「心当たりがあるのかい?・・・まぁ、いいさ。一応抗生剤は持ってるからね」
「そうか・・・良かった」
「ドクトリーヌ、おれ準備してくるよ」
「ああ」

チョッパーは薬でも用意するのか、部屋から出ていった。

「じゃあ、俺はナミの事を仲間に伝えに行ってくるか・・・」
「表にいた2人も仲間かい?」
「ああ、麦わら帽子の奴が船長だ」
「そうかい。・・・この娘に関しては、あたしに任せておきな。治療費はたっぷり請求するけどね」
「・・・払える限りで頼むよ」

そう答えて部屋を出ると、ルフィとサンジがいる場所に向かう・・・ルフィ達にナミの治療が始まった事とチョッパーが喋る事のできるトナカイで医者だと伝えると、ルフィが仲間にすると宣言し、ほぼ麦わらの一味加入が決定した・・・たぶん。

その後、半日ほどでナミの意識も戻り、軽い会話は出来るようになった。
チョッパーを勧誘するルフィに、逃げるチョッパー。
サンジはナミの為に栄養満点の料理を作り。
カイトとナミはドクトリーヌから、チョッパーの過去の出来事を聞いていた。

『ヤブ医者・Drヒルルク』

(原作で知ったヒルルクは最高に格好良い男だったよな・・・最後のセリフ『まったく、いい人生だった!!』は名言だと思う)

ドクトリーヌの話が終わったと同時に、チョッパーが部屋に走りこんできた。

「大変だ!!!ドクトリーヌ・・・ワポルが、帰ってきた!!!」
「・・・・・・そうかい」

焦るチョッパーに落ち着いて答える、ドクトリーヌ。
そのまま何も喋らずに、部屋を出て行く。
チョッパーもあとを追って、部屋から出ていった。

「ね、ねえ・・・あの二人・・・大丈夫かな?」
「ああ、何も心配ない。ルフィとサンジもいるしな」
「そう、なら安心ね」
「ナミはゆっくり休んで、病気を治せよ。ドクトリーヌにも言われただろ『ここから出るときは死ぬか完治した時だけだ』って」
「うん」

そう言って横になったナミの額に水を絞った、タオルを乗せる。

「ありがとう」
「良いって、このくらい」

飲んだ薬の影響か、横になるとすぐに眠りに落ちていくナミ。
ナミが寝たのを確認し部屋の中で、静かに時間を潰しているとドォンと爆発音が聞こえてきた。

(ワポルが旗に砲撃した音か・・・)

その後、数回の砲撃音の後にルフィの怒りに満ちた声が城中に響き渡る。

「これは『命を誓う』旗だから、冗談で立ってる訳じゃないんだ!!!お前なんかがヘラヘラ笑ってへし折っていい旗じゃないんだぞ!!!」

少しして、カイトはあることを考え始めた。

(あれっ?・・・確か戦いの前にルフィがジャケットを取りに来ると思ったんだが・・・あっそうか、俺が運んだから、自分の上着を着たままなんだ・・・参戦するつもりだったんだけど、怪我してないサンジもいるからいいか)

見聞色の覇気で見てみると、チョッパーとワポルの側近が戦っているのが見えた。
チョッパーは『ランブルボール』を使い、戦いを有利に進め『七段変形』で姿形を変えていき側近をぶっ飛ばし、見事チョッパーが勝利を収めた。
ワポルは戦いの最中にその場を離れ、城の中に入ってきている。

(確かワポルが持ってる鍵が必要なんだよな、ナミを起こしたくないし・・・俺が行くか)

そう考え、部屋から出ると・・・

「き、貴様は!!!」

都合よくワポルが近くにいたので、瞬時に取り押さえ持っている鍵を探す。
途中暴れるワポルの頭を掴み、床にぶつけると大人しくなった為に懐からすんなりと鍵を拝借する事が出来た。

(これが鍵か・・・後でドクトリーヌに渡せばいいか?治療費を請求された時でもいいか)
「カイトーー」
「ルフィか」

鍵を見ながら考えていると、ルフィが走って来る。

「いまコイツと喧嘩してんだ」
「みたいだな」
「コイツはトナカイの敵で、海賊旗を撃ちやがった。絶対にぶっ飛ばしてやる!!」
「俺が手を出す必要は、ないみたいだな」
「ない!!!」

ルフィが言いながらワポルを睨みつける。
床で頭を打った影響か、ヨロヨロと立ち上がるワポル。
フラフラしながら、階段下の扉の前に立つと。

「ここは、武器庫だ!!!ここの鍵は俺だけが持っている、中には大量の武器が「鍵ってこれか?」・・・」

手に持った鍵を見せて聞いてみる。

「・・・・・・まだだ!!!奥の手はまだ1つ残っている!!!」
「あっ、逃げた。待てー!!!」

逃げたワポルを、追っていくルフィ。
ルフィの姿を見送ると、ナミが部屋から出てきた。

「悪いな、起こしたか」
「あれだけ騒がしかったら、目も覚めるわ」
「確かに」
「もう大丈夫なんでしょ?」
「ああ、ルフィが敵を追い詰めに行ったからな」

そう答えたところで、サンジがナミに気が付き走り寄ってきた。

「ナミさん目が覚めたんだね!!すぐに温かいスープを用意するから」
「ありがとう、サンジくん」

ナミに礼を言われたのが余程嬉しかったのか、常人には不可能な動きをしながら厨房に向かうサンジ。
サンジがいなくなったあと、ナミと部屋に戻ると城の上の方で爆発音が響き窓の外を見てみると、何かが凄い勢いで彼方に吹っ飛んでいくのが見えた。

「今の何かな?」
「さあ、たぶんルフィが勝ったんだろうな」
「なるほどね」

その後サンジか作った料理をナミが食べていると、怪我をしたドルトンの治療を終えたドクトリーヌが現れ治療代に船の積荷と有り金全部を請求されたが、ワポルから奪った鍵を渡すことでチャラにして貰い。
退院に関しては医者の立場から拒否されたが、折れないナミを見て諦めたドクトリーヌの指示の通り、戻ってくる前にここから消えることにした。
ナミを連れて外に出て来ると、ルフィがチョッパーを勧誘している場面に遭遇した。チョッパーは断る理由を色々言っていたが、ルフィが一言。

「うるせぇ!!!一緒に行こう!!!」
「・・・お、おおぉーー」

これでチョッパーの麦わらの一味加入が決定した。








チョッパー勧誘から少しして・・・
麦わらの一味全員、ドラムロッキーから離れたメリー号の前にいた。
目の前でチョッパーは空に向かって吠え、ルフィ達は空に咲く『ヒルルクの桜』に目を奪われていた。

「ウオオオオオォォォォォ・・・ウオオオオオォォォォォ」

そしてルフィの声でみんな船に乗り込み、元ドラム王国を後にした。



出航した船の上では、新しい仲間そして船医トニートニー・チョッパーの歓迎の宴が開かれその途中にゾロが口を開いた。

「カイト、ナミの病気も治ったことだし・・・ハキだったか?・・・それについて教えてくれ」
「そうだったな」

ゾロとカイトの言葉に『覇気』知っているルフィ、サンジ、ウソップはカイトを見ている。
知らないナミ、ビビ、チョッパーは首を傾げていたが、ゾロとサンジがドラム王国に着く前に見た事を説明する。

「「・・・・・・・・・」」
「カイトって、凄いんだな」

ナミとビビは信じられないと、チョッパーは目を輝かせながらカイトを見ている。

「まぁ、覇気って言うのは3種類あるんだけど・・・見聞色、武装色、覇王色の3つがある」
「「「・・・・・・・・」」」
「俺が師匠に教わったことを伝えても、まだ理解できないだろうから・・・見せる方が早いだろう」

そう言って、みんなから離れた場所に移動する。
カイトは自分の目に布を巻き、目隠しをすると

「ルフィ、ゾロ、サンジ何処からでもいいから攻撃をしてくれ・・・本気でな」
「「「なっ!?」」」

カイトの言葉に、全員が驚いたように声を上げる。

「言っただろ、口で説明するよりも自分で見たほうがいいと」
「本気でやっていいのか?」

ルフィが聞いてきた。

「ああ、そうじゃないと意味がないからな」
「わかった。・・・ゾロ、サンジやるぞ」
「・・・ああ」
「後悔させてやるぜ」

ようやくゾロとサンジもやる気になったようだ。

「今から見せるのは、見聞色の覇気だ・・・いつでもいいぞ」

そう言うと3人が一斉にかかってくる。
ルフィは顔を殴りに、ゾロは腹の辺りを切りに、サンジは体制をかがめて足を狙ってきた。
向かっていく3人も、見ていた4人も全員が当たると思っていた・・・
だが、カイトは何事もなく3人の攻撃を避ける。

「「「えっ!?」」」

3人は驚きの声を上げ、動きが止まった。

「驚いてないで、ドンドン来いよ」
「・・・・・・・」
「クソッ」
「舐めやがって」

カイトの挑発に3人は向かっていくが・・・攻撃が当たらない、全てが避けられる。
数分間、カイトは3人の攻撃を避け続けた。拳を斬撃を蹴りを。

(もういいか)

ゾロの斬撃を親指と人差し指で受け止め、サンジの蹴りを右腕で掴み。

「ルフィは俺を後ろから、右足で蹴ろうとしている」
「えっ・・・なんでわかるんだ!?」
「ここまででいいだろ」

そう言って掴んでいた、刀と足を放して目隠しを取る。

「相手の気配をより強く感じる力、これが見聞色の覇気だ。これを高めれば目で見なくても、敵の位置や数さらに次の瞬間何をしようしてるのかを読み取ることができる」
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

全員が固まったように動かずに、呆然とカイトを見ている。

「・・・・・・次の説明をしていいか?」
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」

全員が無言で頷く。

(まぁ、始めてみたら驚くか・・・)
「次が武装色の覇気だな。これは見えない鎧を纏ったようなイメージをするんだ、当然硬い鎧は攻撃力にもなる。これの有効なところは悪魔の実の能力者にもダメージを与えることができる」

ルフィの額にデコピンを食らわせる。

「痛てぇ!!!」
「悪魔の実の能力者に対して弱点を突く以外には、この武装色の覇気がこの世で唯一の対抗手段だ。自然系の流動する体も実体としてとらえる事ができる、当然俺にもな・・・で、最後に覇王色の覇気だな」

ルフィ、ゾロ、サンジを一通り見て

「三人とも気を抜くなよ」
「「「っ!?」」」

カイトから衝撃が走り、3人を貫く。
3人とも意識は保っているが、甲板に座り込んだ。

「「「ハァハァ・・・」」」
「今のが相手を威圧する力、覇王色の覇気だ」

原作知識とレイリーに教わった事を、皆に説明していく。
そしてアラバスタに居るクロコダイル。
その能力についても伝えると、ルフィが自分がぶっ殺すと宣言する。
カイトはルフィに、クロコダイルの弱点は水であり戦闘は手足を濡らして戦うことを伝え、まだ覚えてないであろう『ギア』についても提案してみた。
ゴムの体をポンプにして血液促進でドーピング効果を説明し、ルフィにぴったりの技に試してみると一発目で成功したが、すぐにスタミナ切れでダウン・・・

(いきなり成功とか、主人公補正とかあんのかな?・・・スタミナアップはこれからの課題だな)

アラバスタまで、もう少し・・・まぁ何とかなるだろうと思い、手に持った酒を一気に飲み干すカイトであった。



 
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