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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第七章 歌姫
  第7話 開催

 
前書き
どうも、ラーフィです。

えー……突然ですが、このとある3人のデート・ア・ライブをしばらく凍結したいと思います。

理由としては、受験勉強云々で色々忙しいからです。6月中旬をメドにまた復活したいと思っております。

唐突で本当に申し訳ないですが、何とぞご理解願います。

そんなわけで今週は一気に4話投稿します!!この第七章 歌姫を終わらせてキリよく凍結したかったので(笑)

最初で最後の試みかもしれませんが、よろしくです!

ではでは〜 

 
『これより、第ニ五回、天宮市高等学校合同文化祭、天央祭を開催いたします!』

天井付近に設えたスピーカーから実行委員長の宣言が響くと同時に各展示場が拍手と歓声に包まれた。

士道が辺りを見回すと、たこ焼き、クレープなどの模擬店が展開されている。

だが、士道たち来禅高校の必勝策はそんな生易しいものではなかった。

それは、士道の背後に聳え立っている看板が示していた。



『メイドカフェ☆RAIZEN』



そして、そこには

十香「おお、ひらひらだな!」

フリルいっぱいについたエプロンの裾をつまんでひらひらさせながら笑う十香や、

耶倶矢「ぷ、くく……士道、お主の格好もなかなか似合うではないか」

夕弦「不覚。失笑を禁じ得ません」

士道の姿を見て含み笑いを漏らす、十香と全く同じ格好をした耶倶矢と夕弦がいた。

そして、それは士道も。

彼は、今完璧なメイドさんなのだ。

士織「……なんで、こんなことに」

女子高生の制服も大概だが、さすがに士道もメイドさんのコスプレをする日がくるとは思ってなかっただろう。

ちなみに耶倶矢と夕弦は、本来なら劇の裏方なのだが、本命の出し物を前に裏方ではもったいない、と推薦がきたので今はこうしてメイドさんになっている。

っていうか、良く許可が下りたなこれ。

上条「頑張れよ」

背後から肩をポンと叩かれたと思うと、そこにはエプロンをつけた上条がいた。

士織「あれ、上条はどこの出し物担当なんだ?」

上条「メイドカフェの隣の模擬店さ。たこ焼きや焼きそば出してるんだ」

士織「……あれか、料理スキルを買われたカンジか」

上条「まあな」

じゃ、と一言残して彼は隣のクラスへと入っていった。



この優遇の差はなんだろう。



とか思いつつくるんと教室の方を向くとそこには同じ格好をした亜衣、麻衣、美衣も見受けられた。

亜衣「どーしたのよ看板娘。ほら、そろそろお客さんくるからしゃんとして」

言って、ビシッと親指を立ててくる。

士織「は、はい。頑張ります」

派手にやってほしいとついでに頼まれたがそれはそれで士道の心がズタズタになるだろう。

そんな士道の気持ちなど知る由もなく、メイドカフェは徐々に賑やかさを増していった。



ーーーー
ーーー
ーー



メイドカフェがオープンしてしばらく経ち、賑わいがようやく落ち着いてきた時のことだった。

「なかなか調子がいいみたいじゃないかシン」

前方から眠たげな声が聞こえたかと思うと、〈ラタトスク〉の解析官兼、士道たちのクラスの副担任の村雨令音がいた。

その横に、麦わら帽子を被った可愛らしい少女と杖をついて歩く白髪の男ーー四糸乃と一方通行もそこに。

四糸乃「あ、あの……」

一方「……よォ」

よしのん『いや〜、あの時見てから思ってたけど、いっそのこと女の子になっちゃえば?」

士織「四糸乃に……一方通行!?」

一応誘ったには誘ったがメイド姿になっていることは知らせていなかった。

一方通行は相変わらずだったが四糸乃は彼の姿を見てぎこちない笑みを浮かべて、そして言った。

四糸乃「えっと……そ、その……可愛いですね」

士織「ああっ!やめて!優しい言葉をかけないでっ!!」

士道のメンタルは着々と削られていく。

それでも一応来てくれたので自分がやっているメイドカフェへと案内する。一方通行は少し戸惑っていたが今日の仕返しとして(無理矢理)入ってもらった。

令音と四糸乃と一方通行がカフェ内に入ってから数分後、何やら辺りがざわつき始めた。

士織「ん?」

上条「あれ、なんの騒ぎだ?」

隣のクラスで厨房係りの上条も気になって出てきたらしい。

さわぎのする方を見ると、明らかにそこだけ人口密度が高かった。テレビカメラを抱えた撮影クルーまでもが見える。

その集団の中心には悠然と歩いてくる彼女がいた。

士織「誘宵美九……」

上条「……来たか」

二人はちいさな声で発する。因縁の相手に出くわしたように。

その彼女もこちらの存在に気付き、ゆったりとした足取りでメイドカフェへと近づいてきて、士道と上条の前に立つと、にいっと唇の端を上げる。

美九「おはようございます士織さん。随分とご盛況のようですねー」

士織「……それはどうも。そっちほどではないけどな」

美九「上条さんも。そちらもかなり人気みたいですねー」

上条「まあ飲食店だからな」

それと同時に周囲に集まっていた人たちがざわつきだす。恐らく大の男嫌いの美九が上条と話しているのに驚いているのだろう。

明らかに敵対した顔をしている士織と共に、テレビカメラが三人を交互に撮り始めた。

……落ち着かない。

美九も鬱陶しげに首を回すと、周囲のテレビクルー達に言った。

美九【邪魔です。どこかへ行ってください】

そう言った瞬間、テレビクルーだけでなく美九の取り巻きもどこかへ行ってしまった。

美九「ふう、これで落ち着きましたね」

先ほどまでのざわつきは打って変って静かになった。もちろんメイドカフェ内などからは楽しそうな話し声は多少聞こえるが。

一方「オイ、今の声は何なンだ?」

メイドカフェから出てきた一方通行はかなり不機嫌そうだった。まあ入った場所が場所なので仕方がないが。

彼が横をチラッと見て美九の姿を確認すると、チッと小さく舌打ちし、上条に話しかけた。

一方「上条、こいつが誘宵美九ってやつか?」

上条「あぁ」

美九「……何ですか?気持ち悪いんでさっさとどこかへ行ってほしいんですけど」

一方「こっちだってテメェ″ごとき″を相手にしてる時間はねェンだよ。ちょいと確認しにきただけだ」

美九「……」

これがアニメなら美九と一方通行の間に火花が散っていることだろう。

一方通行がカフェ内へと戻ろうとするとき、美九がイタズラ好きの子供が遊びを思いついた時のような顔をしたかと、またあの『声』を発した。

美九【そこに(ひざまず)きなさい】

普通の人間ならここで跪く。

だが。





一方「……お前って、可哀想な人間だよなァ」







ただ、それだけだった。

美九「……!!?」

驚愕の色を隠せない美九を無視するかのように一方通行はカフェ内へ戻っていった。




三人目だった。

『声』が、効かなかったのは。





美九「……まあいいですけどぉ」

当初の目的を思い出した美九は士織の方を向いた。

美九「士織さん、舞台までまだ時間がありますから私とデートしましょう!」

士織「でー……と?」

美九「ええ。駄目ですかー?」

士織「いや、それは……」

士道が助言をもらうべく上条の方をチラッと見ると、彼はこちらに背を向け、手をひらひら振りながら店内に戻って行っていた。

つまり、『頑張れよ』ということか。



あぁ、恨むぞ上条。



ーーーー
ーーー
ーー



「実際こうして会うのは初めてですよね」

「……」

陸上自衛隊駐屯地第二格倉庫にて、二人の人物が会話していた。

一人はASTに所属している、来弾高校の生徒でもある鳶一折紙。

そして、もう一人はーー

折紙「……いい加減その変装を解くことを要望する」

「さすがに分かっていましたか。さすが、私が見込んだ人物です」

右手の指をを左方顎に当て、一気に右上に持っていくように、上から被せられていた変装を解く。

ビリビリという音と共に見えたのは茶髪の髪に整った顔立ち。いわゆるイケメン顔。



それは昔のままの垣根提督だった。



『全てを壊す』一方通行とは真逆の位置にいる、『全てを創り出す』能力、『未元物質(ダークマター)

そして、学園都市Level5の現第2位でもある。

垣根「私の名前はもうすでにご存知ですよね?」

折紙は無言でコクっと頷く。

垣根「では、本題に入りましょう」

彼は話した。

ジェシカ達ーーDEMインダストリー社が、〈プリンセス〉夜刀神十香、五河士道、上条当麻を標的にしていることを。

折紙「士道……っ!」

垣根「もうすぐ学園都市のLevel5がこの街に集結します。それにジェシカ達の行動もありますし、そしてあの誘宵美九が暴れれば……どうなるか分かりますよね?」

折紙は唇を噛み締めた。

どうなるかなんてすぐに分かる。

少なくても、タダでは済まないことぐらいは。

垣根「協力、してくれますか?」

折紙「……あなた達のところのLevel5がどうして来るのか分からないけど、今はあなたを信用する。私はどうしたらいい?」

垣根「ありがとうございます。ではーー」

こちらも、着々と事が進んでいた。




ーーーー
ーーー
ーー



だがこちらでは最悪の状態だった。

士道(士織)と美九がデートをした時のこと、士道は美九にこう言ったのだ。

『人間を舐めるなよ?何もかもがうまくいくと思ったら大間違いだ』

それに美九はこう答えた。

『じゃあ、試してあげましょうかー』

最初は言ってる意味が分からなった。

だが、その真意は数時間後、嫌というほど思い知らされた。

亜衣、麻衣、美衣が突然、ステージに出るのをやめると言い出したのだ。

理由は美九に『お願い』されたから。

精霊の加護を持った士道でさえ意識を乱されかけた『声』である。普通の人間があんな至近距離で囁かれたなら、常人である三人が抗うのは不可能だろう。

折紙とも全く連絡がとれないのだ。

士織「琴里、どうすれば……」

全ての事情を話した士道はインカムから聞こえる言葉に耳を傾けていた。

琴里『なるほどね。ならばこっちも本気で行かせてもらうわ。そっちに補充要員送り込むから合流してちょうだい』

士織「で、でも来弾高校の生徒じゃないってバレたら……」

琴里『バカね。私がなんとかするって言ってるのに心配するなんて、士道も偉くなったものね。でもあっちが先に仕掛けてきたんだから、こっちだって遠慮なくいかせてもらうわ』

士織「ちょっ、あんまり手荒なことは……」

と、琴里に言いかけたところで後方からぐいっと手を引かれて身体の向きを変えられた。見やると、それが十香の仕業だとすぐに分かった。

士織「な、なんだよ十香?」

十香「うむ。美九のステージが始まるらしいぞ」

士織「美九の……」

琴里『せっかくだし、敵の実力を見て来なさい。どうせここでうずうずしてても意味ないんだし』

士織「……そうだな」

士道は十香と一緒にスタッフが待機している、ある意味特等席のところへ行った。

それと同時に照明のライトが落とされ、カツ、カツとヒールの音が響いていった。




そして、



曲が流れ始めた。










 
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