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エターナルトラベラー

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第十九話

………

手元には天地両方の巻物。

「アオ」
「ど…どうするの!?」

俺達は今演習場へと入るゲートの外で、開始の合図を待っている。

「…どうしようか」

すでに俺達が巻物を持っていることは試験官によって皆に通達されている。

入場ゲートの位置も。

少しでも腕に覚えのあるヤツなら開始と同時にこちらにやってくるだろう。

「紅先生との鬼ごっこの時みたいに影分身と絶を使って一気に塔を目指す?」

ソラがそう提案する。

「でも、見つからない保障は無いし。野生動物も…」

と、ヒナタ。

「影分身はするとして、陸路は危ない」

「じゃあ、どうするの?」

ヒナタが不安そうに聞き返してきた。

俺はそれを聞いて人差し指を上に向けた。

「上?」

「いや」

「なるほど空ね」

「へ?」



試験開始後、俺達は影分身を囮にして空を飛んでいた。

ヒナタは俺が背負っている。

「ちょ!空を飛べるなんて聞いてない、て、きゃあ、高い!」

「暴れると落ちるよ!お願いだから動かないで」

俺とソラはソルとルナを起動して、フライの魔法を使用。

見つからないように高高度まで上昇して塔を目指していた。

「うぅーーー、それにいつも首から下げている宝石が喋って斧になるなんて…私は夢でも見てるのかな」

あ、ついに現実逃避を始めた。

でも最近思います。

ソラとヒナタ、声だけだとどっちがどっちかわからないと。

是非その声で「いくよ、バルディッシュ」とか言って欲しい。

まあ、暴れなくなって都合がいいや、今の内に塔を目指すか。

30分ほど空を飛び、塔の直前100メートルほどに着地、そこから走って入塔する。

そして巻物を開く。

「……早いな、こんなに早く到着するとは思わなかったぞ」

現れたのは顔も知らない先輩中忍。

「しかし二次試験は無事通過だ。後五日、此処でのんびり過ごしてくれ」

「あの!勿論寝泊りできる部屋と食料は有るんですよね?」

「………合格、おめでとう」

ポワン

それを言い残し先輩中忍は還っていった。

「おーい…」

「大丈夫、何とか成るよ」

「そうだよ」

ヒナタとソラの心使い。

しかし何の解決にもなってないのですが…

とりあえず俺達は塔を出て、近場で食べれそうな動植物を狩りに行くのだった。



五日後。

結局どうやら下忍の同期は全員この二次試験を突破したようだ。

ボロボロな皆から凄い目で見られている俺達。

…まあ、無傷だしね。

きっと旨い事逃げやがってとでも思っているんだろう。

実際逃げたもの。

空路を…

そして今、火影以下、試験官とそれぞれの担当上忍が現れ、火影がこの試験の本当の意味について語り出す。

他国の忍びとの合同で行うこの中忍試験とはいわば同盟国間の戦争の縮図なのだそうだ。

火影のありがたい話もおわり、三次試験の説明というところで第三次試験の予選を行う事になった。

通過人数24名。

多すぎるらしい。

帰還する者はいないかとの試験官の問いに眼鏡の木の葉の下忍が手を上げ、リタイア。

もう一人、キバとシノのチームメイトであった脇野エイコもここで辞めて置くらしい。

なんでも死の森で格の違いを見せ付けられ、忍者として生きていく事を見直すらしい。

それほどショッキングな事があったのか?

まあ、俺も目の前で人がむごたらしく死ぬ状況を目の当たりにして平静でいられる自信は今のところ未だ自信はないのだけど。

忍者をやっていればその内慣れてしまうのだろうか…

三次試験予選だが、一対一の対戦で勝ったほうが三次試験に進めるらしい。


その後、試合は順調に消化されていく。

第一試合から。

ウチハ・サスケVSアカドウ・ヨロイ  勝者 うちはサスケ

アブラメ・シノVSザク・アブミ 勝者 油女シノ

ツルギ・ミスミVSカンクロウ 勝者 カンクロウ

と来て、遂にソラの試合。

カミサキ・ソラVSハルノ・サクラ

「悪いわね、ソラ。勝たせてもらうわよ。死の森をシードで突破した貴方なんかに、死の森で覚悟を決めた私に敵うわけ無いわ」

「ええっと…」

サクラの気迫に困惑気味なソラ。

「それでは始めてください」

分身の術を使用し、2体の分身と共にソラに襲いかかるサクラ。

しかしソラは避けるでもなく『纏』でオーラを纏いその攻撃を受けた。

「何で!?」

ノーダメージで受け止め逆にサクラのデコにデコピン一発。

オーラを微弱ながらも纏ったその一撃は容易にサクラを吹き飛ばした。

「勝者、神咲ソラ」

「今、何をしたかわかるか?」

ガイ先生が近くにいたカカシ先生に問いかけた。

「いや、俺には普通に攻撃を受けてデコピンをしたようにしか見えなかったが」

「そうだよな。紅はどうなんだ?お前の班だろう」

「いえ、私も詳しくは知らないわ。しいて言えば、あの子達が異様に打たれ強い事くらい」

「打たれ強いね」

さら試合は進む。

テンテンVSテマリ 勝者 テマリ

ナラ・シカマルVSキン・ツチ 勝者 奈良シカマル

ウズマキ・ナルトVSイヌヅカ・キバ 勝者 うずまきナルト

主人公がこんなところ負けるはずは無いね。

俺達がいる事でどうなるか解らなかったけれど良かった。

そしてヒナタの番。

ヒュウガ・ヒナタVSヒュウガ・ネジ

2人がマウンドで対峙する。

「では試合を始めてください」

試合開始を宣言する試験官

試合開始の合図と共にネジはヒナタを糾弾する。

戦う事に向いていないから棄権しろ、と。

しかしこれは精神攻撃といっても良いのではないだろうか。

その後も精神攻撃は続く。

この試験に参加したのもチームメイトの誘いを断れなかったからだろうと。

「ち…ちがうよ?アオくん達は私に参加の有無を決めさせてくれたよ。私は自分で選んでここに居る。この中忍試験を受けて、ネジ兄さんが言うような自分を変えたくて…」

ヒナタの精一杯の抵抗。

しかしそれからさらにぐちぐちと、人は変わりようが無いとか、分家と宗家が変えられないように、とか。

何か最後の方はただの愚痴になっていたけれど。

そんな、言い合いに俺とソラは口を挟むことは出来ない。

分家以上に俺は使用人の立場ですから分家の人間ですら俺達の遥か上なのですよ。

自分を変える事など出来ないと言い切ろうとしたネジの言葉に被せるように突然ナルトの大声が会場を響き渡った。

ナルトの声援でどうやらヒナタは気を持ち直したようだ。

「逃げたくない」

そういったヒナタの目には強い意思の輝きが宿っていた。

「………ネジ兄さん、勝負です」

「いいだろう」

同じ構えを取る二人。

同じ流派なのだから仕方ない。

激突する2人。

繰り出す掌手をネジは華麗にいなしていく。

それでも表面上はヒナタが押しているように見える。

しかし…

「ゴホッ」

ネジの一撃がヒナタに入り吐血する。

「やはりこの程度か、宗家の力は」

それを聞いても負けじヒナタは左手を突き出す。

しかしその攻撃もネジには見切られ逆に左腕の点穴を突かれチャクラの流れを阻まれる。

「ま…まさか最初から…」

「そうだ、俺の目はもはや点穴を見切る!」

その後ネジはヒナタを突き飛ばし、勝ち誇ったように言う。

これが実力の差だと。

「これが変えようの無い現実…」

肩で息をしているヒナタ。

さらにネジは言葉を続ける。今のヒナタは後悔しているはずだ。だから棄権しろ、と。

「…私は…ま……まっすぐ…自分の…言葉は…曲げない。曲げたくない!」

よろよろと立ち上がり、ネジを見据えて高らかに宣言する。

「私も…それが…それが忍道だから…!」

それから勢い良くヒナタは俺の方を向いた。

「アオくん!使っていいかな」

何をとは言わない。

俺はコクンと頷いた。

「ありがとう」

別に俺は使用を禁止してないんだけど…

「今更なにをする気だ」

「すぅ……練!」

一気にオーラを開放するヒナタ。

そしてついでに『快適空間(ジャグジー)』を発動して左腕を包み込む。

すると閉じていたはずの点穴が徐々に開いていく。

「な、なんだそのチャクラは。そしてその左腕を包んでいるのはなんだ!」

「ん?なんだ、何か見えるか?カカシ」

「写輪眼」

カカシ先生は写輪眼を発動してその光景を眺める。

写輪眼はチャクラの動きを見る事が出来るから気づくかもしれない。

「大量のチャクラをヒナタの体の外を囲っている。それから左腕に、なんだろうシャボン玉かな?みたいなのがヒナタの体を癒しているように見える」

「見えるか?紅」

「いいえ。チャクラの圧迫感は感じるけれど…」

ヒナタは左手を癒していた『ジャグジー』を消す。

「ネジ兄さん。此処からは日向家宗家の私ではなく、ただのヒナタとして戦います」

「どういう事だ?」

「日向の技では私はネジ兄さんを倒す事は出来なかった。でも今の私は違います」

ヒナタから溢れるオーラに気おされるネジ。

「此処からは私の持てる総てを出してネジ兄さんと戦います」

そう言って日向は構える。

「行きます」

地を蹴り、一気にネジとの距離を詰める。

「はぁっ」

「速い!」

ネジが間一髪でヒナタの連撃をかわし、距離を取る。

「ぜぇ、はぁ。………食らったらやばそうだ。かわし続けるのも難しい。ならば」

ネジの構えが変わる。

いつか見た八卦六十四掌の構えだ。

「かわせないなら攻めるまで!行くぞ」

一気に距離を詰めるネジ。

「『総てを包み込む不思議な風船(バブルバルーン)』」

ヒナタは自分から半径一メートルほどの所にゴム風船のようにしたオーラの膜をはる。

「二掌、四掌、八掌」

どんどん繰り出されるネジの猛攻。

しかしその総てはバブルバルーンにその軌道をずらされヒナタに当てられない。

「六十四…」

そこまで言った時にネジの目の前にヒナタのデコピンが迫る。

「ぐぉ!」

そしてヒナタの放ったデコピンがネジに命中。

吹っ飛んでいって気絶した。

試験官がネジに近寄り失神を確認。

「勝者、日向ヒナタ」

「やったてばよー!ヒナタ!」

「ナルトくん」

ナルトの声援に赤くなるヒナタ。

「かっちまいやがった」
「しかもデコピンで…」
「何なの?あのチームのデコピンは人を軽々とふっ飛ばしてるわよ!?」

木の葉の下忍たちが騒ぎ立てている。

いやまあ、ね。

念での攻撃に生身は余りにも無防備だ。

この世界ではチャクラは体の内側に練るものなので、オーラでの攻撃をオーラで防御できない。

故に凄まじい威力になってしまうのだ。

まあ、ヒナタも加減したみたいだし、ネジも死んではいないだろう。

とことことこっちに歩いてくるヒナタ。

「勝利おめでとう」
「おめでとう」

俺とソラが賞賛の言葉を送る。

「う、うん。でも柔拳では手も足も出なかった」

「そうだね。才能もあるけど本人もそうとう努力したんだろうよ」

「…うん」

「まあ、いいじゃないか。これで三次試験に出られるんだから」

「そうかな…」

「そうだよ」

「そっか…そうだよね」


次の対戦カードが電光掲示板に映し出される。

「えっと次は」

カミサキ・アオVSロック・リー

…俺ですね。

対戦相手はなんかおかっぱゲジ眉の濃い少年。

俺はマウンドに移動する。

「アオーがんばれー!」
「アオくんがんばって」

美女2人からの声援。

周りの男から嫉妬の視線が集中する。

う…おなか痛くなってきたよ。

「あなたがボクの対戦相手ですね。お互い全力で頑張りましょう」

そう言って握手を求めてくるリー。

それに応えつつ考える。

コイツはパワーファイターだな。

何ていうか見るからに?熱血そうだし。それに格好が青色三号さんですし…。

こういうやつには幻術が一番効きそうだな。

「試合開始してください」

試験官がそう言って遠ざかっていく。

速攻で幻術を…って、うぉ!

「木の葉旋風」

開始の合図のあと、俺が印を組もうとしていた所に逆に体術で速攻を掛けられた。

間一髪で俺はその蹴りを『堅』でガードする。

その後も続けざまに攻撃を仕掛けられる俺。

まずい、段々速くなっていく。

このままではヤバイ、俺は写輪眼を発動してリーの動きを追う。

『堅』で防御出来ているのでダメージはさほど無いけれど、その速さに翻弄されて反撃が出来ない。


「む?」

変な手ごたえにリーは俺から距離を取る。

俺は距離を置いたリーに目掛けて「火遁・炎弾の術」で牽制

それはダメージを与えられる物ではなかったが、地面に着弾したソレが粉塵を巻き上げる。

「なに?」

リーは一瞬視界がさえぎられてたたらを踏んだ。

隙が出来た今がチャンス。

俺は印を組み幻術を発動。

「魔幻・樹縛殺」

「うっ」

どうやら成功したようだ。

「リー!!」

外野で吼えるガイ先生。

声援かもしれないけれど、それはある意味妨害じゃね?

幻術が解けたらどうするんだよ!

動きを止めたリーの額に俺は念を最小限で強化したデコピンを放つ。

ドコンッ

その衝撃で完全に意識を奪う。

試験官が確認して俺の勝利を宣言する。

「勝者、神咲アオ」

「よし」

「アオー」
「アオくん」

俺の勝利を喜んでくれるソラとヒナタの声にまたしても嫉妬の視線が。

観客席に戻ると木の葉の同期が話しかけてくる。

「ちえ、8班は全員三次試験出場かよ」

「しかも全員デコピンでKO」

「おまえら一体どんな修行しているんだ?」

と、シカマル、チョウジ、キバから話しかけられた。

それを適当にいなして俺は次の試合に眼をやった。

ガアラVSヤマナカ・イノ

心転身の術が効かなかった為にイノがすぐに棄権して 勝者 ガアラ

アキミチ・チョウジVSドス・キヌタ 勝者ドス・キヌタ

こうして三次試験の出場者が出揃った。

予選が終わると火影から本戦の説明があった。

その説明によると本戦は一ヵ月後、その間は本戦の準備期間に当てられる。

その後くじを引き、本線のトーナメント表が決まった。

俺、くじ運無いかも…

俺の一回戦の対戦相手…ナルトだよ…

「ぜってー負けねーってばよ」

なんて別れ際に言われたけれど…ストーリー忘れた俺でもわかる事がある。

俺が勝っちゃいけないじゃん…

それとヒナタの一回戦の対戦相手はソラだった。

「あう…」

同士討ち同然の組み合わせにヒナタは困惑気味だった。

二次試験を終えて俺達はそれぞれその場所を後にした。
 
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