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恋姫†袁紹♂伝

作者:masa3214
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第4話

 
前書き
残酷描写有り 

 
―――その日は雲一つ無い晴天だった









 袁紹の側近となった顔良と文醜の両名と出会ってから早数ヶ月、あの日から三人は共に勉学や鍛練を行い。常に三人でいることが日常となってきていたある日

「今日は街を散策しようではないか」

「街を…ですか?」

実は袁紹はあまり街を散策したことがない。それもそのはず仮にも『袁家次期当主』なのだから、今まで街に出かける時は沢山の護衛を伴っていたため、一度も満足に見て回った事が無いのだ。

「で、でも私達だけでは危険ではありませんか?」

実力はあるものの彼ら三人はまだ十歳、常識人の斗詩からしたら当たり前の疑問であったが

「大丈夫だって斗詩ぃー、アタイが守ってやるからさ!」

「左様、我等三人の力があれば左程危険はあるまい」

楽観視する猪々子に、めずらしく賛同する袁紹。彼にはこの三人ならば例え百人の賊に囲まれても突破出来る自信があり、実際毎日のように袁隗による地獄の特訓を切り抜けてきた三人にはその実力もあった。

「ほらほら斗詩、はやくしないと飯屋が閉まっちまうよー」

「いや、別に食べ歩きをしにいくわけでは…まぁいいか、で斗詩はまだ心配か?」

「いえ…、大丈夫だと思います。すいません出過ぎたこと言ってしまって」

「別にかまわぬ、我の器は大きい故なフハハハハハ!」

余りにも堂々とした主君と親友の言葉にさすがの斗詩も心配のしすぎだと内心自分を諌めた。



………
……





「うわー、相変わらずすごい人だかりだなー」

「これ猪々子はぐれぬようきちんと付いて来ぬか、斗詩足元に気をつけよ」

「は、はい」

街に来た三人は袁紹を先頭にして歩いていた。その間にも二人に気を掛けていたのだが  「あれ?私達が護衛じゃ…」と斗詩が何かに気が付き始めたところで猪々子が屋台を発見し

「麗覇様、あれ絶対おいしいですよ!」

と、今にも涎を垂らさん勢いで詰め寄ってきたため、急遽買い食いすることとなった。
が、中々に好評な屋台のようで長蛇の列が出来ており、「麗覇様、いまこそ袁家の威光を!」と猪々子が冗談なのか本気なのかわからない(おそらく本気)提案をしてきたので軽く小突いた後袁紹達三人はおとなしく列の最後尾に並ぶこととなった。

「うがーっ!全然進まないじゃんか!」

「少しは我慢しなよー」

「だってさー『腹が減っては良い草は出来ない』って言うじゃん?」

「…それを言うなら『戦』だ、大体―――ん?」

会話をしながら列が進むのを待っていると、袁紹の視界の端に気になるものが映った。 それは人ごみにまぎれ女性の口を押さえながら人気の無い路地へ入っていく二人の男の姿

「………」

女性は暴れていたにもかかわらず、周りの人間に彼女に気が付いた様子の者はいなかった。 それか気が付いてなお見てみぬふりをしているのか…あるいはその両方か、どちらにしろ袁紹の中にはそんな選択肢は存在しなかった

「所用が出来た、猪々子我らの分も買っておいてくれ斗詩―――ついて来い」

「がってん!」

「え、どうかしたんですか?麗覇様」

急な話題転換に驚き、返事をした猪々子とは違い斗詩は疑問を問いただそうとしたが―――
一刻の猶予もないかもしれぬその状況に説明を放棄して走り出す袁紹、そして少し遅れて斗詩が付いて来た。

………
……


薄暗い路地裏の袋小路になった場所に着くとそこには、女性に跨り組み敷く大きな男とそれを近くで見ている大男の仲間であろう小柄な男が居た。
 組み敷かれている女性に目をやると服がはだけており、おそらく抵抗した時のだろう殴られた跡があった。

「あなた達…、なにしてるんですか」

目の前の状況から今までの経緯を察しさらにこの後おきるであろう悲劇を察した斗詩は、普段の様子から一変し怒りを露にし低い声で男達に問いかける。よく見るといつの間にか抜刀していた

「っ!?なんだガキじゃねぇか、驚かしやがって…」

「ここはガキの来るとこじゃないぜぇ?」

「馬鹿野郎!、衛兵呼ばれる前に始末するぞ!」

「え?、でもまだガキ…わかりやした」

袁紹と斗詩の姿を確認すると大男は一旦組み敷いていた女性から離れ立ち上がり剣を抜いた。女性ははだけた服を直しながらこちらに心配そうな視線を送ってきたが、袁紹は「安心しろ」と言わんばかりに目を合わせた後抜刀した。

「斗詩、お前は左のチビを…『俺』は大男を相手する。殺すなよ?、生きて罪を償わせる。」

「はい!」

初めての実戦を前にして気が高まっていた袁紹は、一人称が前世で使っていたものに戻っていた事には気づかずいつもの鍛練の時のように正眼に構えた。

「なぁんだてめぇら?俺達と殺り合おうってのかぁ?」

ククク、と下品に肩を震わせ剣を此方に向けながら大男が嗤う。それもそのはず、彼から見た袁紹たちは成長期の最中で背は大男の半分しかなく、袁紹が『チビ』と仮称した男と同じくらいの身長だった。 

「―――フゥ」

袁紹は脅迫めいた男に反応をみせず昂った体を抑えるべくため息をするように息を吐いたが…

「てめぇ…、なめんじゃねぇっ!」

それを余裕と感じた大男は憤慨し、およそ斬ることには適さない刃こぼれした粗末な剣で上段から斬りかかって来た。
 体重をのせず腕力だけの力任せの斬撃…、その剣速は袁隗達と鍛練を重ねてきた袁紹には避けるには容易かったが… 

キィン!

あえて受け鍔迫り合いにもっていった。

「もらったぜぇ」

鍔迫り合いとなれば力の強い自分に分があるのは当然、大男は勝利を確信したが―――

袁紹はそんな男の考えを無視するかのようにわずかな力で相手の剣に巻きつくようにして中段での鍔迫り合いを下段に 持っていった後、

「――ハッ」

全力で上に巻き上げた。

「うぉおっ!?」

力をこめて握っていた持ち手を捻られるようにして巻き上げられたため大男はたまらず手を離した。
 そして宙に舞った剣は、大男の後ろの地面に刺さるように落ち静止した。

「てめぇっ、何しやがった!?」

武とは程遠い暴力と呼ばれる世界に身を置いてきた大男には、何が起こったのか理解できず苦し紛れに声を荒げた。
 大男に抵抗する手段がなくなったと思い斗詩の様子をチラッとみてみると、すでに終わっていたようで地面にはチビが苦しそうに倒れている。 とくに外傷が無い様子を見るとどうやら峰打ちされたようだ。

「さぁ、おとなしく――「かしらぁっ!!」

お縄につけ、と口にしようとしたところで後方から声が迫ってきた。

「お、おお良く来たなおめぇらっ!」

後ろを向くと大男の仲間であろう者達が五人、それを一瞥した袁紹は斗詩と女性の場所にかけよる。

「斗詩その女子を後ろに下げて守れ!」

「は、はい!」

斗詩は指示通りに女性を自分の後ろに隠し、剣を構えた。 そしてそんな二人を前に立ち袁紹も再び正眼に構える。

(まずいまずいまずい!)

敵の数は戦闘不能となったチビを外し、いつのまにか剣を拾いなおした大男を加えて六人… 『本来』なら問題無い数である。 では何故袁紹はこれ程までに慌てているのか、彼にはあるものが欠けていた。

「てめぇら、油断すんじゃねぇぞ…、複数であたるんだ」

仲間に合流して指示する大男の目に先ほどのような油断は消えていた。

「おらあぁっ!」

「クッ…」

「麗覇様!」

そして大男とその仲間二人を加えた三人が袁紹に斬りかかって来た。 一対一ならばこそ先ほどのような剣を弾くという芸当が出来たのだ、複数で斬りかかる者達にそれをする余裕は今の袁紹には存在しなかった。

「ちぃ、ちょこまかと」

迫る斬撃を避け、かわしきれないものは受け流すことで対処したが、袁紹は防戦一方になっていた。
 実は斬りかかれなかった訳ではなく、斬撃に対処しながら隙を何度も見逃していた。―――そう、斬りかかれないのでは無く、斬りかからなかったのだ。 そしてその隙にのこった三人は斗詩と女性の方に迫っていった。

「捕まえたぁっ!」

状況に変化があったのは、それから何合か斬撃を対処した頃である。 聞きなれない悲鳴を 
聞いた袁紹が顔を向けると、

「へへへ、おらっ大人しくしな!」

「よくやったチビ!」

いつの間にか戦闘不能になっていたはずのチビが女性を羽交い絞めにしていた。

「動くんじゃねぇぞ? そしてそこのガキィ…、よくもやってくれたな!!」

「っ!?あぅ!」

「斗詩ィッ!?」

剣の腹で叩かれ倒れた斗詩の周りには力なく倒れ伏した三人の敵…、そのどれもが致命傷を 負っていて事切れていた。
 再び斗詩に目を向けると、打ち所が悪かったのか頭から血を流し気絶していた。

「クソが、見てくれがいいから売り飛ばそうとも思ったが…、仲間の仇だ…」

そして大男は剣を掲げ―――

「死ね」

その瞬間袁紹の中で何かが弾け大男の許に一瞬で移動し振り下ろされる剣を、

ガキンッ!

と横から斬撃を合わせ弾いた。

「てめぇっ、ひと―――!?」

たまらず大男が「てめぇ、人質が目にはいらねぇのか」と言おうとしたものの最後まで言葉をだすことが出来なかった。
 なぜなら―――

「ゴブァッ!!」

男の喉はすでに切り裂かれたのだから―――

「「「!?」」」

人質がいるにもかかわらず動いた袁紹と、彼等の中で一番の手練れの男がやられたこともあって、のこった三人は一瞬動きをとめてしまう、そしてそれは致命的な隙となり

ヒュヒュンッ

まるで風を切るような音をだしながら近くにいた二人の敵の間を袁紹が通り過ぎる。

「「?」」

そして首を斬られていたのにも気づかずに倒れた

「ひ、ひぃぃぃっ」

一瞬にして仲間全員がやられ悲鳴を上げたチビを見ると、女性を羽交い絞めにしているその手には凶器は握られていなかった。

「ちくしょうっ!」

近づいてくる袁紹に、自分が素手だと感づかれたことを理解したチビは女性を袁紹に向けて、突き飛ばし逃走を図った。
 袁紹は突き飛ばされた女性を左手で受け止め…

ヒュッ

「があっ!?」

横を通り過ぎようとしたチビの喉を剣を持った右で突いた。


………
……


「あ、あの…」
「っ!?、斗詩!!」

少しの間放心していた袁紹は腕の中にいた女性の声で意識を戻し斗詩の許へと駆け寄り

「…血が出ているが傷は浅い、生きている!」

斗詩が無事なのを確認して心の底から安堵した。

「わ、私人を呼んできます!」

「…ああ、頼む」

走り出す女性を一瞥し斗詩に止血を施した後、袁紹は再び放心した。

………
……


―――その後、衛兵を引き連れ駆けつけた猪々子達により事態は収束へと向かった。



 
 

 
後書き
次回、事件後の出来事と袁紹の心境について 
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