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美しき異形達

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第四十六話 横須賀その三

 一行は大通りの先まで行ってそこにあるアメリカ軍の基地の中に入った。ちょっとした手続きは薊がしてだった。
 薊は一行をそのバイキングが行われている場所にまで案内した、そこのバイキングの料理達を見てだった。
 裕香は唸ってだ、こう言った。
「これはね」
「凄いだろ」
「相当にね」
 これが裕香の返答だった。
「想像以上に」
「メニューが豊富でさ」
「そうね」
 裕香はその料理を一つ一つ見ながら薊に答えた。
「特に肉料理がね」
「多いだろ」
「やっぱりアメリカね」
「そうだろ、けれどな」
「けれど?」
「この肉料理でもさ」
 豊富なそれでもだとだ、薊はここでこんなことを言った。
「アメリカの料理の中では低カロリーみたいだな」
「あっ、アメリカはね」
「ああ、料理のカロリーが凄いだろ」
「びっくりする位にね」
「うちの学校に来てるアメリカの人達も言ってるだろ」
 他ならぬ彼等もというのだ。
「日本の料理ってびっくりするってさ」
「ヘルシーだから」
「向こうは、まあここはアメリカ扱いだけれど」
「食べもののボリュームもあってカロリーも凄くて」
「太ってる人は滅茶苦茶太ってるんだよ」
「日本じゃ滅多にない位にね」
 裕香もアメリカの肥満のことは知っている、アメリカでは肥満している人は出世出来ないというがあれだけ肥満していてはそもそも健康の問題だとさえ思っている。
「太ってるから」
「だからこの料理もさ」
「低カロリーな方なのね」
「お野菜にフルーツもあるし」
 見ればそちらもあった。
「だからこれでもな」
「アメリカではなのね」
「普通なんだよ」
 そうだというのだ。
「むしろ健康的だな」
「そうなのね」
「それでこのバイキングがさ」
 薊は裕香にあらためて言った。
「千円位でだからな」
「凄くいいお話ね」
「横須賀も美味いもの多いけれどまずはな」
「ここなのね」
「ここで腹一杯食おうな」
「アメリカンバイキングを、なのね」
 裕香は笑ってあえてこう言った。
「海軍の」
「ネービーな」
 薊も笑ってあえてこう言った。
「アメリカンネービーな」
「英語ね」
「ネービーの人は紳士も多いし安心していいしな」
「荒っぽい人少ないのね」
「ああ、海兵隊の人はよく知らないけれどさ」 
 横須賀にも海兵隊員はいる様だがあくまで海軍の基地である。海兵隊と海軍は言うならば兄弟の関係にある。
「海軍の人はそうだよ」
「穏やかなのね」
「だからそのことも安心してな」
「このお店にいればいいのね」
「じゃあ食おうな」
 薊は裕香だけでなく他の面々にも言った、そして。
 少女達は席に座ってからそれぞれ好きな料理を取って食べた、裕香は大きなハンバーグを食べてこう言った。
「確かにね」
「美味いだろ」
「うん」
 フォークとナイフで食べながらの言葉だ。 
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