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美しき異形達

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第四十六話 横須賀その一

                   美しき異形達
               第四十六話  横須賀
 横須賀に向かったのは薊と裕香だけではなかった、他の面々もだった。
 薊は横須賀中央駅から出てからだ、一同を見て笑って言った。
「もうこの顔触れは決まってるな」
「そうね」
 菊が薊ににこりと笑って答えた。
「もうずっとね」
「だよな、それでここがな」
「横須賀よね」
「その中心地だよ」
 この街のそうした場所だというのだ、駅から降り立つと。
 そこには大通りがあり左右に店が連なっている。見事な商店街だ。
 その街並みを見てだ、菊はまた言った。
「何かお洒落ね」
「お洒落かな」
「うん、神戸も奇麗な街だけれど」
 菊の目はその街並みを見たままであった、そのうえでの言葉だ。
「ここもね」
「ううん、まあな」
「まあ?」
「お洒落っていえばお洒落か」
 薊は今一つ自覚していない感じだった。
「そういえば」
「大阪の難波とか天下茶屋と比べたら」
「いや、比較対象がな」
「違う?」
「大阪は独特過ぎるだろ」
 薊は菊に笑って返した。
「あそこはまた」
「横須賀と比べるのなら」
「神戸だろ」
 この街ではないかというのだ。
「呉かも知れないけれどさ」
「呉ね」
「あそこも軍港だしさ」
 同じく海軍の軍港からはじまった街なのだ、横須賀も呉も。
「だからな」
「あそこの街の方がなの」
「ああ、横須賀と比べるのならな」
「そうなるのね」
「あとは佐世保とか舞鶴とかな」
 薊はこうした街も挙げた。
「そうしたところだろ」
「何処も軍港ね」 
 向日葵はそうした街のことを聞いてこう言った。
「そうした場所となのね」
「横須賀は一緒だろ」
「そうなるわね、確かに」
「だろ?まあここはさ」
 薊はあらためて横須賀のことを話した。
「その軍港の街の中でも一番だよ」
「大きいわね、確かに」
「多分呉と一、二を争う位にな」
 薊は菖蒲にもこう話した。
「大きいよ」
「そうね、呉も大きな街だけれど」
 菖蒲も薊のその言葉に応え言う。
「この横須賀もね」
「大きいだろ」
「ここを見てもわかるわ」
 左右対称の様になっているその大通りをというのだ。
「奇麗に整ってるし」
「やっぱり軍の街だからさ」
「いざという時に移動しやすい様に」
「道が最初から整備されてるんだよ」
「碁盤みたいに」
「そうなんだよ、この大通りとその周りは大体そうさ」
 薊は笑ってこう話した、一行は今は大通りを歩いている。
「奇麗に整ってるんだよ、ただな」
「ただ?」
「大通りの隣に別に道があってそこにもお店が並んでるんだよ」 
 横須賀のこのことも話すのだった。
「あとここの突き当たりにさ」
「あれですね」
 桜がその突き当たり、大通りを真っ直ぐに行ったその先を見て言った。
「あの場所ですね」
「あそこがベースだよ」
「アメリカ軍のですか」
「そうだよ、あそこにも入ることが出来るんだよ」
「アメリカ軍なのにですか」
「流石に深い場所までは無理だけれどさ」
 軍事機密に関わる様な場所はだ、これは自衛隊でも同じことだ。 
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