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妖精の義兄妹の絆

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エドラスでの出会い

「こことは別の世界、エドラス。そこでは今魔法が失われ始めている。」
シャルルはタクヤたちにエドラスについての説明を始めた。
「魔法が失われる?」
「こっちの世界とは違ってエドラスでは魔法は有限。使い続ければいずれ世界からなくなるのよ。」

トン

シャルルは翼を消して地面に降りた。
「…。」
ナツは訳がわからないと言った顔をしていたがシャルルは気にせず説明を続けた。
「その枯渇してきた魔力を救う為にエドラスの王は別世界…つまりは、
この世界から魔力を吸収する魔法を開発した。
それが超亜空間魔法“アニマ”。さっきの空に開いた穴よ。
6年前に始まったその計画はこの世界の至る所にアニマを展開したけど、
思うような成果は上げられなかったわ。何者かがアニマを閉じて回っていたの。」
シャルルは淡々とタクヤたちに説明する。
(「ウェンディからジェラール…ミストガンの話を聞いた時、まさかとは思ったけど間違いなくあの男ね。」)
各地でアニマを閉じて回っていたのはミストガンだとシャルルは推理する。
「だけど今回のアニマは巨大すぎた。誰にも防ぐ術などなくギルドは吸収した。」
「何で妖精の尻尾を吸収したんだよ。」
「言ったでしょ?エドラスの魔力とする為よ。」
「妖精の尻尾には強大な魔道士がたくさんいる!!!!だから狙われた…と。」
タクヤの一言にシャルルは静かにうなづく。
「ずいぶん勝手な奴らだなァ!!!オイ!!!みんなを返せよコノヤロー!!!!」
「そ…それが…オイラとエマとシャルルのせい…なの?」
「間接的にね。」
「そんな…。」
ハッピーとエマは共に肩を落とした。
自覚がないにしろこの状況を作り出したのが自分だと言われれば無理もない。
「私たちはエドラスの王国からある別の使命を与えられてこの世界に送りこまれたのよ。」
「そんなハズない!!アナタたち…卵から生まれたのよ!!!この世界で!!!」
「ハッピーもだ。オレが見つけたんだ!!!」
「そうね。先に言っておくけど私はエドラスには行った事がないわ。
ウェンディが言う通りこの世界で生まれ、この世界で育った。
でも私たちはエドラスの知識や自分の使命がすりこまれている。」
シャルルは徐々に声を荒らげ出す。
「生まれた時から全部知ってるハズなのよ。













なのに、アンタたちは何で何も知らないの!!?」
「「!」」
シャルルは溜りに溜まった不安をハッピーとエマにあたった。
「オイラ…。」
「……。」
「…とにかくそう言う事。私たちがエドラスの者である以上、今回の件は私たちのせい。」
シャルルは冷静さを取り戻し説明を終えた。
「さっき別の使命って言わなかった?シャルル。」
ウェンディにそう聞かれシャルルはすぐには答えてくれなかった。次第に重い口を開く。
「それは言えない。」
「教えてシャルル。オイラ自分が何者か知りたいんだ。」
「私もです。お願いします。」
「言えないって言ってんでしょ!!!自分たちで思い出しなさいよっ!!!!」
シャルルはハッピーとエマを怒鳴った。
それを見ていたタクヤは一息入れて言った。
「フー…じゃあ話はそれくらいにしていっちょ行くか!?エドラス。」
「だな。」
「アンタたちまったく理解してないでしょ。」
シャルルは先程から怒鳴ってばかりだ。いつの間にかタクヤたちのペースに乗っていた。

ぎゅるるるるるるる

「ナツ…。オイラ、不安でおなかすいてきた。」
「そりゃ元気の証だろ。エドラスにみんながいるんだろ?だったら助けに行かなきゃな。」
「どうなの?シャルル。」
ウェンディはシャルルに聞いた。
「おそらく…。いるとは思う。だけど、助けられるかわからない。
そもそも私たちがエドラスから帰ってこられるかどうかさえ…。」
つまり最悪の場合は二度とこの世界“アースランド”には帰ってこれないという事だ。
それでもタクヤたちの決心は変わらないようだ。
「まぁ…その時はその時だ。」
「仲間がいねぇんじゃこっちの世界には未練はねぇけどな。イグニールの事以外は…。」
「私も。」
「みんなを助けられるんだよね?オイラたち。」

ぎゅるるる

まだハッピーのおなかは鳴り続けている。
「私たちのせいなら私たちがなんとかしないと…。」
シャルルは少し迷いながらも決心したようだ。
「私だってまがりなりにも妖精の尻尾の一員な訳だし…母国の責任でこうなった疾しさもある訳だし…、
つれてってあげない事もないけど…いくつか約束して。」
シャルルはタクヤたちにいくつかの条件を提示した。
「私がエドラスに帰るという事は“使命”を放棄するという事。
向こうで王国の者に見つかる訳にはいかない…。全員変装する事。」
「オレらもか?」
「シャルルはそれでいいの?」
ウェンディはシャルルに聞いた。
行ったことがないにしろエドラスはシャルルたちの故郷だ。もしかしたら家族がいるかもしれない。
「いいの。もう決めたから。」
シャルルはあっさり承諾した。
「そして、オスネコとメスネコ。私たちの使命については詮索しない事。」
「あい。」
「わかりました。」
ハッピーとエマもシャルルの提案に承諾した。
「3つ目…私も情報以外エドラスについては何も知らない。ナビゲートはできないわよ。」
「了解。」
タクヤたちも承諾し、シャルルが最後の提案を言う。
「最後に…私たちがあなたたちを裏切るような事があったらためらわず殺しなさい。」
この一言に全員が息を呑んだ。
「オイラたち…そんな事しないよ。」

ごぎゅるるるるるる

「いい?てかハラうるさい!!」
「「…。」」
タクヤたちは仕方なく最後の提案ものんだ。仮に裏切られたとしても殺す事などありはしないが、
そう言えば話が進まないからだ。
「行くわよ!!!!」

ドビュン

「わぁ。」
シャルルはそう言ってウェンディを抱えアニマに向かって飛んでいった。
「オスネコとメスネコもナツとタクヤをつかんで!!」
「飛んでいくの!?」
「私たちの翼は…エドラスに帰る為の翼なのよ。」
「行こうぜハッピー!!お前の里だ!!!」
「オレたちも行くぞ!!エマ!!!」
そして、ハッピーとエマもナツとタクヤを抱えアニマに向かった。
「オスネコ!!メスネコ!!魔力を解放しなさい!!!!」
「あいっ!!!!」
「了解です!!!!」

ドッゴォォォン

三人はさらに加速する。みるみる地上との距離が離れ、アニマの残痕に近づいていく。
「アニマの残痕からエドラスに入れるわ!!!!私たちの翼で突き抜けるの!!!!









今よ!!!!」

キィィィィン

三人はMAXスピードでアニマの残痕の中に到達した。
そこは暗雲が立ち込めており、魔力が弾けあっていた。
前には暗闇が広がっていたが次第に光が見えてきた。
そして…

ボッ

「おぉっ!!!」
「すげー!!!」
アニマを抜けたタクヤたちはエドラスにやってきた。
そこに広がっていたのは今まで見たことのない壮大な土地だった。
至る所に島が浮いており、川も重力に逆らって空に流れている。全てがアースランドとは異なっていた。
「ここがエドラス…。」
「オイラたちの…。」
「ルーツ…。」
「本当に別世界…。」
島には見たことのない形をした植物や動物などで埋め尽くされていた。
しばらく飛んでいるとシャルルたちに変化が起きた。

ぱっ!?

なんと三人とも翼が消え、そのままある倉庫に落ちた。

ズドン

「おおお…。」
「いってぇ…。」
「急に翼が…。」
「言ったでしょ。こっちじゃ魔法は自由に使えないって。」
「本当だ…。何か変な感じがする…。」
ウェンディは周りの空気を感じる。やはりアースランドとは異なるようだ。
「ここ…どっかの倉庫みたいだね。」
「少しホコリ臭いですね。」
「丁度よかったわ。ここで変装用の服を拝借しましょ。」
そう言ってタクヤたちは倉庫内にあるタンスや箱などを物色し始めた。
「おおっ!!!面白ェ服がたくさんあるぞ!!!」
「お兄ちゃんとナツさん。こっち向かないでくださいね。」
タクヤたちはそれぞれ自分の服を選び始めた。
ナツは肌着一枚と大きなフードを被った動きやすそうな服。
タクヤはフードのついたコートに黒髪のウィッグを被っている。
ウェンディは動きやすいように大きなリボンの服とミニスカートで髪はツインテールにしている。
ハッピーはマントに甲冑、シャルルはどこかの国に出てくるような民族衣装、
エマは大きな麦わら帽子に白のワンピース。三人とも顔をなるべく隠すようにしていた。
「へー。エドラスの服も結構いいもんだな。似合ってるぞウェンディ。」
「えっ!!?うん…ありがとう…。」
ウェンディは顔を赤くしながらタクヤに礼を言った。
(「この服帰っても着ろう…。」)
「ん?んんっ。」
ナツは窓の外に何かを見つけたようだ。
「妖精の尻尾だ!!!!」
「「ええ!!?」」
なんとナツが見つけたのは目的の妖精の尻尾だったのだ。
「何か形変わってるけど妖精の尻尾だ!!!間違いねー!!!」
「あいさー!!」
「ちょっと!!」
シャルルの静止も聞かずナツとハッピーは走っていった。
「みんな無事だっ!!!」
「あっけなく見つかったね。」
中には妖精の尻尾のメンバーがいた。
「ちょっと待って!!!様子がおかしいわ!!!」
追ってきたシャルルに止められナツとハッピーはみんなに話しかけられなかった。
「言われてみればなんか雰囲気が…。」
その後ろからタクヤたちが隠れるようにしてやってきた。
「あっ!!あれ見てください!!」
エマが指さした方には髪型は変わっているがジュビアがいた。
「ジュビア、これから仕事行くから。」
「ま、待ってよジュビアちゃん!!!」
そこに一人の体の大きな男が現れた。
「オレも一緒に行きてぇな〜…なんて。」
「暑苦しい。何枚着てんの?服。」
そこにいたのはいつも半裸か全裸でいるグレイだった。だが目の前にいるグレイは何枚も厚着してきた。
「…な、」
「もっと薄着になってから声かけて。」
「ひ、冷え性なんだよっ!!」
















「何じゃコリャ~〜~〜~〜~っ!!!!」
ナツは目の前の異様な光景に悲鳴をあげた。
ほかのところでは何やら誰かが説教をくらっているようだ。
「情けねぇなァエルフマン。」
「また仕事失敗かよ~。」
「恥ずかしいっス。」
なんとジェットとドロイがエルフマンに説教をしていた。なんとも不思議な光景である。
そして、こちらにも…
「カナさん、たまには一緒に飲みませんか!?」
「何度も申しているでしょう?私、アルコールは苦手でございますの。」
「ぶほぉっ。」
あの酒豪のカナが逆転して清楚な格好に紅茶を嗜んでいる。まるで別人のようだ。
そのほかにもいつももじもじしていたアルザックとビスカがイチャイチャしていたり、
ナブが仕事に追われていたり、あの温厚なリーダスがやさぐれていたりと
ここにいるみんなタクヤたちが知っているみんなとは違う。
「ど、どうなってんだコリャ…。」
「みんなおかしくなっちゃったの?」
「これってエドラスの影響なのか…?」
無理もない。タクヤたちが知っているみんなとまったくと言っていいほどに別人なのだ。
「…。」
「おい。」
「「!!」」
突然目の前の光景が何かで遮断された。そして、不意に声をかけられる。
「誰だてめーら。」
かなりドスの効いた声をしている。だが、それさえなければ可愛らしい声なのだが。
その声を聞いてみんなタクヤたちを凝視する。
「ここで隠れて何コソコソしてやがる。」
ドスの効いた声の正体は目つきも悪く、二の腕にタトゥーをしているルーシィだった。
「ルーシィ!!!!?」
「さん!!!?」
「これは一体…どうなってるの。」
さすがのシャルルでもこの状況を説明するのは難しいようだ。
「どーしちまったんだよみんな。」
「あわわ。」
「ルーシィさんがこわい…。」

ざわざわ

次第にギルドのメンバーが集まりタクヤたちは囲まれていった。
「ナツ?」
「!」
ルーシィはナツの顔を見つめながら言った。
「よく見たらナツじゃねーかおまえ!!!!」

バキィ

「ぐもっ。」
ルーシィはナツを力一杯抱きしめた。普段のルーシィの力の何倍も強かった。
「ナツだって?」
「何だよその服。」
「そこの少年とお嬢ちゃんとネコは誰です?」
どうやらナツ以外のタクヤたちの事を知らないらしい。これもエドラスの影響なのだろうか。
「今まで…どこ行ってたんだよ…。心配かけやがって…。」
「ルーシィ…。」













「処刑だっ!!!!」

ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり

「んぎゃー!!!!」
そう言ってナツの肩に乗ったルーシィがナツの頭を攻撃し始めた。
「でたー!!!ルーシィの48の拷問技の一つ“ぐりぐりクラッシュー”!!!!」
「拷問技っ!!?」
「ナツさーん!!!」
「あまりいじめてはかわいそうですわよ。」
と言っているがカナは助けに入る素振りすら見せない。
「グスン。」
「「いつまで泣いてんだてめーは。」」
エルフマンは以前泣きじゃくっている。それをジェットとドロイがまた叫ぶ。
「とにかく無事でよかった。ねっ!ジュビアちゃん。」
「うるさい。」
こちらも以前として相手にされていなかった。
「これって全部エドラスの影響なんでしょうか?」
「何から何まで全部逆になってるよ? 」
たしかに、目の前にいるのはルーシィやグレイ、全員妖精の尻尾のメンバー。タクヤたちが知る者たちだ。
だが、性格が変わっている。
「ルーシィ!またナツをいじめて!












ジェットとドロイもエルフ兄ちゃんをいじめないの!」
そこに現れたのは一人の白髪の少女だった。






「リサーナ…。」
「うそ…。」
彼女の名前はリサーナ。ミラジェーンとエルフマンの妹である。だが、リサーナがここにいるはずがない。
リサーナは二年前に仕事中の事故で死んでいるのだから。
ナツとハッピーは知らないうちに涙が溢れていた。
「「リサーナーー!!!!」」
ナツとハッピーら嬉しさのあまりリサーナに飛びかかった。
「ひっ。」
「こォ~ラァーー!!」

バキャ

「「はぶぁ。」」
間一髪のところでルーシィが回し蹴りをかまし事態を終息させた。
「おまえいつからそんな獣みてーになったんだ。お?」
「だって…リサーナが生きて…そこに…。」
「いいから座れよ。久々に語り合おうぜ。友達だろ。」
グレイはナツと肩を組みテーブルについた。
「服脱げよグレイ…。」
「な、なんでリサーナがいるんだ…?」
「ミラさんの妹の…。確か亡くなったハズだよね。」
「みんなが逆になってる訳じゃないって事ね。」
「「!?」」
シャルルはそう言ってある方向に指をさした。
「見なさい。」
「ナツ~おかえりなさーい。」
そうやって手を振っているのはいつもと変わらないミラジェーンであった。
「いつものミラだっ!!」
「ある意味つまらないね。」
「おもしろさはいらねーだろ。」
タクヤのツッコミも決まり、シャルルは別の方向を指さした。
「決定的なのはアレ。」
「あの子、少しおまえに似てね?ウェンディ。」
「そう?」

ボイーン

そこにいたのはウェンディと呼ばれたスタイルのいい女性だった。
「私ーーーーっ!!!?」
「向こうのウェンディは随分そだ…、」

バチィン

全てを言い切る前にエマがどこからか取り出したハリセンでタクヤを思いっきり叩いた。
「え?え?」
「逆じゃなくて違うのよ。









この人たち、私たちの探してるみんなじゃないわ。別人!!!
エドラスに最初からいる人たちよ。」
「何ぃーーーーーっ!!!?」
「ありえない話じゃないわ。パラレルワールドのようなものよ。
エドラスには独自の文化や歴史があり、妖精の尻尾が存在する可能性だって…。」
シャルルが難しい事を簡単に説明してくれた。
「そんな…!!!」
「ここはエドラスに元々あった妖精の尻尾!?」
「じゃあ、オレたちの知ってるみんなはどこにいんだよ!!?」
「知らないわよ!!それをこれから見つけるんでしょ。」
そうだ。タクヤたちはアースランドの妖精の尻尾とマグノリアの人たちを助けに来たのだ。
「なら、これ以上ここにいらんねぇな!!」
「そうね、行くわよ。」
シャルルは近くにいたハッピーとエマの手を引っ張り外を目指した。
「わっ。」
「シャルル!!どこへ!?」
「王都よ!!!!吸収されたギルドの手掛かりは王都にあるハズ!!!!」
シャルルはそう言って走り出す。その横を外の見張りが血相を変えて走り抜いていった。
「妖精狩りだぁぁぁーっ!!!!」

ざわっ

それを聞いてギルドの全員がどよめきだした。
「「!!?」」
「妖精狩り…?」
「そこのネコ!!どこへ行く気だ!!!外はマズイ!!!」
「「え?」」
一体何が起きろうとしているのかタクヤたちにはわからなかった。
唯一わかったのは今がすごく危険な状況だという事だけだった。
「うわあぁーっ!!!!」
「もうこの場所がバレたのか!!?」
「王国の奴等、またオレたちを追って…。」
「王国…。」
「私たちをアースランドに送り込んだ奴等よ。」
それを聞いたハッピーは涙を浮かべた。
「オイラたち…妖精の尻尾の敵なの…?」
ギルドの一角でレビィが何やら大きな機械をいじっていた。
「転送魔法陣はまだなの!!?レビィ!!」
「今やってるわよクソルーシィ!!!」

ゴゴゴゴゴ

「大気が…震え…。」
「来るぞ!!!!」

オオオオオ

タクヤたちが窓の外に目をやると空から一つの影がこちらを目指して飛んできている。
次第に影が近づき、その姿もくっきりしてきた。
「な、なんだアレは…。」

ゴオオオオオ

二本の角を生やし、空を翔ける巨大な翼、全てを薙ぎ払う鋭利な爪、
その姿はまさしくドラゴンのようだ。
「ドラゴン!!?」
タクヤはその姿を見て驚いた。
「妖精狩り…!?何なの!?」
「王国が妖精の尻尾を狙ってる!?何の為に。」
「そんなの決まってるじゃない。」
声をかけてきたのはエドウェンディだった。
「王の命令で全ての魔道士ギルドは廃止された。残ってるのは世界でただ一つ、ここだけだから。」
「え?」
「知らないでナツについてきたの?つまり、私たちは














闇ギルドなのよ。」
「よし!!!!転送魔法陣展開!!!!転送開始!!!!」
すると、ギルドが動き出し地面の中へと入っていった。間一髪のところで怪物の一撃を退けた。
そこに残ったのはただの荒野と巨大な穴だけとなった。
「転送…!?」
怪物の背中に乗っていた一人が軽く舌打ちをする。
「んーー。」

ガシャ ガシャ

そこに一人の男がやってきた。
「んー。本当…逃げ足の速い妖精だねぇ。」
「!シュガーボーイいたのか。」
シュガーボーイと呼ばれた男はあごひげをさすりながら答えた。
「んーおしかったねぇ妖精狩り。けど奴等も転送できる回数は残り少ない。
狩れる日は時間の問題っしょ。それより、例のアニマ計画成功したらしいよ。
んで…魔戦部隊長及び連隊長は全員王都に戻れってさ。」
この男は王国軍第四魔戦部隊隊長のシュガーボーイ。
「アースランドの妖精の尻尾を滅ぼしたのか!!?」
「正確には吸収した…。うちの王はやる事でかいねぇ。」
「吸収されたアースランドの魔道士はどうなった。」
「王都さ。














巨大な魔水晶になっているよ。」
シュガーボーイたちがいる場所からでもそれは微かに見えていた。
「素晴らしい。それならエドラスの魔力はしばらく安泰だろうな。」
「んーー。それにしても連隊長殿まで招集がかかるとはねぇ。」
「あのお方がいれば我々に敗北はないからな。今回の作戦の重要性を考えると妥当だ。」
























にゅっ ズズズズ ニョキッ

「野郎ども!!!引越し完了だ!!!」
砂漠の一角に妖精の尻尾のギルドが顔を出した。
「引越し…?」
「ギルドごと移動したのかよ…。」
「すごい…。」
エドラスの妖精の尻尾に驚いている間にほかの者はそれぞれの安否を確認している。
「てめー何モタモタしてんだよ。危なかっただろ。」
「うっさい!!!!たまには自分でやってみろ!!!」
どうやらエドラスではルーシィとレビィは仲が悪いようだ。
「な…何だったんだ、さっきの奴は…。」
「どうしちゃったのナツ…。久しぶりで忘れちゃった?」
「そんな訳ねーだろ。」
「あれは王都魔戦部隊隊長の一人…


















エルザ・ナイトウォーカー。又の名を妖精狩りのエルザ。」
「エルザが…敵!!!?」




 
 

 
後書き
毎日が充実してるとか言いたいですね…。 
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