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美しき異形達

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第四十四話 薊達の決意その七

「ひょっとしてだけれど」
「ううん、錬金術を知ってるか」
「不老不死の人と」
「何処かでか」
「擦れ違っているかもなんですね」
「そして錬金術の中には」 
 智和は今度は錬金術の話をした。
「面白いものもあってね」
「不老不死とか何でも黄金に変える以外にか」
「他にもですか」
「うん、命を創造する」
 その力とはこうしたものだった。
「それもあるよ」
「人造人間ですか」
 裕香は智和の話を聞いてこの言葉を出した。
「そうですか」
「そう、ホムンクルスとかね」
「あれは本当にあったお話ですか?」
「伝説だよ、ただフランケンシュタイン博士の話は」
 それはというと。
「博士は実在でね」
「それで、なんですね」
「そうした研究、実験を行っていたという博士本人の日記が」
 それが、というのだ。
「残っているよ」
「じゃあ本当にあのモンスターは」
「いや、それはね」
「失敗したんですか?」
「それがわかっていないんだ」
 成功したのか失敗したのかが、というのだ。
「結末はね」
「そうなのですか」
「うん、日記が途中で終わっていて」
 博士が書いていたその人造生命の開発のそれがだ。
「だからね」
「わかっていないのですか」
「そうなんだ」
「ううん、じゃあ実際は」
「あのモンスターが生まれたかどうかね」
 その事実がというのだ。
「わかっていないんだ」
「それは残念ですね」
「そうだね、けれどね」
「そうした研究が実際に行われていたことはですね」
「紛れもない事実だよ」
 少なくとも日記を読む限りはだ、その日記が真実を書き残したものであるという前提が必要であるにしても。
「そのことはね」
「凄いことですね」
「そうだね、かつてそうしたことが行われていたということは」
「フランケンだよな」
 薊はハリウッドの映画のことから言った。
「要するに」
「そう、映画でも漫画でも出て来るよな」
「ドラキュラとか狼男と一緒にな」 
 これは漫画の知識だ。
「あっちの妖怪の定番中の定番だな」
「この学園にも出るっていう噂があるよ」 
 智和は薊にこのことも話した。
「フランケンにしてもドラキュラ、狼男にしてもね」
「おいおい、あっちの妖怪でもかよ」
「この学園は世界中から人が集まるから」
「その縁でか」
「そう、そうした妖怪も入って来てね」
 そうしてというのだ。
「この学園に住み着いているみたいだよ」
「別に血を吸ったりしないよな」
 薊はドラキュラのことから心配になって尋ねた。
「そうしたこととかは」
「あっ、そうした話はないから」
「だといいけれどさ」
「この学園の妖怪、幽霊は皆穏やかだよ」
 人を襲ったりすることはしないというのだ。
「驚かすってことは多いけれどね」
「まあ驚かすのは」
「そうよね」
 二人はこのことについてはこう話した。 
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