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不可能男との約束

作者:悪役
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会議は始まる されど踊りまくり

 
前書き
名言って言葉あるな

───あれは事実だ

配点(驚きの納得) 

 
「うぉーーい? トーリ。俺の衣装ってどこよ?」

ウルキアガは熱田の声を拾いながら男子更衣室で己の衣装を着込んでいる最中であった。
半竜故に基本、人類が多い梅組の他の男子衆とは毛色が違う服を着込みながらオックスフォード教導院で行われる宴の準備を各自している。
ここにいるのはやはり、基本、役職者のメンバーである。
今夜は宴とは言われているが、本質は教導院会議である。
国としての対話レベルになるので役職者は基本、総長連合、生徒会問わずにフルメンバーである。

まぁ、例外はおるがな……

点蔵とナルゼは昼の相対ロワイアルでの傷の治癒の為の今回の話し合いには参加できなかった。
負傷という意味ならばミトツダイラも結構、負傷していたようだが持ち前の回復力で無理矢理、というか意地で出席しているが。
自動回復キャラのタンクは手強いなと勝手に頷いておく。
他にもマクベスの呪いによってトーリの近くにいるとトーリを殺しかねないネシンバラも出席出来ていない。
余程の事があった場合も考えておくとうちは万全とはちょいと言えない。

まぁ悲観だけで語るのも現実逃避している事になるな。

周りを見ても緊張という言葉からはかけ離れたメンバーである。
シロジロは何やら表示枠を見てよし、とかうむ、とか頷いているのを見ると金の事を考えているのが丸分かりだし、トーリは全裸でふんふん尻と股間を振り回しているし、シュウは無意味にあの大剣をぶんぶん振り回してる。
何という馬鹿共だ。
拙僧を見習え。
これからの会議の為に姉系同人誌を見てエネルギーを溜めている拙僧を見て改心をせんのか? ううん? せんのか? ほぅ?

「うん? あ、そっか。オメェも姉ちゃんに衣装を頼んでたんだっけ?」

「おうよ。うちで用意して貰おうかと思ってたんだけど留美は完璧過ぎて違う意味でパーフェクトチョイスをしちまいそうで怖かったからな……そう思ってたら喜美が「何!? 服が無いの? 服無き子愚剣!? そんな涙を誘うあんたにこの賢姉がナイスチョイスの衣装を贈呈してあげるわ贈呈! 所で贈呈と童貞って似てるわね!? 童貞を贈呈!? 残念! 賢姉は馬鹿はお断りよ!」などと叫んで来たから頼んどいた」

全員が首を回す。
ここらで普通なら点蔵辺りがその流れで頼んだので御座るか……などとツッコむのだがいないので我らの調子を狂わせた。
慎みのない忍者である。
後で奴が現在やっているエロゲをサーチしてネタバレしてやろう。

「ああ。そこで姉ちゃんに一緒に渡されたぜ? そこの箱に入ってんの」

「おう、サンキュっておい。これ二つあるけどとっちが俺のよ?」

左左! 左だよ! と叫ぶトーリをシュウは左か! と意味の無いハイテンションで付き合い、箱を手に取り早速中身を開け確認した後に頷いていきなり速攻で部屋から飛び出した。
更衣室にいるメンバーで即座に箱に入っていた物を確認すると何も喋らずに馬鹿を追いかける事を共通の目的とした。





浅間達は全員がホライゾンドッキリ収納ベース騒動に一区切りを終え、己の姿に変な所がないかの再点検をしている最中に唐突に女子更衣室のドアが開き

「智! 匿ってくれ!」

馬鹿が躊躇わずに女子更衣室に入ってきた。




オックスフォード教導院でせっせと宴の用意をしていた学生諸君は唐突な爆音に驚いて見る方角を変えると武蔵の女子達が着替えいている女子更衣室から男が矢やら鎖やらベンチやら長槍や悲嘆の怠惰などの打撃を受けて吹っ飛んでいる光景を目撃した。
そのまま武蔵の男子制服を着た男は同じ制服の男子集団に気絶している事を確認されたら縄で縛られ、そのままどことなく連れ去っていった。
とりあえずその一連の作業を見た人間はうむ、と頷き

「よし、急ぐぞーーー」

と誰かが告げて順応した。





そうして広場では一つの列と集団に分かれていた。
列の中心点には青のドレスを着た長い黒髪の人物であり、顔は飾りの帽子で隠れていたがそれを見た英国人はあれが武蔵の副会長の貧乳枠かといそいそと手の甲にキスをしたりの列であった。
もう片方はそういうのをお断りしている薄い水色のドレスを着た人物であった。
基本は青のドレスを着た黒髪の人物と同じであり、体格もそこまで変わりはないが敢えて言うなら青のレスの人物よりも少々、髪が短いくらいであり帽子を自分で深く抱えて顔を見せないようにしている。
それにもしや武蔵の貴重な前髪枠ではないかと思って近づく英国人である。
その度にわたわたするので全員が何故な感激の涙を流す。

「純だ……!」

「武蔵は外道世界で有名だが……弱肉強食の世界でよくぞ……」

「ああ……極めた白って一種のカリスマだよな……」

生の奇跡というものを見た男達は最早、悔いは無くなった気分である。
神よ……! という感謝の祈りを捧げている最中に今度は朱のスーツ型和服などを来た浅間達がやってきてその光景を目撃する。

「───は?」

浅間は実に意味わからないという顔でその光景に固まり、ミトツダイラは俯く。
他のメンバーはまぁ、何時も通りという顔になりそこに赤いドレスを着込んだ喜美がやって来る。

「あら? あんたらようやく来たの? 何か浅間が愉快硬直してるけど原因は?」

その質問に俯いたミトツダイラが表情を隠しながら件の風景を指差す。
その指に逆らわずにドレスを着た人物による発生している密集に目を向け

「愚剣はともかく愚弟はあんたどうして正純のドレスを着てんの?」

え? と全員の体が死後硬直のように凍りついた瞬間にドレスを着た二人の行動は早かった。

「テメ、喜美……! ふっざけんなよこんちくしょうーーーー!!」

「おいおい姉ちゃん! 折角逆ハーレムを俺と親友築こうとしていたのに!」

水色のドレスを着た少年は帽子を地面に叩き付け、青色のドレスを着た少年は普通に鬘と一緒に帽子を外した。
密集していた男共の反応は正に神速であった。

「ふざけんな……!!」

神よ……! という嘆きの言葉が今度は広場で発生するのも時間の問題であった。






「それにしても我が王はともかく副長まで結構、似合ってますねぇ……」

広場の災害はとりあえず無視しておいて、ミトツダイラは普通にドレスを着込なしている副長に目を向ける。
普段の言動こそ3流チンピラだが、顔自体は意外に童顔である。
本人も実はそこを気にして普段の言動から男らしく見せるように頑張っているのかもしれない。
だけど、それだけで我が王レベルの変身が出来るレベルの童顔ではないとは思うのですけれど。
その内心の疑問を察知したのか。
膝を着いている被害者に塩を塗りこむような言動をやっていた我が王がこちらを見て

「ああ。ちょいと顔の方は術式でちょちょいとパーツ弄ったぜ? いやもう面白いくらいに変貌するから俺は何時の間にか何かのキャラメイク設定をしているんだっけって思ったぜ。こりゃ明日はシロによる大儲けだなっ」

未来が確定した内容はどうでもいいがやっぱりそうか。
流石に地のままだと厳しい部分があるからそこは変装系か何かの術式で変えたのか。
でも顔の方はという事は

体とかは使ってないって事ですよね……?

確かにドレスの下などは鍛えられた筋肉があるのが分かるのだが、何というか……意外に小柄である。
別に凄い小さいというわけではない。
男子としての平均身長で見ればちょっと上か下レベルの身長なのかもしれない。
でもまぁ、それはつまり普通くらいの身長というわけだからおかしいわけではないのだが……何故か自分はもっと彼が大きい人間だと思っていた。
普段の言動によるものもあるのかもしれないが、あの大剣を構えてたりしている姿や頼りになる強さのイメージが強いのかもしれない。
後ろから見る背中が大きい、と自分の内心に刻まれているのかもしれない。
それを想いだし過ぎたのか。
現実の風景と過去の思い出に浸食されて、頭の内部だけの光景に八年前の自分を守ってくれた少年の背中を一瞬、思い出してしまった。

「───っ」

周りに気付かれないレベルで首を振って振り払う。
何とも甘えた思考だ。
まだ未熟とはいえ少なくとも頼るだけの保護されるような子供ではないはずだ。
狼として他人の背中に隠れるような恥知らずな生き方は御免被る。
あの背中を見るのは違う人であるべきだ。
もう自分ではないのだ。
するとハイディが首を傾げながらも二人の女装……というより副長の女装姿を動画で撮りながら

「シュウ君って女装は駄目な人? 何時もの馬鹿を見ると嫌でもやる時は乗る方だと思ってたけど?」

「こ、コスプレとかならまだいいが女装は駄目だ……女装をやると馬鹿ではなくマジでやっちまうから駄目なんだ……逸話的に!」

「何その意味が分からないヤマトタケル症候群?」

あー、そういえば熱田神社は草薙の剣を祀っている神社でしたわねぇ。
壇ノ浦で遺失したとか熱田神社に保管されたままと諸説あるけど、草薙の剣の持ち主としてヤマトタケルがいるのだが彼はクマソタケル征伐時に女装をして彼に近付いて暗殺をしたとされる。

「貴様まさか……Myフェイバリットジャンル!?」

などとクマソタケルは叫んだらしい。
人は死に直面した時に本性が現れるというけど現れたのは本性というよりは性癖な気がする。
本能が本性に勝ったのかもしれない。
死の間際でも理性を保たないと死後辱められそうだから大変だ。
で、まぁそれで女装をすると"本気"で演じてしまうと。

・銀狼 : 『恐ろしく安直な設定ですわね……』

・〇ベ屋: 『だよねぇ? ネタにして欲しいとしか思えなからもう量産してラミネート加工も一考してるからアサマチいる?』

・あさま: 『───全部で』

え? と思わずミトツダイラは声を現実で漏らす。
見ればハイディも言質として記録はしているが、それでもえ? と口に漏らしている。
表示枠のチャットを見ていた他のメンバーも一緒に口を横に広げて、そして視線を書き込んだ本人に向ける。
ただ彼女は女装している副長の元に向かっている最中だから立ち位置の関係で彼女の背中しか見れない。
ただ何かその背中から理解不能の莫大なプレッシャーが発生しているような……い、いやそんなまさか。

「あ、智! 頼む! 何かまともな衣装とか持ってねえか!? このままだと意味のわからねぇピンクな世界に飛び込んでしまいそうだ……!」

それに気付かない副長は頼む! と彼女に近付いていく。
何かその仕草に犬耳と尻尾が見えてしまうのは気のせいだろうか?

・貧従士: 『まるで総長と第五特務を見ているみたいですねぇ』

・銀狼 : 『そ、そこから来ますの!? の!?』

これが犬を飼っている者の観察眼だというのか。
それともあれ程に自分は分かり易いのだろうか。

……あら?

よく見ると智は何やらふらついて片手で鼻元辺りを押さえつけている。
あの仕草は……と頭の中の推理よりも先に答えが返ってくる。

・金マル: 『あ。ガっちゃんの鼻血芸風! アサマチも踏み込むみたいだね……!』

・煙草女: 『どうでもいいが嫌な予感しかしないのは私の気のせいさね?』

ばっさりと考えたくない未来の発言を聞かされて項垂れる人は項垂れる。
最早、考えたくないが───うちの巨乳巫女のテンションがやばいというのは推測される。

「とりあえずシュウ君」

「おう! 服あんのか!?」

ああ……副長の顔が希望に満ち溢れていますわ……

智オンリーで外道センサーが働かない男は自ら奈落に落ちていく。
これを愛故にとでも言うのだろうか。
嘆かわしい。
だから、きっと智は素晴らしい笑顔を浮かべながら彼に向って

「───後で服を見ましょうね?」

残念ながらその"後"については梅組の野次馬根性を持っても補足する事が不可能であった。
追跡しようとした某商人は謎の攻撃を持って意識を刈り取られ、商人女版と寸劇をかます羽目になったらしい。
気絶した男を抱えて空に向かって叫ぶというのを自撮りして売り込む商人魂にはもう白旗を上げよう。
唯一、証言として本人である某剣神は

「……何もなかった。そうだろう?」

と乾いた顔でそんな事を告げるだけであった。
勿論、現在の彼はそんな未来を知る由もなく

「おう! ……ん?」

と変な言い回しとあっれ? 結局、今は服を持ってないのかという疑問詞を浮かべるだけであった。
そうして結局、色々わいわい騒いでいる間に金のドレスを纏った妖精女王が完全武装の姿で現れた。
やはり彼女の視線が最初に向かうのは私達、武蔵の学生である。
ホライゾンを見た瞬間、笑みに表情の形を変えたが、やはり妖精女王でもホライゾンには注目しているという事なのだろうか。
だが、その表情は直ぐに変わり

「……武蔵の総長兼生徒会長と副長はどこだ?」

全員の視線移動が始まり、それに乗っかかる形でエリザベス女王の視線も移動し、先には青のドレスを着て固形ショコラ性のタルボザウルスを股間に挟みながら骨付き肉を食っている総長とストレス発散とばかりにそこら中の肉と飲み物を食い飲み散らかした罰で智によって正座させられている副長の姿があった。
ちなみに表示枠で「私はいやしんぼでぇ。どうか餌を与えんでくだせぇ」と微妙なべらんめぇ口調で飾られていた。
その光景をしっかり五秒程、妖精女王は認識し

「これが武蔵か!?」

国クラスの非常に困る汚名を受けてしまった。
正純が慌てたように見えないように冷静を装って皆の前に立って

「い、いえ……これは誤解です。確かに馬鹿ですが今回はそう───二人の趣味です」

それじゃあ誤解解けてねぇよ! と全員が視線で抗議する。
正純もはっ、として気付いたのが直ぐに完全な余所行きスマイルを浮かべ

「い、いや、失礼……そう、これはそういうのじゃなくて」

発言の間に総長は両肩に何時の間にかショコラ性のジンベイザメを乗せており、副長は何時の間にか正座ではなく土下座にレベルアップしており、表示枠の内容も「私は汚らしいケダモノなのだよ。どうか罰を与えたまえ。さぁ! さぁ!?」と今度は高圧的なハイテンションに内容がチェンジしている。
見るとテーブルの上にあった皿が既に空になっている。
正純の言い訳が始まる前には少なくとも4割くらいは残っていたはずであった。
それらの惨状をつい理解してしまった武蔵の副会長は作っていた営業スマイルを保ちながら

「───あれらは武蔵に発生した虫でして」

・約全員: 『直接的過ぎるわ!』

全員の代弁をした表示枠を正純はそのままのスマイルで遠慮なく手刀で断ち割った。
その反応速度に思わず二代がうむ、と感動し、とりあえず筋力系で武蔵に発生した虫を連行する事になった。
 



とりあえず正純は先程までの空気を改める為に自己紹介から始める事にした。

「改めて自己紹介を───武蔵アリアダスト教導院代表、副会長の本多・正純と申します」

私の言葉を聞いてくれているこの静かさに正純は密かに感動する。
これがうちなら何かしらの妨害が入るからだ。
自己紹介が何時の間にか処刑場に変わっている事など多々ある。
大事なのは心構えだ。
あらゆる攻撃……もとい変化に対応する心構えを持っているのが武蔵で生きていく上のコツだ。
もう一つは外道に染まるという選択肢があるが却下だ。
大丈夫……私には向井という圧倒的でありながら素晴らしい味方がいる。
味方が一人しかいない現状を考えるとおかしいとは思うが、なぁに、一人いるだけマシさ。

・金マル: 『何かセージュン膝とかすりすりしたり手を握り締めたりしているけどコーフンしてる?』

・賢姉 : 『何!? あんた! この土壇場で羞恥プレイに目覚めたの!? 見られるコーフン!? それとも見せるコーフン!? 貧乳政治家以上にキャラを立たせる気かしら!? いい度胸だわ! 胸ないけど! さぁ! 今すぐにその服をガバッと! ガバッと開けるのよ! 部屋の窓を開けて朝の日差しを浴びるように! 体も心もオーブンザウィンドゥゥゥゥゥゥゥゥ!!』

やかましい。
緊張しているのは確かだが方向性が違うわ。
私が実況通神に参加できないからと言って好き放題しおって。
というかお前らある意味初の国際的な会議なのに緊張という状態異常はないのか? そんなまともな反応はないのか?
そうか。ないのか。
こういう時、自分は前向きに頼もしい奴らだ、と頷くのが正しい副会長の姿なのだろうか。
比べる為と言うと失礼かもしれないが、英国の副会長を見てみた。
外見だけを見ると店の前に立つマスコットキャラのような風貌であった。
あれが正しい副会長の姿か。
いや、待て。人の能力や性格を見かけで判断するのはよくないな。あれも歴史再現の一つだしな。
舌足らずな口調ではあるが、もしかしたらそういうのに限ってやり手という可能性があるではないか。


・副長 : 『セセセセシルゥゥゥゥーーー!? こ、この女王の盾符宛の陳情はな、何かしら!?』

・せしる: 『たくさんたべたのーーー』

・薬詩人: 『You! 状況説明が見事だな!』

・女王 : 『どれどれ……内容は訳せば店の在庫がなくなるので止めてください、か……うむ。我が英国の民がこんなチキンな叫びを出すとは思えんから没な』

・御鞠 : 『……これは女王を利用した新手の脅しじゃないか?』



何やら向こうもウィリアム・セシルに対して畏怖の表情を浮かべているように何故か見えてきた。
やはりかなりのやり手なのかもしれない。

人を見た目で判断するのはやはり良くないな……!

ああ、そうだな。だが、うちの全裸と副長に関してだけは枠内に入れなくていいだろう。
あれらは見た目通りの馬鹿だからな。
だが、まぁ

他の馬鹿共は何をしているやら……

この場にいないのは総長連合に所属していない一般学生や先の相対ロワイヤルによって負傷した面々。
頭でこれからの論を考えながら頭の本当の片隅にそんな思考を残した。




『さぁ、ナルゼよ! 吾輩が愚痴を聞いてやろう……!』

「……」

ナルゼはとりあえず言われた事について考えることだけはしてみた。
目の前にいるHP3くらいのスライムで同級生のネンジ。
自分は治療こそそこそこにしてようやく出歩いている所にこのスライムがいきなり現れ、そんな言葉を投げかけてきたのだ。
スライムに愚痴を言えと言われるのは中々ない体験ではないだろうか。
ともあれ、愚痴ね。

「ネンジ……あんた暇なの?」

『何を言うナルゼ。吾輩は常に動き回るような生活はしているとも。だが、しかし暇ではないのと友を心配するのはここでは関係ない事だ……! ペルソナ君なども誘ってはみたが他は忙しいらしくてな! 故に吾輩が来たのだ!』

「今、あんた自分の矛盾に気づいたけどスルーしたわね……」

間に"……"なぞ入れずにそのまま突っ切ったのは見事だ。
これが浅間やミトツダイラなら似たような仕草をしてネタにするのだがこのスライムは中々やり手である。
流石は梅組である意味トップクラスにネタにするのが難しいキャラである。
一番は喜美なのだが。
ある意味で言うと総長だが。
でもまぁ

「残念だけど私の愚痴の担当は私よ。魔女の愚痴をスライムが聞くっていうのはある意味らしいって言えばらしいけど遠慮しておくわ」

『む……そうか。Jud.余計であったな!』

本当にネタにし辛いわー……

苦笑してしまうがまぁ、偶には悪くはないだろう。
このスライムも付き合い自体は長いし、私が冗談以外でそういった事を言わないのは経験上知っているだろう。
出すとしてもそれは自分の相方に語るものだと。
それを知っているのにこのスライムがここに来て、そんな風に言うのは

「……最近の私、負けっ放しだものねぇ」

白嬢がないからなどという言い訳は言うまい。
それならば去年は見下し魔山(エーデルブロッケン)のテスターをしていなかったのだから。
装備の質の重要性は分かってはいるが、戦場において万全な状態でずっと挑めるわけではないのだ。
装備や状態が万全ではなかったので負けましたなど負け犬の言い訳であり、相手を舐めた言い方である。

負けは負け

それも英国では他国の総長連合である立花・誾にお情けで助けられる始末だ。
友人としてだけではなくても一般生徒……一般……まぁ、一応一般生徒のネンジとしても気掛かりになるのは当然の事だろう。
自国の総長連合の人間が負けっ放しではそれは心配する気がなくても心配する。
私がもしも一般生徒であったとしても負け続けの特務に不安は覚えるだろう。
今の時代に適応した言い方に変えるなら領地を守る武将が頼りないのだから不安は抱く。
通神帯を見ればきっとネシンバラにも負けず劣らずなコメントを見れるだろう。
暇じゃないからしないけど。
でも

「───時間とらせたようだけど私は大丈夫よ。次の戦いで挽回するわ」

強がりではなく確定事項だ。
少なくとも私にとってはそうだ。
マルゴットの為に勝つ。
そう言えないで何が特務で魔女だ。
それに

あの副長のせいで余計にねぇ……

常勝一敗の同級生の姿が目蓋の裏に浮かび上がる。
当然、ネタにはするけど同級生で身内という視点で贔屓と理解の目で見てもあの馬鹿には最早呆れ返るという感情が一番強いだろう。

「ねぇ、ネンジ? 副長が人外ヒャッハーかませれるようになるのにどんな方法を取ったか知ってる?」

『梅組のメンバーで知らん人間がいるのか? まぁ、鈴と浅間は窘めていたがシュウは頑固が人の形を取ったような性格であるし奴がやると決めた事なのだろうよ』

でしょうね、と恐らく同じ思いを共有していると思い苦笑を浮かべる。
そりゃあ浅間も鈴も毎度毎度血まみれになって膝をガクガク震わせながら帰ってくるような馬鹿を見たら戒めるだろう。
浅間なんか一度マジ切れして叱った事があったが、あれで部屋に戻って泣いてたら私的にいいわねぇ……流石に盗聴はしなかったけど。
同人には反映したけど。
まぁ、この呆れ返るという感情には総長にも当て嵌まる部分があるからやはり似た者同士なのだろう。

「馬鹿みたいとは思うけど……実際にああいう馬鹿を見るとおかしな事に羨ましくもあるわね……」

ネンジにも聞かせないように呟きながら最後になる気はないけど、と呟く。
いや、羨ましいと思うのもどうかもしれない。
なら、見ていて面白いけど程度の感想がやはりベストだろう。

「今こそ疾走して駆け抜けよう、ね……」

本当に正しく"今こそ"だ。
その"今こそ"という言葉を十年信じて待ち続けたなんて本当に馬鹿みたいだ。
不可能男(インポッシブル)の友人に相応しい。
そこまで馬鹿という単語を何度も思い浮かべた事によって、そういえば、と思いついた事柄があった。

「そういえばネンジ。点蔵はどうしたのかしら? あいつも負傷したって聞いたけどまだ治療中?」

『うむ。確か本格的な治療の前にトーリ達が色々と敗北の歴史再現云々のデマで色落ちしない系の筆で"股間の傷は変態の証……!"とかシンプルに"鬼"と一文字左手に書いて痛く書かれているのに気付いて風呂に向かったと思うが』

成程。他のメンバーは何時も通りの行いをしたのなら私も乗るのが学友としての付き合いだろう。
魔術陣(マギノフィグーア)でよく使う相手に連絡を取る。
音声変換に変更して連絡を取る相手は頭が幸の村製作所の社長である風見・幸夫である。

・●画 :『風見社長。ちょっとネタ商品欲しいんだけど何かいいのある?』

・ママ愛:『おや?……そうだねぇ……ではこのカン醒という商品はどうだい?』

紹介と同時に商品の詳細が送られてきたので内容を見てみる。

・●画 :『"目覚まし時計の代わりにカンチョーを持って二重の意味で貴方を覚醒させます……!"以外に普通のネタね』

・ママ愛:『いや、僕もそう思ったんですがこういったシンプルなのが受けが良くて。コメントとしては玄人からは"彼の新しい弱点を作るのに成功しました"、"彼女に言ったら引かれるので自己開発に便利です! はぁはぁ……"などと工夫し易い様で。僕も営業断られたら負け惜しみに相手のベッドに設置したら何か家庭内別居になったらしくてははは───もううちのママのお蔭ですね!?』

発案者は奥さんか……罠を設置するアイディアか商品のアイディアかはツッコまないでおくが。
値段とも相談して、とりあえず二つ程頼んでおこうか。
一つは忍者に対してだが、もう一つは熱田神社にでも送っておこうかしら。
どうせあの馬鹿、今頃ずっとテンション上げている頃だろうし。
気絶はしていたが、総長が"決めた"事はちゃんと聞いていたが故の判断であり、まぁ、多少のからかいくらいはしてもいいだろう、とナルゼはそう思った。



熱田は急いでいた。
既に服は自前のに着替えており、先程のような痒くなるドレスは脱ぎ捨てた。
何時も通りのアリアダスト教導院の服装だが、会議に出るような服が他にないのだから仕方あるまい。
あってもやっぱり痒くなる様な服装だろうから気乗りはしない。
だから、やっぱり何時も通りが一番と納得しているが、今はそんな事を考える余裕を失くして急いでいる。
急げ、と己に命じる。
やらなければいけない事があるのだ、と胸から生まれる思いに応、と頷く。
急いでやらなければ消えるものがあるのだ。
それは間違いなく大事なモノであり、失ってはいけないものだ。
それは個にとってのではなく全にとっての大切なモノだが、どっちでも失うのは良くないものだ。
長い前振りを心の中で語ってしまったが結局は何が失われそうなのかと言うと

武蔵の国際的威厳だ……!

それをまさか総長兼生徒会長自らが壊そうとしているフリースタイル。
何故、それを知っているのかと言うと先程、一緒に更衣室にいたはずなのに何時の間にかいなかった事。
そして嫌な予感とともに女子更衣室に突撃したら脱いであっただろう女子の制服が何やらごちゃごちゃになっているのと正純の男性用の制服だけが消え去っているのを目撃したからだ。
ちなみにトーリの服は何時もどこから取り出しているのかは副長である俺ですら分からないので更衣室になくても着ているかは謎故に確信は持てない。
とりあえず、これは事件の可能性があると思い、とりあえず智の服の無事を確認してこれ以上強奪されないようにせめて胸布だけを俺が死守するように鉢巻のように頭に巻きつけといた。
これによって俺のテンションは最高クラスに上がった。
これで下着とかが置いていたなら最早、テンションは宇宙を超えていたのだが智はノーブラなので仕方がない。
という事は制服に直にあの胸が押し付けられている……!? と気付き、暫く智の制服の内側の胸の辺りに顔を押し付けて天国の時間を得ていた。
何一つとして後悔は無かったが、それでトーリを見逃してしまった。
武蔵副長としての失態である。
というか俺から気付かれずに逃げるという事をやった芸人にマジ不覚……! と唸ってしまったがもう少しシリアスな事で俺から不覚を取れんのか。

「おっ」

見えた。
俺が今、目指すべき場所がこの目に移った。
まず最初に目についたのはやはり馬鹿が馬鹿をやっているシーンだ。
あいつ何を下半身露出して笑いを取ろうとしているんだ馬鹿野郎。それは芸人じゃなくてただの露出狂の行いだ。
あいつには何時か芸と犯罪の違いを教えてやらなければいかんとは思っているのだが神道的にOKサインが出されるネタなのが手強い。
まさか一番の敵は奴の背後に立つ神か。
今度、神系に出会ったらぶった斬っておこう。無論、自分を除いてだが。
ともあれ、馬鹿の周りを次に見てみると何やら見覚えのない新キャラらしい人物も見えたり、何か骨タイプが大量に湧き出たりする現場になっているようだが止まる理由には全く欠片にもならないので無視出来る。
だからそれらの有象無象は無視出来るが、問題は直ぐに武蔵の恥部を隠す行動をしなければいけないという事だ。
生憎、遠距離攻撃手段は余り多くない。剣神的にはそれは仕方がない。
メスでも投げればいいかとは思うが、それでは馬鹿はともかく周りが危険だ。いや、別に周りもどうでもいいのだが万が一にも智に当たったら不味い。
ならばここからホールに普通に入って殴るか?
それだけであの馬鹿が行った芸を頭から消し去ることが出来るだろうか?

否だ。

間違いなくあの馬鹿は脳内にめり込むレベルの馬鹿をやったはずだ。
ならば、武蔵の国際的威厳を守るにはそれを忘れさせる様な何かが必要だ。
そう、必要なのはインパクトだ。
だから、そのインパクトの為に走る勢いをそのままに両足を勢いよく蹴って宙を浮く。
剣神の足でのジャンプ故に飛距離は並みの人間には止まらないし、勢いもまずまずだ。
砲弾くらいならそのまま蹴り潰せる。
うむ、他国の人間ならどうかは知らないがうちのメンバーは耐えられる。特に馬鹿は間違いなく大丈夫だ。

これが恥ずかしい信頼っていうやつか……!?

青春という言葉がどういう漢字で書かれているのかを改めて納得し、うむ、と空中で頷きながら音速を軽く突破した事によって水蒸気爆発やらを起こし、ついでに何か群がっていた骸骨連中を弾き飛ばし

「秘技、インパクト剣神!」

ドロップキックは馬鹿の側頭部に直撃した。
悲鳴すら置き去りにしていく馬鹿をスローで見たらうぼるぅあぁぁぁぁあぁぁぁーと叫んでいるのを聞こえただろうがそこは自動人形だけのお楽しみだろう。
もしくはその他技能を使っての。
壁を突き破って真っ直ぐに突き刺さっているのを見るとどうやら余裕があるらしい。
あの馬鹿は防御力ないくせにHPだけあるのだ。
ついでだから袖に閉まっているメスを奴の尻に投げるとビクン! とエビみたいに反って

「ば、馬鹿野郎! オメェ、今、何をしているのか分かってんのか!? ホライゾンの為に大事にとっている尻を開拓しようとしてんぞ!? 責任取ってくれるのか!!?」

「ば、馬鹿はテメェだ! 何、お前は大事な会議で危険発言かましてくれてんだ! 今の状況は俺が武蔵の国際的威厳を守って周りから称賛されるシーンだぞ!」

「どこがだーーーーーーー!!?」

仲間の叫びにとりあえず標的を絞って答える。

「あ!? 何だ正純! まさかお前は下半身を露出した総長がこんな大事な場面でチーンコぶらぶらさせるシーンを放映したままが良いっていうのか!? 人としてそれでいいと思ってんのかよ!?」

「発言内容に関しては概ね同意するが、やっている事が方向性が違うだけでお前も同罪だ……!」

馬鹿な……! と俺は本気でショックの表情を浮かべ

「俺のどこに罪があるってんだ!?」




・あさま: 『副会長:誰か頼む───私は嫌だ」

・約全員: 『素直だな!?』

・金マル: 『んー、でもここで全部って言って治るようなら今頃武蔵は平和な場所になっている気がするなー』

・○べ屋: 『はいはいはい! そんな時はこの○べ屋特性"馬鹿に漬けさせてやる薬!"。これを飲ませると結論を言うと一瞬の全能感を得れるんだよ!?』

・ウキー: 『得た後は自己責任とも付きそうだがな』




やる気がないな貴様ら……と内心で唸っている正純だったが矛先を向けてきた本人の気が変わったのか。
視線と体を今度は浅間の方に向いて

「なぁ、智! お前なら簡単に答えられる質問だよな!?」

「とりあえず罪とかは置いといてもどっちもアウトというのはどうでしょうか?」

「俺の知っているお前はもっとはっきりとしてる女だぜ……! ズドンとな!」

あ、馬鹿、と思った。
正純は知っている。
浅間みたいに良識のあるような人間に見える女子でも武蔵の人間であるという事実を。
思った通りに浅間はやれやれ、という表情を浮かべながら一瞬でスカートから取り出した弓を組み立ててそのままの勢いで訓練用の矢を構えて、そのまま熱田に放った。
ぬぅ……!? と武蔵以外の人間は突然の事態に呻いたが、他のメンバーはまるで晴れてるからいい天気とでも言わんばかりに極自然に何時もよりはズドンの迫力がないな、とか今日の副長はどれくらいで復活するだろうかと表示枠内で賭けを行っている。
賭けられている本人はズドンが来る前に高速の動きで何やら鉢巻のように巻いている布を更にきつく締め、その速さで両手をまるで柏手のような格好で待ち

「来い! 誰もが格好いいと何故かほざく真剣……まぁ、いいか。真剣白羽取りを見せてやんぜ……!」

珍しく胸の方に向かっていた矢はその叫びに答えるかのように急激に沈んだ(シンク)した。
あ、と口を開けた熱田は降り下ろしの一撃を股間に受けた時の表情であった。
くぅ……! とがくがくぶるぶる震えながらゆっくりと膝を地面に着けるが

「倒れないだと……!?」

うちの半竜が大袈裟に叫び、それに周りもざわりと震えた。
他の国のメンバーも騒ぎ出したので思わず、他国からのうちのメンバーの評価はどうなっているのだろうと思って耳を澄ましてみると

「どうやら武蔵副長の防御性能は高レベルの防御系神格術式を遥かに上回る加護みたいですね。後で十字砲火の出力の調整をしなくては……」

「もうそれは何用の兵器になるんだよおい」

と、三征西班牙は分かりやすくうちの巫女の脅威を理解していた。

「うっわ! 凄いよようじょ! ようじょ! 僕は知らないけど男の人ってチンコに衝撃受けただけですっごいダメージなのに武蔵副長はあんな矢を受けても倒れないよ!? 他の人もそうなの!?」

「安心しろベーコン。英国、それもこの妖精女王に仕える男共が並みなわけないだろう? 後で根性チェックの時間を取って試すか」

と、英国は非常に分かりやすい恐怖政治で男共が真っ青の表情になっていた。

「うわっ、まっちゃんまっちゃん見て見て! 本当に浅間神社の巫女が熱田の剣神の股間に矢を撃ち込んだよ!? 今度こそ何か可愛らしくきゃーー!? とか叫んでみる!?」

『キモッ……!』

「まっちゃん! まっちゃん! 今日は切れてるね!?」

P.A.Odaの五大頂で4番でこの会議に乱入してきた前田・利家は分かりやすく意味のわからんリアクションであった。
どの反応も浅間神社の巫女が他国にとってどういう風に認識されているかを理解出来るリアクションであった。
まぁ、これに関しては浅間本人とまぁ、責任は熱田に放る部分だろう。
だが、確かに倒れないのは珍しいなぁとどうでもいいが思っていると何やら熱田は震えながら頭に巻いていた鉢巻らしきものを解き、顔の前でまるで宝のように持ち

「乳布様のご加護……!」

「や、やっぱりそれ私の制服の胸布ですね!?」

「ちげーよ! これは胸の精霊の恵みだよ! 恵み! 妖精女王のお膝元故に遂に俺の信仰に応えてくれたんだよ……!」

「い、意味の分からないことを……! というか仮にも極東神話最古の神様がそんな信仰適当でいいと思っているんですか!?」

「Jud.!!」

凄い力強いJud.であった。
予想外の返事だったのか。浅間はふぅ、と一息を吐き、

「───」

無言で力尽きて崩れた。
何気に珍しい浅間に対しての熱田の勝利であった。
おぉ……! と周りも呻いて拍手したので一応、乗っかっておいた。
手を振って拍手に感謝しながら再び浅間の制服の胸布を鉢巻代わりに頭に巻き、そしてそのまま何やら白い布みたいなものを頭に被り───

「…………え?」

死んでいた浅間がそれを認識した瞬間、何か違和感を感じて反応したというような声を出し、次の瞬間

「───!?」

ばっ、とスカートを上から抑える。
そこまでを見てようやく正純も熱田が頭に乗せた白い布が何か解った。
パンツだ。
それも恐らくあのリアクションを察するについさっきまで服の下にあったであろうものだろう。
 
……あっれ? おっかしいなぁ……ここは確か大事な会議場だったと思うんだが……

何時からここは武蔵空間に移行してしまったのだろうか。
間違いなく葵と熱田の登場であった。
いかんな。もしもこれに関してツッコまれたら否定出来ん。
それに何やら周りのメンバーが静まったが。遂にもう誤魔化せるレベルではないという事だろうか。




立花・誾は内心で憤りを感じた。

未熟な……!

それも自身に対しての憤りだ。
原因は目の前で巫女を前に馬鹿みたいに土下座をしながら、しかしパンツは返さない! という態度を崩さない馬鹿のせいだ。
叱られている原因の下着……何か真剣に考えるのが馬鹿らしく思えたが、とりあえず下着。
あれを何時取ったのか見切れなかった。

歩法ですね……

自分がネタをばらした技法。
されどその厄介な技法に内心で感嘆の吐息と共に理解する。
あの技はネタをばらされても尚脅威としてあり続ける技であると。
そしてそれを剣神はわざと曝したのだ。

ネタをばらされた所で、と言外に

「……」

今回は恐らく歩法の応用技だ。
あの技の骨子はあらゆる知覚から外れる事であり、全身を消す事が全てではない。
つまり、知覚から外れるのは体の一部分でも良いという事になる。
そして更には

自分が知覚から外すのではなくこちらを制御して嵌めることも出来るとは……

目の前の馬鹿……いえ、他国の人間をそんな風に評してはいけません。そう、あれは新種のキチガ……宗茂様に怒られてしまいますね、ええ、あれは一応、武蔵の副長である男が出現したと同時にやった事によって発生した騒ぎで確かにこちらの意識は弛緩してしまった。
無論、油断の域には行ってはいないが……そのレベルで彼の歩法は武闘派のメンバーに気付かれないという証明になった。
英国側も現れた五大頂も真剣な顔は浮かべていない。個人の普段の表情というレベルの物を浮かべている。
浮かべているが解る。

喧嘩を売られたという事実に

馬鹿なネタで済んで良かったな、と。
だから、きっと全員が共通した思いを普段の表情という仮面の下で浮かべているだろう。


───抜かせ、と






   
 

 
後書き
何一つとしてギャグオンリーだよ皆さんお久しぶりですホライゾンギャグ担当の悪役マンです。

いやぁ……我ながら今回は指が荒ぶった。
まさか意外にも自分は自分の指を今まで抑えていたんだな……って。人間って可能性の塊なんですね……

ともあれ自分は初心に戻って会議は基本、スキップです! よくよく考えれば自分は最初からそんないい子ちゃんではなかった……! シリアスを見たい人はクロが何時かやってくれるからクロを信じるんだ!
奴は期待は裏切るけどシリアスは裏切らないから多分、大丈夫です!
正しく自分は出来る奴に任せます!


ともあれ次回でちょっとようじょとの会話をして……あっれ? 点蔵を出さないといけないのか……!(驚愕)
二巻の最大の敵は間違いなくあの忍者だ……!

ともあれ感想よろしくお願いします!!

PS
あ、途中で出てきた風見社長は完全なネタキャラです。
本編に関わる様なミラクルになったら作者の自分がびっくりしてしまいます。でも、時々そんなミラクルって起こるんですよね……
 
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