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『ある転生者の奮闘記』

作者:零戦
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TURN23






「え? 覚えてないのかい?」

「め、面目ありません………」

 俺は南雲に土下座をしていた。

「昨日、家に帰ったところまではうっすらと記憶があるんやけど………」

「泥酔してたからね雪風は。アタシが付き添わなかったら今頃はごみ溜めのところで起きてたよ」

「………有り得そうな光景やな」

「んで、帰ってきたのはいいんだけど、雪風が「今夜は寝かさへんで~」とアタシに抱きついて………」

「………ヤっちゃったわけですか………」

 そして南雲は今、裸エプロンで朝飯を作っていた。

 ………もうね、俺のライフはゼロやで。もう突撃していいですか? え? 駄目? そうすか……。

「最初は無理矢理だったけど、二回目以降は優しくしてくれたよ」

「………ちなみに何回戦までした?」

「ご、五回戦までだよ。恥ずかしいじゃないか」

 ………五回戦か………。

「何で俺はそんな事を覚えてないんやこんちくしょうォォォーーーッ!!」

「そ、そんなに嫌だったのかい?」

 南雲は表情を暗くする。

「違うッ!! この際言うけど南雲の事は好きなんやッ!! 好きなのにそれをした覚えが無いのは辛いッ!!」

 マジで悔しいなおい。

「ふ、ふぅん。じゃ、じゃあ今からするかい?」

「……………何ですと?」

「アタシの事が好きなんだろ? その証拠を見せてくれないか?」

「いやでも今から仕事やし、それに俺、ラスシャラやキャシーも好きやし………」

「アタシと仕事、どっちが大切なんだい?」

「南雲に決まってるやろォォォーーーッ!!(即答)」

「きゃ、ちゅっ……んふぅ……んはぁ……」

 俺は南雲に抱きついてそのままキスを敢行。

 キスをしながら俺と南雲はベッドに倒れた。





「いやぁ済まん済まん。二日酔いで寝坊したわ」

「悪いね。目覚ましをセットをするのを忘れてたよ」

 俺と南雲は一時間遅れて出勤をした。

「呑気に遅刻している場合ではないぞッ!!」

 摩耶に到着したらいきなり山下長官に怒られました。

「何かあったんですか?」

「……USJ星域において山本無限中将の第二艦隊が壊滅しました。旗艦五十鈴は爆沈して山本中将は艦と運命を共にしました」

 副官が教えてくれた。

「……マジでか?」

「マジです」

 ……とうとうCOREが来たか。

「田中少将の第三潜航艦隊は何とかハワイ星域に帰還したそうです」

 あっそ。

「第二艦隊が壊滅した原因は分かるか?」

「残念ながらまだ情報は入ってきてません」

「そうか」

 副官が首を横に振る。

「狹霧、ガメリカが本気を出したということか?」

 山下長官が聞いてくる。

「でしょうなぁ。ですがまだ情報が足りません。一応、東郷長官から情報提供はしてもらって作戦を練るしかないですよ」

 俺は山下長官にそう言った。

「ガメリカとエイリスは同盟国だ。エイリスが使用する事はないのか?」

 ラスシャラの指摘に俺はマリーを見る。

「いやそんな事はボクも記憶には無いよ。いつも姉様といたけどそれらしい情報は無かった」

「……ならガメリカ独自の兵器を使用したんやろな……」

 緊急の会議はそこで終了して情報待ちとなった。

 そして数日後、東郷長官から通信が来た。

「CORE……ですか」

『あぁ、ガメリカの発表でのCOREは人工知能らしい』

 本当はガメリカで囚人の脳やけどな。

『山本の爺さんはCOREの艦隊にやられた。艦隊がCOREじゃなかったら爺さんは生きていたが、相手はCOREだった』

「……山本中将のためにも仇は取らなければなりませんな」

『……そうだな』

 東郷長官はそう頷いて通信が終わった。

「よほどの事が無い限り、此方にCOREが来るのは無いやろな」

 てかこの状況は小説のに似ているな。それならネルソンが戦死しているのも頷けるな。

「狹霧入るぞ」

 その時、山下長官とマリーが入ってきた。

「どうしたんですか山下長官?」

「マリーからの証言と偵察機の報告の結果、スエズ星域にいるエイリス艦隊は小規模程度しかいないみたいだ。此処は進軍してスエズ星域を占領すべきだと思う」

「ですが補給路が延びるのも懸念材料ですよ。それに第二艦隊が壊滅してますから復活させるまで行動するのは控えるべきかと思います」

「いやスエズ星域を占領するのは理由(わけ)がある。北アフリカ星域には何がいる?」

 山下長官はニヤリと笑う……そういう事か。

「……成る程、北アフリカのドクツ軍とイタリン軍の支援ですか」

「あぁ。ドクツとイタリンのルートを繋げるのがこの作戦だ」

「そしてこのルートを完成させて……一気にエイリスを叩く」

 マリーはそう俺に言った。視線は俺に向けていてその目は真剣やった。

「……分かった、東郷長官に意見具申してみる。マリー、本気なんやな?」

「うん。姉様には悪いけどエイリスは全てを滅ぼす。エイリスが立ち直るのはそれしか無いんだ」

 マリーはそう言った。それは覚悟を決めているみたいやな。

「なら俺は作戦が必ず通るように努力しないのな」

 俺はマリーにそう言ってニヤリと笑う。



 その後、作戦は東郷長官から許可が出て準備に入ったのである。





 
 

 
後書き
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