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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第六十九話






 それから二日後の払暁。

 俺達袁術軍は真桜と工作隊と一部の隊が建築して完成した塹壕(擬装)を砦の前まで進んでいた。

「それにしても、よく短期間で完成したな真桜?」

「あったり前やんか。ウチを誰や思うてるねん?」

 真桜がボヨンと胸を反らす。

「巨乳の真桜」

「ちょッ!? 真顔で言われたらウチも恥ずかしくなるやんかッ!!」

 真桜が顔を真っ赤にする。

「と言われても事実なんやからな」

「………うぅ~。七乃達を食ったのに今度は嬉しそうかいな」

「何か変な表現があったのは気のせいですかッ!?」

「ちょっと長門ッ!! 静かにしなさいよッ!!」

バキィッ!!

「お、お前が一番五月蝿いわロッタ………」

 ロッタに杖で殴られた。

 お前仮にも僧侶だろ?

「それよりも隊長。ソロソロかと思います」

「ん。そうだな」

 凪が俺に言ってきた。

「斥候の報告によれば、堀の深さは胸までくらいだと言う事です」

 砦の周りには水が引いた堀があった。

「四斤山砲で橋を破壊しながら砦の壁を砲撃して壁を破壊する。大砲隊は繰り返しながら砲撃をして敵を撹乱させる。いいな?」

『おぅッ!!』

 皆が頷いた。

ジャーンッ!! ジャーンッ!! ジャーンッ!!

「合肥城の方向から銅鑼の音だ。作戦開始だッ!!」

 この時、塹壕を直前まで孫策軍に知られないように合肥から霞と桜花の騎馬隊が城門から進撃した。

「張遼隊突撃やァッ!! 敵を容赦なく踏み潰したれェッ!!」

「華雄隊突撃するぞッ!! 王双達を孫策軍の目から逸らすのだッ!!」

 二人は部隊の先頭に立って突撃をする。

『ウワアァァァァァァーーーッ!!!』

 騎馬隊は雄叫びをあげながら砦に向かった。

 一方、砦の孫策軍は適切に対処しようとしていた。

「城門は閉じよッ!! 弓隊用意ッ!!」

 城壁の上では黄蓋が指揮をしていた。

 孫策軍の弓隊が準備をする。

「袁術軍め、まさか払暁から攻撃を仕掛けるとはな………」

 黄蓋はそう言って自身も弓を持つ。

ドスッ!!

「ぐッ!?」

 その時、黄蓋は左手に痛みを感じた。

 左手の二の腕の下を見ると矢が突き刺さっていた。

「何じゃと?」

 黄蓋は下を見て目を見開いた。

 下には既に袁術軍が来ていた。

 そして袁術軍は大砲の砲身を城門と城壁に向けていた。

「いかんッ!? 城門に集まれェッ!!」

 黄蓋が叫んだが遅かった。

ズドオォォンッ!!

ズドオォォンッ!!

 袁術軍の大砲が至近距離から砲撃を開始して、砲弾は外れる事なく全弾が命中した。

ズガアァーーンッ!!

ズガアァーーンッ!!

『ッ!?』

 命中の衝撃で黄蓋は思わず床に叩きつけられたのであった。







「次弾装填急げッ!!」

 大砲隊の兵士が第二射の準備をする。

「………第一射目は橋を壊せたか」

 上がっていた橋は無惨にも破壊されたが、その奥にある城門は橋という楯があったせいで第一射目での破壊は免れていた。

「雪風ッ!! 城壁にいる敵兵は全て射ち抜けッ!!」

「はいッ!!」

 兵士の鉄楯に守られた雪風と弓隊が城壁にいる孫策軍の弓隊に向けて矢を放っていく。

「第二射準備完了ッ!!」

 伝令が報告にきた。

「撃ェッ!!」

ズドオォォンッ!!

ズドオォォンッ!!

 四斤山砲六門のうち、半分は城門を狙い、もう半分は城壁を砲撃する。

ズガアァーーンッ!!

ズガアァーーンッ!!

 砲弾は城壁を破壊して、鉄の城門は衝撃で凹んで少しだけ開いた。

「次弾装填急げッ!!」

「次で城門は破壊出来ますな主?」

「あぁ。城門を破壊したら急造手榴弾を投げ込め。恐らく待ち受けている」

 皆が急造手榴弾の点火準備をする。

「第三射準備完了ッ!!」

「撃ェッ!!」

ズドオォォンッ!!

 四斤山砲が火を噴き、第三射目で城門を破壊した。

「鉄楯を構えて前進ッ!!」

 俺達は鉄楯を構えて城門に走る。

ヒュンヒュンッ!!

カンッ!!カンッ!!

 城門の周りに待機していた孫策軍が矢を放つ。

「急造手榴弾を投げ込めッ!!」

 俺の命令を聞いた兵士達が鉄楯を構えながら一斉に急造手榴弾を投擲した。






 
 

 
後書き
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