八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第二十六話 バーベキューその八
「そちらね」
「そうか、マトンなのか」
「あんたマトン駄目?」
「嫌いではないがどちらかというとラムの方が好きだ」
「匂いがきつくないから」
「いや、柔らかいからだ」
肉のそれがというのだ。
「だからだ」
「その方がいいのね」
「ラムの方がな」
「うむ、しかし北海道ではそちらか」
「ジンギスカン鍋が主流なのよ」
「北海道名物でもあるからな」
「これがまた美味いのよ」
美沙さんは真顔で留美さんに話す。
「ジンギスカン鍋がね」
「うむ、そうなのか」
「一回食べてみてね、北海道に行ったら」
「わかった、そうさせてもらう」
「蟹に烏賊に鮭にラーメンに」
そうしたものと合わせて、というのだ。
「デザートにはメロンで」
「北海道の美食か」
「これがまた最高だからね」
こう言ってだ、美沙さんは留美さんに北海道行きをしきりに勧めていた。郷土愛とはこうしたものなのだろうかとだ、僕は見ていて思った。
「函館も札幌も行ってね」
「そうさせてもらいたい」
「北海道というと」
今度は円香さんが話に加わった。
「ラーメンが気になりますわ」
「そうですね、北海道のラーメンは絶品だとか」
裕子さんもかなり興味津々といった感じで話に加わってきた。
「それこそ」
「はい、わたくし長崎では」
「長崎ちゃんぽんをですね」
「堪能しましたが」
それに加えて、というのだった。
「北海道に行って」
「今度はですね」
「北海道のラーメンを頂きたいですわ」
「ラーメンというと」
ニキータさんが言うことは。
「日本の麺類よね」
「あれっ、ラーメンは中国の麺よ」
千歳さんはニキータさんの今の言葉に驚いてこう訂正した。
「あれは」
「いや、違うあるよ」
ところが当の水蓮さんがそのことを否定した。
「あれは日本の麺あるよ」
「そうなんですか?」
「中国にもラーメンはあるけれど拉麺ある」
「また違うんですか」
「日本で言うとにゅう麺あるな」
素麺の温かいうどんの様にしたものだというのだ。
「あれあるよ」
「そうなんですか」
「そうそう、アメリカでもネ」
ジューンさんも千歳さんに話した。
「ラーメンは日本の麺と思われてるよ」
「そうなんですか」
「そうなのヨ」
「ううん、そうなのですか」
「何か凄い話になってるね」
日菜子さんは肉の焼け具合を見つつ言った。
「ラーメンとか」
「凄いかな」
「うん、凄いよ」
日菜子さんは僕にもこう言った。
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