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ファフナー

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1部分:第一章


第一章

i                        ファフナー
 巨人だった。彼も兄も。
 神々からも人間からも疎まれる。しかしだった。
 彼等には技術があった。どんな堅固な城も築ける技術がだ。それでだった。
 彼等は今神々、本来は対立している彼等の要求を受けて天空に城を築いていた。その城を築きながらだ。
 彼、ファフナーは兄のファゾルトにだ。こう言った。
「兄者、この城を築けばだ」
「我々は報酬を要求できるな」
「報酬は富だ」
 ファフナーは目を輝かせて兄に話す。その巨大な城を築きながら。
「富だ、特にだ」
「黄金か」
「神々が持っているだけの黄金をもらう。そしてだ」
「女神フライアもだな」
「あの美しい女神も我等のものだ」
 こう言うのだった。兄に対して。
「そうするがいいな」
「わかっている。だがだ」
「だが。何だ?」
「それは我等のものにするぞ」
 ファゾルトはこのことをだ。弟に念を押した。彼はその顔も念を押すものにさせている。
「わかっているな。そのことは」
「兄者は俺が報酬を独り占めすると思っているのか?」
「違うか?それは」
「そういう兄者こそどうなのだ」
 弟も弟でだ。兄をあからさまに疑う目で見返した。そのうえでの言葉だった。
「報酬を独り占めするのではないのか」
「馬鹿を言え、俺がそんなことをするものか」
「わかるものか。兄者は昔から貪欲だった」
 こう言ってだ。弟は兄のその言葉を信じようとしなかった。
「いつも何でも手に入れようとしていたな」
「それは御前もだな。何でも貪っていた」
「俺がか」
「そうだ。だから今回もではないのか」
 兄はまただ。弟に対して言った。
「報酬は独り占めではないのか」
「ふん、そう思うのなら勝手に思え」
「ならそのつもりか」
「兄者もだろう。だが話はその時だ」
 いざ報酬を貰うその時にだというのだ。
「決めるぞ。いいな」
「その時にこそな」
 兄弟は互いに言い合う。その巨大で毛深い身体を動かしながら。そうしてだ。
 彼等はヴァルハラを築いていく。そして城は遂に築き上げられた。
 彼等は神々に対して報酬を要求した。神々が持っているだけの富に美の女神フレイアだ。だが神々は彼等にだ。富は渡したがそれでもだった。
「フライアは渡せないだと!?」
「そう言うのか?」
「そうだ」
 燃える様な紅い髪に黒い肌と服を持つ美貌の男が彼等に答える。炎の神ローゲ、神々の中では異質の元々は精霊だった神だ。神々の中では知恵者、ただし奸智の持ち主として知られている。
 その彼がだ。ファフナー達に何もない荒野で告げたのだ。
 彼の傍には槍を持つ白い髪と髭に見事な服とマントを身に着けた男がいる。神々の主ヴォータンだ。その片目には眼帯がある。
 その彼を傍に置きながらだ。ローゲは言うのだった。
「その代わりあるもので我慢してもらう」
「あるもの?」
「あるものとは何だ」
「これだ」
 こう言ってだ。ローゲはその手にあるものを出してきた。それは。
 指輪だった。黄金に赤、血の様な赤を含ませた指輪だ。その指輪を見せてきたのだ。
 その指輪を見せてだ。ローゲは言うのだった。
「この指輪を御前達にやろう」
「何だ、その指輪は」
「その指輪も神々のものか」
「今はな。かつてはラインの少女達が持っていた」
 ローゲはその指輪の由来も巨人の兄弟達に話す。
「そしてニーベルング族のアルベリヒが奪い指輪にしたものだ」
「ラインの乙女というとあの黄金か」
「ライン河を照らしていたあの黄金か」
「それを指輪にしたものか」
「そうなのだな」
「そうだ。御前達にはフライアの代わりにこれをやろう」
 ローゲは彼等と対峙したうえで告げる。
 
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