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歌集「春雪花」

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3



 春近く

  雪も雫と

   なりにしも

 想いし君ぞ

     遠く翳りし



 この日は随分と温かく、屋根から雪が融けて雫が落ちてきていました。
 外は明るく、小鳥が囀ずる…それに対し、私は部屋の中で一人でいました。一人だと、何をしても彼のことを考えてしまう…。
 会いたいのにその人は居ない…。



 君想い

  眠れぬ時を

   うつろいて

 日に溶け落つるは

     涙たりける



 想い過ぎて眠れない…馬鹿馬鹿しいと思っていると、雪解けの雫の落ちる音が聞こえ、無性に寂しくなって涙をながした。外から聞こえる音は、この涙なのかも知れない…。
 私は同性愛者ですが、異性を愛する人もこんな経験はないでしょうか?

 
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