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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【東方Project】編
  068 予期せぬ出会い

 
前書き

懲りずに超展開。 

 

SIDE OTHER

真人が輝夜と契った夜から半年──輝夜が5人の貴公子へと難題を出してから1年の歳月が流れた。……とは云っても大した事が有るわけでも無く、真人は輝夜といちゃいちゃ(死語)したり、しなかったりしながら〝わりと〟安寧の日々を送っていた。

「今日も今日とて懲りないなぁ…」

……〝わりと〟と、そんな注釈の付く最大の理由が真人に対する、嫉妬に駆られ──車持皇子(くらもちおうじ)を筆頭とした貴族諸侯の襲撃である。……さすがに本人は真人へ襲撃していないが、真人は襲撃の実行犯と〝OHANASHI〟──もとい、〝ちゃんとしたお礼〟はしてある。

……真人はその貴族諸侯がどうなったかは知らない。知る気も無かったりする。

閑話休題。

<やっぱ〝剣〟と云ったら、これだぜ>

「ご機嫌だな、デルフリンガー」

<おうよっ!>

真人はデルフリンガーへと話しかけながら素振りし、デルフリンガーの刃に付着していた襲撃犯の血やら脂やらを振り払い、飛び散って朝露に混じってしまったその血やら脂やらは簡単な魔法──ハルケギニア式の水魔法ですすいでおく。

その襲撃犯──だったモノはその場にハルケギニア式の土属性魔法で穴を掘り、まとめてそこに埋めてそこらに生えている植物の養分にしてやっている。……恐らくは遺体をそのまま放って置いて腐、乱臭を撒き散らすのを防ぎたかったのだろう。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 升田 真人

「さて、これはどうしたものか…」

帝から〝俺宛て〟に来た召喚状わ睨み付けていた。……帝曰く〝君の力は都までも届いてるよ。故に都に巣食う妖怪の群れを退治する為に、君の力を貸してくれ。迎えを寄越すからそれで来てくれ〟…と、判りやすく意訳すれば大体そんな感じの内容だった。……が、もちろんこの書状は考えるまでも無く──

「輝夜と俺を離す為の罠だわな」

未だに帝は輝夜に恋文を送っているのを知っているので、そう断じた。……俺が〝迎え〟と都へと発ったら、隠していた人間で輝夜を拐うつもりだろう。……そして、もし俺がこの召喚状を無視(スルー)したとしても、帝は俺を不敬罪やら何やらでしょっぴけるというもの。

……だとすれば、敢えて──輝夜に手を出すのを無駄だと悟らせるなら乗ってやるのが吉。手早く〝了承〟の意を書に(したため)めて、その返事を飛脚──の様な職業の者に渡した。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

帝への返事を返した夜。場所は輝夜を拾った竹林。三日月が嗤っている様にも見える夜の竹林で俺は夜風に当たっていた。……もちろんの事ながらただ立っているわけでも無く、こんな夜更けに竹林へと繰り出している理由は有る。その理由はと云うと──

「我が名は升田 真人。五つの力を司るペンタゴン。我の運命(さだめ)に従い、〝人形(ひとがた)(かたど)りし〟使い魔を召喚せよ!」

俺が紡いだ“サモン・サーヴァント”の詠唱と共に銀色の鏡の様なモノが顕れ、その鏡から〝彼女〟は現れた。

(……おいおい…)

俺は“サモン・サーヴァント”の鏡から出てきた〝彼女〟に見覚えが有った。……それはひとえに一度会った事があるからだが、〝彼女〟がここに──“サモン・サーヴァント”で呼ばれて良いはずがない存在だった。

〝彼女〟は詩・医学・知恵・商業・製織・工芸・魔術を司る某最後な幻想の【クライシス・コアファイナルファンタジー7】に裏ボスとして出てきたローマ神話の女神で、その御名もミネルヴァ。……俺を【ゼロの使い魔】な世界に転生させた女神が“サモン・サーヴァント”の鏡から姿を現した。

「はじめまして…で、良いんですかね」

「……あっ! ……えっとミネルヴァさん…で良いんだよな?」

ミネルヴァさん──口調がおかしいのでミネルヴァさん(仮)は、その豪奢な鎧で身を覆ったまま俺に傅く。……ハルケギニアで貴族社会で見馴れていたの所作なはずなのに、ついつい見惚れてしまった。

そして数瞬してなんとか気を取り直した俺は、どうしても〝(わらわ)っ!〟なミネルヴァさんしか知らないので、辛うじて喉から出た声にて未だに傅いている彼女へとその名を問い質す。

「はい。私は確かにミネルヴァと申します。……ですが、誠に僭越ながら注釈を付けさせていただくのなら、私は貴方を〝彼の世界〟へと転生させたミネルヴァとは少々存在を異にする存在です」

「違う存在…」

そう聞いて改めてミネルヴァさん(仮)を観察してみる。……顔を──と云うよりは、どんな方法かは知らないが(かぶと)を仄かに紅く染めたのは気の所為としておく。どうせギャグ補正だろうし、深く考えたら俺の精神衛生上よろしく無い気がしたし。

「……なんか違う…? こう云ったらあれだが、ミネルヴァさんに比べると、威厳、みたいなのが無い…?」

「その通りです」

ミネルヴァさん(仮)を数十秒観察しての言葉。……俺の語彙はそこまで豊かではないので、ミネルヴァさんと比較してそう形容するしか無かった。ミネルヴァさん(仮)からしたら失礼極まり無いセリフなはずだが、ミネルヴァさん(仮)は俺の失言に対して、そこまで気にした様子も無く鷹揚に頷いた。

(ちょっと待てよ、ミネルヴァさんは俺の記憶が正しければ──)

―うむ! 妾の名確かにミネルヴァと申すが、お主の考えている様な存在とは少し違うからの。今はお主に妾が〝(ミネルヴァ)〟だと判りやすい様にこの姿をして居る―

記憶が正しければ、確かにこんな事を言っていたはず。だとすれば──

「つまり貴女は〝【クライシス・コア・ファイナルファンタジー7】のミネルヴァ〟…という事か。……そして〝ミネルヴァさんに転生させられた〟という(えにし)に引っ掛かって、“サモン・サーヴァント”で召喚してしまったか」

「……そのご慧眼に感服いたします。……ですが、貴方の召喚に応えたのは私の意思です。どうかその辺りはご理解を。その大きな理由としては貴方の〝活躍〟は、〝大元〟から──貴方を転生させたミネルヴァを通して知っています。それで貴方に興味を持ち、貴方の召喚に応えました」

俺の口から、いつの間にやら〝“サモン・サーヴァント”でミネルヴァさん(仮)を召喚してしまった理由の考察〟が漏れていたらしく、その考察が耳に入っていたらしいミネルヴァさん(仮)は驚いた様な声音で自分で召喚に応じたと──先程の“サモン・サーヴァント”は〝事故〟ではなかったと云う。

「まぁ、それは判ったが…。……ミネルヴァさんの扱いはどうすれば良いんだ? ……あ、それと〝ミネルヴァさん〟じゃあ紛らわしいな。貴女はなんと呼べば良いかな?」

「私は貴方──マスターの使い魔です。このまま“コントラクト・サーヴァント”をして下さい。そうしたら──マスターにも判りやすく云うなら、【Fate】シリーズのサーヴァントの様な存在になると思います。……私の名前に関しては…そうですね、マスターが愛称(ペットネーム)を付けて下さると嬉しいです。……ああ、もちろんの事ながら〝さん付け〟は無しですよ?」

「……じゃあ、ここは奇をてらわずに〝ミナ〟だ。ミナ、(かぶと)を」

「ミナ…。良い名前ですね。……確かに拝命いたしました」

数秒で考えた愛称だった気に入った様子で、そう言いながらミネルヴァさん(仮)──〝ミナ〟は(かぶと)を両手で脱いで、その日本人離れした端正な顔を外気に曝す。また、(かぶと)を脱いだ弾みで輝夜の黒曜石(オブシディアン)の様な髪ともまた趣の違う──まるで金で出来た糸みたいな髪もまた外気に曝され、ふわり、と広がったその様にまた見惚れてしまう。

「………」

「……あのー、そんなに見られましても恥ずかしいですし、そろそろ“コントラクト・サーヴァント”をして戴けると嬉しいんですが…」

「っ! あぁ、悪い。……我が名は升田 真人。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

どうやらミナにも感付かれるほど見惚れていたらしく、ミナからの注意で意識を取り戻す。……そしてそのままさっさと“コントラクト・サーヴァント”の詠唱を紡ぎ、ミナの血色の良い──まるで水羊羮の様な唇へと触れるだけの口付けをした。

「……っ!?」

「ミナっ!?」

ミナの唇の軟らかさを──〝“コントラクト・サーヴァント”〟と云う理由有りきとはいえ合法的(?)に堪能していると、いきなりミナが苦悶の表情を浮かべる。……たじろいだミナに詰め寄ろうとすると、いきなりの虚脱感。

「……くっ…!」

(……ぬぅ…っ!)

「……ふぅ、なんとか間に合った」

「……ふぅ、なんとか間に合いました」

違和感に虚脱感。魔法力(MP)がごっそりと減少していっている。……慌てず騒がず、“アギトの証”を装備する。……〝消費MP0〟の効果により虚脱感から解放されて一息吐くと、そのほぼ同じと云っても良いタイミングでミナの方からも安堵の言葉が聞こえてくる。

「……取り敢えずは、だ。なんかミナに魔法力がかなり吸われているんだが…。それも現在進行形で」

「ああ、それは多分私の維持コストですね。一応神霊の端くれである私を──〝私〟を構成する武具を顕現させるのには相応の魔法力が必要でして…。……戦闘の無い平素なら霊体化してればほぼ、マスターが消費する魔法力をゼロに出来る様です。……例えばこんな風に…」

そう言って、ミナはその姿を朧気なものに変えた。……確かにミナの言った通り、“アギトの証”を外してみても虚脱感やらは無くなっている。……どうやら、ミナは本当に〝サーヴァント〟になってしまったらしい。……が、今考えるべき事はミナの今後では無く──

(……それよりも、だ…。……輝夜にどうやって説明したものか…)

今俺が真に考えるべき事は輝夜への言い訳だった。

SIDE END 
 

 
後書き

……気が付いたら連載1周年でした。……正直、三日坊主でエタると思っていたので自分でも驚いてます。 
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