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(仮称)転生教師バグま!

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5時間目。今日び、作者はメンヘラキャラを見ると吐き気を催すらしいぞ byローレンス

 
 
 魔法世界(ムンドゥス・マギクス)を造ってから、俺とアレックスとラリーの三人は千年くらい行動をともにした。
 純人間種(現実世界の人間とは細かな部分に違いがある)を創ったり、亜人種を創ったり、ケモミミ種族を創ったり、獣人種を創ったり、純人間種のある国家の王族にアレックスの能力(ウィッチクラフトキャンセラー)ラリーの能力(アビリティーキャンセラー)を5:5の割合で混ぜ合わせて出来た魔法無効化能力(マジックキャンセラー)を受け継がせてみたり、様々な場所に様々なダンジョンを造ったりした。

 その後、ラリーは魔法無効化能力(マジックキャンセラー)を受け継がせた国家、オスティアの王族の墓所上空に『墓守り人の宮殿』を作り、其処に住み着いた。
 アレックスは各地を転々とし、魔法世界と現実世界を行ったり来たりしている。

 俺は魔法世界から離れ、現実世界の各地をウロウロした。具体的には、日本に行って世界樹のある土地とその近辺の土地を買い取って所有地にしたり、世界樹の精霊とやらに懐かれたり、ウェールズの山奥にある集落に魔法を教えてその集落の長に触媒の杖をあげたり、世界各国の後の世に名を残す英雄から名を残すことのなかった無銘の英雄に会って友達になったり、よく分からんがアレックスの所から独立離反(?)した人形に会って懐かれたり、人の(ナリ)を取る付喪神の様でそうでない良く分からない魔導書と友人になったり、金星裏に魔界を創って自然派生した魔族と迫害される亜人達を避難させたり、木星裏の悪魔界に行って悪魔達と戦争して仲良くなったり、地獄に行って鬼達と戦争して仲良くなったり、その他にも諸々だ。


 魔族や悪魔、鬼と言った存在達は欲や野望こそあれど、我欲を満たす為に同族を蔑ろにしたり神風させたりしないからとても仲良くなれた。まあ、式神とかを依代にして顕現してる時は本体が死なないから自分から神風しに行くのが玉に瑕。それでも一人十五殺位の大分いい仕事して還るからなんとも言えないンだがなぁ。

 あ、そうだ。前々話位に言ってた教会は滅ぼした。何でか? 魔法世界に攻め入ろうとしたからオレとアレックスとラリーの三人で完膚なきまでに潰したよ。






――――――――――――――――――――――






 さて、エレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルク――前トバルカインの現在の呼名――達が魔法世界を作ってから二千年弱の時が流れ、現在エレオノーレが居るのは中世のヨーロッパ。丁度百年戦争が起こっており、魔女狩りをしないと時代遅れと笑われるくらいに流行している時代。

 そんな時代の森の中をエレオノーレは歩いていた。特に理由はない。暇だから何となく歩いているだけらしい。


『…………』


 急に足を止め、無言で千里眼のスキル『目の届く場所(エリアフリー)』を発動する。その視線に写るは、金髪の少女と、その少女を追いかける人間。地獄耳のスキル『話は聞かせてもらった(リッスンバイチャンス)』を発動して、なぜ幼女が追い掛けられているかを確かめてみると、どうやら少女は吸血鬼で、魔女狩り(下衆共の鬱憤晴らし)の名目で追い回されているらしい。


『……(あぁ、全く持って気に入らない、気に食わない。虫酸が走る)』


 嫌悪感を顕にし、足音を立てない小走りで少女と少女を追い掛けている者達に近づき―――

魔法の射手(サギタ・マギカ) 炎の三十矢(セリエス・イグニス)!』

 ―――燃える天空(ウーラニア・フロゴーシス)を放てるくらいの魔力を込めた魔法の射手を射ち放った。


「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 無論、広範囲焚焼殲滅魔法である燃える天空を放てるくらいの魔力を込めた魔法の射手が普通の魔法の射手と同じ威力なはずが無く、その魔法の射手が命中した追い掛けている者全員が断末魔と共にソボロの如きミディアムな挽肉に相成った。


『………取り敢えず、片付けたか。大事無いか? 小娘』
「え、あ、ああ。大丈夫だ。礼を言う」
『気にするな。魔女狩りの名目で鬱憤晴らしをするクズ共を逆粛清した序だ。それとなく事情は把握しているが、何故追われていた? ボロを出す様な事でもしたのか?』
「…………何のことだ?」
『とぼけなくていい。俺も立場で言えば追われる側だ。追ってくる奴はソコの焼肉の仲間入りしてるがな』


 と言って、ヒトだった挽肉を指さすエレオノーレ。


「成程、貴様もはみだし者か」
『まあ、そんな所だ。それより、早めにこの場を離れるた方がいい。追手はさっき燃やした奴等だけじゃないだろ』
「む、何故逃げる必要がある? 私はともかく、貴様程の実力があれば逃げる必要等無かろう」
『お生憎。俺は殺人鬼(シリアルキラー)でも殺す事しか出来ん獣(ナチュラルボーンキラー)でもないのでな。大分殺しはしてきたが、それでも無駄な殺しは嫌いでね』
「そうか。……ならば、貴様に着いて行っていいか?」
『…………別に構わんが、一応聞いておこう。何故だ?』
「私はまだ吸血鬼になって六十年程しか経ってない。自衛の手段を覚えようにも世論と種族がミスマッチして碌に習得も出来ず、先のようにバレれば追い回され、先月ミスって西の方の街で焼かれた」
『先月の西の街……あぁ、ディエールでの騒ぎの原因は貴様か。……ふむ、だから自衛の手段、詰まるところ魔法を教えて欲しい、と?』
「ああ。頼む」


 そう言って頭を下げる少女。

 沈黙が辺りを支配し、暫くしてからエレオノーレが口を開く。


『……ダメだな』
「…………そうか。分かった。助けてくれた事は礼を―――
『あーいや、別に魔法を教えるのは構わんのだ。だが、順序が違うだろ』
 ―――順序?」
『ああ。俺の名は……まあ、色々とあるが、現在の名はエレオノーレ・フォン・ヴィッテンブルクだ。小娘、貴様の名は何と言う?』
「あぁ、そう言う事か。小娘ではない。私の名はエヴァンジェリン。エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」
『エヴァンジェリンか、良い名だ。では暫しの縁だが、宜しく頼むぞ、エヴァンジェリン』
「こちらこそ宜しく頼む。それと、私の名は長いからな、エヴァでいい」


 そう言って、互いに右手を差し出し、互いの手をがっちりと掴んだ。


 
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