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転生赤龍帝のマフィアな生活

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四十九話:俺の幼馴染みがこんなに可愛いわけがない

 
前書き
イリナとのデートです。
今回は比較的平和かな?

それではどうぞ。 

 

待ち合わせ場所でイリナが来るのを、腕を組んで目を閉じながら待つ。そんな俺の様子が怖いのか知らねえが俺の周りからは人が消え失せている。……別に果し合いで待っている訳じゃねえんだからそんなに怖がることじゃねえだろうが。俺はその……デートの待ち合わせで待っているだけだからな。


(イリナたんと初デートですね。あ、後でイリナたんに僕を豚のように叩く様に頼んでください)

(一誠様、デートの前座に私達を屠るのはいかがでしょうか?)

(イッセー様はやっぱり凄いです。イリナたんの好感度(ヤンデレ指数)を大きく上昇させているんですもの)


……さてと、イリナはもうそろそろ来るぐらいだな。デートの雰囲気が楽しみたいって言うからわざわざ、俺が先に家を出てこうして待っていてやってるんだ。ありがたく思いな。


(ご主人様のデートの記録の準備はバッチリです。思う存分楽しんでください。あ、もし、記録を廃棄して欲しい場合はお仕置き(ご褒美)をくださいね)


((((お仕置き(ご褒美)の為には手段は選びません!))))


(この上なく卑怯な手を使ってきやがったな、おい!)


ちくしょう、スルーしてやりすごそうと思ってたのに卑怯な手で俺に是が非でもお仕置きをさせようとしてやがる。こいつら、俺が宿主だってことを忘れてんのか? もっとも出ていったらいったで死ぬほど困ることになりそうなんだがな。


「ダーリン♪」


そんなことを、胃を痛めながら考えている所で後ろから抱き着かれる。まあ、気づいていたが反応しなかっただけなので驚きはねえがな。俺は首に回された腕を掴み離すように促す。そしてゆっくりと振り返りイリナの方を見る。

イリナはナチュラルメイクに花柄のスカート、ラフなシャツにカーディガンを羽織った姿だった。こいつがこういった姿になるのは中々ないので思わず、凝視してしまう。べ、別に可愛くて見とれていたわけじゃねえからな!


「ダーリン、待った?」

「いや、さっき来たばっかりだ」

「そっか、よかったぁ」


そんな風にいかにもデートの定番と言った感じのセリフを言い合う。そして、そのことに二人で軽く笑う。まあ……こういうのも偶には悪くねえな。


「似合ってるぞ、その服」

「あ、ありがとう」


取りあえず、服の事を褒めてやると、はにかみながら喜ぶイリナ。こいつも普段からこうなら可愛いんだがな。まあ、普段のヤンデレもこいつの一部だから否定する気はねえがな。ボスがファミリーを否定するなんざ言語道断だ。あくまでもボスとしてだからな。そこは間違うんじゃねえぞ。


(早くも本日二度目ののツンデレ出ました! やっぱりツンデレはイイッ!)


「それで、今日はどこに行くつもりだ?」


俺は変態を無視しながらイリナにそう尋ねる。今回のデートはイリナが主導権を握っているためにイリナがどこに行くかなども決めている。俺としては余りおかしなところにならないように祈るのに必死だったから自分で決めたかったんだがな。


「えっとね、何だか新しくアミューズメントパークが出来たみたいだからそこに行こうと思ってるの」

「そうか、じゃあ行くぞ」


俺がそう言って歩き出すとイリナも俺の隣に並んで歩き始める。こいつは俺が、実力が同列だと認める数少ない奴なので隣に立っても特に何も思わない。そして歩いていると何故か、チラチラと俺の手を見つめて来るイリナ。おかしい、普段のこいつなら俺の腕をへし折る勢いで俺の腕に抱き着いてくるはずなんだが。


(あれは色々な意味でご褒美ですよね、一誠様。痛みとお胸の柔らかさの二重の快感が生み出すハーモニーが最高です。出来れば黒歌様にもやっていただきたいです)


変態の言葉は取りあえず、スルーする方向で行くことにした。
安心しな、胃薬の用意は万全だ。


「ね、ねえ、ダーリン」

「……なんだ?」

「手を……繋いでもいいかな?」


若干、遠慮気味にイリナは顔を赤面にし、照れながら言う。……本当にどうしたんだこいつは? なんでこんなにも可愛い―――ゴホン、普段と違えんだよ。もしかすると正常の人間に戻ったのか? そうだとするなら、手を繋いで何の問題もねえだろうな。


「主導権はてめえにあるんだ。勝手にしろ」

「ホント!? 大好きダーリン♪」


本当に嬉しそうな笑顔を見せながらカチャリと俺の腕に手錠をはめるイリナ。この時点で俺の思考は止まって唖然として口を開ける。そんな俺の様子を気に止めることもなく自分の腕にも手錠をはめると嬉しそうに抱き着いて来るイリナ。


「今日は離さないからね、ダーリン」


訂正するぞ、どこまでいってもこいつはヤンデレだった。





アミューズメントパークに着いて中に入るとそこには絶叫マシンやコーヒーカップやメリーゴーランドなど、知っているアトラクションは全て揃っていた。まあ、マフィアランドにも大体揃ってるけどな。


「さてと、適当に回るか」

「うーん、これだけ一杯あると悩んじゃうね。私、ずっと教会に居てこういうところあんまり来たことないし。その代わり、教会に居る人達とよく組手をしてたけど」


よし、最後の言葉は聞かなかったことにするぞ。その結果がミカエルのバイブレーション機能搭載という結果になったのだとしても俺は知らねえ。ゼノヴィアが教会内部で防波堤の役目を担っていたという悲しい事実も俺は知らねえ。結局の所、こいつの面倒は俺が見るしかねえのか……嫌というわけじゃねえがな。


「すいません、もし迷ってらっしゃるようでしたら私がお勧めのアトラクションを紹介しましょうか?」


振り返って見てみるとピンク色のウサギの着ぐるみが、俺達が悩んでいるのを見て話しかけてきていた。普通に考えればこいつは何かしらのマスコットキャラで係の人間が仕事で話しかけて来たんだろうが……どうにも俺がよく知っている金髪のシスターのような気がしてならない。というか、間違いない。声がそうだとしか言いようがない。


「アーシア……バイトか?」

「はう! ち、違います。私はアーシア・アルジェントなんて人じゃありませんよ。それにイッセーさんのデートの様子が気になってつけて来たわけでもありません」

「俺がいつ自分の名前を言った?」

「あうう……やっぱり嘘はつけません」


そう言ってションボリと俯くウサギの着ぐるみを来たアーシア。その姿は非常に可愛らしいのだが、まだ分からないことはある。俺達の様子を見に来たのはわかるんだがなぜ、ここの職員でもないのにこんな着ぐるみを着れるのかが分からねえ。まさか……。


「おい、イリナ。ここの名前はなんなんだ?」

「グレモリーハイランドよ」


グレモリー家の人間は一体全体何を考えてんだ……。いや、普通に人間世界での活動範囲を広げるための資金を集めるためかもしれねえが。とにかく、リアス・グレモリー達が一枚かんでいるのは間違いねえ。なんだ? 一体何の利益があるんだ。まあ……いいか。


「で、お勧めのアトラクションは何なんだ」

「あ、はい。たくさん面白いものがありますけど、一番はお化け屋敷です。私は……怖いから嫌ですけど」

「そうか、じゃあそこに行くか」

「お化け屋敷……つまり抱き着き放題ね!」

「やっぱ、代えるか」


そうは言うものの結局イリナに引きずられてお化け屋敷の前に出てくる俺。そしてかなり雰囲気の出ているお化け屋敷を見上げる。廃病院を改造したらしく死んだ人間の幽霊が出てくるという設定らしいが、実際に悪魔や天使と関わっている身にしてみりゃ、恐ろしいという事なんざねえ。

正直言って今隣に居る幼馴染みの方が何倍も怖い。そうして、お化け屋敷の中に入っていく俺とイリナ。薄暗い廊下をカツン、カツンと音を鳴らしながら歩いていく。


「イリナ、まだ何も出てきてねえのに抱き着いてくるな」

「ダーリン、あそこに何かいるわよ」

「話を聞け……と、確かに前の方になんかいるな」


何かボンヤリとしたものが俺達の前方にいるが遠くて見えないので二人で目を細めて何なんか確かめようとすると―――


『オレノアシヲカエセ』


後ろから突如として片足の幽霊が現れる。俺は超直感が働かなかったことに驚きながら反射的に肘で攻撃をしようとするがすり抜けてしまう。


「ホログラム? いや、この感じは幻覚か。ということは……クロームのやつも来ているのか」


自分の妹までもがこんな事をしているのかと思うと思わずため息が出る。だが、この程度のことで恐怖を感じる俺ではない。せっかく、こんなとこまで来たんだ。本気で俺を怖がらせる演出でもして見ろ。クロームにとっても幻覚の練習になって丁度いいだろう。そんなことを考えたのがいけなかったのだろうか……。突如として目の前に再び別の幻覚が現れる。その幻覚は非情に見覚えのある姿だった。


(黒歌様の幻覚だと!? この妖艶さ……ゲヒ、クローム様も腕を上げられましたな)


そう、何故かカス猫の幻覚だった。クロームの奴、一体何考えてんだ。そう思っていた所でカス猫がいつかのように胸をさらけ出しながら近づいて来る。
この状態で最もやばい爆弾発言と共に―――


『ちゃんとお詫びはするにゃ……ベッドの上でね』


「ダーリン……覚悟はデキテル?」

「怖えっ! イリナが般若のような形相に! だれもこんなスリルは求めてねえよ!」


クローム! いくらなんでもこの仕打ちは酷過ぎるだろ。本気で俺を殺す気か!? 何でもお願いを聞いてやるから早い所やめてくれよ。そう叫びたいのだが、真横から放たれる凍り付く様な冷たい殺気に気圧されて言葉がまともに出ない。これが真の恐怖というやつなのか!? そんな時バンッと後ろから何かの仕掛けが発動する音が聞こえる。助かった!


「イリナ、何か出て来たぞ!」


音のした方に顔を向けるとそこには別のホラーでは大人気な道具が置かれていた。


「わお、気が利いてるね」


その道具の名前は―――チェーンソー。


「処刑道具まで用意してるとか本気で俺に何の恨みがあるんだよ!?」

「ダーリン、私、髪を染めようと思うんだ。色はね―――アカイロ」

「誰でもいい! 誰かこいつを止めてくれえええええっ!」

((((止めるなんてとんでもない、ドンドン来てください!))))


俺は必死にそう叫んで逃げ出そうとするが左腕が引っ張られて逃げ出せない。一体何なんだと思って左腕を見てみるとそこには今朝からつけっぱなしになっていた手錠があった。そこで、俺の頭は真っ白になる。そして超直感は告げている―――逃げられない。やばい、本気でやばい……とにかく、イリナを説得するしか道は無いと俺は半ばやけになりながら襲い来るチェーンソーの相手をするのだった。





あれはクロームの幻覚で、結局の所、カス猫は吹き飛ばしたと説明を一時間以上続けて何とか事無きを得た俺であるが疲労困憊の状態であることは否めない。


「ダーリン、なんだか疲れているみたいだけど何か飲み物でも飲む?」

「なんかってな……まあいい。確かに喉は乾いた何か飲むか」


取りあえず、イリナの提案に従い近くで飲み物を売っている所に行く。たく、何だってこんなに命の危険を感じねえといけねえんだ。そういや、今日はまだ、あの親バカ改造人間は現れてねえな。イリナとデートなんてしてたら絶対に来ると思ったんだがな。イリナに動けないレベルで人体破壊されたのか? まあ、近くに来りゃ分かるだろう。
そしてジュースでも買おうとしたところに―――


「いらっしゃいませ、ご注文は何に致しましょうか?」

「……てめえもか、ユニ」

「私も居ますわ」

「焼き鳥女もか……」


もう何も言わねえ。何も突っ込まねえ。こいつらは偶々バイトで働いていた所に俺達が偶々来ただけなんだと思うようにする―――て、できるか!


「なんで、お前達がここで働けてるんだよ?」

「コネの力って凄いですよね。レイヴェルさん」

「本当にそうですわ。リアス様に頼んだら『面白そうだから後で映像を頂戴』と全面的な協力を受らけれましたから」

「つまり、今も撮影されてるってことかよ……ミランダしか居ねえな。俺に気取られずに動けるのは」


もう、なんか色々と俺の家の住人はおかしくなってきてる。もう、考えるのをやめたい。俺は溜息を吐いて普通にジュースを買う事に決めた。俺が命令するように注文するたびに焼き鳥女が嬉しそうにしていたのは見なかったことにする。


「……そう簡単にダーリンは渡さないわよ」

「今回は譲りましたが、こちらも未来の旦那様を譲る気はないですよ」


因みになにやらイリナとユニがバチバチと火花を散らしながら話していたが現実逃避に忙しい俺はその内容までは聞こえなかった。その後、俺達は他のアトラクションを素晴らしことに普通に楽しんで昼飯の時間になった。


「腹減ったな。何か食うか」

「ダーリン…その、今日はお弁当を作ってみたの」


イリナが顔を赤らめてモジモジとしながら上目づかいで見つめて来る。その表情に思わず、こっちも顔が赤くなってしまうが直ぐに目を逸らしてそうかと言って適当に弁当が食べれそうな場所に移動する。


「あんまり作らないから自信はないけど……食べてくれる?」

「他人に貰ったもんを無駄にする気はねえよ」


そう言ってイリナが亜空間から取り出した弁当を受け取る。亜空間から取り出したことはスルーだ。普通は武器を隠すのに使うもんを弁当を運ぶのに使うというのも普段のカオスっぷりから考えれば可愛いもんだ。そうして、俺はイリナから渡された弁当を開けて取りあえずから揚げを食べる。……普通に美味いな。


「ど、どうかな?」

「……悪くはねえよ」


そう言って答えるがイリナは頬をプクッと膨らませて不満そうな顔をする。まさか、俺が本心では美味いと言った事を気づいたのか? そんなことを考えているとイリナがおもむろに自分の箸でから揚げを一つ掴み俺の口に近づけて来る。これは、まさか……。


「はい、あーん♪」

「じ、自分で食える」

「あーん♪」

「おい、またか、またこのパターンか?」

「あーん♪」

「わかった……食べればいいんだな」


結局、謎の圧力に観念して俺はイリナからあーんされたから揚げを食べる。


「どう、おいしい?」

「……ああ、美味い」

「そっかあ……ありがとうね、ダーリン」


満面の笑みを浮かべてお礼を言い、俺の頬にキスをしてくるイリナ。何か言ってやろうとも思ったがその顔が余りにも嬉しそうだったので毒気が抜かれて結局何も言わずにそのまま弁当を食べ続けた。偶にまた、あーんされたり、おねだりされて顔を赤くしながらあーんしてやったがまあ―――


「悪くはねえな……」

「なにか言った?」

「いいや、何でもねえよ」


俺はイリナに微笑みかけて弁当を喰い終わる。イリナは俺が微笑んだことに余程驚いたのか顔を真っ赤にして固まったように俺を見ている。そんな様子に俺も恥ずかしくなったので適当に声を掛ける。


「まだ回るんだろうが……付き合ってやるからさっさと行くぞ」

「うん!」


そうして俺達は立ち上がり、二人そろって足を踏み出す。


『迷子のお知らせをします。ヴァーリさんの保護者の方、いらっしゃいましたら迷子センターまでお越しください』


「…………取りあえず、迷子センターから行くか」

「……そうね、流石に小動物は放っておけないわ」


そうして俺達はヴァーリを迎えに迷子センターに歩き出すのだった。因みに俺達が行くと俺の家の人間が全員来ていた。そしてそんな様子を遠くからアザゼルが見て泣いていたがどうでもいいことだな。

 
 

 
後書き
シリアスってなんなんですかね? (真顔)
最近、どれぐらいでカオスになるのかのさじ加減が分からない。
あれかな、辛い物になれるとちょっとぐらい辛くても辛く感じないって奴と一緒かな。

とにかく、次回は番外編、原作の世界にお邪魔します。 
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