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光明の魔導師〜眩き妖精の物語〜

作者:南魚座
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六魔将軍編〜ニルヴァーナを死守せよ!〜
  その魔法、ニルヴァーナ。






10分ほどスピードを上げていったところで、ようやくエルザのところへ着いた。




「ついたー!!」



「なんとか、間に合ったか?」



「ナツ!」



「二人とも!大丈夫だったんだね!」


「ヒビキもルーシィも欠員してないところを見ると、ここも無事だったようだな。」



「それよりも早く、エルザさんを!」




「ああ、わかってら!」



そして気持ち強めにウェンディを揺する。



「おい!ウェンディ!頼む、起きてくれ!おい!」




するとウェンディがゆっくりと目を開け、俺らと目が合う。



「ひっ!」



何があったのかいきなり後ろへ後ずさり、頭を押さえた。



「ごめんなさい…私……」



「ウェンディ!俺だ、フーガだ。」



「フーガ…」



俺はウェンディの頭をワシャワシャと撫でた。



「よーし、もう大丈夫…もう大丈夫だから…」


そして今度はゆっくりとなでてやる。


「そうだ、ウェンディ。一つ頼みがある。」



するとナツが



「エルザが毒蛇にやられたんだ!!頼む!!助けてくれ!!」



と頼み込んだ。



「毒ですか?」




「六魔将軍と戦るにはこの人の力は必要不可欠だ。そんでもって治せるのはお前だけなんだ。頼めるか?」




と、ウェンディに聞いた。そうだ。これはウェンディにしかできない。



「お願い…エルザを助けて!」



ルーシィも頼む。



「も、もちろんです!やりますっ!」



と、ウェンディはやる気を出して治療を開始した。



「よかったぁ〜」


まだハッピーはだれていた。



「いつまでだれてんのよだらしない!」



っていや、シャルル、あんたもさっきまで…いや、いいよ。分かったから睨むなって。もう。



ウェンディの治療は数えるくらいしか見た事がないが、本当にすごいと思う。エルザの顔色がみるみるうちに良くなっていく。



「とりあえずこれで、エルザさんの体から毒は消えました。」



と、ウェンディはため息をつく。すると、



「ん」



エルザが小さく身じろぎをした。顔色も良いし変色してた部分もすっかり元どおりだな。



「おっしゃー!」


全員で安堵の息を漏らし、


「ルーシィ!ハイタッチだ!」




「よかった〜!」



ナツとルーシィがハイタッチをする。


「シャルル〜」



と、ハッピー。ははぁん、さてはシャルルに惚れたか?こいつ。頑張ってくれたまえ。



「一回だけよ!」



とハイタッチ。



「愛想がないなぁ、もうちょっとフレンドリーに行こうぜ。」



と、シャルルに声をかける。



「うるさいわね、余計なお世話よ。」



相変わらずのツンツンっぷり。たまにはデレろってんだ。



「ほれ、ハイタッチだ。」



「しょうがないわね。」



と、ハイタッチをする。そのまま俺はウェンディの方へ向きなおり、



「お疲れ様。よくやったな、ウェンディ。」



頭を撫でてやると、嬉しそうな顔をしながら



「うん…」



と返事をした。



「ウェンディ!ハイタッチだ!」




ナツがウェンディに手を差し出しハイタッチをした。



「フーガも、色々助けてくれてありがとな!」



俺の方にも手を出してきた。



「お互い様だ。こっちこそウェンディを助けてくれてありがとう。」




少し勢いをつけてナツの手を叩く。



「しばらくは目を覚まさないかもですけど、もう大丈夫です!」



と、ウェンディ。




「すごいね…本当に顔色が良くなってる。これが天空魔法…」



エルザに顔を近づけるヒビキ。おい、ちけーよ。キスでもかますつもりか。


「いいこと?これ以上ウェンディに天空魔法を使わせないでちょうだい。」


シャルルが大きめの声でみんなに言った。魔力の消費が激しいからな。これ。



「見ての通り、この魔法は魔力の消費量が多いんだ。」



俺も補足で説明する。確かにウェンディの魔力量は同年代の中じゃ突出してる。だが大人と比べると少ない事は少ない。俺みたいに魔力を無限に生み出す機関があるわけでもないしな。



「わ、私のことはいいの……それより…」



ウェンディが何か言いかけるが言葉を濁してしまう。ジェラールの事かな、多分。


「後はエルザさんが目覚めたら反撃の時だね。」



「打倒六魔将軍!!」



「ニルヴァーナは渡さねえぞ!」



などと各々が気合を入れたその時、






カッッ!!!!





突如、樹海の奥から黒い光の柱が天に向かって現れた。ありゃあもしかしなくてもニルヴァーナか。感知の能力はねえが、ありゃあヤバい。肌にべったりと張り付くような、嫌な魔力が出てやがる。



「黒い光!?」



「あれは…」




「ニルヴァーナ…」




「六魔将軍に先を越されたか!?」



俺も叫んだ。だとしたらやべーな。




「あの光…ジェラールがいる!!!!」



と、ナツ。まさか、ジェラールの狙いもニルヴァーナだったのか!



「ジェラール!?」



「ナツ、ジェラールってどういう事!?」



ナツはルーシィの質問に答えず、まっしぐらに光の方へ走っていった。



「私の……私のせいだ………」



「会わせるわけには行かねえんだ!エルザには!!!!あいつは俺が潰す!」



と叫びながら走って行ってしまった。



「ナツ君を追うんだ!」


「でもナツ、さっきジェラールって………」



「あ!」



「どうしたシャルル。」




「エルザがいない!!」




「は!?」



いつの間にか居なくなってる!周り見てもいねえしどんな速さですっ飛んでったんだよ。



「あ、あぁ……」



「なんなのよあの女!ウェンディに礼の一言も無しに!」



問題はそこじゃねえ、と言おうとしたが思い留まる。



「エルザ、ジェラールって名前聞いて…」



先ほどから頻繁にエルザとジェラールの話が出てくる。あの二人に一体何が?



「どうしよう、私のせいだ…私がジェラール治したせいで……ニルヴァーナ見つかっちゃって…エルザさんや…ナツさんも……」



なんかとてつもなく嫌な予感がする。ウェンディが危ない。そんな気が。


「いいか、ウェンディ、おまえのせいじゃ…」




ドンッ!!!!



いきなり、ヒビキによってウェンディが吹っ飛ばされた。




「あんた!いきなりなにすんのよ!!」



と、シャルル。俺の中の怒りのボルテージも一気にマックスに上がる。



「どういう事だ。返答次第じゃてめえの喉笛掻っ切るぞ!!」



俺はヒビキの首元を左手で掴み、右手に魔力でナイフを形成して喉元に突きつけた。殺気を撒き散らす。すぐそこでシャルルとルーシィの小さい悲鳴がきこえた。



「走りながら説明する。とにかくナツ君を追おう。」



俺はゆっくりとヒビキの首元から手を離し、


「納得できるような説明をしてくれるんだろうな。」



「こうなってしまった以上、話すしかないからね。」




「わかった。」



そう言って俺はウェンディを背負う。大丈夫かな。気絶しちまってるよ。



「よいせっと…」


そうして、先に走り出していたヒビキ達においつく。



「驚かしちゃってごめんね。でも気絶させただけだから。」


「その理由を聞きたいんだがな。」



「そうよ。納得できないわよ。確かにウェンディはすぐぐずるけど、だからってこんなやり方…」


シャルルも言う。



「仕方なかったんだ。本当の事を言うと、僕はニルヴァーナという魔法を知ってる。」



どういう事だ!?みんな知らないと思ってたが。



「ただ、その性質上誰にも言えなかった。この魔法は意識してしまうと危険なんだ。だから一夜さんも、イヴ君もレン君も知らない。」




「どういうこと?」




ルーシィが問いかける。




「これはとても恐ろしい魔法なんだ。"光"と"闇"を入れ替える、それがニルヴァーナだ。」



「光と」


「闇を」


「入れ替える!?」


ハッピー、シャルル、ルーシィがおどろく。ていうか、俺も驚いてる。



「しかしそれは最終段階。まず封印が解かれると黒い光が上がる。まさにあれだ。」



と、森の奥の光の柱に目を向ける。



「黒い光はまず、光と闇の狭間にいるものを逆にしてしまう。強烈な負の感情を持った光の者は闇に落ちてしまうんだ。」




「それで、ウェンディにあんな事を?」




「自責の念は負の感情にカテゴライズされるからね。あのままじゃウェンディちゃんは闇に落ちていたかもしれない。」


なるほどな。それを防いでくれたってわけか。



「そうか、すまなかったな、取り乱しちまって。ごめん。」




「いいんだ。急いでいたとはいえ乱暴にはしてしまったからね。」



「ちょっと待って!"怒り"は大丈夫なの!?ナツもヤバいんじゃ…」



「何とも言えない。その怒りが誰かのための怒りなら負の感情とは言えないからね。」



「どうしよう……意味がわからない。」




ハッピーは頭を抱えて唸っていた。




「あんたバカでしょ。」



ストレートだなあ、シャルルさんよ。



「つまりニルヴァーナの封印が解かれた時、善と悪とで心が動いてる奴は性格が変わるってこったな。」



と説明してやる。



「だから僕は黙っていたんだ。物事の善悪を考え始めると思いもよらない負の感情を生んでしまう。」



ヒビキが説明を続ける。



「あの人さえいなければ…辛い思いは誰のせい?なんで自分ばかり…それら全てがニルヴァーナによりジャッジされてしまうんだ。」


誰が考えて作ったのか知らねえが、おっそろしい魔法だな、おい。きっと天界でジジイが頭抱えて唸ってるぜ。久しぶりに会いてえなぁ。



「そのニルヴァーナが起動したらあたし達みんな悪人になっちゃうの?」



「それだと闇ギルドの連中はいい奴らになっちまうぞ。」



嫌だけどなあ、そんな世界。



「そういうことも可能だとは思う。でもニルヴァーナの恐ろしさは、それらを意図的にコントロールできてしまうんだ。」



「そんな!」



「例えば、ギルドに対してニルヴァーナが使われた場合、仲間同士の躊躇ない殺し合い…他ギルドとの理由ない戦争、そんな事が簡単に引き起こせる。一刻も早く止めなければ、光のギルドは全滅してしまう。」



その言葉に、全員が身震いする。いくら神の体と能力を手に入れたところで精神感応系の魔法、それもそこまで大きい魔法なんかには当然抗えない。脳みそに直接術式を書き込まない限り無理だろう。



「あれ!見て!!」



突如ルーシィが叫ぶ。指差した方向を見ていると、イカダの上でナツを氷の槍で刺し殺そうとしてるグレイの姿が。ってやべえじゃん!



「光皇輝閃!!!」



ビィィン!!!



金色のレーザーを放ち、槍の先端を消滅させた。



「なにしてんのよグレイ!!」




「であるからしてもしもし!!」



さっき出した星霊と一緒に追いついてきた。馬なのか人間なのかはっきりせい。



「ルー…シィ……」



と、ナツ。え、なんであんな苦しそうなの?



「邪魔すんなよルーシィ。」




「え!?何これ、グレイが闇に落ちちゃったの!?」



「なんでお前がここにいる?向こうで戦ってたはずだが?」



多分だがな。



「グレイから見たフーガ…化猫の宿所属、謎の魔法を使う…なんだ、これだけか。」



「なが…流れてる……揺れる…揺れてる……」




「ナツ!今助けるよ!」



ピューー!!!とハッピーが飛んでいくが、



キィィン!



グレイに凍らされてしまった。



「オスネコ!」



「ハッピーに何すんのよ!」



「ハッピー、空を飛ぶ。運べるのは1人、戦闘能力なし…か。」



まだブツブツと呟いている。



「てめえ、本当にグレイか?」



なんか怪しいな。



「ルーシィ、ギルドの新人、ルックスは好み、少し気がある…」



「はぁ?な、なによ…それ……」




照れるなよ、おい。




「見た目によらず純情、星霊を使う…ほう、星霊ね。面白い!」



いきなりグレイがルーシィへ攻撃するが。



「違うね。君はグレイ君じゃない。何者だ。」



ヒビキに阻まれた。



「あーあ、やっぱりか。」



面倒くさそうなのが出てきたな。




 
 

 
後書き
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