不動を継ぐ者

「デュエルだと？何のつもりだ？」

突然の要求にさすがのシャークも驚いているようだ。

「俺が勝ったら、彼にデッキを返してもらう。」

「いいだろう。なら俺が勝ったらおまえのデッキももらうぜ！」

それを見た取り巻き達は笑っていた。

「ハハハ！シャークさんに勝てるわけねーだろww」

彼はとくに気にしてる様子はなかった。



「「デュエル」」

「先攻はもらうぜ！俺のターン！ドロー！」

シャーク手札5→6 LP4000

「俺は《キラー・ラブカ》を召喚。」

☆3 キラー・ラブカ ATK700

「さらに俺の場に魚族モンスターが召喚されたことで、手札の《シャーク・サッカー》を特殊召喚！」

☆3 シャーク・サッカー DEF1000

「レベル3のモンスターが2体...！」

「そうだ！俺はレベル3のキラー・ラブカとシャーク・サッカーをオーバーレイ！2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。」

☆3×2→★3

「エクシーズ召喚！現れよ、《潜航母艦エアロ・シャーク》！」

★3 潜航母艦エアロ・シャーク ATK1900

「1ターン目でエクシーズ召喚……！だが先攻は攻撃できない。」

「甘いぜ！エアロ・シャークの効果発動！ORUを一つ使い、俺の手札1枚につき400ポイントのダメージを与える！」

「……」

シャーク　手札4

「俺の手札は4枚。よって1600ポイントのダメージだ。エアー・トルピード！」

遊夜 LP4000→2400

「なんだ大したことねえじゃねえかww」

「シャークさんに勝てる訳ねえんだよww」

先攻１ターン目から大きくライフを削られた遊夜にシャークの取り巻き達が笑い始めたが、彼はとくに気にした様子もない。

「サレンダーしてもいいんだぜ。まあそのときはてめえのデッキをいただくがな。」

「くだらんな。早くデュエルを続けろ。」

「チッ。俺はこれでターンエンドだ。」

シャーク　手札4 LP4000 伏せ0
　　　　　★3 潜航母艦エアロ・シャーク ATK1900



「俺のターン、ドロー！」

遊夜手札5→6 LP2400

「俺はスピード・ウォリアーを墓地へ送り、ワン・フォー・ワンを発動！デッキからレベル１モンスター、チューニング・サポーターを特殊召喚！」

《チューニング・サポーター☆１：DEF0》

カードのイラストに描かれた、背中に星の模様が描かれたテントウ虫が遊星のデッキから現れる。しかし、その背中には星の模様がない。

「さらに、ジャンク・シンクロンを召喚！」

《ジャンク・シンクロン：☆３：チューナー：ATK1300》

白い布のマフラーを身に付けた、メガネをかけたオレンジ色のボディを持つ、機械のような姿をしたモンスターが空中に現れた青白い円の中から現れる。その左のブーツからはレバーのようなものが見える。

「ジャンク・シンクロンが召喚に成功したとき、墓地のレベル２以下のモンスターを効果を無効にして守備表示で特殊召喚する！俺は、ワン・フォー・ワンで墓地へ送ったスピード・ウォリアーを特殊召喚！」

《スピード・ウォリアー：☆２：DEF４００》

スーツのようなものに速度に耐えうる防具を身に付けた、ローラーシューズを履いたモンスターがジャンク・シンクロンの後ろに出現した青白い円から走りこむように現れる。

「チューナーだと。シンクロ召喚する気か！？」

「その通りだ！《チューニング・サポーター》はシンクロ素材となるとき、レベル2として扱うことができる。」

チューニング・サポーター ☆1→2

「俺はレベル2の《チューニング・サポーター》にレベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング！」

☆2＋☆3→☆5

「集いし星が新たな力を呼び起こす。光さす道となれ！シンクロ召喚！いでよ《ジャンク・ウォリアー》！」

☆5 ジャンク・ウォリアー ATK2300

「さらに《チューニング・サポーター》がシンクロ素材となったことでデッキから一枚ドロー。…よし！」

遊夜手札3→4

「《ジャンク・ウォリアー》はシンクロ召喚に成功したとき、フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計の数値分アップする。パワー・オブ・フェローズ！」

場 スピード・ウォリアー ATK900

ジャンク・ウォリアー ATK2300→3200

「……3200だと！？」

「バトル！《ジャンク・ウォリアー》で《潜航母艦エアロ・シャーク》を攻撃！」

ジャンク・ウォリアー ATK3200 vs 潜航母艦エアロ・シャーク ATK1900

「スクラップ・フィスト！」

「俺は墓地の《キラー・ラブカ》を除外することで、《ジャンク・ウォリアー》の攻撃を無効にし、次の俺のターンのエンドフェイズまで攻撃力を500ポイント下げる。」

「俺はカードを2枚伏せターンエンド」

遊夜手札2 LP2400 伏せ2
☆5　ジャンク・ウォリアー
ATK2300

「俺のターン、ドロー。」

シャーク 手札4→5 LP4000

「俺は再びORUを一つ使い、《エアロ・シャーク》の効果を発動！」

シャーク 手札5

「俺の手札は5枚。2000ポイントのダメージをくらいやがれ！」

「俺は手札の《エフェクト・ヴェーラー》を墓地に送り、《エアロ・シャーク》の効果を無効にする。」

すると青い髪の少女が現れ、エアロ・シャークの攻撃から遊騎を包み込むように守った。

「チッ！命拾いしやがったな。」

「俺は魔法カード《浮上》を発動。その効果で墓地から《シャーク・サッカー》を守備表示で特殊召喚。」

☆3 シャーク・サッカー DEF1000

「さらに《セイバー・シャーク》を召喚。」

☆4 セイバー・シャーク ATK1600

「効果発動！その効果で《シャーク・サッカー》のレベルを一つ上げる。」

シャーク・サッカー ☆3→4

「俺はレベル4となった《シャーク・サッカー》と《セイバー・シャーク》をオーバーレイ！2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築。」

☆4×2→★4

「吠えろ未知なる轟き！深淵の闇より姿を現わせ！！エクシーズ召喚！！《バハムート・シャーク》！！」

★4 バハムート・シャーク ATK2600

青いドラゴンのようなモンスターが出現した。

「出た！シャークさんのエースモンスターだ！」

「あいつが出た以上、もうシャークさんの勝ちは確定だぜ！」

どうやらシャークのエースモンスターが出てきたらしい。
取り巻き達も興奮して叫んでいる。

「攻撃力2600…」

「《バハムート・シャーク》で《ジャンク・・ウォリアー》を攻撃。ゴッド・ボイス！！」

バハムート・シャーク ATK2600 vs ジャンク・ウォリアー ATK2300

遊夜 LP 2400→2100

「驚くのはまだ早いぜ。《バハムート・シャーク》の効果発動！ORUを一つ使い、エクストラデッキからランク3以下のモンスターエクシーズを特殊召喚する。出でよ、《ブラック・レイ・ランサー》！！」

★3 ブラック・レイ・ランサー ATK2100

「何だと！？」

これには今まで表情一つ変えなかった遊騎も驚いたようだ。

「エクストラデッキから特殊召喚だと！？」

「それズルじゃん！」

「インチキ効果もいい加減にしろ！」

今までシャークが怖くて黙って見ていた野次馬たちも騒ぎ出した。
…若干変なのが混じってたが、気にすることもないだろう。

「さらに《エアロ・シャーク》でダイレクトアタック！ビッグイーター！！」

「リバースカードオープン《ガードブロック》！戦闘ダメージを0にし、デッキから一枚ドローする。」

「チッ！イラッとするぜ。カードを一枚伏せターンエンドだ。」

シャーク 手札3 LP4000 伏せ0　
　　　　 ★4 バハムート・シャーク ATK2600
　　　　★3 ブラック・レイ・ランサー ATK2100
　　　　★3 潜航母艦エアロ・シャーク ATK1900

「俺のターン、ドロー！！」

遊夜 手札2→3 LP2100

「俺は手札から《ワン・フォー・ワン》を発動。手札の《ボルト・ヘッジホッグ》を墓地に送り、デッキから《チューニング・サポーター》を特殊召喚。」

☆1 チューニング・サポーター DEF0

「チューナーモンスター《ジャンク・シンクロン》を召喚。このカードは召喚時、墓地のレベル2以下のモンスターを効果を無効にして特殊召喚できる。」

☆3 ジャンク・シンクロン ATK1300

「墓地の《スピード・ウォリアー》を特殊召喚。」

☆2 スピード・ウォリアー DEF400

「さらに俺の場にチューナーがいることで、墓地の《ボルト・ヘッジホッグ》を特殊召喚。」

☆2 ボルト・ヘッジホッグ DEF800

「また、シンクロ召喚か！」

「その通りだ！《チューニング・サポーター》はシンクロ素材となるとき、レベル2として扱うことができる。」

チューニング・サポーター ☆1→2

「俺はレベル2の《チューニング・サポーター》にレベル3の《ジャンク・シンクロン》をチューニング！」

☆2＋☆3→☆5

「集いし星が新たな力を呼び起こす。光さす道となれ！シンクロ召喚！いでよ《ジャンク・ウォリアー》！」

☆5 ジャンク・ウォリアー ATK2300

「さらに《チューニング・サポーター》がシンクロ素材となったことでデッキから一枚ドロー。…よし！」

遊夜 手札0→1

「だが攻撃力2300じゃ《バハムート・シャーク》には届かないぜ！」

勝ち誇ったシャークに対して、遊夜は不敵な笑みを浮かべながら言った。

「忘れたか。《ジャンク・ウォリアー》はシンクロ召喚に成功したとき、フィールド上のレベル2以下のモンスターの攻撃力の合計の数値分アップする。パワー・オブ・フェローズ！」

場 スピード・ウォリアー ATK900
　 ボルト・ヘッジホッグ ATK800

ジャンク・ウォリアー ATK2300→4000

「《バハムート・シャーク》の攻撃力を上回った！？」

「まだだ！さらに装備魔法《団結の力》を《ジャンク・ウォリアー》に装備。《団結の力》を装備したモンスターは自分フィールドの表側表示モンスター1体につき、攻撃力が800ポイントアップする。俺のモンスターは3体！よって2400ポイントアップする！」

ジャンク・ウォリアー ATK4000→6400

「攻撃力6400だと！？」

「終わりだ！《ジャンク・ウォリアー》で《潜航母艦エアロ・シャーク》を攻撃！」

ジャンク・ウォリアー ATK6400 vs 潜航母艦エアロ・シャーク ATK1900

「スクラップ・フィストオオオオオオオオオオオ！！！」

シャーク LP4000→0

「ぬわああああああああああ！！」

「約束通りデッキは返してもらうぞ。」

遊夜はジャンク・ウォリアーの攻撃で吹っ飛んだシャークが落とした、例の少年のデッキを拾い、彼に渡した。

「ありがとう。君の名前は？」

「俺は不動遊夜だ。」

遊夜が名乗ると、周りの野次馬や目の前の少年、さらに負けたショックで呆然としていたシャークまでもが驚いていた。

「不動ってまさか！？」

「噂には聞いたことがあったけど。」

「それに使ってるデッキもシンクロン主体だった。」

「不動遊星の息子がこの学校に通ってるって噂は本当だったのか！？」

周りの野次馬をかき分けるようにシャークが近づいてきた。

「不動遊夜。」

「なんだ？」

「次は絶対に俺が勝つ。」

そう言うと、シャークは一人立ち去って行った。

「デュエルならいつでも相手になってやる。」

それを聞いたシャークは一瞬立ち止まったが、振り向かずに去って行った。