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リリカルアドベンチャーGT~奇跡と優しさの軌跡~

作者:setuna
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第九十七話 決着

 
前書き
キメラモンカオスとの戦いの決着。

ユーノ「リリカルアドベンチャー、始まります」 

 
キメラモンカオスの波動によって全員が吹き飛ばされ、気絶している。

大輔「…っ」

少しして、大輔は微かに目を開いた。

キメラモンカオス[ふ、ふはははは…ふはははははははははははははははははははは!!!!]

辺りを見回しながら笑うキメラモンカオスの姿。

大輔「(や、やばい…全身が痛え…い、意識が…)」

飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止めながら立ち上がろうとするが、力が入らない。






























ゲンヤ「い、一体どうやったらあの化け物を倒せるんだ…?とんでもなさすぎだろう…!!」

クイント「スバル…ギンガ…ルカ君…」

戦場に向かって行った娘達の身を案じるクイントとキメラモンカオスの異常な強さに拳を握り締めるゲンヤ。

クロノ「くそ…今の僕達には…何も…」

リンディ「人はいつでも無力な存在よ…」

クロノ「母さん…」

エイミィ「艦長…」

リンディ「人は無力であるために他者に頼る。そして頼られた方も奇跡が起こることを願って踏ん張るしかないと言うのが現状なの…」

クロノ「……」

リンディ「でも今の私達に出来ることはまだ残っているわ…」

エイミィ「え?」

リンディ「祈るのよ…」

クロノ「祈る…?」

リンディ「大輔さん達の勝利を願うの。それが今の私達に出来る唯一の方法…」

リンディはそう言うと手を組んだ。































大輔「……こ、れは…」

紋章を介して流れてくる力。
それは自分達の勝利を信じてくれるという想い。
不思議と身体の痛みが引き、少しずつ力が沸いて来た。

ブイモン[大輔…]

ブイモンも同じのようで僅かだけ回復したようだ。

大輔「ブイモン…行くぞ。」

ブイモン[ああ…]

ブイモンの体内の奇跡のデジメンタルがブイモンの闘志に呼応するかのようにブイモンの身体を包み込んだ。

ブイモン[ブイモンワープ進化!マグナモン!!]

黄金の輝きを身に纏いながらキメラモンカオスを睨み据えるマグナモン。
キメラモンカオスもマグナモンの輝きに気づき、そちらを見遣る。

キメラモンカオス[屑が…まだ生きていたのか…!!]

マグナモン[悪いが俺はまだ死ねないんだ。まだまだ大輔と一緒にいたい。そして大輔や皆と一緒に未来を見たいからな!!]

マグナモンの声に呼応するように身体からエネルギーが吹き荒れる。

キメラモンカオス[流石は、戦闘種族の意地を見せてくれるな…お前だけは簡単には死なさんぞ…!!]

マグナモン[はあああああ!!]

キメラモンカオス[オオオオオオッ!!]

再び激突する二体。
どちらも全く互角の攻防。
しかし時間が経つごとにスタミナが減っていくマグナモンと無尽蔵のスタミナを誇るキメラモンカオスではどちらが有利なのかは一目瞭然である。

マグナモン[マグナムキック!!]

キメラモンカオス[っ!!]

マグナモンの蹴りが鳩尾に入る。
痛みに顔をしかめるが、即座にマグナモンを殴り飛ばす。

キメラモンカオス[ウオオオオオッ!!]

口から業火を吐き出す。
マグナモンはそれをかわし、最大までブースターを吹かして、体当たりを喰らわせる。
体当たりを受けたキメラモンカオスは勢いよく吹き飛んだ。

キメラモンカオス[ふふふ…そうこなくちゃ面白くない。さあ、来い!!此処がお前の死に場所だ!!]

プラズマシュートとメガブラスターがぶつかり合う。
プラズマ弾同士がぶつかり合い、閃光が発生する。

マグナモン[負けるわけにはいかない…俺は!!]

キメラモンカオスが放った業火をバリアで防ぎ、反撃でプラズマ弾を放つ。

キメラモンカオス[ふははははは!!]

プラズマ弾を腕で弾く。
理不尽とも言える敵の強さ。
しかしマグナモンは諦めずに拳を振るった。































ルカ『ぐっ…大、輔…さん』

賢『このままではやられる…大輔とマグナモンに力を渡すんだ!!』

アリシア『皆、マグナモンとお兄ちゃんにパワーを!!パワーをあげて!!』

エンジェウーモン[セイント…エア…!!]

激しく傷ついた身体で光を生成しようとするエンジェウーモン。
しかし。

マグナモン[ぐあああああ!!]

スタミナが完全に底を尽きはじめたマグナモンが地面に叩き落とされた。

キメラモンカオス[ふふふ…よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな…]

マグナモン[ぐっ…]

立ち上がろうとするが痛みで身体が満足に動かない。

マグナモン[ここまでか……っ…?]

覚悟を決めた時、突如鎧が黄金の光を放った。

エンジェウーモン[今よ!!]

ユーノ『大輔さん…』

ミスティモン[コアダート!!]

賢『負けるな…』

ジュエルビーモン[スパイクバスター!!]

メガログラウモン[アトミックブラスター!!]

フレアモン[紅蓮獣王波!!]

クレシェモン[アイスアーチェリー!!]

なのは『大輔さん…マグナモン…負けないで…!!』

ワーガルルモンX[カイザーネイル!!]

ヴリトラモン[コロナブラスター!!]

メタルグレイモンX[ギガデストロイヤー!!]

Bウォーグレイモン[ガイアフォース!!]

パンジャモン[獣王拳!!]

グレイドモン[クロスブレード!!]

ヴォルフモン[リヒト・クーゲル!!]

フェイト『大輔!!』

アルフォースブイドラモン[シャイニングVフォース!!]

エリオ『父さん…!!』

ダスクモン[デスゲーズ!!]

キャロ『お父さん!!』

フレイドラモンエア[ナックルファイア!!]

ルーテシア『頑張って!!』

スティングモングランス[ムーンシューター!!]

マグナモンを除いたデジモン達の技がエンジェウーモンの光へと吸い込まれた。
そして遠く離れた場所からも光が光に吸い込まれていく。
クロノ達がD-3を掲げているのだ。

エンジェウーモン[マグナモーーーンッ!!]

光がマグナモンへと放たれた。

マグナモン[っ…う、おおおおおおおおおおおお!!!!!!]

凄まじい黄金の光がマグナモンから放たれた。

キメラモンカオス[っ!!?]

マグナモン[はあああ…]

仲間達とこの世界の選ばれし子供達のパワーを受けて、限界以上のパワーアップを遂げた。

アリサ『す、凄い…』

マグナモンの超絶パワーアップに戦いに関しては素人に近いアリサですら戦慄する。

ユーノ『次元が歪んで…』

あまりの凄まじいパワーに空間に歪みが生じていた。
今のマグナモンは力の使い方を誤れば次元震すらもたやすく引き起こせる程の力を有していた。
かつてデジタルワールドを救った選ばれし子供のパートナーが到達した伝説の超究極体に相当するだろう。

キメラモンカオス[な、何て奴だ…]

無尽蔵とも言えるパワーを発揮したキメラモンカオスすら驚愕させる力。

マグナモン[俺は…お前を許さない…キメラモン…確かにお前の強さはとてつもない強さだった…!!今までの中で最強の敵だった!!だが、ここで終わらせてやる!!]

キメラモンカオス[成る程…雑魚共のパワーを吸収し、パワーアップしたようだが…虫けら共の力をいくらかき集めたところで俺を超えることは出来ん!!!!]

マグナモン[俺達の絆を侮るなよ。俺達の絆がどれだけの力を出すかを教えてやる!!お前は…ここで終わりだ!!]

キメラモンカオス[黙れえええ!!]

猛スピードで突っ込み、マグナモンに拳を喰らわせるキメラモンカオス。
のけ反るマグナモンだが、次の瞬間、キメラモンカオスを殴り飛ばす。

キメラモンカオス[グッ…オオオオオ!!!!]

マグナモン[はあああああああ!!!!]

互いに凄まじい攻防を繰り広げる。
互いの拳がぶつかるだけで次元に裂け目が生じる程。

マグナモン[だあっ!!]

マグナモンの拳がキメラモンカオスの顔面に炸裂し、キメラモンカオスも逆に殴り返す。
互いに凄まじい速度で動きながら激突を繰り返していく。
































クロノ「な、何て戦いをしているんだ…最早人知の及ぶ戦いじゃない…」

呆然となりながら呟くクロノにエイミィもコクコクと頷く。

リンディ「ある意味全ての機器と魔法が使用不能なのが幸いしたわ…これが映像に残されていたらデジモンは確実にロストロギアに認定される…」

次元をたやすく歪めるあの二体を管理局が見過ごせるかと言えば断じて否である。

プレシア「まるで今までの戦いがお遊戯のように見えてくるわ…」

ゲンヤ「何て出鱈目な戦いだ…動きが速過ぎて何が何だか…」

クイント「す、凄いわ…正に頂上決戦…こ、これを見逃したら一生後悔するわ…」

拳を握り締め、マグナモンとキメラモンカオスが繰り広げる頂上決戦を見つめるクイント。
































賢「くっ…」

はやて「賢兄…大丈夫なんか?」

賢「ああ…それにしてもマグナモンの奴は何をしているんだ…僕達皆のパワーを一つにして究極体を超える…超究極体級のパワーアップを果たしたはずだ。今の彼らは最強のはずなんだ。あんな化け物といつまでも互角とは…」

アリサ「あいつらバトルマニアだからねえ…あんたの気持ちはよおく、分かるけどね」

大輔とブイモンらしいとアリサは苦笑する。

なのは「アリサちゃん…」

ルカ「キメラモンカオスのパワーは最早異常の域に達しています。最早、究極体を遥かに超えるパワーアップを果たしているはず、しかし強さでは大輔さん達も負けていないはずです」

スバル「あのお兄ちゃん達…楽しそう」

クロアグモン[……]

クロアグモンもあの頂上決戦を見て、ウズウズしている。
強者と戦いたいという欲求に抗えないのだろう。

エリオ「父さん…」

キャロ「お父さん…負けないで」

フェイト「大丈夫だよ。お父さんは…大輔とブイモンは絶対に負けない」

断言するように言うフェイトにエリオとキャロはフェイトの方を向く。

エリオ「母さん…」

キャロ「…お母さん」

フェイト「ね?」

エリオ、キャロ「「…はい」」

ルカ「今の大輔さん達が負けるとは思いませんが、あの異常なパワーアップがそう長く保てるのかどうかは分かりません。出来れば時間切れになる前に倒して欲しい…」






























そして、マグナモンとキメラモンカオスの激闘も終わりを告げようとしていた。

キメラモンカオス[くたばれ!!]

マグナモンに向けてメガブラスターを放つキメラモンカオス。

マグナモン[うおりゃああああ!!!!]

マグナモンは避けるまでもないと言うかのように上空に蹴り飛ばした。

キメラモンカオス[……ウ…ウオオオオオッ!!!!]

全てのエネルギーが攻撃に回されたキメラモンカオスは勝負に出るつもりのようだ。

マグナモン[…………]

マグナモンは無言で鎧から光を放ち始めた。

キメラモンカオス[消えろ!!ギガヒートバイパーーーーッ!!!!]

マグナモン[エクストリーム・ジハードッ!!!!]

エネルギー波と熱線がぶつかり合う。
どちらも威力は互角。

キメラモンカオス[グ…グウウ…ウオオオオオッ!!!!]

咆哮と共に熱線の威力と勢いが増し、マグナモンのエネルギー波を押し返そうとする。
しかし直ぐさまマグナモンもエネルギー波の威力を上げ、再び拮抗状態に。

キメラモンカオス[ば、馬鹿な…!!]

マグナモン[言ったはずだ…お前はここで終わりだってな!!]

更にエネルギー波の威力と勢いが増す。
そしてとうとうエネルギー波がキメラモンカオスの熱線を飲み込み、熱線の威力を上乗せし、キメラモンカオスを襲う。

キメラモンカオス[ぐわあああああ!!ば、馬鹿なーーーっ!!!!]

全員【行けえええええええ!!!!】

マグナモン[うおおおおお!!!!!!]

仲間達とクラナガンの選ばれし子供達の力が一つとなった一撃が今までにない最強の敵、キメラモンカオスを撃破したのだ。































はやて「よっしゃああああ!!」

なのは「凄い!!あんな凄い敵を倒しちゃった!!」

ユーノ「うん!!データの回収は出来なかったけど、仕方ないね…」

ルカ「ええ…今回ばかりは仕方ないですよ。それにしても流石大輔さん達だ」

アリサ「これ…夢じゃないわよね…?」

すずか「夢じゃないよアリサちゃん」

ギンガ「私達勝ったんだ!!」

ルーテシア「やったあ!!」

喜ぶ子供達。

































エイミィ「やったあ!!流石だよ大輔君、ブイモン!!」

ゲンヤ「ふう…………最後までハラハラしたけどな」

クロノ「フッ…」

穏やかに笑うクロノ。

リンディ「ありがとう大輔さん達…それにしても酷いわ」

辺りを見渡すリンディ。
もう殆ど廃墟同然である。
復興に果てしない時間がかかるだろう。

マグナモン[心配はいらない]

リンディ「え?」

マグナモンの言葉に疑問符を浮かべるリンディだが、直ぐにその疑問は解決する。
マグナモンが仲間達とクラナガンの選ばれし子供達から得たエネルギーを奇跡の力として放ち、辺り一面が黄金に輝いたかと思うと瞬く間に崩壊した町並みが元の姿に戻った。

リンディ「…………」

これには流石のリンディも愕然となった。

ブイモン[ふう…]

大輔「ブイモン、お疲れ」

ブイモン[ああ、流石に疲れたよ。]

なのは「終わったんだあ…」

ユーノ「長い戦いだったね…」

エイミィ「皆見て霧が晴れていくよ!!」

エイミィが言うとおり徐々に霧が晴れていく。

大輔「皆、早く帰るんだ。お父さんとお母さんが心配するぞ!!」

「うん!!ありがとうお兄ちゃん!!」

エイミィ「私があの子達を送っていくね」

クロノ「ああ、頼むよ」

子供達が去った方を見つめているとすずかのパソコンの画面にゲンナイが映し出された。

ゲンナイ『子供達よ。今すぐデジタルワールドに戻ってきてくれ』

全員【え?】

ゲンナイ『新たな敵が現れたんじゃ…その名もダークマスターズ』

ブイモン[ダークマスターズ…]

ゲンナイ『ダークマスターズは突如現れ、デジタルワールドの全てを変えてしまった。』

アリサ「デジタルワールドにいるデジモン達は大丈夫なの?」

ゲンナイ『もう、逆らう者は殆んど殺されてしまった…』

すずか「そんな…」

ゲンナイ『子供達よ…早くデジタルワールドに…』

そう言うと画面は乱れ、ゲンナイが消えた。

ルカ「そうですよ、こっちに来てからもう数日が経ちます。ということは、デジタルワールドではもう何年も経ったことになりますね」

アリシア「私達、デジタルワールドの歪みを正さないままこっちに来ちゃったから、向こうじゃ大変なことになってるんじゃないの?」

アリシアの不安そうな声。
そういえば、自分達はスバル達を救い出し、ヴァンデモンを打ち倒すために元の世界に戻ってきたのだった。
あちらの世界の歪みはまだ、正されてはいないのだ。
大輔は決意を秘めた声で言う。

大輔「行こう。デジタルワールドに!!」

フェイト「でもどうやって?」

大輔「初めてデジタルワールドに行った時は、D-3に導かれたんだ……だったら、今回もきっと!!」

すずか「試してみる価値はありますね」

大輔「よし、皆のD-3を集めるんだ」

15人の選ばれし子供達が、それぞれのD-3を集わせる。
夜空を見上げて、大輔は叫んだ。

大輔「頼む。俺達をまた、デジタルワールドに連れて行ってくれ!!」

その声に応えるようにして、デジモンワールドから虹色の光の柱が降ってきた。
不思議に揺らめく透き通ったその光を、子供達は静かに双眸に映す。

フェイト「この光に乗ればデジタルワールドに!!」

アリサ「行けるわ!!絶対に!!」

スバル「今度は私達が…」

ティアナ「デジタルワールドを救う番!!」

ルカ「…あの、リンディさん……」

リンディ「何?」

ルカ「母さん…と呼んでいいですか?」

ルカの言葉にリンディは目を見開くが次の瞬間、満面の笑みを浮かべる。

リンディ「勿論よ」

ルカ「ありがとうございます母さん」






























そして大輔達もプレシアと話していた。

アリシア「行ってくるねお母さん。」

プレシア「ええ、フェイト。アリシアをお願いね」

フェイト「うん。」

アリシア「お母さん。私がお姉ちゃんなんだよ?」

大輔「お前よりフェイトが数段しっかりしてるから気にすんな。」

アリシア「ぶう~」

大輔の言葉にアリシアは膨れる。

プレシア「大輔もフェイトをお願いね?」

大輔「ああ、フェイトは俺が必ず守る。」

フェイト「大輔…」

大輔の言葉にフェイトは嬉しそうに笑みを浮かべる。

チビモン[私だってフェイトを守るよ?]

プロットモン[私もアリシアを守り通すわ。]

プレシア「お願いね、あなた達も気をつけて」

エリオ、キャロ「「はい!!」」





























ティアナ「兄さん、行ってくるね」

ティーダ「ああ…気をつけてな」

スバル「それじゃあ私達も行ってくるねお母さん」

ギンガ「行ってきます」

クイント「気をつけてね」
未知の世界を行く娘達、妹を心配するが、彼女達の意志を尊重し、行かせることにした。
本当は行って欲しくなんかない。
でも彼女達の意志は固いのだ。

ゲンヤ「スバル、ギンガ。皆に迷惑をかけるんじゃねえぞ?」

スバル、ギンガ「「うん!!」」
ゲンヤもスバル達の意志を尊重することにした。
世界が終わるならせめて彼女達の好きなようにやらせてあげたいと。






























一輝「それじゃあ、行って来るぜ」

カリム「一輝さん、お気をつけて」

心配そうに一輝を見つめるカリム。
しかし一輝は少しだけ微笑んで頭を撫でてやる。
昔大輔にしたように。

一輝「安心しろ、アッサリと片付けてやるからな」

カリム「はい」































話を終えた子供達は再び光の柱に歩み寄る。
クロノが一歩前に出て、真っ直ぐに弟達を見据えた。

クロノ「頼んだぞ、皆。夜が来て朝が来るのを当たり前だと思っていたけど、今度ばかりは永遠に夜明けは来ないかもしれないからな……」

本音を言えば自分もデジタルワールドに行き、大輔達と共に戦いたい。
しかし、パートナーが幼年期で、進化も出来ない状態では足手まといになる。
クロノはここに留まり、励ましの言葉を贈る。

プレシア「そんな縁起でもないこと言わないで頂戴!!私達は娘達を信じているわ!!」

クロノ「ああ、いや、僕も信じているんだが……」

ルカ達を励ますどころか逆にプレシアに噛みつかれる結果となり、クロノは慌てる。

エイミィ「クロノ君、逆効果だね」

クロノ「うるさい!!」

ルカ「大丈夫ですよ兄さん…」

ルカが決意に満ちた瞳で兄と母を見つめる。
初めて会った時では考えられない表情だった。

ルカ「皆の明日は僕達が守りますから!!」

リンディ「ルカ…」

息子の頼もしい姿にリンディは嬉しさで一杯だった。

スバル「私達がお母さん達を守るんだ!!ねえギン姉?」

ギンガ「うん!!」

クイント「スバル…ギンガ…」

ゲンヤ「成長…したんだな…」

しっかり者だったギンガと違い、人見知りで甘えん坊だったスバルが誰かを守る立場になったことをクイントとゲンヤは嬉しさに涙を流した。

ティアナ「私も…兄さんとの思い出が詰まった世界を守りたいから…」

ティーダ「そうか…」

ティアナの目には強い決意があり、ティーダは妹の成長を喜んだ。

大輔「必ずダークマスターズを倒して戦いを終わらせるよ!!」

子供達は次々に光の柱の中に入っていく。

エイミィ「気をつけて!!必ず帰ってきてね!!」

大輔「エイミィ…」

エイミィの言葉を皮切りに、他の大人達も子供達を見つめた。

プレシア「フェイト、アリシア…」

フェイト「母さん…」

アリシア「お母さん!!」

クイント「スバルー!!」

ゲンヤ「ギンガ!!」

スバル、ギンガ「「お父さん!お母さん!」」

クロノ「ルカ、必ず生きて帰ってこい!!お前には教えたいことが沢山あるんだからな」

ルカ「はい!!」

リンディ「(クライドさん…どうかルカを…あの子を守って…)」

今は亡き夫にリンディは願った。

ティアナ「…心配しないで…必ず戻ってくるから!!」

子供達の気持ちはティアナの言葉に込められている。
不安そうな家族や仲間の顔が切ない。
子供達はそんな気持ちを振り切るかのように、そして決意を固めて声を揃えるように叫んだ。

全員【行ってきます!!】

子供達は叫ぶと同時に決意を固めた。
ここからが、本当の戦いだ。






























子供達がデジタルワールドに向かったのを見届けた大人達。

クイント「…ゲンヤさん、帰りましょう。」

1番最初にそう言って口を開いたのは、クイントだった。
その瞳には、やはり心配の色が滲んでいる。
それでも何故彼女は、気丈に家に帰ろうと言うのか。

クイント「スバルやギンガが家に帰って来た時、お腹を空かしていたら大変だもの…。スバルとギンガの大好物を、作っておかなくちゃ。」

ゲンヤ「…ああ、そうだな。帰ろう。俺も手伝う。」

クイント「ありがとう、ゲンヤさん…。」

ナカジマ夫妻がそう言うと、今度はリンディも笑みを浮かべて口を開いた。

リンディ「私達も、ルカがお腹を空かせた時のためにご馳走を作って待ってなきゃね」

クロノ「ああ…母さん、材料は?」

リンディ「勿論あるわよ。あなたにも手伝ってもらうから」

クロノ「分かったよ母さん。」

プレシア「さて…私も、大輔やフェイトとアリシアの好きな物を作って待ってなくちゃね…そういえばすっかり忘れていたけどアルフはどこに行ったのかしら…?」

ハラオウン親子に続けて、今度はプレシアが家路へと急ぐ。
途中で存在を忘れていたアルフのことを思い出しながら。
ちなみアルフはフェイトのベッドの下で寝ていた。

エイミィ「よし…私も給料奮発して特上寿司でもとってあげますか!!美味しいんだよね、あそこのお寿司屋のお寿司。」

呑気そうに言うエイミィの瞳には、深い優しさが滲んでいる。
大人達は再び空を見つめた。

クロノ「皆…必ず帰ってこい…!!」

エイミィ「ずっと待ってるからね…」
































そしてデジタルワールドのある所で…。

[フフフフ…愚か者達は恐怖の仮面を纏い、裁きの時を永遠に待ち続ける…素晴らしい…実に素晴らしい…]

[手緩い!!一気に叩きつぶせばいいものを!!]

[時の流れが違うんだよ。じっくり構えていればいいのさ…あいつみたいに…]

[……]

[もうすぐ、選ばれし子供達が帰ってきます。退屈な時間は終わりです…さあ、楽屋を後にしましょう。舞台の幕が上がります。…タイトルは“選ばれし子供達の最期”]

4体のデジモン達は自分達の居城を後にし、選ばれし子供達を出迎えに出た。
 
 

 
後書き
キメラモンカオス戦終わった。
 
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