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ワールド・エゴ 〜世界を創りし者〜

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『千年夢想』-millennium a fancy-
  parallelworld 1 -『全知全能』-

 
前書き
なんか……タツ君の扱いが不憫…… 

 
 その少年は、力を持っていた。

 かの天空神に賜った全知全能の力。神すら束ね、自然の理を無視して力を及ぼす、文字通り規格外の能力。

 彼は、総てを知っている。総てを能している。

 だからこそ、その《変化》に気が付く事が出来た。

「……誰です?」

「……こんにちは、タツさん」

 その声を発したのは、白い髪と病的なまでの白い肌を持った少女。
 その特徴から性別を抜けば、タツの嫌う少年と完全に一致するのだが、今回は違う。
 しかし、タツはその少女を《知って》いた。

「ああ、あの化け物の下僕さんですか」

「勘違いしないでください。私のマスターは確かにあの方ですが、私の本当の主はお兄様です」

 特に自分の正体を言い当てられた事は気にせず、少女は訂正する。

 タツも話だけは聞いたことがある《白亜宮》。そこに招かれたとある青年に、《主》は彼女を側付きとして選んだ……
 という知識は、勿論全知全能の異能で手に入れた物だ。

 戦闘能力については少なくとも、彼女一人で大国との戦争に打ち勝つ程度の力は備えているらしいが、その《青年》が強すぎるため、あまり役に立っていない。……確かそんなところだった筈だ。

 タツならば、一瞬で殺せる。

「……それで?要件はなんです?」

「前置きは省きます。貴方に時間稼ぎをして頂きたい」

 タツの心が、少し怒りに揺らいだ。

「……お断りします」

「シェイド様との事にまだお怒りで?」

「『その名は出すな』」

 全知全能の力の一端を使い、少女に命令する。
 少女は苦笑して息を吐くと、改めて言葉を紡ぎ出す。
 その動作がいちいちタツの嫌う《彼》に似てきている為、タツの苛立ちを余計に高める。

「ご安心下さい、今回の件にあの方は関わっていません。依頼主はマスターです」

「それは、俺が彼を嫌っていると知っての言葉ですか?」

「はい。あ、今すぐ貴方には動いて貰わねばなりませんので、詳しい説明は……」

「『消え失せろ』」

 ほぼ反射的にタツは異能を使い、文字通り少女を消し去ろうとした。
 しかし……

「『お断りします。そして暫く黙っていなさい』」

 タツの異能はねじ伏せられ、逆にタツの口が開かなくなった。

「‼︎」

「【なぜお前程度の存在が、これ程の力を持っているのか。】ですか?一時的に《マスター》の力を頂いているだけですよ」

 すぐに納得がいった。
 そして、その納得を得た事実に、タツはさらなる怒りを覚えた。

 __だからアイツは嫌なのだ__

 神の力さえ凌ぐ絶対的な権力。全ての法則を完膚なきまでに消し飛ばすその能力。
 全知全能すら及ばない、最強の力。

 それを持つ者こそが、タツの嫌う3人だ。

 先程話にも出た、存在しない存在。《アスリウ・シェイド・マイソロジー》。
 《白亜宮》の頂点に君臨する、アスリウをも従える絶対的な王、《主》。
 そして、全ての嘘を真実に、全ての真実を嘘に、総ての世界を無に帰す必殺の力を持った存在。
 彼女のマスターでもある、《アルヴァート・ルーク・マレイド》。

 彼らこそ、タツの最も嫌う三柱だ。

「貴方には、どちらにしろ従って頂きます。貴方のご友人にも協力して頂きたいので、貴方はご友人に事情の説明をお願いします。ああ、『もう喋っていいですよ』」

「……ふざけないで下さい。僕が本気で従うとでも……!」

「ならばこう言えば良いですか?《貴方の協力が無ければ、文字通り全世界が終わる》と」

 その言葉は、冷徹に下された。

「貴方も薄々感じている事でしょう。もうすぐ世界が終わる。マヤの予言は現実のものとなり、世界は消え失せ、再構築される。貴方という存在も消え、貴方の友人も皆死ぬでしょう。
 一度破滅が始まってしまえば、こればっかりはあのお三方でも抗いようがありません。
 しかし、マスターも《お兄様》も、この終焉を受け入れる気は無いようですね」

「……僕が信じると?」

「信じる信じない以前に、貴方は自分で気付いている。貴方も、マスターやシェイド様を超える前に滅びるのは不本意でしょう」

「その終焉を消し去ればいい話」

「そんな事がすぐに出来ていれば、とっくにマスターがやっています。その為の時間稼ぎなのですから……益々あの時と似ていますね」

 クスクスと笑い、その少女……グリーア・イクス・アギオンス・イクセシスは背を向けた。

「それでは、よろしく頼みますよ」

 突如、少女の体が闇に飲み込まれ、消えた。

「……はあ、また同じ事になるのか」

 タツは頭痛を堪えるように頭を抑え、大きな溜息を吐いた。

















 世界転生まで、あと72時間。
 《滅びの依り代》の完成まで、あと70時間。
 
 

 
後書き
という訳で第2話ですハイ。
このワールド・エゴには、以前初ランキング乗りした際、Askaさんに作っていただいたキャラクター、《グリーア・イクス・アギオンス・イクセシス》さんが大量に参加します。詳しくは八代明日華/Askaさんの過去呟きまで。改めてありがとうございました!
まあ物語始まって最初っから壮大ですね。世界滅亡とかなんだそれふざけんな((殴
最初の方は一人の作者さんから一人ずつグリーアさんが回っていきます。アルマが名前だけ登場してますが、クライマックスあたりまで出てきませんのでご了承を。
それでは次回もお楽しみに! 
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