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光明の魔導師〜眩き妖精の物語〜

作者:南魚座
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六魔将軍編〜ニルヴァーナを死守せよ!〜
  予期せぬ邂逅







「まだまだぁ!火竜の翼撃!!」



「アイスメイク・ランス!!」



ナツとグレイが戦っている時、



「よっ!おっさん達!俺と遊んでくれねえ?」



「なんだ?てめーは。」




「ぎゃほおっ!このガキ俺たち2人に喧嘩売ってるぜ!ガトー兄さん!」




どうやらこの猿コンビ、何か勘違いをしているようだ。



なので、



「そいつぁ愉快だな、ザトー兄グボァっ!!」



ガトーとかいう奴が勢いよく吹っ飛び、10m程後ろの巨木へ激突。その衝撃で巨木が幹からへし折れた。



「ガトー兄さん!?」



突如吹き飛んだ相方に驚くアフロ。だが俺がやったことはいたって単純。間合いを詰めて"強めに"腹部を蹴り飛ばしただけだ。能力なんざ使っちゃいない。あーあ、ありゃアバラ数本は逝ったな。


「さて、六魔将軍の拠点の場所を吐いてもらおうか?」


俺は界法で大きめの手を出現させアフロの胴体を掴み、空中へ持ち上げる。



「ぎゃほ!答えるわけねえだろ!」



そうか、なら強めるか。



「ぎっ…!ぐぁっ!」



掴む力を徐々に強めていく。



「早く言えよ、死ぬぞコラ。」



さらに強める。



「ぎゃあああぁぁぁあ!!!」



叫ぶくれえならさっさと情報吐いてくんねえかな。こっちだってな、ウェンディとられて頭にきてんだよ。今までにねえくらいな。



「さっさと答えろコラ!内臓とんでもねえとこから出るぞ!!あぁ!?」



「分かった!言う!に、西の廃村だ!古代人の村の!」




「本当だろうな?」



「い、命にかけて本当だ!」



あっそ。



「ご苦労さん。」



そのままアフロを近くの木めがけてぶん投げる。かなりの速度で木に直撃した。まあ死んではないだろう。当たりどころが悪くなければの話だが。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


〜グレイside〜



闇ギルドの連中を片付けてる最中、フーガが親玉の二人に近づいていくのを見た。視線も自然とそちらへ行く。



とその時、フーガの神速の踏み込みからの低い回し蹴りがガトーという男の腹に突き刺さり、ガトーは10m近くの距離を吹き飛びでけえ木に背中を打ち付けた。するとその衝撃で、バキバキと音を立てながら木が倒れてきやがった。なんつう馬鹿げた威力してやがる!?


すると今度はザトーへ向かい、信じられないことをした。あいつの体が金色のオーラみてえなのを纏ったかと思うと、そこからどでかい手が出てきてザトーを掴みやがった。


その時、俺は今まで感じた事のない殺意を感じた。発生源はフーガ。闇ギルドの連中は怯えてどんどん逃げていく。俺もナツも、一歩も動けねえでいた。肌がピリピリするし、空気がいてえ。質量を持ってるかと錯覚するほどの殺意を撒き散らすフーガに、木の上に避難してたシャルルは涙目になって震えてやがる。あいつ、一体何者なんだ?

〜グレイside out〜


「さて、場所聞いたし行くか?ってあれ、なんでみんな引いてんの?」




グレイとシャルルは引いており、ナツはなんかウズウズしてる様な顔をしていた。



「おいフーガ!俺と勝負しろぉ!!」




は!?


「なぜに!?」



「おいナツ!今は作戦行動中だろうが!終わってからにしろ!」



と、グレイ。止めてくれたのは感謝するけど結局闘わなきゃいけないの?嫌っすよ俺。




そうして少し歩いて行くと、奴らの拠点と思われる所に到着した。


「ハッピー!!ウェンディー!!」



っておい、大声で叫ぶなよ。敵さん来るだろうが。すると奥の方からモヒカンのサングラス野郎が目にも留まらぬ速さでこちらへ向かってくる。って速え!?



「ぐぁっ!」



「ぐうっ!!」



「チィッ!」



ナツとグレイが攻撃を受ける。間一髪のところで俺は避けたが、相手は攻撃をやめない。こいつ、体術も相当いけると見た。


次々と攻撃を繰り出してくる相手。

上段飛び回し蹴り、中段後ろ回し蹴り、フェイントの左フックに本命の右ストレート。


俺は全て避け切ってるものの、相手のスピードは落ちるどころか上がるばかり。



「てめえ!ちょこまかと!」



「うっせえ!ちょっとはくたびれやがれ!」



なんでまた速くなるんだよ!

相手の飛び蹴りの着地際、ギリギリのところに下段蹴りを食らわせる。だが相手もさるもの、体勢を崩されながらもそれに逆らわず反撃をしようとする。が、その時。突如俺の後ろから氷塊が恐ろしい勢いで飛んで来て相手の攻撃の手が止まった。



「フーガ!ここは俺に任せて速くウェンディを救出しろ!ナツとシャルルもだ!」



振り返ると、氷で出来たバズーカを持っているグレイがいた。



「任せても大丈夫だな?グレイ。」



「ああ、任せろ。」



「シャルル!羽出してくれ!」



と、ナツ。しかしシャルルは気絶してしまっていた。


「お前はこれで行ってこい!」



グレイが氷で出来た滑り台を作る。



するとナツとシャルルはものすごい勢いで下へ降りていった。
つーか去り際聞こえた悲鳴は間違いなくシャルルのだったな。目、覚ましてたのか。そりゃ怖えわな。


「それじゃあ頼んだ!」



グレイの背中に呼びかけると、グレイは片手を挙げて答えた。



そして俺も界法を使い飛んでいく。



ナツに追いつき、着地すると2秒後くらいにナツも着地した。あ、シャルルお疲れ様。


「うぷ……」



「って酔ったのかよ!」



吐くんじゃねえぞ!いいか、吐くんじゃねえぞ!!



すぐそこの洞穴から、微かに声が聞こえた。どうもナツを呼んでいるようだ。



「ハッピー!?今行くぞ!」



ナツがダッシュで入っていく。ハッピーって連れ去られた雄猫の方か、ならウェンディもいるはず!



「ウェンディ!!いるか!!」



洞穴に入ると、



「うっ……うぇっ……フーガぁ…ごめんなさい…でも…ひっ…わた、私…」



泣きじゃくるウェンディとナツと猫、そして上裸の青髪の男がいた。



「ウェンディをさらった六魔将軍の奴はてめえか!!」



この男、何か変だ。感じる魔力は常人のそれとは異なりあまりにも濃く、大きい。だがどこか不安定だ。でも関係ねえ。ぶん殴ってやる。と、足を踏み出した瞬間、


「ジェラァァアアァルゥゥゥ!!!」


「え?」



ナツが物凄い勢いで殴りかかる。が、



ボゴォ!!!!




魔力の塊をぶつけられてしまった。手の一振りであの威力か。それよりもナツの言っていたことが気になった。ジェラール……?


「相変わらずの魔力だな、ジェラール。」



後ろから男が現れ近づくが、



ガガガガガガ!!!!




「なに!?」



男のいた地面を陥落させてしまう。あまりのアレな状況に、俺は立ち尽くしてジェラールが去っていくのを見ているしかなかった。




そこで我に帰り、



「おいウェンディ、ジェラールってたしかお前の…」



と、振り向きながら聞くと、ウェンディが倒れていた。



「おい!ウェンディ!何があったんだ!」



「この子、天空魔法の使いすぎね。魔力切れよ。」




なるほど、大体分かったぞ。


「つまりウェンディはジェラールとやらを治療しちまったってことだな。それもえらく大変な治療を。」




「そうみたいね。でも一体なんで…」



「とりあえず行くぞ。エルザを助けるんだ。」



「あんにゃろぉ…」



「ナツ、今はエルザが優先だ。一旦戻るぞ。」




「けどよ…!」




「エルザがくたばったらどうにもなんねーだろう。だから一回戻るんだ。」



「わかった。ハッピー!行くぞ!」




「あいさー!」



「シャルル、俺に並んで飛んでくれ。さすがに意識のない人間運ぶのはつらいだろ。」




「あんたは?」



「ウェンディを負ぶって魔力で飛ぶ。」




「分かったわ。」




そうして洞穴から出て、俺とシャルルはナツに追いつく。



「おいフーガ」




「ん?」




「お前の魔法って何なんだ?さっきといい、今といい。」



難しい質問だな。




「さあ?俺にもよくわかんねーや。」



と、適当にはぐらかす。



「そういえばお前、歳はいくつだ?」



「もうちょいで14だな。」




ちなみに誕生日は適当に決めた。



「その割には口調といい何かこう、雰囲気といい歳離れしてんだよなぁ…」



と、ナツ。あんた占い師の才能あるよ。



「性分なんだ、気にしないでくれ。」



と、また適当にはぐらかした。



すると急速に近づく気配が一つ。



「っ!全員回避行動を取れ!」




「遅えよ!」



やっぱ六魔将軍のヤツか。あの早いやつ。



「ぐぁっ!」



「うわぁ!」



ナツとハッピーが叩き落とされ、なんとか俺は回避行動を取る。意識がない人間運んでる以上、戦闘も攻撃を受けることも禁物だ。ちなみに、




「きゃっ!」



シャルルは魔力の手でこちらに引き寄せ回避させた。



だがナツとハッピーが落ちてしまったので俺も一度着地をする。ハッピーは伸びてしまったようだ。




「ナツ!ハッピー抱えて走れ!」


俺はもう一度飛ぼうとするが、




「行かせねえっつってんだろ!」




敵もまたスピードを上げこちらに迫ってくる。



「アイスメイク・城壁"ランバート"!!」




巨大な氷の壁が出現し、敵はそれにぶち当たる。




「グレイ!」



「いいから行け…コイツァ俺がやるって言ったろ…」



「けど、今のでお前魔力が!」



ナツが言うがグレイが遮る。




「いいから行け!ここは死んでも通さねえ!行け!エルザんとこに!!!!」



「必ずエルザを助けるからな!」


とナツが去り際に叫ぶ。



「当たり前だ。」



グレイも答える。



「死ぬんじゃねえぞ。あんたにゃ帰りを待つ仲間がいる。」



俺も声をかけた。



「わーってるよ。ナツとエルザのこと、よろしく頼んだぞ。」



「ああ、任された。」



そう言ってその場を離脱する。


その間際、グレイと敵の会話が聞こえた。



「お前は永久に追いつけねえ。妖精の尻尾でも眺めてな。」




妖精の尻尾"フェアリーテイル"か、かっこいいじゃねえか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ジェラール…あの野郎…!」




「何があったんだ?」



確かウェンディはジェラールに昔助けられたとか。話聞く限りじゃ普通にいい奴だと思ったが。



(ナツくん!フーガくん!聞こえるかい!?)


頭の中でヒビキの声がする。初めてだがこれが念話って奴か。



「どこだ!?」



と、叫ぶナツ。



(静かに!敵の中に恐ろしく耳がいい奴がいる。僕たちの会話が筒抜けになっている可能性もある。だから頭に直接語りかけたんだ!)



「俺も聞こえてるぜ、ヒビキさんよ。」




(ウェンディちゃんは?)



「無事救出した。気絶しちゃあいるが今そっちに向かってる。」



(よかった!これからここまでの地図を頭の中にアップロードする。急いで来てくれ!)



ピコーン!


うお、頭の中に地図が。


「これなら早く着くな。案外近い。」



(急いでくれ。頼んだよ。)




そう言ってヒビキは念話を切った。




「さあって、行くか。」



「そうだな。エルザが待ってるんだ!」



ナツと目的地へ向かいひた走る。



すると、






ボゴォォォォォォオオン!!!!




「爆発音?」



確か、あの方向は。



「グレイ!?」



ナツが方向を変えようとするが、



「待て!ナツ。今はエルザが最優先だ。ここでまた散り散りになっちまったら合流できなくなるぞ!」



「風に乗って微かに火薬の匂いがした!ありゃグレイの魔法じゃねえ!!あいつが「ナツ!!」」




ナツの言葉を遮り




「あいつならきっと大丈夫だ。去り際に任せろと言っていた。なら信じて黙って任せよう。」




「……分かった。」



と、ナツはまた目的地へ向かい走り出す。頼むから無事でいてくれよ、グレイ。




 
 

 
後書き
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