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虎退治

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7部分:第七章


第七章

「絶対にな」
「じゃあこのままか」
「動かずにか」
「それに下手に動いても音がしてそこから位置がばれる」
 バージルはこのことも危惧していた。
「それよりもだ。今は動かずにな」
「次だな」
「ああ、次だ」
 今度はジョーンズに対して答えた。
「装填を頼むな」
「ああ、わかった」
「動いたな」
 彼等が必死にやり取りをしているとだった。目の前のキングタイガーは砲撃を受けたことにより砲塔をこちらに向けてきていた。そうしてだった。
 森に向かってその八八ミリ砲を放つ。赤い光が闇の中に見えた。
「来たか・・・・・・!」
 バージルは一瞬死を覚悟した。しかしそれは何とか外れた。彼等にとっては僥倖だった。
「向こうも外れてくれたな」
「ああ」
 チャーリーの言葉に返す。
「森の中にいて正解だったな」
「そうだな」
「けれどな、バージルよ」
「わかってる」
 今度はエドワードの言葉に応える。
「今度も外してくれるとはな」
「思わない方がいいな」
「次で決めるぞ」
 歯を食いしばりながらの言葉だった。
「いいな」
「ああ、そうだな」
「次で決めないとな」
「やられるのは俺達だ」
 それはもうわかっていた。まさに後がなかった。
 そしてだった。ここでジョーンズが言ってきた。
「いけるぞ」
「装填できたか」
「ああ、今な」
 こうバージルに返す。
「やるか?」
「当たり前だろ。右に三十度だ」
 その方位まで告げるバージルだった。
「そこにやってくれ」
「わかった」
 ジョーンズはその言葉に応える。すると砲塔がそちらに動いた。
「よし、撃て!」
「ああ!」
「早いとこ撃たないと次が来るぞ!」
「わかってる!」
 それに応えて今引き金を引いた。そうして。
 砲が炎を噴いた。一瞬だった。しかし四人にはその一瞬はまさに永遠だった。
「当たれよ」
「これで決まってくれよ」
 誰もが心から念じる。そうして。
 キングタイガーの動きが止まった。バージルの目にはそう見えた。 
 暗闇の中で重厚な音を立てて動いていた虎がその動きを止めたのだ。
 重い音が聞こえてきた。キャタピラの音とは別に。何かが開いた音だ。
「やったか!?」
「撃ったのか!?」
「当たったのか!?」
 誰もがそれを確かめたかった。すると。
 動きが止まったキングタイガーが火を噴きだした。そうして。
 
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