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ハイスクールD×D大和の不死鳥

作者:sou×yuki
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28辛い過去前編

「僕……こんな神器いらないっ! だ、だって、皆停ちゃうんだ! 怖がる! 嫌がる! 僕だって嫌だ! と、友達を、な、仲間を停めたくないよ……。大切な人の停まった顔を見るのは……、も、もう嫌だ……』

 部屋のなかですすり泣くギャスパー。

数時間前俺達はリアス様にギャスパーの教育を頼まれ協力してやったのはいいが練習中に何度も俺達を止めてしまった所為で部屋に閉じこもってしまった。

あっアザセルが来ていたな

ギャスパーがこんなことになったのは理由があり過去に家から追い出され、どちらの世界でも生きられないギャスパーは路頭に迷った。そのときヴァンパイアハンターに狙われ。一度命を落した。そこをリアス様に拾われたらしい。

 けど、強力な力を有するギャスパーを当時のリアス様では使いこなすこともできず、封印を命じられていた。そして、解禁されて現在にいたる。

「困ったわ……。この子をまた引きこもらせてしまうなんて……。『王』失格ね、私」

 落ち込むリアス様。リアス様は悪くない。ギャスパーも悪くないさ。悪いのは過去にそんなことした奴らとそれを克服されることのできない俺

「リアス様、サーゼクスたちとの打ち合わせがこれからあるんでしょう?」

「ええ。でももう少しだけ時間を延ばしてもらうわ。先にギャスパーを――」

「あとは俺に任せてください。なんとかしてみます」

 俺の申し出にリアス様も強く異を唱えることはできなかった。打ち合わせも大事だからだ。

 3大勢力のボスたちが会合するんだ。それのセッティングは大切だろう。

「だいじょうぶです。今度こそ俺がなんとかします!」

 と、胸を張って宣言する。


「……ヤマト。わかったわ。お願いできる?」

「はい!」

 俺の勢いある返事を聞いて、リアス様は微笑んでうなずいた。

 リアス様は名残惜しそうに心配そうにギャスパーの部屋の扉を一瞥し、この場をあとにした。

 リアス様を見送ったあと、俺は深呼吸し、扉の前に座り込んだ。

「おまえが出でくるまで、俺はここを一歩も動かないからな!」

 取り敢えず、座り込み!

 …………。

 持久戦。と、息巻いて一時間ほど座り込んでみたが、変化はなし。出てくる気配もない。

 ……こうやって、黙って座り込むだけじゃダメか。そう感じて語りかけることにした。

「……怖いか? 神器と……俺たちが」

『…………』

 俺は扉越しに話しかける。

「俺は昔大切な仲間を守れないで死んで今ここにいる」

 どこまで通じるかわからない。だけど、俺の正直な気持ちを話そう。

「俺は今もそれで皆を守と決め前に進むことにしたんだ」

 進むしかなかった俺には。

『……どうしてですか? も、もしかしたら、大切な何かを失うかもしれないんですよ? せ、先輩はどうして、そこまで真っ直ぐ生きていられるんですか……?』

「俺にはこれしかできない。そして」

『そして?』


「――リアス様の涙を二度と見たくない。レーティングゲームで俺が敵を倒すのに手間取ってついた頃にはイッセーがボロボロでリアス様に抱かれていてリアス様が投了を選択したんだ。俺が早くつけていたらと思うと…‥今でも悔しい」


ギィ……。

 鈍い音を立てながら、扉が少しだけ開かれた。

「なあ、ギャスパー」

「……はい」

「弱いままじゃ何も守れないんだぞ。神器を怖がっているだけじゃあ、いざというとき大切な人や仲間を守れないんだぞ。――それでもいいのか?」

「……で、でも、僕じゃ、ご、ご迷惑をかけるだけです……。引きこもりだし、人見知り激しいし……神器はまともに使えないし……大切な人なんて守れるわけが……」

 俺はギャスパーの顔をおさえると、両目を覗きこんでやる。

 ここに神器があるのか。時間停止する能力。

「俺はおまえのことを嫌わないぞ。先輩としてずっと面倒みてやる。……まあ、悪魔としてはおまえのほうが先輩だろうけどさ。でも、実生活では俺が先輩だから、任せろ」

「――っ」

 ギャスパーは目をパチクリさせるがお、俺は続ける。

「俺ひとりじゃ守れない。力を貸してくれ。俺と一緒にリアス様を支えよう。おまえが何かに怖がるなら、俺がそれを吹っ飛ばしてやる。」

 ニカッと笑ってみるが、ギャスパーはコメントに困っている様子だ。


「イッセーの血、飲むか? アザゼルが言ってたことが真実なら、イッセーの血を飲めば神器を扱えるかもしれない」

 あのとき、アザゼルはそう言っていた。イッセーなら必ずやってくれる、それで済むなら安いものだと思う。

 だが、ギャスパーは首を横に振る。

「……怖いんです。生きた者から直接血を吸うのが。ただでさえ、自分の力が怖いのに……これ以上何かが高まったりしたら……僕は…僕は……」

「わかった。地道に制御できるようになろう」

「はい!」

続く 
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