| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのは 絆を奪いし神とその神に選ばれた少年

作者:レゾナ
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第六話 護衛役と極上弁当

アリサSIDE

あの日の後……私が眠ると必ずと言ってもいい程、あの時の映像が流れる。

(何なの……この風景……私は知ってる……?)

いや、そんな訳がない。と言い聞かせても、でも……なぜか、ふと気づくとその時の映像が流れる。

まるで……私の記憶が思い出せとでも言わんばかりに……。

(この風景が何なのか……私は知りたい!)

思い立ったが吉日。早速明日パパに事情を聞こうと思う。

パパだったら何か知ってると思うし。




そして、翌日になった。

朝食時に私は早速パパに聞いてみる。

「ねぇパパ」

「なんだ、アリサ?」

「私ね……この前の誘拐事件の時から変な映像が頭を過るようになったの」

「………………」

「その映像の出来事をあたしは知らないのに、でも何でなのか知ってるって思っちゃうの。どういう事だと思う?」

「…………アリサはそれを知って、どうしたいんだい?」

「パパ?」

パパの顔が真剣な物に変わった。真剣に聞いてくれているんだと思うけど……でも、こんな顔仕事の時にしか見たことないのに……。

「どうしたいんだい?」

「橘の事、知りたいの……」

「全君の事、をかい?」

「その映像の中に橘とよく似た男の子……うぅん、多分橘だと思う。橘の事を知りたいって思っちゃうの……」

「アリサ……」

パパは面食らったのかちょっと面白い顔になっている。

それもそうだと思う。私はついこの間までずっと聖の事が気になっていたから。

でも、今は違う。何でか知らないけど……橘の事が気になってる。

「うん、わかった。それじゃヒントをあげよう」

「ヒント?」

「ああ、答えを教えちゃったら面白くないだろ?」

「…………」

顎に手を当てて考える。確かにそうね。

「わかったわ。そのヒントから答えを出してみせる」

「よし、それじゃヒントだ……全君と接してみればわかるよ。彼の動きと気の配り方。それらを見れば答えがわかる」

「橘の気の配り方?」

それを見て何がわかるというんだろうか?でも、パパのヒントを便りに答えを出さないといけない。

「そこで、朗報だ。アリサの護衛役を全君に一任する事になったから。ああ、それと月村すずか君もだね」

「……え?」

「彼の実力は私も知っているし。何より信頼しているしね」

「…………えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!??」

私は叫ぶ事しか出来なかった。

あ、あいつが私とすずかの護衛!?

SIDE OUT

すずかSIDE

「た、橘君が私の護衛?」

「ええそうよ。この間みたいな事がまた起こるかもしれないしね」

今日から私は学校に復帰する。

アリサちゃんも昨日電話で聞いたら今日復帰すると言ってたから合わせてみた。

そして朝食を食べていたら…‥いきなり、お姉ちゃんから「あ、全君をすずかとアリサちゃんの護衛役に一任したから」と言われた。

「大丈夫よ。彼は絶対にすずか達を傷つけるような事はしないわ。それだけは誓える」

「お姉ちゃん……」

その時のお姉ちゃんの顔を私は絶対に忘れないと思う。

その時のお姉ちゃんの顔は……強い、覚悟に包まれていた。




学校に向かうバスの中でアリサちゃんを見つける。

「すずか、もう大丈夫なのか?」

と、いつも一緒にこのバスに乗っている聖君が心配してくれる。

「うん、もう大丈夫だよ。おはよう聖君」

私はそれだけ言ってアリサちゃんの席の隣に座る。

「アリサちゃん、おはよう」

「あ、すずか。おはよう」

アリサちゃんはそう言うと他のみんなに見えないように小さく手招きをする。

手招きをされたので、耳を近づけてみる。

「すずか、聞いた?」

耳元でそう小声で言ってくる。

「橘君が護衛につくって話?」

私がその話を言うとアリサちゃんは私も聞いたとばかりに首を縦に振る。

「そうよね……というか、疑問に思ったことがあるのよ」

「疑問に思った事って?」

「うん……橘の奴、パパと会った事はない筈なのに、パパは知ってるみたいなのよ、橘の事」

「どういう事なんだろう……?お姉ちゃんも橘君の事知ってたみたいだし……」

「これは、問い詰めてみた方がよさそうね」

そんな会話をしながら、私たちは数日ぶりである聖祥大付属小学校に登校した。

SIDE OUT

全は登校してから読書を開始する。これは朝の恒例行事だ。

というのも、活字を見る事によって脳を早く起こす。

それで誰よりも早く覚醒する事が出来る為、暗殺業をしていた時は朝の恒例となっていた。

しかしこの世界ではそんな理由でしている訳ではなく、単純に知識を増やすだけという目的でしている。

ちなみに今日持ってきたのはラノベだ。

前世での同業者でラノベやらオタク文化にやたら詳しい奴がいて

『オタク文化は日本の宝物!それを傷つけるような奴は必ず俺の手で殺してやるっす!』

と宣っていた。

こんな変な趣味をしている奴だったが、実力は確かであったため全は密かに尊敬していた。

まあ、そんな奴も引退していったが。

(いや、というかまだあの人の年齢なら充分にやれたと思うんだがな……)

全がいた場所では基本的に暗殺から足を洗った奴の事を詮索はしない。

噂の域を出ない範囲でしか聞いた事はない。

そんな事を考えていたら

「おはよう!」

「おはよう」

元気一杯な声が教室に木霊する。

見なくともわかる。なのは達が登校してきたのだろう。

全は一瞬だけ見ようとしたが動きを止めると、そのまま元の体勢に戻し読書を再開する。

読書に集中していると影が全を覆った。

「?」

全は何事?とばかりに窓側を見る。

そこには、アリサとすずかが立っていた。

「おはよう橘」

「おはよう、橘君」

挨拶をしてくるアリサとすずか。それに対し

「あ、ああ。おはようバニングス、月村」

多少どもりながらも挨拶を返す。

「お、おいバニングスさんと月村さんが橘に挨拶したぞ」「ああ、今まで自分から挨拶をする事はなかったのに」「何か心境の変化が?」

アリサとすずかが全に挨拶をした事で教室は波紋に包まれていく。

「あ、アリサ、すずか。そんな奴に挨拶するなんて……どうかしたのか?」

聖が心配してなのか二人にそう言うが

「いえ、ちょっとした気まぐれよ」

そう言ってアリサは自分の席に向かう。すずかも何も言わないがおそらくアリサと言いたい事は同じなのだろう。笑顔で自分の席に座った。

「おい、神楽院。お前、何かしたのか?」

─────またこれだよ……。

全は、もう本当に心底面倒くさいと思った。














昼休み。全の姿は屋上にあった。

というのも、弁当を出して食べようとしたら

『橘、ちょっと付き合いなさい』

アリサからそう言われて屋上に連れてこられた。

そこにはすずかもいたので、ますます全の頭には?マークが飛び交っていた。

「あんた、私達の護衛役になったんだって?」

何だ、その事か。と全は納得した。

「ああ、引き受けたが。悪かったか?」

「いや、悪くはないんだよ……でもね?何で引き受けてくれたのかなって思っちゃって……」

それを聞いて全は少し考える。

全自身の理由としては二人が無くしてしまった記憶の中にある約束を守る為というのもあるが、それは二人が知らない為にほとんど全の独り善がりな理由だ。

そんな理由では納得出来ない為、急いで別の理由を考える。

「いや、なぜか頼み込まれてな。それで根負けしたんだ」

全のこの理由は苦し紛れだったが間違いは言ってない。

「なるほどね……それじゃ、もう一つの疑問。あんた、パパ達とどこで知り合ったの?パパはあんたの事を信頼してるって言ってたから」

「……っ」

しまったといった感じの顔をする全。

確かにそこまで信頼しているのなら何かしらの理由があるだろうと考えるだろう。

「……言えない。言う事は出来ない」

「何でなの?」

「何でもだ」

そう言って全は弁当を取り出し、蓋を開ける。

「「ふわぁ……」」

中身を見た瞬間、アリサとすずかは呆けた。

それも仕方ないだろう。中身はとてもバランスが取れたラインナップでありながら、しかも途轍もなく美味しそうだからだ。

「……………」

無言で箸を運んでいく全。弁当を開けて食べながらも全の弁当から目を離さない二人。

「……食うか?」

「「いいのっ!?」」

「あ、ああ……」

全はとりあえずこれでいいかと玉子焼きに箸を伸ばす。

「ほい」

全の家事スキルは特典である「小嶺 幸」を使用しなくても高かった。

というのも、前世では基本的に自分の事は自分でしていたため、家事なども自動的に身についていた。

恐る恐るといった感じでその玉子焼きを口に運ぶアリサとすずか。

「「はむっ」」

二人同時に玉子焼きを口に運び……数瞬した後

「「orz」」

同時に、崩れ落ちた。

「?どうした?」

「あ、あんた……料理、上手なのね……」

「う、うん……私達も簡単な料理はするけど……ここまでは……」

「そこまで特別な事をしているとは思えないんだが……」

ただちょっと工夫を凝らして作っているだけだというのに。

そんな事を思いながらも全は弁当を食べ進める。

──────二人がなんでこんなに俺と接してくれるのかはわからない、けど……。

それでも、こんな日常が続けばいいな……全はそう思った。 
 

 
後書き
次回か次々回辺りで記憶が戻ると思います……まあ、ここまで見てくれれば誰が最初に記憶を取り戻すかはわかりますよね? 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧