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ジャガイモを人気者に

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第四章

「それでいいな」
「そうですか、一切ですか」
「そうさせよ、いいな」
「わかりました」
 廷臣は王の意図がわからないまま頷いた、こうしてジャガイモはその食べ方が教えられると共に貴族だけが食べていいことになった、そして畑には兵が置かれジャガイモを監視する様になった。
 だがその禁止令と兵達まで置かれた厳重な監視を見てだ、民達は彼等の中で話をした。
「なあ、ジャガイモってな」
「ひょっとしたらば」
「美味いのか?」
「形は悪いが」
「ああして食べれば」
 その茹でて皮を剥いて上にバターを乗せたうえで潰して食べればだ。
「美味いのか」
「ひょっとして」
「そうなのか?」
「美味いのか?」
「まさかと思うが」
「貴族の方々だけ食べていいことになったしな」
 このこともだ、彼等にとって気になることだった。それで余計に話すのだった。
「しかも兵隊さんまで置いて監視してな」
「じゃあよっぽどなんだな」
「ジャガイモは美味いんだな」
「そうなんだな」
 こう話してだ、そしてだった。
 彼等は夜中にだった、兵達の監視の目をかい潜って、少なくとも彼等自身は上手くそうしたと思ってであった。
 畑に忍び込みジャガイモを掘り出して自分の家に持ち去った、兵士達はそれを見ていたがそれでもだった。
 将校にだ、厳重に言われたのだった。
「いいか、絶対にだ」
「追わずにですね」
「気付かないふりをしてですね」
「捕まえもしない」
「咎めもですね」
「陛下のご命令だ」
 だからだというのだ。
「動くな、いいな」
「わかりました、陛下のご命令とあらば」
「我々はそうします」
「気になりますが」
「陛下のお考えが」
「陛下には陛下のお考えがあるのだろう」 
 将校もこう言うのだった。
「それならな」
「我等は陛下のお言葉に従うだけ」
「それだけですね」
「陛下は常に正しいことをされる」
 王への絶対の忠誠と信頼故にだ、彼等はこう考えているのだ。オーストリア継承戦争と七年戦争に勝ちそしてその後の善政も見ての言葉だ。 
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