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くノ一

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第五章

「我々が婚姻して結ばずにだ」
「対立してくれた方がいいのですね」
「そうだ、敵同士が争っている」
 その状況はというのだ。
「これが最高の状況だからな」
「それ故にですね」
「あの家がそうするのも当然だ、そして」
「そして、ですか」
「ミザール家のことは調べているか」
「いえ、あの家にはまだ」
 月光はディンギルの問いに即座に答えた。
「潜入していません」
「そうなのか、ではだ」
「はい、それでは」
「これよりだ」
 まさにと言うディンギルだった。
「あの家にも潜入してだ」
「そのうえで」
「内情を詳しく調べてだ」
「そうしてですね」
「私に全てを知らせてくれ」
 こう月光に言うのだった。
「頼めるか」
「畏まりました」
 今回もこう答える月光だった、そしてだった。
 月光はディンギルの前から即座に影の様に消えてだった。そのうえでだった。そのミザール家のことも調べ。
 暫く経ってディンギルの下に戻り全てを知らせた。ディンギルはそのことを知ってだった。
 すぐにだ、グレアノフに対して提案した。
「父上、ここでミザール家をです」
「完全にか」
「はい、追い落としましょう」
「弱みを握ったか」
「あの家のことは全てです」
「月光に調べさせてか」
「知りました」
 それ故にというのだ。
「あの家は複数の敵国と私的にです」
「結託しているか」
「そして我が国の情報を流し」
「金を受け取っているか」
「その証拠を掴みました」
「決定的だな」
 まさにとだ、グレアノフも言った。
「それではだな」
「はい、この証拠をです」
「陛下にお知らせするか」
「そうなればです」
「あの家は終わりだな」
「そうなりますので」
「よし、わかった」
 グレアノフは嫡子の言葉に頷いて答えた、そしてだった。 
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