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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──

作者:なべさん
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SAO
~絶望と悲哀の小夜曲~
  六王会議

薄い赤色のカーソルが、少しずつ近づいて来る。

血色のフードコートを着た少年は、真っ黒なマフラーに顔を埋め、息を殺して中世の古城めいた石造りの壁にぴったりと小柄な体を押し付けた。

赤色のカーソルは、すでに視線の先にある十字路の角の、少年からぎりぎり死角になるところまで来ていた。

数秒後、十字路からゆっくりと姿を現したのは、血の気のない青色の肌をした、腰ほどまである髪はざんばらの、レベル67モンスター。

アストラル系、名は《バンシー》。

少年が口がにんまりと笑った。

薄暗い通路の中、真っ赤なコートはいかにも目立ち、バンシーはぐるんとこちらを見た。ガラス玉のように大きな血走った眼が、少年を捉える。

そして、にちゃにちゃと嫌な音を立てる粘液の滴る大きな口をがぱっと開けた。

次の瞬間──

ッキャアァァァァァァ!!!!

耳の鼓膜を激しく震わせる耳障りな悲鳴が石造りの通路に響き渡った。

その悲鳴は、驚くことに天井からぱらぱらと砂ぼこりが落ちてくるほどの威力があった。

少年は、さすがに顔をしかめて、両手の人差し指を両耳に突っ込んでいる。

やがて長かった悲鳴も終わり、バンシーが黙りこんだところで、少年は右手をついと上げた。

たったそれだけの動作で、目の前のバンシーの小さな体が頭から真っ二つに裂けた。

少年は口の中で小さく、ごくろーさん、と呟き、先ほどまでバンシーがいた十字路の真ん中に立ち、目を瞑る。

待つこと約一分。

少年の耳がかさかさという小さな足音を捉える。

その数、数十体。しかも、それらは十字路の全ての方向から聞こえてくる。

そんな危機的状況でも、相変わらず少年の口には笑みが浮かんでいた。

レンは、笑っていた。










合計三十五体のバンシーの経験値、ドロップアイテムを表記したウィンドウを満足げに覗き込んでいたレンは、メールの受信音で視線を外した。

「…………?」

怪訝そうな顔で、視界端に表示された新着メッセージのアイコンを叩く。

送り主はTeodlaとなっている。

「うぁ……おばさんかぁ………」

脳裏に、チョコレート色の肌をもつポニーテールの女性が出現する。

浮かび上がったウィンドウには、このようなことが表記されていた。

main:おい、ガキんちょ!いつまで待たせる気だ!!とっくに集合時刻過ぎてるぞ!マッハで来いよ。もう始まってるからな、会議。

最初の方は置いといて、最後の文字はレンにあることを思い出させた。

「…………やば」

視界右上に表示されている現在時刻は三時十分、レンの記憶力が確かなら、集合時刻は三時だったはずだ。

頭の片隅で大きな溜め息をついている間にも、レンの足は主街区の転移門へ向かって走り出していた。










六王会議。

それは、アインクラッドの中で最強を誇る六人のプレイヤー、六王が唯一、一堂に集まり、今後の攻略行程、並びに問題、課題点を話し合うことだ。

その会議の決定は全攻略の目標となり、また、誰も逆らうことはできない。

そう、たとえ攻略組最大手ギルド、【聖竜連合】でも。










第六十一層主街区【ミンヘイ】

巨大な四つの尖塔を基点とした高い石垣に囲まれるこの街は、完全な正方形で、まるで江戸時代の城下町のような雰囲気のある日本家屋が立ち並ぶ風情溢れる街だ。

だが、そんな雰囲気をぶち壊しているのが、街の中央にそびえる白亜の高い尖塔だった。

通称《尖白塔(せんぱくとう)

その天高くそびえる尖塔は、同時に王達が集える唯一の場所でもあった。

その最上階、円形のその部屋の中心には、同じく円形の丸テーブルが配置されており、レンがその部屋に息せき切って飛び込んだ時には、すでにテーブルの周りの、高級そうな六つの革張りの椅子のうちの五つはすでに埋まっていた。

ギルド【血盟騎士団】団長、《神聖剣》ヒースクリフ。

ギルド【神聖爵連盟】ギルドマスター、《白銀(しろがね)戦神(せんしん)》ヴォルティス

ソロプレイヤー、《柔拳王(じゅうけんおう)》テオドラ

ギルド【風魔忍軍】(おさ)老僧(ろうそう)千手(せんじゅ)》シゲクニ

そして、ギルド【スリーピングナイツ】ギルドマスター、《絶剣》ユウキ。

男性陣は、レンが半笑いで入室しても、微苦笑を少しだけ強くしただけだが、

女性陣は……


「おせぇーよ!!ガキんちょ!」

「そーだよー!レン、遅い!!」

「ぐっ………うっ…………」

ダブルパンチを喰らい、レンはその場に呆気なくノックアウトする。

「まぁまぁ、良いではないか。卿ものっぴきならない大切な用事があったのだろう」

テーブルに座っていたヴォルティスが見かねて、重そうなヘビーアーマーの重さを感じさせない動きで立ち上がり、フォローを入れる。

すいません普通に狩りしてました、とは、言えないド迫力が、目の前の筋肉漢から立ち上ってる気がして、レンは開きかけた口を閉じた。

「さぁ、レンホウ君、まずは座りたまえ」

ヒースクリフが、感情の感じさせない笑みで言う。

レンは、女性陣のジト目をなるべく見ないようにして、席に着く。

「今日集まってもらったのは、皆ももうすでに知っているであろう。」

ヴォルティスが、雰囲気を鋭くさせ、厳かに言った。

そこで、ヴォルティスは言葉を切り、眠っているようにも見える糸目のシゲクニに軽く頷きかける。

いつも人のいい笑みを浮かべている、老齢のシゲクニはいつにない厳しい顔で──

「……《災禍の鎧》が出現した」

言った。 
 

 
後書き
なべさん「はい、始まりました!そーどあーとがき☆おんらいん!!」
レン「はい、始まりま……ん、なに、スタッフ。急げ?何で?」
なべさん「……今回は、予定が詰まってるって?」
レン「じゃ、急がないとね」
なべさん「えー、じゃ、テンポ良くいきましょー!!」
レン「はい、まずは恒例?のお便り紹介です!」
なべさん「えーと、オウ!なんと言うことだ!」
レン「どうした!?」
なべさん「お便りが三通もある!!」
レン「何と!」
なべさん「涙が出そうだ……」ドコッ
レン「あぁっ!怒ったスタッフがカンペで作者をドついた!」
なべさん「うぅ、わかったよぅ。送ってくれた白矢さん、霊獣さん、月影夜葬さんには誠に申し訳ないのですが、はしょらせて頂きます」
レン「ダメでしょ」
なべさん「いいじゃん」
レン「いいのか」
なべさん「えー、まず一つ目、主人公の使うワイヤーが強すぎる!ということです」
レン「まぁ、確かに」
なべさん「この答えとしては…いいじゃん」
レン「いいのか」
なべさん「はい、続いては……」
レン「これで終わり!?」
なべさん「(無視)ユウキに出番を、ですな」
レン「シリカ編では、全然出てないからね」
なべさん「まぁ、この話を読んだ読者様ならば、もうお分かりでしょうが……」
レン「かなり重要な役割で再登場してますので、ご勘弁を!」
なべさん「はい、続いてはこんな新コーナー!」

なべさん・レン「「とーじょーじんぶつしょーかいー!!」」
(安っぽい歓声と拍手の効果音)

レン「なんかラジオ番組みたいになってきたな……」
なべさん「あい、このコーナーでは、今回から登場した六王のステータスなんかを紹介しちゃうコーナーですよ!!」
レン「でもヒースクリフのおじさんはいらないんじゃあ……」
なべさん「勿論、ヒースのおっさんは抜きますよ」
レン「どーしても読みたいという人は、原作をどーぞ!」
なべさん「えー、じゃ、早速どのお方からいこうかな……って、ん?何、時間が足りなかった?」
レン「余計な会話部分多すぎたからねー」
なべさん「えぇ~!こんなに頑張ったのに……」
レン「ということで、このコーナーは、また次回!感想を送ってきてくださった、白矢さん、霊獣さん、月影夜葬さん、ありがとうございました!!これからの本作品にご期待下さい!」
なべさん「うぅ……自作キャラや感想も待ってます!!」
レン「もう、やけくそだな」
──To be continued── 
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